空き家の管理方法とは?自分でできる対策や放置リスクを解説!
													実家を相続したものの、遠方に住んでいてなかなか管理ができない、といったお悩みはありませんか。空き家は放置すると、税金の負担が増えたり、建物が急速に傷んだりと、さまざまなリスクが生じます。
この記事では、空き家の適切な管理方法について、ご自身で行う場合の手順から、専門業者に依頼する際のポイント、そして管理が難しい場合の対策まで、幅広く解説します。大切な資産を守り、将来の不安を解消するための一歩を踏み出しましょう。

空き家の管理で最低限やるべきこととは?

まずは空き家を管理する上で、最低限行っておきたい基本的な作業内容について解説します。
月に1回以上の定期的な換気
人が住んでいない家が傷む最大の原因は湿気です。 締め切った状態が続くと、室内に湿気が溜まり、カビや腐食の原因となります。月に1回以上、すべての窓や扉、押し入れ、クローゼットなどを開けて空気の入れ替えを行いましょう。 空気を循環させることで、建材の劣化を防ぎ、家を長持ちさせることができます。
水道管の錆びを防ぐための通水
長期間水道を使わないと、水道管の内部に溜まった水が蒸発し、下水からの悪臭や害虫が侵入する原因となります。 また、水道管が錆びてしまい、いざ使おうとしたときに赤水が出たり、最悪の場合は管が破裂したりする恐れもあります。これを防ぐため、各蛇口から1分程度の通水を行いましょう。
雨漏りや外壁のチェック
雨漏りは建物の構造に深刻なダメージを与えるため、早期発見が重要です。 室内では、天井や壁にシミができていないかを確認しましょう。屋外からは、屋根瓦のズレや破損、外壁のひび割れや塗装の剥がれがないかをチェックします。特に、台風や大雨の後は重点的に確認することをおすすめします。
庭木の手入れと敷地内の清掃
庭の雑草や樹木は放置すると、景観を損なうだけでなく、害虫の発生源にもなります。 また、枝が隣家や道路にはみ出すと、近隣トラブルの原因にもなりかねません。定期的に草むしりや枝の剪定を行いましょう。同時に、敷地内にゴミが不法投棄されていないかも確認し、清潔な状態を保つことが大切です。
郵便物の確認と整理
郵便受けにチラシや郵便物が溜まっていると、留守であることが一目瞭然となり、空き巣などの犯罪を誘発するリスクが高まります。 管理のために訪問した際には、必ず郵便受けの中身を確認し、不要なものは処分しましょう。重要な郵便物が届いている可能性もあるため、定期的なチェックは欠かせません。
自分で空き家を管理する方法と手順
ご自身で空き家を管理することは、費用を抑えられるという大きなメリットがあります。しかし、効果的に管理を行うためには、事前の準備と計画が重要です。ここでは、自分で空き家を管理する場合の具体的な手順について解説します。
手順1:管理計画を立てる
まず、いつ、誰が、どのような作業を行うのか、具体的な管理計画を立てることが大切です。 最低でも月1回の訪問を目安に、年間のスケジュールを組むと良いでしょう。 自宅から空き家までの距離や交通手段、管理にかかるおおよその時間も考慮に入れて、無理のない計画を立てることが継続のコツです。
また、夏場は雑草の生長が早かったり、梅雨の時期には湿気がこもりやすくなるなど、季節や天候に左右されることも織り込んでおきましょう。
手順2:必要な道具を準備する
空き家管理を効率的に行うために、必要な道具をあらかじめ準備しておきましょう。掃除用具はもちろん、安全に作業するための服装も重要です。
| 分類 | 具体的な道具の例 | 
| 掃除用具 | ほうき、ちりとり、雑巾、バケツ、ゴミ袋、カビ取り剤 | 
| 庭の手入れ用具 | 軍手、鎌、剪定ばさみ、除草剤、殺虫剤(広さによっては草刈り機) | 
| 服装 | 汚れてもよい長袖・長ズボン、帽子、マスク、滑りにくい靴 | 
| その他 | スリッパ、懐中電灯、カメラ(記録用)、簡単な修繕道具 | 
これらの道具は、空き家にまとめて置いておくと、次回の訪問時に便利です。
手順3:近隣住民への挨拶
管理作業を始める前に、近隣の方々へ挨拶をしておくことを強くおすすめします。 所有者が誰であるかを伝え、定期的に管理に訪れることを知らせておくことで、良好な関係を築くことができます。万が一、空き家に何か異常があった場合に連絡をもらえる可能性もありますし、不審者と間違われるといった無用なトラブルを避けることにもつながります。
手順4:チェックリストに基づき点検・管理
作業の抜け漏れを防ぐために、オリジナルのチェックリストを作成すると便利です。 国土交通省が提供している「空き家管理チェックリスト」なども参考に、ご自身の空き家の状況に合わせて項目を追加するとよいでしょう。 点検箇所を写真に撮って記録しておくと、次回の訪問時に変化を確認しやすくなります。
空き家放置のリスク

空き家を「使わないから」といって適切な管理をせずに放置すると、所有者にとって多くの不利益が生じる可能性があります。
ここでは、空き家を放置することによって起こりうる代表的な6つのリスクについて、具体的に解説します。これらのリスクを理解することが、適切な管理への第一歩となります。
特定空き家に指定される可能性がある
空き家のなかでもより問題となるのが『特定空き家』です。特定空き家とは、国土交通省が示している基本指針で次の4項目のいずれかに該当する空き家のことを言います。
・「倒壊などの著しく保安上危険となる恐れがある状態」
・「著しく衛生上有害となる恐れがある状態」
・「著しく景観を損なっている状態」
・「放置することが不適切である状態」
特定空き家に指定されると自治体から助言・指導が所有者へ行われ、それでも改善されないと勧告や命令が下されます。
勧告を受けると固定資産税等の軽減措置も受けられなくなります。また、命令に背くと50万円以下の過料を科せられるなど、所有者の金銭的負担は重くなっていきます。
固定資産税の増額
土地の上に住宅が建っている場合、固定資産税の「住宅用地の特例」が適用され、税額が最大で6分の1に軽減されています。しかし、「特定空家」に指定され、自治体からの改善勧告に従わない場合、この特例の対象から除外されてしまいます。 その結果、土地にかかる固定資産税が最大で6倍になる可能性があり、所有者にとって大きな経済的負担となります。
建物の急速な老朽化
人が住んでいない家は、換気が行われないために湿気がこもりやすく、木材の腐食やカビの発生が進みます。 定期的な通気や清掃が行われないことで、建物の老朽化は急速に進行します。雨漏りやシロアリの発生にも気づきにくく、発見が遅れると修繕に多額の費用がかかるだけでなく、建物の資産価値そのものを大きく損なうことになります。
近隣トラブルの発生
管理されていない空き家は、さまざまな形で近隣住民とのトラブルの原因となり得ます。例えば、以下のようなケースが考えられます。
| トラブルの種類 | 具体例 | 
| 景観の悪化 | 雑草が生い茂り、外壁が剥がれ落ちるなどして、周辺の景観を損なう。 | 
| 越境問題 | 庭の樹木が隣の敷地まで伸び、落ち葉や枝が迷惑をかける。 | 
| 害虫・害獣の発生 | ゴミの不法投棄などから害虫やネズミが発生し、近隣の住宅にも被害が及ぶ。 | 
| 悪臭の発生 | 浄化槽の機能停止や下水管の封水切れにより、悪臭が発生する。 | 
これらの問題は、ご近所付き合いを悪化させるだけでなく、損害賠償を請求される可能性もゼロではありません。
犯罪や不法投棄の誘発
人の出入りがない管理されていない空き家は、不審者の侵入や放火、ゴミの不法投棄といった犯罪の標的になりやすい傾向があります。 物置が壊されて中の物が盗まれたり、犯罪の拠点として利用されたりします。一度でもこのような事態が発生すると、地域の治安悪化にもつながりかねず、所有者としての社会的責任を問われることにもなります。
倒壊した場合に所有者責任を問われる
空き家の塀が倒れて通行人に怪我を負わせたり、台風などで屋根瓦が飛散して他者に被害を及ぼした場合、そこに住んでいなかったとしても所有者責任を問われてしまいます。
専門業者に依頼する空き家管理サービス

「空き家が遠方にあって自分では管理できない」「高齢で体力的に難しい」といった場合には、専門業者に管理を委託する「空き家管理サービス」の利用が有効な選択肢となります。
ここでは、サービスの主な内容や費用、業者選びのポイントについて解説します。
管理代行サービスの主な内容
空き家管理サービスが提供する内容は業者によってさまざまですが、主に以下のようなサービスが基本プランに含まれています。
| サービス項目 | 作業内容 | 
| 外部の目視点検 | 建物外周、外壁、庭木、郵便受けなどの状況確認 | 
| 内部の目視点検 | 全室の換気、通水、雨漏りの確認、清掃 | 
| 管理レポートの提出 | 点検結果を写真付きの報告書で所有者に送付 | 
これらに加えて、庭木の剪定、ハウスクリーニング、郵便物の転送、災害後の臨時巡回などをオプションで依頼できる場合が多いです。
費用相場は月額5,000円から1万円程度
空き家管理サービスの費用は、立地や建物の大きさ、サービス内容によって異なりますが、基本的なプランであれば月額5,000円から1万円程度が相場です。 例えば、屋外からの点検のみであれば月額5,000円程度、室内への立ち入りを含む詳細な点検であれば月額10,000円程度が目安となります。契約前には、基本料金に含まれるサービス内容と、オプション料金の詳細を必ず確認しましょう。
業者を選ぶ際の比較ポイント
安心して管理を任せられる業者を選ぶためには、いくつかのポイントを比較検討することが重要です。まず、料金体系が明確であること、そしてサービス内容が自分のニーズに合っているかを確認します。
また、万が一の事故に備えて、事業者が損害賠償責任保険に加入しているかも重要なチェックポイントです。複数の業者から見積もりを取り、サービス内容と費用を比較検討することをおすすめします。
管理が難しい場合の空き家対策
毎月の管理費用や手間を考えると、長期的に空き家を持ち続けることが難しい場合もあるでしょう。その場合は、管理以外の方法、つまり「活用」や「処分」を検討することも重要です。
ここでは、管理が困難な場合の具体的な対策について紹介します。
売却して管理負担から解放される
空き家を売却することは、管理の手間や費用、将来にわたる固定資産税の負担から完全に解放される最も確実な方法です。 老朽化が進む前に売却すれば、相応の価格で取引できる可能性も高まります。相続した空き家を売却する際には、税制上の優遇措置が適用される場合もあるため、不動産会社などの専門家に相談してみると良いでしょう。
【参考記事】空き家等売却時に注意したい仲介手数料|2024年改定、その他の費用や税金について解説 | 住まい・暮らしの情報サイト SALAつむぎ
賃貸に出して収益化を図る
建物の状態が比較的良好で、立地条件が良ければ、賃貸物件として貸し出すことで家賃収入を得るという選択肢もあります。リフォームが必要になる場合もありますが、安定した収益源となり、管理も入居者に任せることができます。最近では、期間限定の賃貸契約や、古民家としてクリエイターに貸し出すといった多様な活用方法もあります。
解体して更地として活用する
建物が著しく老朽化しており、倒壊の危険性がある場合や、リフォームに多額の費用がかかる場合は、建物を解体して更地にすることも一つの手です。更地にすれば、駐車場や資材置き場として貸し出したり、土地そのものを売却したりと、活用の選択肢が広がります。ただし、建物を解体すると固定資産税の軽減措置が適用されなくなるため、解体後の計画を事前にしっかり立てておく必要があります。
空き家バンクへの登録を検討する
「空き家バンク」とは、主に自治体が運営する、空き家を売りたい・貸したい所有者と、買いたい・借りたい希望者をマッチングさせるための情報提供制度です。移住希望者への情報発信に積極的な自治体も多く、通常の市場では買い手がつきにくい物件でも、新たな担い手が見つかる可能性があります。ご自身の空き家がある自治体のウェブサイトなどで、制度の有無を確認してみてはいかがでしょうか。
まとめ

空き家は放置すると売却時に価値が下がるだけでなく、所有者のリスクにもつながります。
空き家を管理するには、自分で行う・管理会社にお願いするという2つの選択があります。遠方で管理するのが大変、リスクもあると思っているのではれば、空き家を売却するのもひとつです。
その際は信頼のおける不動産会社を選び、空き家の売却をお願いしましょう。
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■監修_サーラ不動産/担当者_資格:宅地建物取引士