秋のオンシーズンを制する「守り」と「攻め」の空室対策

秋のオンシーズンを制する「守り」と「攻め」の空室対策

全国でも転勤・転居に伴う引っ越しが増える9~10月。賃貸マンションやアパートの空室対策に役立つ例を紹介します。

アパート空室対策(共有部・専有部)

アパート

賃貸を経営するには空室対策が必要です。空室が続いてしまうと収入が減り経営が悪化してしまいます。空室対策にはさまざまなアイディアがありますが、安易にアイディアを実行するのも危険です。

最初に言えることは、空室対策を実施する前には、なぜ空室になっているのかの原因を追求することが必須。共用部・専用部それぞれに空室になってしまう原因を以下のチェック項目にまとめました。それらを元に空室対策を考えましょう。

共有部

共用部とは、非常階段やエレベーター、廊下、エントランスなどを言います。人は、物件が視界に入った瞬間から「住みたい」・「住みたくない」の判断が始まってしまうのです!「第一印象の良し悪しで入居が決まる」と主張する仲介担当者も。なぜ空室が多い?と思うオーナーさんは、共用部を確認するといいでしょう。

夏場の場合、駐車場やアプローチの雑草や駐輪場やゴミ置き場の乱れなど特に注意が必要です。また、古いカラス除けネット交換も大切です。

白線の引き直しやアスファルト修繕・自転車の整理

郵便受けや掲示板の整理・共用灯交換を定期的に行っていますか?

天井のすす祓い・蜘蛛の巣除去はしていますか?

さび落とし、塗装・補修など。まだ各戸やエレベーターのドア確認も行いましょう。

専有部

次は専有部。専有部とは、マンションの中でも自分たちだけが使える居住スペース(部屋内)のことを言います。

室内のこまめな清掃が大切。特に夏場は、排水口の封水が蒸発しやすい為、下水道や害虫が室内へと侵入しないよう防臭対策・防虫対策を徹底しましょう。

最近は、照明やレースカーテンが予め設置されている物件も増えました。入居者の節約になるだけでなく、悪天候や夕方・夜間でも暗い部屋を見せずに済む、眺望に自信がなければそれを隠せる等、賃貸経営者にもメリットにもなります。

そのほか、空室の背景には、お客様に合わせた営業対応がされているか?(入居者希望にもさまざまなニーズがあります)、間取りがニーズと合っているのか?(コロナ禍がきっかけで在宅ワークも増え家にいる時間が長くなったため、ネット環境など条件が変化しつつあります)いなどさまざまな原因があります。

やってはいけない空室対策と注意点

さまざまな空き家対策がある一方、効果がない、もしくは逆効果になることもあります。

避けておいた方が良いいくつかの空き家対策を紹介します。

不用意に家賃を下げること

空室を埋めなくては・・・と考え安易に家賃を引き下げるのはNG。もちろん入居者は簡単に見つかるかもしれませんが、将来的には収益を損なう可能性があります。もし家賃を値下げするのであれば、一時的なもので対応するのがベスト。建物本体の価値を下げないためにも、極力家賃を下げないことをおすすめします。

あまりにも度を超えるキャンペーン

空室を埋めたいがあまり、異常なキャンペーンをするのはオーナー様の負担になります。もしキャンペーンを行いたいようであれば、不動産仲介会社と相談しながら、適切なキャンペーンを行うといいでしょう。

広告費を増やしすぎること

広告を増やしすぎる必要はありません。基本的には賃料の1ヶ月分から。もし空室が続くようであれば2ヶ月分にあげて様子を見ましょう。

長期間のフリーレントなど

フリーレントとは、入居してから一定期間家賃を無料にするキャンペーンのことです。もちろん効果のあるキャンペーンではありますが、長い期間賃料を無料にしてしまうと収益が生まれません。仮にフリーレントを導入するのでは、1〜2ヶ月くらいからスタートしましょう。

空室対策優先順位

周辺環境

次に紹介するのが、空室対策においての優先順位です。

建築前に行う事

まずは建築前に考えるべきことは「入居者ターゲットに合わせたコンセプト」です。周辺環境や地域などを考慮しながら、どんな人が住むのか、どんな人に住んでもらいたいのかを考えコンセプトにしていきます。

次に住みやすい仕掛けをつくります。例えば設備の充実や、最近需要が高いペット共生型賃貸にするなど工夫してみるのも。それらを組み合わせることで、その時代のニーズに合わせた物件がつくられます。

建築後に行う事

建築後は物件のポータルサイトを工夫しましょう。最近では、インターネットを通じて物件情報を探す人が主流の為、ポータルサイトを充実させるのは必須です。そして、物件の外観をメンテナンスしたり、空室をきれいに保つことが必要です。

その後は、内覧時の際の営業力を上げたり、部屋が暗い印象であれば明るくしたりしましょう。それでも空室が続くようならキャンペーンを行ったりすると良いでしょう。

退去予防とニーズの調査

入居が決まって空室が減っても入居者が満足しているかどうかが大切になります。満足している住環境でなければ退去してしまうことも。入居需要とマーケット調査など、事前に入居者の動向にあった賃貸物件となるような対策をとりましょう。

退去予防

物件や建物メンテナンスを行いながら、共用部の掃除が整理整頓を徹底し、入居者が快適に住み続けられるような工夫を行うことが大切です。問い合わせやトラブルなどの対応も、管理会社とともに徹底することが必要です。

ニーズ調査

アパートを建てる前には、入居の需要があるのかなどの周辺のマーケット調査を行うことが大切です。周辺にはどのような施設があるのか、スーパーや薬局、コンビニなどがあるのか?どんな方が入居者になる可能性があるのか(周辺に学校などが多いようであれば家族を持つ世帯が入居する割合も高くなります)など、ニーズ調査が必要になります。

もしコンセプトに特化した賃貸住宅にする場合は、このニーズ調査やマーケット調査がとても大切になります。

まとめ

空室になる原因や空き家対策を紹介しましたが、物件に合わせた効果的な対策が必要となります。簡単な空室対策だと経営悪化する可能性もあるので、しっかりと見極めながら空室対策を行いましょう。

近年、さまざまなコンセプトを持った賃貸住宅も目にします。時代のニーズに合わせた賃貸で、入居者様に満足いく空間づくりが必要となります。ぜひ参考にしてみてください。

■監修_中部ガス不動産/担当者_資格:宅地建物取引士

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WRITER PROFILE

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岩下加奈

愛知県豊橋市在住。地元出版社に勤め、東三河エリアを中心とした住宅情報誌の編集長などを勤める。名古屋や東京などの雑誌・WEBのライティングや編集を行い、年間1000件以上の取材をこなす。豊橋市市役所広報アドバイザー、東三河の魅力を発信する講師活動、審査員なども務める。ワンライフコミュニケーション株式会社ゼネラルマネージャーとして、企業様・個人向けの外部広報を担当。

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