旗竿地で後悔しないために!購入前に知っておきたいメリット・デメリットと注意点を解説します

家を建てるために土地を探し始めると、「旗竿地」という言葉を見聞きすることがあると思います。漢字の通り旗に似た土地を指すというイメージはできるけれど、どんなメリット・デメリットがあるのか分からないという方もいるのではないでしょうか。
このコラムでは旗竿地のメリット・デメリットや購入時の注意点、実際に旗竿地に住んでいた経験がある不動産会社社員の体験談をまとめていきます。

目次
旗竿地とは?
「旗竿地」は、不動産や土地に関する用語で、地形や敷地形状によって特徴づけられる区画の一つです。旗竿地は、一般的に「旗竿敷地」や「旗竿地区画」とも呼ばれます。
旗竿地の特徴は、道路と接する間口が狭い路地になっており(竿部分)、家を建てるための敷地が奥に広がっている土地(旗部分)のことです。上から土地を眺めた際、その様子が旗竿に似ていることから言われています。
所有している土地や購入を検討している土地が旗竿地の場合でも、適切なプランニングや建築の工夫によって、有効利用することもできます。
旗竿地のメリット
旗竿地のメリットについてご紹介します。
土地の価格が比較的安価
旗竿地は道路に面した整形地(=正方形や長方形のような形がきれいな土地)と比較して、近隣の相場より安価なことが多いです。
道路に面した土地よりも静かな暮らしができる
旗竿地は通りから奥まった場所に位置していることもあり、自動車が通る道路から距離を取ることができ、静かでプライベートな暮らしを実現することができます。
プライバシーを守ることができる
家を建てる土地が道路から離れていることや、周囲に他の家が建っていることが多いため、通りからの視線が制限され、プライバシーを確保しやすいです。
建物のデザインに工夫を凝らすことができる
旗竿地は整形地と比べて自由度や土地の使い方に制限がかかってしまいますが、建物の配置やデザイン次第では個性的で面白い家を実現することも可能です。
固定資産税が抑えられる場合がある
旗竿地は、その形状や利用しにくさが評価額に反映されることがあり、整形地と比べて固定資産税や都市計画税といった税金が抑えられる場合があります。
ただし、評価額は土地の形状だけでなく、立地条件や面積、周辺環境など複数の要因によって決まるため、必ずしもすべての旗竿地で税負担が軽減されるとは限りません。
具体的な税額については、不動産の専門家や自治体の窓口に相談することをおすすめします。
旗竿地のデメリット
次に、旗竿地のデメリットをご紹介します。
日当たりと風通しの確保には工夫が求められる
広い敷地を分割してつくられることが多い旗竿地は、周囲を建物で囲まれている場合も多く、場所によっては日当たりや風通しの確保が難しい場合もあります。
その際は、日当たりを確保するため、リビングダイニングを2階に設置することで明るさを確保できます。
外構工事費用が通常よりも高くなる可能性がある
旗竿地が他の一般的な形状の土地に比べてプライバシーやアクセスの制約があるため、同じ敷地面積の他の土地に比べて価格が低いこともありますが、利用が難しい場合はコストが割高になる可能性もあります。
土地の形状が複雑になるほど、外構工事費用や駐車スペースのコンクリート敷きにコストがかかるので事前に確認をしましょう。
間口が狭いので不便を感じることがある
道路に面した部分が狭いと、車の出入りに苦労することがあります。車の動線を考慮した駐車場設計や、回転スペースを設ける工夫が必要です。
防犯面での不安が出やすい
旗竿地は奥まった場所に位置することが多いため、立地や周辺環境によっては防犯対策を検討する必要がある場合があります。
例えば、センサーライトや防犯カメラを設置することで、防犯性を高めることが可能です。ただし、地域の治安状況や立地条件によって必要な対策は異なるため、不動産会社や専門家に相談しながら適切な計画を立てると良いでしょう。
条件次第では売却が難しい場合がある
旗竿地は、その形状や接道状況によって買い手が限定される場合があります。
ただし、立地や工夫次第では売却しやすいケースもあります。例えば、隣地所有者への売却提案や建築プランの提示などを行うことで、スムーズな売却が期待できることもあります。
旗竿地購入時の注意点
旗竿地を購入する場合は、条件や制約を事前に調査することが重要です。
道路に面している間口部分(竿部分)の幅と長さ(奥行き)を確認
竿地の形状によって、法令や建築基準に適合するか異なることがあります。必ず、間口部分(竿部分)の幅と長さ(奥行き)を確認しましょう。
参照:国税庁 接道義務を満たしていない宅地の評価|国税庁
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工事車両の導線として十分かどうか
建設車両や引越しのアクセスが制約される可能性があります。実際に敷地を確認してアクセスや駐車スペースについて確認しましょう。
電気・水道などの引き込み状況の確認
電気や水道などのインフラを自分たちで整備するにはコストがかかってしまうこともあります。インフラがきちんと揃っているかなども必ず確認をしましょう。
旗竿地は竿部分を上手に活用しよう
旗竿地の「竿部分」は一般的に通路として使われることが多いですが、工夫次第で有効活用できます。以下に具体的な活用法をまとめました。
ガレージとして活用する
車を停めるスペースにすることで、限られた敷地を有効活用できます。竿部分の幅が十分あれば複数台停めることも可能です。
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自転車やバイクの駐輪場として活用する
車の駐車場が不要な場合は、自転車やバイクを停めるスペースとして利用できます。雨よけの屋根や収納スペースを設けると使い勝手が向上するでしょう。
子どもの遊び場として活用する
小さいながらも子どもの遊び場として利用できます。車の通行や人通りを気にせず、安心して子どもを遊ばせられるプライベート空間になります。
間取りの工夫で旗竿地のデメリットを解消する
旗竿地のデメリットとして挙げられる日当たりや風通しの問題は、間取りを工夫することで大きく改善できます。建物の設計次第で、快適な住み心地を実現するためのアイデアをご紹介します。
リビングを2階に設けて日当たりを確保する
周囲を建物に囲まれやすい旗竿地で、日当たりを確保する最も効果的な方法の一つが「2階リビング」です。1階よりも周囲の建物の影響を受けにくく、太陽の光を部屋の奥まで取り入れることができます。家族が一番長く過ごすリビングを明るく開放的な空間にすることで、家の満足度は格段に向上します。
吹き抜けや天窓で光と風を取り込む
1階にリビングを設けたい場合でも、吹き抜けを作ることで2階から1階へ光を届けることができます。空間が縦に広がることで、実際の面積以上の開放感も得られます。
また、屋根に「天窓(トップライト)」を設置するのもおすすめです。壁面の窓よりも効率的に光を取り込めるだけでなく、空が見えることで心地よい空間を演出できます。
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旗竿地を将来売却するためのコツ
「売却しにくい」というデメリットを解消し、将来もしもの時に備えるためのコツも知っておくと安心です。少しの工夫で、旗竿地の魅力を高めることができます。
隣地の所有者に購入を打診する
一般的な買い手にとっては特殊な土地でも、隣に住む方にとっては非常に価値のある土地になる可能性があります。あなたの土地と隣地を一体化させることで、より使いやすく価値の高い「整形地」になるからです。将来もし売却を考えた際には、まず隣地の方へお声がけしてみるのが有効な手段の一つです。
旗竿地の特性を生かした利用方法を提示する
旗竿地を売却する際に、建築プランを付けて売り出す方法は、旗竿地の形状や特徴を活かした具体的な住まいのイメージを買い手に伝えやすくするため、有効な場合があります。特に、旗竿地の活用方法が分かりにくいと感じる買い手に対しては、建築プランを提示することで購入意欲を高めることが期待できます。
ただし、建築プランを付けることで必ずしも売却しやすくなるとは限りません。購入希望者が独自のプランを持っている場合や、決定済みのプランが買い手のニーズに合わない場合には、逆効果となる場合もあります。そのため、建築プランを付けるかどうかは、購入を検討するターゲット層や地域のニーズに応じて判断する必要があります。
建築プランを検討する際には、不動産会社や建築士と相談しながら、土地の特徴を魅力的に伝える方法を模索すると良いでしょう。
旗竿地の実際の住み心地は?~サーラ不動産社員の体験談~
旗竿地のメリット・デメリットや購入時の注意点をまとめてきましたが、実際の住み心地はどうなのでしょうか?
そこでサーラ不動産の社員さんで25歳まで旗竿地に住んでいたという方の感想をまとめてみました!
住んでいたのはどんな家(土地)ですか?
私が住んでいた家は、間口の狭い部分を抜けた先がきれいな長方形だったこともあり、家は庭も含めてゆとりをもって建てられていました。四方は家に囲まれていましたが、各隣家との距離はある程度離れており、圧迫感はなかったです。
日当たりや風通しは問題なかったですか?
私の家と南側の隣家との間に距離があったため、日当たりは良かったです。また、先ほどもお伝えした通り家同士に距離があったため、風通しも問題なかったです。庭で洗濯物を干していましたが、よく乾いていました。
周囲の目や生活環境はどうでしたか?
生活道路に面していましたが、道路から離れていることもあり、自動車の音が気になることはなかったです。さすがに改造車が通ったときは少し気になりましたが(笑)。
四方が家に囲まれていたこともあり、道路からの視線を感じたことはなく、かなり自由に過ごせていました。周囲の視線を感じなかったこともあり、子供のころはよく庭で遊んでいました。
旗竿地に住んでいて困ったことはありますか?
私の家の場合、車の出入りが出来ないことです。昔からある土地ということで、接道部分の間口幅が狭く、今の自動車ではかなり厳しい幅でした。そのため、家の近所で駐車場を借り、敷地内での車の出入りはありませんでした。
将来的に旗竿地を買うことを検討されている方は、やはり間口の幅は広めの方が良いと思います。
ただ、駐車場を外部で借りたことで、庭が広かったというメリットもありました。旗竿地はやはり使い方次第では快適な生活ができると思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。旗竿地のメリットや注意点は様々ありますが、周囲の住環境や前面道路の交通量など、その土地の魅力は変わってきます。
実際の住み心地は瞬間的には分かりませんが、時間を変えて土地を見に行くことや不動産会社のアドバイスを受けながら、旗竿地を含めて土地の検討をしていくと良いでしょう。

■監修_サーラ不動産/担当者_資格:宅地建物取引士

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