空き家管理はなぜ必要?自身でもできる管理方法をご紹介
ニュースなどでも取り上げられる通り、空き家は日本の社会問題となっています。ご家族が亡くなり、実家が空き家になることもあるのでは?このコラムでは、そもそも空き家の定義とは何なのか、空き家管理を自分で行う場合は何をすればよいのか、放っておくとどんなリスクがあるのかご紹介します。
目次
空き家の定義と現状
近年国内では空き家が増加しています。空家等対策の推進に関する特別措置法よると、「空家等とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)」と記されています。
引用:空家等対策の推進に関する特別措置法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=426AC1000000127_20230614_505AC0000000050
総務省統計局による平成30年の調査によると848万9千戸と過去最多となり、全国の住宅の13.6%を占めているとまとめられています。
引用:総務省統計局 平成30年住宅・土地統計調査 特別集計
https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/tokubetsu.html
空き家が増加している原因は複数の要素が絡んでいることが多いのですが、いくつかピックアップすると次の3点です。
1つ目は人口減少と都市部への人口集中、2つ目は日本での新築需要が高いこと、3つ目は空き家所有者自身が空き家の管理や活用について問題を抱えており、どうしたら良いか分からずそのまま放置されてしまうことです。
空き家放置のリスク
空き家にはさまざまなリスクがあります。
特定空き家に指定される可能性があること
空き家のなかでもより問題となるのが『特定空き家』です。特定空き家とは、国土交通省が示している基本指針で次の4項目のいずれかに該当する空き家のことを言います。
・「倒壊などの著しく保安上危険となる恐れがある状態」
・「著しく衛生上有害となる恐れがある状態」
・「著しく景観を損なっている状態」
・「放置することが不適切である状態」
特定空き家にして指定されると自治体から助言・指導が所有者へ行われ、それでも改善されないと勧告や命令が下されます。
勧告を受けると固定資産税等の軽減措置も受けられなくなります。また、命令に背くと50万円以下の過料を科せられるなど、所有者の金銭的負担は重くなっていきます。
景観と治安の悪化
雑草が伸びきって、人が足を踏み入れていないような状態になると、不法投棄や害虫・害獣の繁殖の原因となり景観や治安が悪化します。また不審者などが入り込む可能性もあり、犯罪の温床になる可能性もあります。
所有者責任を問われること
塀が倒れて通行人に怪我を負わせた場合や、台風などの災害時で屋根瓦など飛び、他者に怪我などを負わせてしまうと、そこに住んでいなかったとしても所有者責任を問われてしまいます。
不動産価値の低下
人が住まなくなった家はどんどん老朽化してしまい、外壁のひび割れや室内のカビなどが発生。不動産の価値がどんどんと下がっていきます。
自分で出来る空き家管理
空き家を所有管理している場合、前述した特定空き家に認定されないために所有者自身で出来ることがあります。
●通水
トイレや流しなど、定期的に水を流すことが大事。配管内に溜まっている水が蒸発すると、害虫が屋内に入ったり下水道からの悪臭が入るからです。
●通風
建物の空気を入れ替えることでカビの発生を防ぎます。
●郵便受けの管理
郵便受けを適宜確認し、郵便物が溜まらないようにしましょう。郵便物が入ったままになっていると、人が住んでいないことを推測できてしまい、不審人物の出入りにつながってしまうことがあります。
●庭の草木の維持
隣地に住宅がある場合、庭の草木の剪定をしましょう。越境した草木が隣地の家や車などに傷をつけてしまうと、予期せぬ金銭トラブルに繋がってしまうからです。
●その他にも自分でできる空き家の管理
・貴重品、荷物の搬出
・郵便の転送
・畳を上げる
・貯湯タンクの水抜き
・補助錠の設置
・台風等の災害への備え
不動産業者等への相談もおすすめ
不動産会社などによる空き家管理サービスを利用すれば、遠方で管理できないという問題も解決することもできます。管理サービス会社によっては写真も送ってくれることもあります。また、庭の草取りであればシルバー人材サービスに依頼するのも良く、市区町村の空き家バンクへの登録もおすすめです。
将来的に利用しない空き家は、売却を検討しても良いでしょう。空き家を所有していると、利用する・しないに関わらず、毎年固定資産税や都市計画税を納めなければなりません。
・固定資産税
評価額(課税標準額)×1.4%
・都市計画税
課税標準×標準税率(地域により上限は3%)
遠方にある空き家を売却する場合は、空き家近くの不動産会社を選ぶのが良いでしょう。地域のことを知っている不動産会社なので、スムーズに売却活動を行うことができます。
まとめ
空き家は放置すると売却時に価値が下がるだけでなく、所有者のリスクにもつながります。
空き家を管理するには、自分で行う・管理会社にお願いするという2つの選択があります。
遠方で管理するのが大変、リスクもあると思っているのではれば、空き家を売却するのもひとつです。
その際は信頼のおける不動産会社を選び、空き家の売却をお願いしましょう。
■監修_中部ガス不動産/担当者_資格:宅地建物取引士
WRITER PROFILE
岩下加奈
愛知県豊橋市在住。地元出版社に勤め、東三河エリアを中心とした住宅情報誌の編集長などを勤める。名古屋や東京などの雑誌・WEBのライティングや編集を行い、年間1000件以上の取材をこなす。豊橋市市役所広報アドバイザー、東三河の魅力を発信する講師活動、審査員なども務める。ワンライフコミュニケーション株式会社ゼネラルマネージャーとして、企業様・個人向けの外部広報を担当。