賃貸物件で画鋲を使うのはNG?何か代替品はある?
賃貸物件での暮らしの中で、壁に写真やポストカードを飾るなど、おしゃれな空間を作りたいと思う方も多いのでは?そんなときに気になるのが、画鋲などを使用しても良いかどうか。
賃貸物件は借り物という考え方をすると、小さな穴を作るのもためらってしまうものです。このコラムでは、画鋲で生じた穴は原状回復義務があるのか、また何か代替品があるのかご紹介します。
目次
原状回復義務の考え方について
賃貸でもおしゃれな雰囲気にしたい!壁にイラストを飾りたい、家族の写真を飾りたいという方。しかし賃貸は持ち家ではないので「壁に釘を打たない、画鋲を使用しない」という人も多いと思います。具体的には、どんな事に気を付けたらよいのでしょうか?
賃貸アパートや賃貸マンションを借りる際は、交わす賃貸借契約の条件として「原状回復」が義務づけられています。
原状回復義務のルール
原状回復とは「借りた時と同じ状態に戻して退去すること」と考えがちですが、住まいは時間が経つにつれて壁紙が汚れてきたり紫外線で畳などが傷んだりするケースもあります。新築同様の状態で戻して退去するということは難しいのです。その為、原状回復には年月によって劣化した、普通に暮らしていて傷んだと考えるのものは含まれていません。借主の故意や過失などによって発生したものについては、元の状態に戻す必要がある=原状回復とされています。
国土交通省でも、原状回復をめぐる「トラブル」と「ガイドライン」について伝えています。
「原状回復をめぐるトラブルの未然防止のため、賃貸住宅標準契約書の考え方、裁判例及び取引の実務等を考慮のうえ、原状回復の費用負担のあり方について、妥当と考えられる一般的な基準をガイドラインとして平成10年3月に取りまとめたものであり、平成16年2月及び平成23年8月には、裁判事例及びQ&Aの追加などの改訂を行っています。」
参照:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000020.html
ぜひこちらの記事も参考にしながら原状回復についての正しい知識を持ち、安心して暮らすことが必要です。
画鋲を使用した場合、原状回復義務はある?
では、実際にどういった場合に原状回復義務があるのか見ていきましょう。
壁に刺した画鋲の跡
日焼けなどによる壁紙の変色とは異なり、画鋲は借主自身が意図して使用したものになるため、原状回復義務があるのか気になるところです。
前述したガイドラインを指針に故意・過失の判断をすることが一般的ですが、画鋲等で生じた穴は、通常の暮らし方によって生じたものと考えられるため、原状回復義務からは外れる場合が多いです。念のため、賃貸借契約に明記されている原状回復の内容を確認するのも◎。
物件によっては、「これらの使用を認めない」と記載されている可能性もありますので、注意することが必要です。あまりに多くの画鋲を使用した場合は、下地ボードの修繕費用が求められる可能性があるので、節度を持った使用が望ましいです。
和室のふすまや部屋のドアに画鋲を使用した場合
賃貸借契約書で原状回復に触れる特約は物件により異なります。
和室のふすまや部屋のドアに画鋲を刺して穴を開けた場合は、ふすまにしてもドアにしても、張り替え費用が発生するので、特に気にすることはありません。
しかし、ふすまは躯体と同じ扱いなので、まるごと交換になり費用が上がることも。
部屋のドアに画鋲を刺し、傷つけると、ドアごと交換という場合も。扉やふすまはそのままの状態で使用するほうが良いでしょう。
画鋲の代わりになるものは?
■ひっつき虫
ポストカードなどを直接壁につけられるアイテム。両面テープが最初から付属しているのでほとんどの壁に貼り付けることができます。
■突っ張り棒
最近では、強度の高い突っ張り棒もたくさん登場しています。突っ張り棒にS字フックなどをかけて写真フレームなどを飾ることや、服も収納することができるので、手軽におしゃれな雰囲気を演出することができます。
そのほかにも、壁につける可愛いマグネットや、ニンジャピン、マスキングテープなどさまざまなアイテムも。
画鋲の代わりになる商品を使いながら、部屋を彩るのがおすすめです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?賃貸マンションやアパートの壁も、壁にカレンダーなどを貼ることや画鋲を使用することなど、生活する範囲内で行うことは問題ありません。
しかしあまりにも画鋲を多く使用したり、穴を開けたりなど、限度を超えてしまう場合はNG。できるだけ、穴を開けないようなアイテムを活用することで現状維持することもできますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
■監修_中部ガス不動産/担当者_資格:宅地建物取引士
WRITER PROFILE
岩下加奈
愛知県豊橋市在住。地元出版社に勤め、東三河エリアを中心とした住宅情報誌の編集長などを勤める。名古屋や東京などの雑誌・WEBのライティングや編集を行い、年間1000件以上の取材をこなす。豊橋市市役所広報アドバイザー、東三河の魅力を発信する講師活動、審査員なども務める。ワンライフコミュニケーション株式会社ゼネラルマネージャーとして、企業様・個人向けの外部広報を担当。