土地活用で駐車場経営を始めるには?費用や収入、失敗しないためのポイントを解説!

土地さえあれば始められる駐車場経営は、初心者におすすめの土地活用です。
しかし、駐車場経営は利便性や需要などが売上に大きく影響するため、適した土地であるのかを事前に調査しておく必要があります。
そこで今回のコラムでは、駐車場経営に適した土地の特徴やメリット・デメリットを説明します。
土地活用を検討中の方はぜひ、参考にしてください。

目次
駐車場経営とは?
駐車場経営とは、所有している土地を駐車場として貸し出し、利用料を収益として得るビジネスです。土地を有効活用しながら、安定した収益を得る方法の一つとして人気があります。
ただし、立地や管理方法によって収益に差が出ます。成功するためには、需要のあるエリアを見極め、適切な運営方法を選ぶことが重要です。
土地活用におすすめの駐車場の種類
駐車場には「月極駐車場」「コインパーキング」の2種類あり、料金形態や契約方法が異なります。
まずはそれぞれの特徴を見てみましょう。
月極駐車場
駐車スペースごとに契約者を定め、月額料金を受け取るのが「月極(つきぎめ)駐車場」です。たとえば10台分駐車できる駐車場で月額料金を1万円にすれば、最大で月10万円の売上が入ってきます。
満車の状態が続けば、安定した収入を得られるのが月極駐車場のメリットです。
コインパーキング
月極駐車場が月単位で契約するのに対して、「コインパーキング」は特定の契約者を定めず時間制で貸し出します。
“分”または“1時間”単位で利用料金を決めるので、利用者数と時間が多ければ多いほど収入が上がっていくのがメリットです。
しかし、コインパーキングには精算機やロック板のような機器が必要になるため、初期投資額は月極駐車場よりも高くなります。
経営を始めるには、次の3つの方法があります。
- 自己管理方式:開業準備から管理まですべて自分で行う
- 管理委託方式:開業準備は自分で行い、管理を委託業者に任せる
- 一括借り上げ方式:開業準備から管理まですべて委託業者に任せる
手間がかかっても収益性を重視したい方は「自己管理方式」、手間をかけずに経営したい方は「管理委託方式」または「一括借り上げ方式」を選択すると良いでしょう。
駐車場経営の費用と収入のリアル
駐車場経営を始めるにあたって、最も気になるのは「いったいいくらかかり、どれくらい儲かるのか」という点ではないでしょうか。ここでは、具体的な費用と収入の目安について解説します。
初期費用と運営コストはどれくらい?
駐車場経営にかかる費用は、経営を始める際の「初期費用」と、運営していく中での「運営コスト(ランニングコスト)」の2つに分けられます。
▼初期費用
土地の状態や駐車場の種類によって大きく変動しますが、主な内訳は以下の通りです。
費用項目 | 内容 | 費用の目安(10台規模) |
整地・舗装費 | 土地を平らにし、砂利やアスファルトで舗装します。 | 砂利:20万円~ アスファルト:150万円~ |
設備費 | 区画ライン、車止め、精算機、看板、照明などを設置します。 | 月極駐車場:20万円~ コインパーキング:200万円~ |
月極駐車場であれば、舗装を砂利敷きにするなど工夫次第で初期費用を抑えることが可能です。一方、コインパーキングは精算機などの設備が必要になるため、初期費用は高くなる傾向にあります。
▼運営コスト
経営を続ける限り、以下のような費用が継続的に発生します。
- 管理委託料:管理会社に運営を委託する場合の費用(賃料収入の5%~10%が相場)
- 固定資産税・都市計画税:土地を所有している限り毎年かかります。
- メンテナンス費用:設備の修繕費、照明の電気代、清掃費など。
- 保険料:場内での事故などに備えるための保険です。
これらのコストも念頭に置いたうえで、収支計画を立てることが重要です。
実際、どれくらい儲かる?収入シミュレーション
では、実際にどの程度の収入が見込めるのでしょうか。経営方式別に見てみましょう。
(※あくまで一例であり、立地や稼働率によって変動します。)
項目 | 月極駐車場 | コインパーキング |
設定 | 賃料:15,000円/月・台 稼働率:90%(10台中9台契約) | 料金:200円/30分 稼働率:30% |
月間売上 | 15,000円 × 9台 = 135,000円 | 400円/時 × 24時間 × 30日 × 10台 × 30% = 864,000円 |
年間売上 | 13.5万円 × 12ヶ月 = 162万円 | 86.4万円 × 12ヶ月 = 約1,036万円 |
シミュレーション上はコインパーキングの売上が高くなりますが、ここから設備投資の回収や管理委託料などの運営コストが引かれます。ご自身の土地の特性やリスク許容度に合わせて、どちらの方式が良いか検討することが大切です。
土地活用で駐車場経営をするメリット
続いて、土地活用で駐車場を経営するメリットを見てみましょう。
初期投資額を抑えられる
駐車場経営は土地さえあればすぐに始められるため、アパート経営やテナント経営などと比べて初期投資額を抑えられます。
できればアスファルトやコンクリート舗装したほうがいいですが、本当に経営が成り立つのか心配なときには、ひとまず砂地や砂利地で経営を始めることも可能です。
契約者や利用者が見つかれば、舗装にかかった費用もすぐに回収できるでしょう。
小さな土地でも始められる
駐車場経営は車2台分を停められるスペースさえあればいいので、建物を建てられないような土地でも活用でき、収益化できる点がメリットです。
月極駐車場ならば33㎡(10坪)、精算機の設置が必要なコインパーキングでも36㎡(11坪)前後の広さがあれば活用を始められます。
流動性・転用性が高い
更地の状態で行う駐車場経営は、流動性や転用性が高い点がメリットです。
駐車場経営で想像よりも売上が出なかったときには、他の活用方法にチャレンジしたり、家を建てて自分で住んだり、売却したりと、すぐに他の方法に変えられます。
初期投資額も抑えられているため、流動や転用による損失が少ない点もメリットのひとつです。
土地活用で駐車場経営をするデメリット
初心者に人気の高い駐車場経営ですが、デメリットを知らなければ後悔することもあります。
ここでしっかりと頭に入れておきましょう。
固定資産税の軽減措置が受けられない
住宅が建っている土地は「住宅用地の特例」が適用され、面積200㎡以下の部分に対しては固定資産税が1/6、200㎡を超える部分は1/3に軽減されています。
しかしこの制度は家屋があることが条件なので、更地には適用されません。
つまり空き家を解体して駐車場経営を始める場合は、固定資産税が今よりも最大で6倍ほど高くなる(正しくは、本則税率に戻る)ということです。
最低でも固定資産税分の収益が得られるのかをシミュレーションしてから、経営をすべきか検討しましょう。
参照:国土交通省 固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置
収益性が高くない
駐車場経営は他の活用方法と比べて初期投資額が少ない点がメリットですが、収益性も高くはありません。
駐車場の規模や種類によっては、月数万円程度しか収入が得られないことも。
目的が土地の維持であれば問題ありませんが、利益を出すことが目的ならば他の活用方法を検討したほうがいいかもしれません。
駐車場経営はローリスクローリターンの活用方法である点に納得したうえで、活用を始めましょう。
土地の立地に収益が大きく左右される
駐車場経営の収益は、その土地の「立地」に大きく影響を受ける点を理解しておく必要があります。駅や商業施設の近くなど、そもそも駐車場のニーズが高いエリアでなければ、思うような収益を上げることは難しいでしょう。
また、周辺に競合となる駐車場が多数存在する場合、価格競争に巻き込まれて収益性が低下する可能性もあります。事前に周辺環境をリサーチし、専門家の意見も聞きながら、その土地で本当に駐車場経営が成り立つのかを慎重に見極めることが重要です。
駐車場経営の基本的な始め方
駐車場経営を始めるには、まず土地の特性や周辺の需要を調査し、どのような形態の駐車場を運営するかを決めることが重要です。ここでは、駐車場経営を始めるための基本的なステップを分かりやすくまとめます。
土地活用相談をする
駐車場経営を始める前に、土地活用の専門家や不動産会社に相談してみましょう。駐車場経営以外にも、賃貸住宅や店舗経営など、土地の条件に合った活用方法をアドバイスしてもらえる可能性があります。
契約を行う
具体的な活用方法などが決まったら、企業と契約を結び、経営開始に向けて動き始めます。
どの程度の費用が発生し、オーナーがどの部分を負担するか、この契約のタイミングで決まります。
「個人経営」や「管理委託方式」の場合は、施工の内容を自分で決めていきますが、「一括借上方式」の場合、契約後は企業にすべてお任せとなります。
施工を行う
駐車場を運営するには、駐車スペースを整備する必要があります。アスファルト舗装をするか砂利敷きにするかを決め、車止めや区画線、照明などを設置します。
コインパーキングの場合は、精算機やゲートなどの設備も必要になります。費用と収益のバランスを考えながら、必要な設備を整えましょう。
利用開始
駐車場が完成したら、利用者を募集します。月極駐車場の場合は、不動産会社に依頼したり、現地に「空きあり」の看板を設置したりして契約者を募ります。
コインパーキングの場合は、駐車場検索サイトへの登録や近隣の店舗との提携などを活用し、集客を行います。運営開始後は、定期的に駐車場の状態を確認し、トラブルがないよう管理を続けましょう。
駐車場経営で失敗しないためのポイント
駐車場経営は手軽な土地活用の方法ですが、計画を誤ると収益が出にくくなることもあります。失敗を避けるために、以下のポイントを押さえましょう。
駐車場形態と立地が重要
駐車場経営で安定した収入を得るためには、駐車場のニーズ調査が重要です。月極駐車場とコインパーキングに適しているのは、具体的にどのような土地なのでしょうか。
月極駐車場に適した相性が良い土地
月極駐車場に適しているのは、住宅地やマンション、大学、オフィス街の近くにあり、継続的な利用者を見込める土地です。
ニーズ調査をする際には、まずは土地付近の月極駐車場の有無や駐車状態を確認します。満車状態の月極駐車場が多ければ、需要があるとみて良いでしょう。
また、月極駐車場は基本的に毎日車の出し入れをするので、前面道路や土地の広さなど、車の出し入れのしやすさも重要です。
前面道路があまりにも狭い土地や、地形の問題で車が出し入れしづらい土地は、他の活用方法を考えたほうがいいかもしれません。
コインパーキングに適した相性が良い土地
コインパーキングと相性がいいのは、駅や商業施設、繁華街、オフィス街、病院の近くの駐車場が少ない土地です。
月極駐車場とは違って一時的な利用なので、多少は道幅が狭くても駐車スペースさえ確保できれば利用者は出てくるでしょう。
ただしコインパーキングの利用者は、周辺のコインパーキングとの料金を比較してより安い場所を利用しようとする人が多いので、料金設定も重要です。
「需要があるから」と高い料金を設定するのではなく、ある程度は周辺相場に合わせることをおすすめします。
収益予想は保守的に
駐車場経営を始める際は、収益予想を保守的(慎重)に見積もることが重要です。楽観的な予測を立てると、想定外の空きが出た場合に経営が苦しくなる可能性があります。
成功の鍵は信頼できるパートナー選び
駐車場経営を成功に導くためには、信頼できる管理会社をパートナーに選ぶことが何よりも重要です。専門的な知識を持つパートナーは、その土地の可能性を最大限に引き出すための最適なプランを提案してくれます。
パートナーを選ぶ際は、料金の安さだけで判断するのではなく、以下の点を確認しましょう。
- 実績:そのエリアでの管理実績は豊富か
- 収益予測:収益予測の根拠は明確か、リスクの説明も丁寧か
- サポート体制:トラブル時の対応や集客の工夫は手厚いか
- 担当者の対応:親身になって相談に乗ってくれるか
複数の会社から話を聞き、提案内容や担当者の対応を比較検討して、長期的に安心して任せられるパートナーを見つけましょう。
駐車場経営に関するよくある質問
駐車場経営に関するよくある質問をまとめました。
駐車場経営で失敗する理由とは?
駐車場の周辺に需要がない場合、空きが多くなり収益が上がらなかったり、相場より高すぎる料金を設定すると、利用者が集まらず、逆に安すぎると利益が出ません。
また、駐車場の清掃やメンテナンスを怠ると、評判が悪くなり、利用者が減少します。定期的なメンテナンスと防犯対策を施し、清潔で安全な環境を保つことが必要です。
個人で駐車場経営を行う場合の業務とは?
個人で駐車場経営を行う場合は、駐車場内の日常清掃はもちろん、利用者からの入金確認や設備修繕などを自分で管理・運営する必要があります。
事故などのトラブルが起きた際の対応も自身で行わなければならないため、個人運営が難しそうであれば管理会社への委託も検討するとよいでしょう。
駐車場経営の利益に確定申告は必要?
はい、駐車場経営で得た所得(利益)は、原則として確定申告が必要です。この所得は、一般的に「不動産所得」に分類されます。ただし、設備の規模などによっては「事業所得」や「雑所得」と見なされる場合もあります。
会社員の方の場合でも、給与以外の所得が年間20万円を超えた場合は確定申告を行わなければなりません。税金の計算は複雑な部分もありますので、不明な点があれば税務署や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
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まとめ
土地さえあれば始められる駐車場経営は、不動産投資初心者におすすめの土地活用です。
初期投資額をあまりかけずに活用を始められるので、他の活用方法にチャレンジしたくなったときの損失も少なく、流動性や転用性にも優れています。
しかし駐車場ニーズがある場所は限られているため、活用を成功させるためにはニーズ調査や売上予測などが重要です。
サーラ不動産では資産マネジメント事業も行っており、駐車場経営はもちろん、賃貸経営や売却など、お客さまが所有する土地にぴったりな活用方法をアドバイスいたします。
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■監修_サーラ不動産/担当者_資格:宅地建物取引士

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つむぎ編集部
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