ペットと暮らす家の間取りとは?ペットに共通するポイントやアイデアを紹介!
家族と同じように大切にしているペット。家族みんなが心地よく過ごせるように普段過ごす家でも配慮ができることを知っていますか?今回は、愛犬の為にストレスの少ない心地よい空間にするための“愛犬と暮らす家づくりのポイント”について、いくつか紹介します。

ペットと暮らす家づくりで共通する5つのポイント
はじめに、犬や猫など、ペットの種類を問わず共通する、家づくりの基本的なポイントを5つご紹介します。これらのポイントを押さえることが、快適で安全なペットとの暮らしの第一歩です。
ペットの足腰に優しい床材を選ぶ
一般的なフローリングは、人にとっては快適でも、ペットにとっては滑りやすく、足腰に大きな負担をかけてしまうことがあります。特に活発に走り回る犬や、ジャンプをすることが多い猫にとっては、脱臼やヘルニアの原因にもなりかねません。
そこで重要になるのが、床材選びです。ペットの足腰への負担を軽減するため、滑りにくい加工が施された床材を選びましょう。具体的には、クッション性のあるフロアシートや、表面に凹凸のあるタイル、ペット専用に開発されたコーティングが施されたフローリングなどがおすすめです。また、これらの素材は傷や汚れにも強いものが多く、お手入れのしやすさという点でもメリットがあります。
掃除のしやすさとニオイ対策を徹底する
ペットとの暮らしでは、抜け毛や食べこぼし、時には粗相など、掃除の手間がつきものです。また、ペット特有のニオイも気になるところでしょう。間取りや建材を工夫することで、これらの悩みを大幅に軽減できます。
例えば、玄関やリビングの一部にタイル張りの「土間」スペースを設けるのは非常におすすめです。汚れを気にせず使え、水洗いもできるため、ペットの足洗い場や食事スペースとして活躍します。壁材には、ニオイを吸着・分解する効果のある機能性壁紙や、調湿・消臭効果が期待できるエコカラットなどを採用すると、室内の空気を快適に保つことができます。また、24時間換気システムを導入し、常に新鮮な空気を取り入れることも、ニオイ対策には有効です。
ペットの安全を守る工夫を取り入れる
家の中には、ペットにとって思わぬ危険が潜んでいます。好奇心旺盛なペットを事故から守るために、安全対策は万全にしておきましょう。
まず考えたいのが、脱走防止です。玄関ドアを開けた瞬間に飛び出していかないよう、玄関ホールにゲートを設置したり、玄関と廊下の間に一枚扉を設けたりする「二重扉」の間取りが有効です。窓にも、網戸ストッパーや補助錠を取り付けておくと安心です。
キッチンは、火や刃物、ペットが誤飲すると危険な食材などがあり、特に注意が必要な場所です。ペットが自由に出入りできないよう、独立型のキッチンにしたり、入り口にゲートを設置したりすることを検討しましょう。また、電気コードをかじっての感電事故を防ぐため、コンセントの位置はペットが届かない高さに設置するのが賢明です。
留守番中もペットが快適に過ごせる環境を整える
共働き家庭など、日中に家を空ける時間が長い場合、ペットが留守番中にいかに快適で安全に過ごせるかが重要になります。暑さや寒さは、ペットの体調に直接影響します。特に、体温調節が苦手な犬や高齢のペットにとっては、室温管理が命綱となることもあります。
このような課題を解決するのが、「高気密・高断熱」の家です。家の隙間をなくし(高気密)、壁や窓の断熱性能を高める(高断熱)ことで、魔法瓶のように外気温の影響を受けにくく、一年を通して快適な室温を保ちやすくなります。これにより、夏や冬の留守番時も、エアコンの稼働を最小限に抑えながら、ペットにとって快適な環境を維持できるのです。また、ペットが落ち着ける専用のスペース(ケージやペットルーム)を用意してあげることも、留守番中の安心に繋がります。
近隣に配慮した防音対策を行う
ペットの鳴き声や、室内を走り回る足音は、時に近隣トラブルの原因となることもあります。お互いに気持ちよく暮らすためには、音への配慮も忘れてはいけません。
特に音が漏れやすいのは窓です。気密性の高い複層ガラスのサッシや、二重窓(内窓)を採用することで、外への音漏れを大幅に軽減できます。壁の中に吸音材や遮音材を入れることも有効です。注文住宅であれば、設計段階からこうした防音対策を計画的に取り入れることができます。大切なペットとの暮らしを守るためにも、しっかり検討しましょう。
【犬編】愛犬との暮らしを豊かにする間取りのアイデア

ここからは、犬の習性や特徴に合わせた間取りのアイデアをご紹介します。散歩が大好きで、家族と一緒にいたがる犬の性質を理解することが、愛犬にとって快適な家づくりの鍵となります。
玄関土間と足洗い場で散歩を快適に
犬との暮らしで毎日の日課となるのが散歩です。その散歩をよりスムーズで楽しいものにするために、玄関周りの工夫は欠かせません。玄関を少し広めにとり、土間スペースを設けることで、雨の日でも濡れずにリードを付けたり、帰宅後に足を拭いたりするスペースが確保できます。
さらに、土間の近くに深さのある「スロップシンク(多目的流し)」を設置すれば、泥だらけになった足もその場で洗うことができ、室内を汚す心配がありません。散歩用のグッズをまとめて収納できる土間収納もあれば、準備や後片付けが格段に楽になります。
室内でも楽しく過ごせる回遊動線とドッグラン
運動が大好きな犬のために、室内でも体を動かせる工夫を取り入れましょう。リビングと廊下、キッチンなどをぐるりと一周できる「回遊動線」は、犬が喜んで走り回れる人気の間取りです。行き止まりがないため、犬はストレスなく移動でき、家族との追いかけっこも楽しめます。
また、庭に余裕があれば、ぜひ「ドッグラン」の設置を検討してみてください。フェンスで囲まれた安全な空間で、リードを外して思いっきり走り回れる時間は、犬にとって何よりの幸せです。ウッドデッキやタイルデッキを介してリビングと繋げれば、室内と屋外を自由に行き来でき、愛犬の暮らしの質は格段に向上するでしょう。
家族と繋がる愛犬専用の居場所をつくる
元来、群れで生活してきた犬は、家族と一緒にいることに安心感を覚える寂しがり屋な一面を持っています。そのため、犬専用の部屋を孤立した場所に作るよりも、家族が集まるリビングの一角に居場所を設けてあげるのがおすすめです。
リビングの隅や、階段下のデッドスペース、あるいはリビングに隣接した小上がりの畳スペースの下など、少し囲われた「おこもり感」のある場所は、犬が落ち着ける寝床に最適です。家族の気配を感じながら安心して休める、そんな愛犬だけの特別な空間を作ってあげましょう。
【猫編】愛猫が気ままに過ごせる間取りのアイデア

次に、猫の習性に合わせた間取りのアイデアです。上下運動を好み、自分のペースを大切にする猫の性質を満たしてあげることが、愛猫の満足度に繋がります。
運動不足を解消するキャットウォークとステップ
猫は水平方向の移動よりも、高い場所への上り下りといった垂直方向の運動を好む動物です。室内飼いの猫の運動不足やストレスを解消するために、家の中に立体的な動線を作ってあげましょう。
その代表格が「キャットウォーク」や「キャットステップ」です。リビングの壁や、吹き抜けの梁などを利用して、猫が歩ける通路や足場を設置します。高い場所から部屋全体を見渡せる場所は、猫にとってお気に入りの見張り台になります。家具の配置を工夫して段差を作るだけでも、猫にとっては楽しい遊び場になります。
日向ぼっこや外を眺めるための窓辺スペース
猫が日当たりの良い窓辺で気持ちよさそうに寝ている姿は、見ているだけで癒されますよね。猫にとって日向ぼっこは、体を温めたり、リラックスしたりするための大切な時間です。
日当たりの良い南向きの窓辺に、猫がくつろげるスペースを意識的に作ってあげましょう。出窓を設けたり、窓際にカウンターや棚を造作したりするだけで、猫専用の特等席が完成します。外の景色を眺めることも猫にとっては良い刺激になるため、安全に配慮しながら、外の世界を感じられる場所を用意してあげることが大切です。
脱走防止とプライバシーに配慮した工夫
猫は体が柔らかく、ほんの少しの隙間からでも外に出てしまうことがあります。交通事故や感染症のリスクから愛猫を守るため、脱走防止対策は徹底しましょう。犬と同様、玄関の二重扉や、開閉できないように固定する「はめ殺し窓」の活用が有効です。
また、きれい好きな猫はトイレの環境にも敏感です。他のペットや人の視線が気にならない、静かで落ち着ける場所にトイレを設置しましょう。換気扇の近くや、掃除がしやすいよう床材を工夫した専用スペースを用意するのが理想です。一般的に、トイレの数は「猫の数+1個」が推奨されています。
まとめ
ペットと暮らす家づくりは、ただ間取りを考えるだけでなく、ペットへの深い愛情と理解を形にしていく作業です。今回ご紹介した、床材の選び方や安全対策、犬・猫それぞれの習性に合わせたアイデアは、人もペットも快適で幸せな毎日を送るための大切なヒントになります。
この記事が、あなたの理想の家づくりへの一歩となり、大切な家族であるペットとの暮らしを、さらに豊かにするための一助となれば幸いです。

■監修_サーラ住宅/担当者
WRITER PROFILE
つむぎ編集部
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