借地権とは?種類や特徴を分かりやすく紹介

借地権とは?種類や特徴を分かりやすく紹介

借地権という言葉を耳にしたことはありますか?

借地権を一言で言えば、建物を建てるために土地代を支払って他人から土地を借りる権利のことを言います。借地権には幾つか種類や特徴があり、メリットやデメリットも様々です。今回はそんな借地権について解説していきます。

そもそも借地権とは?

借地権とは?

一般的に土地は所有権を売買するケースがほとんどです。その場合権利形態が「所有権」の土地は自分のものになります。

「借地権」は、土地を借りて家を建てる場合に、土地を借りる権利のことを言います。土地は地主、建物は自分のものになります。借地権付きの土地を借りる場合、借主は地代を地主に払わなければなりません。そのため、建物を建設するときや立て替えるときは、地主の許可や連絡が必要となります。

また借地に建てた建物を売却するときも、地主の承諾が必要になります。借地には、契約期間があるので注意が必要です。

契約の種類によって借地権は異なります。その種類の違いを見ていきましょう。

借地権の種類について

借地権の種類

借地権は、次の3つのケースに分けられます。

旧借地権

旧借地権は、現在の借地借家法が制定される以前の法律が適用される借地権のことを言います。1992年7月31日までに契約が成立していたものは、旧借地権が適用。旧借地権は、堅固建物と非堅固建物で契約の存続期間が別に定められています。

木造などでは30年、鉄骨造などでは60年が期間。賃借権は更新することができますが、貸主の側から契約の更新を拒否する場合は、正当な理由が必要です。

https://laws.e-gov.go.jp/law/403AC0000000090

普通借地権

普通借地権とは、旧借地法の内容をベースとした借地権。

旧借地法に基づく借地権との最も大きな変更点は存続期間です。初めの存続期間は構造に関わらず最低30年で、1回目の契約更新は20年以上、2回目以降は10年以上で設定します。

定期借地権

定期借地権は、更新がなく、契約期間経過後に終了する借地権です。

一般定期借地権(=建物の使用目的に制限なし)は更新がない代わりに存続期間が50年以上と長期になります。そのほかに、事業用定期借用権(=事業の目的で土地を借りるという制限付き)、建物譲渡特約付借地権(=契約期間満了時、地主が建物を買い取る旨を契約として盛り込む)、一時使用目的の借地権があります。

https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000106.html

借地権付き物件のメリット

メリットの本を持っている女性

借地権付きの物件には、次のようなメリットが存在します。

固定資産税・都市計画税がかからない

土地部分に固定資産税・都市計画税がかからないのがメリットの一つ。土地を借りる権利を所有しているだけの借地人には、土地部分の課税義務が発生しません。借地であっても建物は固定資産税・都市計画税等、の税金がかかりますので注意しましょう(建物の所有者は自分になるため)。

長期間借りられる可能性がある

借地権は、存続期間が10年以上で設定されています。いずれは返さないといけないのですが、土地の所有者側に延長を拒否する正当な理由がなければ、契約は延長されるので、長期間借りることもできます。

購入時の費用を抑えられる

地域などで異なりますが、借地権付き建物の土地の価格は、同じ土地の所有権を得るのに比べ60%〜80%程度に抑えられます。都心や駅前などの地価が高い人気エリアの物件を相場以下で購入できることもあります。

借地権付き物件のデメリット

デメリットの本を持っている女性

次に、借地権のデメリットについてご紹介します。

銀行からの融資が受けづらい

不動産購入は多くの場合、金融機関から融資を受けます。購入する土地や建物を担保にして融資を受けますが、土地の所有者は別にいるという点から、担保としての価値が低くなり、思うように融資を受けられないことも。

土地の所有者ではないので自由度が低い

借地権付き建物に関しては、借主が自由に売却したり、増改築や建て替えをすることはできません。土地の所有権が地主のものなので、事前に地主の承諾を得なくてはいけません。地主から許可を得ることで売却や建て替えはできますが、承諾料が必要なケースもあるので注意しましょう。

地代がかかる

借地権は毎月地代が発生します。払い続けることに抵抗を感じる場合はデメリットに感じることでしょう。また、需要増加や都市開発などにより土地の価値が上がると、地代が値上がりすることもあるので注意しましょう。

このように、借地権にはメリット・デメリットがあります。

借地権でもいくつかの種類があり、それぞれに条件も変わりますので、借地権付き建物を購入する際には自分たちのライフプランに合わせて考えることが必要になります。

借地権付きの物件を購入する際の注意点

注意する人

借地権の物件を購入する際の注意点をまとめると、以下のポイントが重要です。

借地契約の種類を確認する

借地権にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴や条件が異なるため、自分のライフプランや目的に合った借地契約を選ぶことが重要です。

特に、定期借地権では更新ができないため、長期的な居住を望む場合には注意が必要です。

契約期間と更新料・地代を確認する

契約の種類によって、契約期間や更新の可否、終了時の取り扱いが大きく異なります。

また、契約更新時に「更新料」が発生する場合もあります。これらの費用がどの程度かかるのか、契約書をよく確認しておきましょう。

借地権についてよくある質問

家とはてな

借地権に関するよくある質問をご紹介します。

借地権は売買できますか?

借地権は売買可能ですが、地主の承諾が必要であり、承諾料や名義変更などの手続きが伴います。売買にあたっては、契約内容や費用について十分に確認し、地主としっかり協議することが重要です。

借地権は相続できますか?

借地権は法定相続人であれば相続することが可能で、地主の承諾を得る必要はありません。ただし、相続後の名義変更手続きや相続税の支払いが必要な場合があります。

遺言があれば、それに従い法定相続人以外の人が相続することも可能です。遺留分や相続放棄などの特例を含め、相続の状況に応じた手続きが求められます。

まとめ

住宅地の売地

いかがでしたでしょうか。借地権はあくまで土地の所有者である地主へ地代を支払うことで利用できる権利で、それらには主に3つの種類とメリット、デメリットが存在します。

借地権付きの建物を検討することは、住まい探しの選択の幅を広げることになります。物件の購入価格を抑えることができ、人気のエリアなどに住まう有効な機会になるでしょう。

■監修_中部ガス不動産/担当者_資格:宅地建物取引士

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WRITER PROFILE

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岩下加奈

愛知県豊橋市在住。地元出版社に勤め、東三河エリアを中心とした住宅情報誌の編集長などを勤める。名古屋や東京などの雑誌・WEBのライティングや編集を行い、年間1000件以上の取材をこなす。豊橋市市役所広報アドバイザー、東三河の魅力を発信する講師活動、審査員なども務める。ワンライフコミュニケーション株式会社ゼネラルマネージャーとして、企業様・個人向けの外部広報を担当。

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