【徹底解説】2024年最新「住宅ローン減税」について|変更点やケース別の条件をわかりやすく解説
住宅ローン減税は、住宅ローンを利用して住宅を購入した人の税負担を軽減するための制度です。定期的に税制改正が行われているため、これから住宅ローンの借り入れを検討している人は、最新の税制を確認しておく必要があります。とくに2024年の1月から条件や減税額が変更になっています。しっかり条件を把握していないと、住宅ローン減税が受けられなくなる可能性もゼロではありません。
そこで今回は2024年の最新情報を盛り込んだ住宅ローン減税について徹底解説します。
目次
2024年1月からの住宅ローン減税の変更点
住宅ローン減税とは住宅ローンを利用して住宅を購入した際、毎年の住宅ローン残高に対して一定の割合で所得税から減税される制度です。住宅ローン減税制度は1972年ごろから始まりました。税制改正に合わせて何度か条件が変更になりましたが、現在に至るまで続いてきた減税制度です。
実は2024年の1月から住宅ローン減税の条件が変わっています。2023年の条件との比較を表にまとめましたので、みてみましょう。
新築/既存等 | 住宅性能 | 借入限度額 | 控除期間 | ||
2023年入居 | 2024年入居2025年入居 | 2024年入居(子育て世帯・若者夫婦世帯の場合) | |||
新築・買取再販住宅 | 長期優良住宅低炭素住宅 | 5,000万円 | 4,500万円 | 5,000万円 | 13年 |
ZEH水準省エネ住宅 | 4,500万円 | 3,500万円 | 4,500万円 | ||
省エネ基準適合住宅 | 4,000万円 | 3,000万円 | 4,000万円 | ||
その他の住宅 | 3,000万円 | 0円 | 0円 | ||
既存住宅 | 長期優良住宅低炭素住宅 | 3,000万円 | 10年 | ||
ZEH水準省エネ住宅 | |||||
省エネ基準適合住宅 | |||||
その他の住宅 | 2,000万円 |
表をもとに主な変更点をまとめると以下の通りです。
・新築住宅においては省エネ住宅でなければ、住宅ローン減税が受けられなくなった ・昨年と比べると上限額が全体的に引き下げられた ・子育て世帯や若者夫婦世帯に関しては、昨年と同じ借入限度額で減税が受けられる |
主な傾向としては住宅ローン減税の条件が厳しくなりました。省エネ住宅でなければ減税が受けられなくなった点も大きなポイントです。
なお既存住宅の場合は新築住宅のような借入限度額の変更はありませんでした。
住宅ローン減税の対象となる住宅ローン
住宅ローン減税は、マイホーム取得を支援する重要な制度です。この制度を利用するには、特定の条件を満たす住宅ローンを組む必要があります。対象となる住宅ローンには、下記の要件を満たす必要があります。
・自己居住用の建物(別荘やセカンドハウスは対象外)の新築・購入・増改築に直接かかった費用であること ・原則として金融機関からの借り入れであること ・返済期間が10年以上であること ・控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下であることなど |
これらの条件をすべて満たす住宅ローンが、減税の対象となります。マイホームを考えている方は、これらの要件を念頭に置いて計画を立てると良いでしょう。
ただし、制度の詳細や条件は変更される可能性があります。常に最新の公式情報を確認しましょう。
【ケース別】住宅ローン減税の条件
住宅ローン減税の条件は、住宅の種類によって異なります。ここでは下記ケース別に2024年時点の住宅ローン減税の条件について解説します。
・新築住宅 ・買取再販住宅 ・中古住宅 ・増改築 |
各ケースで適用される条件を理解することで、自身の状況に合わせた住宅取得の計画を立てやすくなります。ぜひチェックしてください。
新築住宅の場合
新築住宅の場合、先ほど解説した住宅ローン減税の条件に加えて、省エネ住宅であることが必須条件です。提出書類に「建設住宅性能評価書」や「住宅省エネルギー性能評価書」などの省エネルギー性能がわかる書類が必要になります。建築会社に上記の書類が発行されるかどうかをあらかじめ確認しておきましょう。
また2024年12月31日までに建築確認を受け、合計所得金額が1,000万円以下の場合、床面積40㎡以上で住宅ローン控除の適用が可能です。
買取再販住宅の場合
買取再販住宅の場合は、通常の条件に加えて下記の追加条件が必要です。
・取得する住宅が新築から10年を経過していること ・リフォームにかかった費用が販売価格の20%(上限300万円)に相当する金額であること ・大規模修繕、耐震改修工事、一定のバリアフリー改修や省エネ改修など、対象となる工事が行われており、その工事費用が一定以上であること ・不動産会社が住宅を取得した日から2年以内に購入していること ・建築後使用されたことのある家屋で、次のいずれかに該当すること 1、1982年(昭和57年)1月1日以降に建築されたもの 2、耐震改修工事の実施または居住までに耐震基準を満たすことが証明されたもの |
上記の通り買取再販住宅は工事の内容や規模によって、住宅ローン減税を受けられるかどうかが決まります。買取再販住宅を購入して住宅ローン減税を受ける際は、販売会社へ条件を満たしているか確認をとりましょう。
中古住宅の場合
中古住宅の場合、建物の築年数が重要な条件となります。原則として、1982年1月1日以降に建築された住宅が対象です。しかし、それ以前に建築された住宅でも、特定の条件を満たせば対象となる可能性があります。
具体的には、取得の日前2年以内に耐震基準に適合していると証明された住宅、または取得の日までに耐震改修を申請し、居住開始日までに耐震基準に適合することが証明された住宅が対象となります。
増改築の場合
増改築の場合、下記のような固有の条件があります。
1、増改築後の床面積が50㎡以上であること、かつ床面積の2分の1以上を専ら自己の居住の用に供していること 2、改築等の額が100万円を超えており、その2分の1以上の額が自己の居住用部分の工事費用であること |
また工事内容についても下記のような指定があるので注意しましょう。
・増改築、建築基準法に規定する大規模な修繕または大規模な模様替え(壁・柱・床・はり・屋根または階段のいずれか1つ以上)の工事 ・マンションの専有部分の床、階段または壁の過半について行う一定の修繕・模様替えの工事 ・家屋やマンションの専有部分のうち居室、調理室、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関または廊下の一室の床、または壁の全部について行う修繕・模様替えの工事 ・耐震改修工事 ・一定のバリアフリー改修工事または省エネ改修工事 |
増改築を検討する際は、これらの条件を満たすような計画を立てることが重要です。
住宅ローン減税を受けるための手続き
住宅ローン減税の条件や変更点について理解したところで、実際の手続き方法に目を向けましょう。住宅ローン減税の手続きは、初年度と2年目以降で内容が異なります。手続きを忘れたり放置したりすると、最悪の場合、減税を受けられない可能性もあるため注意が必要です。ここでは、確実に減税を受けるための手続き方法を詳しく解説します。
初年度は確定申告を行う
住宅ローン減税を受けるためには、入居した年の翌年に確定申告を行わなければなりません。確定申告の期間は例年2月16日から3月15日までです。初年度の手続きを忘れていても、5年以内であれば遡って申告が可能です。初年度に申請を忘れた場合でも慌てず、確実に申請を行いましょう。
確定申告には以下の資料が必要となります。
・住民票の写し ・登記事項証明書(原本) ・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書 ・住宅借入金等特別控除額の計算明細書 ・給与所得の源泉徴収票 ・印鑑 |
これらの書類を準備し、期間内に確定申告を行うことで、初年度の住宅ローン減税を受けられます。
2年目以降は給与所得者かどうかによって変わる
2年目以降の手続きは、給与所得者かどうかで大きく異なります。給与所得者の場合は、年末調整で手続きが可能です。年末調整時には、金融機関から送られてくる年末残高等証明書と、住宅の引き渡し時に渡される給与所得者の借入金等特別控除申告書が必要となります。これらの書類を勤務先に提出することで、年末調整を通じて減税を受けられます。
一方、個人事業主など給与所得者でない場合は、2年目以降も確定申告が必要です。ただし、初年度と比べて必要書類は減少します。具体的には、以下の通りです。
・住宅借入金等特別控除額の計算明細書 ・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書 |
これらの書類を用意し、確定申告を行うことで、継続して減税を受けられます。
まとめ
住宅ローン減税は、マイホーム取得を支援する重要な制度です。この恩恵を受けるためには、適切な条件を満たし、正しい手続きを行うことが不可欠です。新築住宅、買取再販住宅、中古住宅、増改築など、住宅の種類によって適用される条件が異なるため、自身の状況に合わせて慎重に確認する必要があります。
また、初年度の確定申告や、2年目以降の年末調整または確定申告など、年度ごとに適切な手続きを行うことが重要です。マイホーム取得を考えている方は、この制度を有効活用し、より良い住環境の実現に向けて計画を立てていくとよいでしょう。
中部ガス不動産はマイホームをはじめとした不動産購入のご相談を受けております。住宅ローン減税はもちろん不動産購入に関する手続きをしっかりとサポートします。不動産に関するお困りごとがあればお気軽にご相談ください。
■監修_中部ガス不動産/担当者_資格:宅地建物取引士
WRITER PROFILE
望月尚文
不動産関係に特化したWebライター。
不動産業歴10年以上。一級建築施工管理技士、二級建築士、宅地建物取引士の資格を保有。
業界での経験と不動産に関わる専門資格を活かし、不動産取引や家づくりのノウハウを一般の方にわかりやすく解説します。