マンションを貸す流れと費用を徹底解説!メリットや節税方法まで解説

マンションを貸す流れと費用を徹底解説!メリットや節税方法まで解説

分譲マンションを購入したものの、急な転勤などで住まなくなった場合、売却する以外に第三者へ貸すという方法があります。しかし、賃貸経営の経験がないとハードルが高いように感じるかもしれません。

そこで今回は、実際に分譲マンションを貸す場合の手順や費用、メリット・デメリットについて詳しく解説します。貸すことで得られる収入の節税方法も紹介するので、貸し出す際のヒントにしてください。

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目次

分譲マンションを貸すのはアリ?売却との違い

所有しているマンションを活用する方法として、「賃貸」と「売却」の2つが主な選択肢です。どちらが良いかは、ご自身の状況や将来のライフプランによって異なります。

まずはそれぞれの特徴を理解しましょう。

資産として持ち続けられる「賃貸」

分譲マンションを賃貸に出す最大のメリットは、所有権を手放すことなく、資産として持ち続けられる点です。入居者がいる限り、毎月安定した家賃収入を得ることができます。将来的にご自身やご家族がそのマンションに住む可能性がある場合や、資産として持ち続けたい場合には、「賃貸」が適した選択肢となります。

まとまった資金を得られる「売却」

一方、マンションを売却すると、一度にまとまった現金を手に入れることができます。住宅ローンの残債を一括で返済したり、新しい住まいの購入資金に充てたりすることが可能です。

また、売却後はマンションの管理や税金の支払いといった義務からも解放されます。将来的にそのマンションに住む予定がない場合には、「売却」も有力な選択肢です。

どちらを選ぶべきかの判断ポイント

「賃貸」と「売却」のどちらを選ぶべきか、判断するためのポイントを以下の表にまとめました。

判断ポイント「賃貸」がおすすめな人「売却」がおすすめな人
将来の居住予定将来的に戻ってくる可能性がある戻ってくる予定が全くない
住宅ローンの状況完済済み、または家賃収入で十分に賄えるローンの残債が多く、返済が負担
資産の考え方資産として不動産を持ち続けたいまとまった現金が必要他に魅力的な運用法がある相続などで分割の必要がある
管理の手間不動産会社に任せて手間をかけたくない管理や税金の負担から解放されたい

ご自身の状況をこれらのポイントに照らし合わせ、最適な選択を検討してみてください。

分譲マンションを貸し出すまでの流れ

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初めてマンションを貸す場合、何から始めればよいのか戸惑うことも多いでしょう。ここでは、不動産会社を探してから入居者との契約を結ぶまでの流れを5つのステップに分けて分かりやすく解説します。

手順1: 信頼できる不動産会社を探す

マンション賃貸を成功させるためには、パートナーとなる不動産会社選びが最も重要です。不動産会社は、入居者募集(仲介業務)から、家賃集金やトラブル対応(管理業務)まで、幅広い業務を代行してくれます。

複数の会社に査定を依頼し、サービス内容や手数料、担当者の対応などを比較検討して、信頼できる一社を選びましょう。「賃貸管理に強いか」「自分のマンションがあるエリアでの実績は豊富か」といった点も重要な選定ポイントです。

手順2: 賃貸借契約の種類と貸し出し方法を決める

不動産会社と相談しながら、賃貸借契約の種類を決めます。主な契約形態には「普通借家契約」と「定期借家契約」があります。

契約の種類特徴
普通借家契約契約期間は通常2年。入居者が希望すれば原則として更新される。貸主から解約するには「正当事由」が必要。一般的な契約形態で入居者を見つけやすい。
定期借家契約あらかじめ定めた契約期間の満了で終了。更新はなく再契約は可能。「転勤の間だけ」など、将来的に自分で住む予定がある場合に適している。

また、不動産会社に物件を貸し出し、その会社が入居者に転貸する「サブリース(一括借り上げ)」という方法もあります。空室でも一定の賃料が保証されるメリットがありますが、手数料が比較的高くなる傾向があります。

手順3: 周辺相場を参考に適切な家賃を設定する

次に、家賃を設定します。家賃は高すぎると入居者が見つからず、安すぎると収益性が低下してしまいます。所有するマンションの築年数、間取り、設備、立地条件などを考慮し、近隣の類似物件の家賃相場を調べて適切な価格を設定することが重要です。不動産会社の査定価格やアドバイスを参考に、競争力のある家賃を決めましょう。

手順4: 入居者の募集を開始する

家賃や入居条件(ペット飼育の可否、禁煙など)が決まったら、いよいよ入居者の募集を開始します。不動産会社がポータルサイトへの物件情報掲載や、広告活動を行ってくれます。 魅力的な写真や分かりやすい物件紹介コメントを用意することで、内見希望者の増加に繋がります。募集期間中は、部屋をきれいな状態に保っておくことも大切です。

手順5: 入居審査を経て賃貸借契約を結ぶ

内見を経て入居希望者から申し込みがあったら、入居審査を行います。主に、申込者の職業や年収から家賃の支払い能力があるか、連帯保証人はいるかなどを確認します。審査は不動産会社や保証会社が行うのが一般的です。 審査を通過したら、重要事項説明を行った上で、入居者と賃貸借契約を締結します。契約手続きが完了すれば、鍵を渡し、貸主としての役割がスタートします。

分譲マンションを貸すために必要となる費用

マンションを貸す際には、様々な場面で費用が発生します。事前にどのような費用が必要になるかを把握し、資金計画を立てておくことが大切です。

貸し出す前にかかる初期費用

入居者を迎えるために、まず物件の状態を整える費用が必要です。代表的なものには、室内全体を綺麗にする「ハウスクリーニング費用」や、壁紙の張り替え、古くなった設備の交換などを行う「リフォーム費用」があります。 また、ご自身が引っ越す際の費用や、不要な家具を処分する費用も考慮しておきましょう。

不動産会社に支払う手数料

不動産会社に業務を依頼すると、その対価として手数料を支払います。


・仲介手数料: 入居者が決まった際に、成功報酬として支払います。相場は家賃の0.5ヶ月~1ヶ月分+消費税です。


・管理委託料: 物件の管理を委託する場合に、毎月支払う費用です。家賃の5〜10%程度が相場とされていますが、委託する業務内容によって変動します。

貸し出し中にかかる運営費用

賃貸経営は、貸し出している間も継続的に費用が発生します。


・修繕費: 給湯器やエアコンといった設備の故障は、貸主の負担で修理・交換するのが原則です。突発的な出費に備えて、家賃収入の一部を修繕費として積み立てておくと安心です。

・各種税金・保険料: マンションの所有者として、固定資産税や都市計画税を毎年納める必要があります。また、万が一に備えて火災保険への加入も必須です。

・管理費・修繕積立金: 分譲マンションの場合、共用部分の維持管理のために、所有者が管理組合へ管理費や修繕積立金を支払います。

分譲マンションを貸す4つのメリット

家と電卓

使っていないマンションを他人に貸し出せば、次に挙げる4つのメリットを得ることができます。

家賃収入が得られる

何といっても大きなメリットは、毎月家賃収入が得られることです。維持費の負担はあるものの、入居者がいる限りは定期的に収入が入ってきます。保証会社を利用すれば、家賃も保証会社を通して振り込まれるため、万が一入居者が滞納しても補償を受けられて安心です。

資産を手放さずに済む

使わなくなったマンションを売却すると、売却代金が入ってくるものの、せっかく取得した不動産を手放すことになってしまいます。第三者に貸し出せば、毎月の家賃収入で維持費をカバーしながら、少ない負担でマンションを所有し続けることが可能です。

節税できる場合がある

家賃収入は不動産所得となり、所得税や住民税の課税対象になります。このとき、リフォーム費用、固定資産税・都市計画税、管理委託料、火災保険料などの賃貸関連費用は経費計上が認められます。特に減価償却費は現金が出て行かない費用として、節税のポイントとなります。

所得税や住民税は、不動産所得から経費を差し引いた額に対してかかるため、経費をしっかり計上すれば節税が可能です。この点は、後ほど詳しく解説します。

資産価値の低下を防げる

マンションを所有し続けていると、経年劣化によって資産価値は低下してしまいます。住んでいないとなれば、なおのこと経年劣化は進行するでしょう。一方、賃貸すると入居者が日頃から清掃やメンテナンスを実施してくれるので、資産価値が下がるのを防ぐことにつながります。

分譲マンションを貸す4つのデメリット

デメリット

マンションを貸すことには多くのメリットがある反面、気をつけなければならないデメリットや注意点も存在します。賃貸を検討する際は、次に挙げる4点に注意しましょう。

住宅ローンの借り換えが必要になる

賃貸を検討するマンションについて、住宅ローンを返済中のケースも多いのではないでしょうか。住宅ローンは、自分で住むための物件を取得する場合に使えるローンであり、第三者に貸し出すことは原則認められていません。そのため、よほどの事情がない限り、住宅ローンを借りたまま貸し出すことは難しいでしょう。

よって、第三者へ貸し出す前に、不動産投資ローンに借り換えるのが基本です。不動産投資ローンは住宅ローンに比べて金利が高い傾向にあるため、毎月の返済負担が大きくなる恐れがあります。

また、住宅ローン控除を受けている場合は一層注意が必要です。不動産投資ローンに借り換えると住宅ローン控除の対象外となるので、所得税の負担が重くなってしまいます。

家賃収入が得られないリスクもある

家賃収入が得られるのが大きなメリットと紹介しましたが、入居者が見つからなければ当然家賃は入ってきません。空室の間も維持費は変わらず支払い続ける必要があるため、なかなか入居者が決まらないと金銭的な負担が大きくなってしまう恐れがあります。

すぐに契約解除できない

なかには「いずれは戻ってきて、再び自分がこのマンションに住みたい」と考えている方もいるかもしれません。しかし、一般的な普通賃貸借契約は契約期間満了に伴って自動更新するのが原則であり、貸す側から解約するにはかなりハードルが高いのが実情です。好きなタイミングで入居者を退去させるのは難しいと考えておきましょう。

そこで考えられるのが「定期賃貸借契約(定借)」です。定借とは、あらかじめ決めた期間で賃貸借が終了する契約のこと。自動更新がないので、例えば「2年だけ貸したい」といった期間限定の貸し出しにも有効です。

ただし、定借だと入居者が見つかりにくいこと、場合によっては家賃設定を下げなければならないことには注意が必要です。

維持管理費を負担しなければならない

先述のとおり、物件の維持管理にかかる費用は貸している人が負担しなければなりません。具体的には、次のような税金やコストを支払う必要があります。

 ・固定資産税、都市計画税

 ・管理委託料

 ・設備交換費用

これらの費用は空室でも関係なくかかるので、退去があったらなるべく早めに次の入居者を見つけることが大切です。

マンションを貸す際の重要な注意点

マンションを貸し出す際には、後々のトラブルを避けるために、事前に確認しておくべき重要な注意点がいくつかあります。特に、住宅ローンや原状回復に関する点は、理解しておく必要があります。

住宅ローン返済中の場合は金融機関への相談が必須

住宅ローンを返済中のマンションを貸し出す場合、必ず事前にローンを組んでいる金融機関に相談し、承諾を得る必要があります。一般的な住宅ローンは、契約者自身が居住することを融資の条件としているため、無断で賃貸に出すと契約違反になる可能性があります。

最悪の場合、ローンの一括返済を求められるケースもあるため、絶対に自己判断で貸し出さないでください。転勤などやむを得ない事情がある場合は、そのまま住宅ローンを継続できることもありますが、多くは金利が高い不動産投資ローンへの借り換えが必要となります。

賃貸中の住宅ローン控除の適用について

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、契約者本人がその住宅に住んでいることが適用の条件です。そのため、マンションを賃貸に出している期間は、住宅ローン控除を受けることができません。

ただし、転勤などの理由で一時的に貸し出し、控除期間内に再びそのマンションに戻って住む場合は、残りの期間について住宅ローン控除の再適用を受けることが可能です。

退去時の原状回復に関するルールを事前に決めておく

賃貸で最もトラブルになりやすいのが、入居者の退去時に発生する「原状回復」の問題です。原状回復とは、入居者の故意や過失によって生じた部屋の傷や汚れを元に戻すことを指しますが、経年劣化や通常の使用による損耗(家具の設置による床のへこみなど)は、貸主の負担で修繕するのが原則です。

どこまでが入居者負担で、どこからが貸主負担なのかという線引きで揉めることが多いため、契約時に原状回復の範囲を明確にし、貸し出す前の室内の状態を写真で記録しておくことが、トラブル防止に繋がります。

マンションを貸すなら知っておきたい節税方法

節税方法

先述のように、家賃収入などの不動産所得を得た場合、所得額に応じて所得税や住民税がかかります。

このとき注意したいのが、不動産所得すべてが課税対象となるわけではないことです。課税されるのは、不動産所得から経費を差し引いた課税所得。つまり、経費を漏れなく計上すれば、結果として節税につながります。経費として計上できる項目は次のようなものです。

・リフォーム代、ハウスクリーニング代

・仲介手数料

・管理委託料

・固定資産税、都市計画税

・設備修繕費

・火災保険料、地震保険料 など

経費を計上するには、毎年2月16日から3月15日までの間に確定申告を行う必要があります。かかった費用は抜け漏れなく記録しておき、忘れずに申告するようにしましょう。

また、確定申告時には事前の手続きが不要な「白色申告」ではなく、「青色申告」を行うのがおすすめです。手続きや申告に手間がかかるものの、青色申告のみ10万円の特別控除(自宅マンション1室を貸す場合)を受けられるため、より大きな節税効果が期待できます。

まとめ

所有しているマンションを使わなくなったときは、第三者に貸すと家賃収入を得ることができ、少ない負担で資産として所有し続けられます。ただし、維持管理に費用がかかる点や、賃貸借契約をすぐに解約できるとは限らない点には注意しましょう。

マンションの賃貸を検討する場合、まずは、不動産会社や管理会社などのプロに相談するのがおすすめです。

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■監修_中部ガス不動産/担当者_資格:宅地建物取引士

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