リフォームで和室から洋室へ!費用・ポイントまとめ

近年、和室を洋室に変えるリフォームの需要が高まってきています。
結婚・出産などによる家族構成の変化や、経年劣化などで住みづらくなったり、使わなくなったりした和室を洋室にリフォームすることで、現在のライフスタイルに合った快適な住まいを実現できます。
今回は、リフォームで和室を洋室に変えるメリットや注意点、部位ごとの費用感などを、施工事例も踏まえて紹介します。
内装リフォームのポイントを把握し、ご自分に合った住まいづくりを目指しましょう。
目次
和室から洋室へ変えるリフォームの費用感
和室を洋室へ変えるリフォームにはどれほどの費用が必要となるのでしょうか。
一般的な8畳の和室から洋室へのフルリフォームを事例に、部位ごとに紹介します。
床(畳→フローリング)
床はもっとも大がかりな工事となる部位で、必要工事は、畳撤去・処分、フローリング下地造作、フローリング張り、必要により造作工事等となります。
6畳の畳からフローリングにリフォームする場合、一般的な相場は20万円前後とされています。部屋の広さや使用するフローリング材といった条件によっては、30万円以上する場合もあります。
マンションはコンクリートの構造に直接畳が乗っている場合も多く、戸建てほどの大がかりな工事にならないこともあります。
築年数が経過している建物では断熱材が入っていないケースがあるので、注意が必要です。
壁(真壁→大壁→クロス)
6畳の部屋の相場は約20万円程度とされていますが、業者によっては床とセットの工事で35~40万円程度というパターンが多いようです。
古い建築の和室だと砂壁や柱を露出した造りとなっているため、造作工事を行った後にクロス(壁紙)を張る流れとなります。
収納(押入れ→クローゼット)
一間(180間口)の押入れの襖を残して内側のみリフォームする場合は10万円以下でできますが、襖を取り払い、折れ戸などに変更する場合は20万円程度かかることが一般的です。押し入れ内部の広いスペースを活用し、ウォークインクローゼットにリフォームする場合はさらに50万円程度の予算が必要となります。
布団を収納するための和室の押し入れは2段となっていることが多いため、クローゼットへリフォームする際はこの段を取り払い、衣類を収納するためのハンガーパイプを設置することをお勧めします。
建具(襖→ドア)
和室の襖をドアへ変更したい場合、敷居の変更だけで可能な引き戸へのリフォームがお勧めです。1カ所あたり10~15万円程度が相場です。
戸を開く必要がなく、もともと扉の開閉スペースのない状態で設計された和室から洋室へのリフォームに一番適した戸であると言えます。
和室から洋室へ変えるリフォームのメリット
和室の需要が減る背景には、洋室の価値が高まっているからです。
和室を洋室に変えるリフォームには、次のようなメリットがあります。
掃除がしやすい
和室の畳や障子は定期的なメンテナンスに手間がかかります。
特に畳は掃除機で表面の掃除を行うことは可能ですが、ダニが畳の奥に逃げこみ、完全に取り除くことはできません。湿度が高いと畳が湿気を吸収してしまい、カビも発生しやすくなります。
その一方で、フローリングは掃除機などで簡単に掃除ができるため手間が少ないです。
床との摩擦が少ないため家具も動かしやすく、汚れを発見しやすいです。
模様替えがしやすい
流通している家具の多くが洋室で用いることを想定されています。
テーブルやソファなど、重い家具は畳をへこませてしまう恐れがありますが、フローリングであれば家具を置いても痕が残りにくいです。
模様替えで家具を動かす際も、畳の上で家具を引きずってしまうと畳を傷めてしまいますが、フローリングであればその心配も少ないです。
ライフステージの変化への対応に、模様替えがしやすいのは大きなメリットです。
部屋に解放感が生まれる
和室がリビングなどと隣接している場合、仕切りや壁、襖などを取り除くことで、隣の空間との一体感が生まれ、広く感じられることがあります。
ご自宅の間取りを変えることも可能です。
物件の価値があがる
洋室仕様の住まいはターゲット層が広がるため、将来的な売却や賃貸時に有利に働きます。海外からのゲストやファミリー層は畳よりフローリングを好むケースが多く、現代的なインテリアにも合わせやすい点が評価されやすいのです。また、メンテナンス性が高く傷みにくい素材を選べば、長期的に見て室内の美観と機能性を維持しやすくなり、不動産価値の下落を抑制できます。こうした点から、リフォーム投資としての回収率が高まることも大きなメリットと言えます。
和室から洋室へ変えるリフォームの注意点やポイント
和室を洋室へ変えるリフォームに臨む際には、注意すべきポイントがあります。
フローリング材の選択
フローリングは畳に比べて音が響きやすい欠点があります。
マンションの場合は管理組合で使用するフローリングの遮音等級が定まっていることが多く、管理規約の確認が必要です。遮音性の高いフローリング材を使用するか、防音下地を入れることをお勧めします。
一般的なフローリング材には合板(複合)フローリング、無垢(単層)フローリングがあり、また、フローリング調の合成樹脂素材であるクッションフロアもあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
◆合板フローリング
複数の板を重ね合わせて作られており、1㎡あたり5000~9000円程度と安価で、色や柄のバリエーションも豊富。耐水性・耐候性に加え傷にも強いですが、踏み心地が無垢フローリングに比べて硬いという難点があります。
◆無垢フローリング
自然の木をそのまま使用しているため、木独特の柄や温もりを楽しめます。調湿効果により室内の湿度も一定に保たれます。一方でシミになりやすく、傷ついたりへこんだりする可能性が高いです。使用する木によっては高価で1㎡あたり3万円以上にも上り、防音性が低いためマンションでは防音下地を入れる必要があります。
◆クッションフロア
塩化ビニルでできているため耐水性が高く、メンテナンス・工事が簡単で、デザインも豊富でリーズナブルです。しかし、経年劣化が早く傷も付きやすく、湿気がこもりやすいといったデメリットがあります。
湿気に注意する
和室の押入れをクローゼットにリフォームする場合、通気性が悪く湿気のこもりやすい場所のため、収納内部の建材にまで注意する必要があります。
吸放湿性壁紙や珪藻土壁などといった調湿建材を使用することで、衣類や布団をカビから守ることができます。
段差を解消する
和室と洋室の間に段差があれば、リフォームする際に解消することをお勧めします。畳をはがしてフローリングを張る前の下地の段階で、高さ調節が可能なケースがあるからです。
費用と工期は余分にかかりますが、老後やご家族の介護のことを考えれば検討する価値のあるポイントです。
床材の防音性を確認
畳は天然素材のクッション性により歩行音や衝撃音を和らげますが、フローリングでは下階への音漏れが気になるケースも増えます。集合住宅や二世帯住宅でのリフォームなら、遮音等級(ΔLL値)が明示された防音フローリングを選ぶことが肝心です。具体的にはΔLL-4(旧LL-40)相当の遮音性能を持つ製品を採用したうえで、床下に防音シートやゴム系の防振材を併用すると、生活音トラブルを未然に防げます。
用途に併せて壁紙を選ぶ
和室の障子や襖を撤去した後は、壁面の表情も一新するチャンスです。
壁紙には耐久性や機能性のほか、色調・質感によって部屋の印象が大きく変わる特徴があります。たとえば子ども部屋など汚れがつきやすいスペースには水拭き可能なビニールクロスを、寝室や書斎には吸放湿性に優れた調湿クロスを選ぶと快適性が高まります。
また、アクセントとして一面だけをグレージュや淡いブルーのクロスにすると、空間に奥行きと遊び心が生まれます。壁紙選びでは、家具や床材とのコーディネートをイメージしながら、用途に応じた性能とデザイン性のバランスを重視しましょう。
和室を洋室へのリフォームする際に使える補助金制度
和室から洋室へのリフォームを検討する際、「補助金が使えるかどうか」は大きな判断材料になります。実はこの種のリフォームにも、条件を満たせば公的な支援を受けられる可能性があります。以下では、代表的な制度とその概要を紹介します。
主要な補助金制度と概要
制度名 | 支援内容 | 主な条件 | 申請先 |
長期優良住宅化リフォーム推進事業 | 80~160万円の補助 | 耐震・断熱改修を含むリフォーム | 国土交通省 |
各自治体の住宅改修支援制度 | 数万円~数十万円の補助 | 高齢者・障害者対応、バリアフリー改修などが対象 | 市区町村の住宅課 |
上記の中で、特に活用しやすいのは「長期優良住宅化リフォーム推進事業」です。
洋室化をともなう内装リフォームでも、断熱改修やバリアフリー工事と併せて行うことで、補助対象となるケースがあります。
また、国の制度だけでなく、地方自治体が独自に実施する住宅リフォーム補助にも注目です。たとえば東京都では、バリアフリー改修に対して最大20万円前後の補助を用意している区もあります。補助の対象内容や金額は自治体によって異なるため、必ず居住地の市区町村の公式サイトを確認しましょう。
おわりに…
和室を洋室に変えるリフォームは、使用するフローリング材やリフォームする箇所など、自由に選べる点が多いことが魅力です。
お住まいに何を求めるのかに注意して、自宅の和室がどの程度の広さなのか、使用されている壁材が何かなどの情報を整理しましょう。
工事の範囲や選ぶ素材によって費用は違ってきますが、目安を知っておくと検討しやすいですよね。
持て余している和室を理想の洋室へと生まれ変わらせ、よりよい住まいづくりを実現してみませんか?

■監修_リビングサーラ/施工管理担当者_資格:1級建築施工管理技士・2級建築士

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つむぎ編集部
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