耐震リフォームの重要性とは?補助金制度や事例をご紹介!
地震大国日本。特に、2024年1月、年始の能登半島地震は多くの人々に耐震対策の重要性を教えてくれました。ここでは、そんな耐震対策をリフォームと組み合わせて、より安全で安心な住まいを手に入れるための具体的な方法について解説します。
我々の住まいを守るための耐震リフォームの重要性、具体的な方法、そしてその効果について、ぜひご一読ください。
目次
耐震リフォームの重要性
2024年1月に発生した能登半島地震。
この地震は、古い家屋の耐震強度の問題を浮き彫りにしました。多くの家屋が倒壊し、多大な被害をもたらしました。しかし、その一方で、地震に対する耐震対策を施した家屋が立ち続けたことも確認されました。これは耐震対策が確実に効果を発揮することを証明しています。
特に、50代〜60代の方々にとっては、自宅が安全な場所であることが何よりも重要です。この年齢層の方々は、子供たちが独立し、家を継ぎ、また自分たちの老後を迎える場所として自宅を見つめ直すことが多いのです。そのため、ここで耐震対策の重要性を再認識することが、自分たちの生活の安全性を確保する第一歩となります。
今回の記事では、リフォームを通して自宅の耐震性を高める方法について詳しく見ていきましょう。
耐震リフォームを考える目安とは?
リフォームは、単に家を新しく見せるだけでなく、家の構造を見直し、安全性を高める絶好の機会でもあります。特に、日本は地震が多い国であるため、耐震対策は必須の要素となっています。
では、なぜリフォームの際に耐震対策を考慮すべきなのでしょうか。
それは、まず第一に、建物の寿命を延ばすためです。建物は時間と共に劣化していきますが、耐震対策を行うことで、地震による損傷を最小限に抑え、建物の寿命を延ばすことができます。
また、耐震リフォームを行うことで、地震発生時の安全性が大幅に向上します。地震が発生した際には、強い揺れにより家具が倒れたり、壁がひび割れたりといった事態が考えられます。しかし、耐震リフォームを行うことで、これらのリスクを大幅に軽減することが可能です。
さらに、耐震リフォームは、家の価値を高めるというメリットもあります。耐震性能が高い家は、売却の際にプラスの評価となりますし、将来的には保険料が安くなる可能性もあります。
以上の理由から、リフォームの際には耐震対策を重視し、安全で快適な住まいを実現することが推奨されています。
ここでは耐震リフォームを考える目安について解説します。
旧耐震基準(1981年以前)で建築された住宅
1981年(昭和56年)以前に建てられた建物は、旧耐震基準に基づいているため、耐震性が不十分な場合があります。1981年に新耐震基準が導入され、それ以降に建てられた建物は、ある程度の耐震性を持っていますが、それ以前の建物は耐震リフォームを強く検討するべきです。
2000年5月以前に建築された木造住宅
2000年5月以前に建てられた木造住宅も、耐震リフォームを検討すべき重要な目安になります。2000年(平成12年)6月に建築基準法が改正され、耐震性に関する規定がさらに厳格化されたため、それ以前の住宅は基準が緩い場合があります。
家の耐震性に不安を感じたとき
家の耐震性に不安を感じたときも、耐震リフォームを検討する重要なタイミングです。老朽化や劣化が進んでいる建物は、耐震性が低下していることが多いです。特に、柱や梁(はり)のひび割れ、基礎の劣化、屋根や外壁の損傷などが見られる場合、耐震リフォームを考える目安となります。
家の耐震性に不安を感じた場合、まずは耐震診断を受け、必要であれば耐震リフォームを行うことで、家族の安全を守ることができます。
参照:国土交通省 住宅・建築物の耐震化について
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr_000043.html
耐震リフォームを行うための耐震診断や手順は?
家の耐震性に不安を感じた場合は、できるだけ早く耐震診断を受けるのがおすすめです。耐震診断の概要やリフォームの流れについて解説します。
耐震診断とは?
耐震診断とは、建物が地震にどれくらい耐えられるかを専門家が評価する検査です。特に、古い基準で建てられた住宅や老朽化が進んだ建物では、耐震性が不足していることが多いため、安全性を確認するための診断が推奨されます。
耐震診断によって建物の耐震性が把握できるため、必要な補強箇所を特定し、適切な耐震リフォームの計画を立てることが可能です。
耐震診断とリフォームの流れ
耐震診断を行い、その結果耐震補強が必要な場合は、リフォームを検討しましょう。耐震診断とリフォームの大まかな流れをまとめます。
1、相談・依頼
まず、自治体や信頼できる専門業者に耐震診断の相談や依頼をします。自治体の窓口で助成金の有無や診断業者の紹介を受けられる場合もあります。
2、現地調査
診断のプロが建物を訪れ、図面や設計書をもとに構造や劣化状態を確認します。調査内容には、基礎・柱・梁・壁の状態、接合部の強度などが含まれます。
3、耐震診断の結果と評価の報告
診断結果は、数値やコメントで住宅の耐震性が明らかにされます。この結果をもとに、具体的な耐震リフォームの必要性が判断されます。
4、耐震補強の相談
診断結果に基づき、補強が必要な場合はリフォーム内容の相談をします。リフォーム費用の概算や施工内容についての説明を受け、予算や家族の要望に合わせた計画を立てます。
5、リフォーム計画の作成と見積もり
リフォームの目的や予算に合わせた工事内容を決め、正式な見積もりを出してもらいます。
6、契約、リフォーム工事
リフォームの内容と見積もりに納得したら、正式に工事を依頼します。工事の範囲や期間、料金についても契約書で確認しましょう。補助金を利用できる場合は、申請手続きを行います。
耐震リフォームの具体的な方法やメリット・デメリット
耐震リフォームには、さまざまな手段が存在します。主な方法とそのメリット・デメリットをご紹介します。
壁の補強
壁の補強は、耐震リフォームの主要な対策の一つです。壁は建物の構造体を支え、地震の揺れを分散する役割を果たします。そのため、壁を補強することで、建物全体の耐震性を高めることが可能になります。
具体的な壁の補強方法としては、「耐震壁の設置」や「既存の壁材の強化」があります。
①耐震壁の設置:耐震壁は、建物を揺れから守るために特別に設計された壁で、木材や鉄骨、コンクリートなどで作られています。耐震壁を新たに設けることで、建物の揺れを抑え、安全性を高めることができます。ただし、壁を増やすと部屋が狭くなるというデメリットもあります。
②既存の壁材の強化:既存の壁材を強化する方法もあります。例えば、壁に合板を追加したり、鉄製の補強材を取り付けたりすることで、壁の強度を上げることができます。
基礎補強
基礎は建物の荷重や地震・風等の外力を地盤に伝える役割があります。そのため、基礎が弱いと、地震の揺れにより建物全体が傾いたり、最悪の場合、倒壊するリスクがあります。基礎の強化は、地震に対する安全性を確保するための重要な耐震リフォームの一つです。
基礎の強化には主に次の二つの方法があります。
①基礎補強:基礎補強は、既存の基礎に新たに補強材を追加し、基礎の強度を高める方法です。コンクリートや鉄筋を使用して、基礎を強固にすることで地震の揺れに対する耐性を高めます。
②ベースアイソレーション(免震):ベースアイソレーションは、建物と地面との間に免震装置を設置し、地震の揺れが直接建物に伝わるのを防ぐ技術です。この方法は大規模な工事となりますが、地震の揺れを大幅に軽減できます。
家具の固定
家具を固定することで、地震時の家具の転倒を防ぐことができます。これは比較的手軽に実施できる対策ですが、固定方法によっては家具の配置変更が難しくなるというデメリットがあります。
耐震金物の取り付け
耐震金物を取り付けることで、建物の揺れを抑え、建物の耐震性を向上させることが可能です。ただし、施工には専門的な知識が必要となります。
屋根の軽量化
古い住宅では、重い瓦屋根が使われている場合があり、これが地震時に建物へ大きな負担をかけます。そのため、屋根の軽量化を行うことで、建物全体の耐震性能が向上します。軽い瓦だけでなく、他の材質の屋根への葺き替えを行うという方法があります。
これらの方法は、専門的な知識と技術を要するため、工事費用もそれなりにかかりますが、その効果は大きいと言えます。地震の揺れから大切な家を守るため、信頼できる専門家に最適な耐震リフォームを依頼することが重要です。
※これらの方法は一例であり、実際の耐震リフォームは建物の状態や予算、地域の地盤状況などにより、最適な方法が変わることもあります。
耐震リフォームに補助金制度はある?
耐震リフォームは多くの費用が必要になる可能性があるため、金銭面で不安を感じる方もいるかもしれません。
ここでは、耐震リフォームで活用できる補助金制度についてお伝えしていきます。
耐震リフォームの補助金制度は自治体が実施
多くの自治体が、昭和56年(1981年)以前の旧耐震基準で建築された住宅や、古い木造住宅を対象に耐震診断やリフォームの補助金を提供しています。
補助額や条件は自治体ごとに異なりますが、耐震診断費用の一部または全額が補助され、耐震リフォームにかかる工事費用の20〜80%程度が補助される場合もあります。
参照:豊橋市 木造住宅耐震改修費補助金
参照:豊川市 木造住宅耐震改修費補助金
https://www.city.toyokawa.lg.jp/smph/kurashi/kankyosumai/sumai/taisinkankei/mokuzojutakuhojokin.html
参照:浜松市 耐震補強計画の策定・耐震改修工事
https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/kensido/home_tochi/home/kensido/taisin/jigyou_03.html
関連記事はこちら▼
耐震補強には補助金が出るの?耐震補強リフォームをして地震に備えよう! | 住まい・暮らしの情報サイト SALAつむぎ
国は税制優遇で耐震リフォームを支援
国は耐震リフォームを行う住宅に対して税制優遇を提供しており、耐震工事の負担を軽減する支援策があります。
耐震補強工事を行って一定の条件を満たすと、減税を受けられる場合があります。
参照:国土交通省 耐震改修に係る所得税額の特別控除
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001732312.pdf
耐震リフォームの事例をご紹介!
ここからは、サーラの耐震リフォームの事例をご紹介します。
長く住み続けるために(浜松市)
間取り変更などのご要望はなく、必要最低限の工事でいかに耐震補強ができるかがポイントでした。
外壁側から使える制震ダンパーを利用したり、押入内で耐震補強工事を行い、普段の生活を妨げることなく工事範囲を極力減らし、住みながら工事が進められるようプランニングしました。
詳細はこちら▼
長く住み続けるために | リビングサーラ [くらすデザイン]
今後の暮らしにそなえた性能向上リフォーム(豊橋市)
当初の計画では耐震リフォームまでは行う予定ではありませんでしたが、南面に大きな窓が多く、以前からご自宅の耐震性能を心配されていたとのこと。
ご予算やご要望をふまえて、制震ダンパーを採用した耐震工事をご提案しました。
詳細はこちら▼
今後のくらしにそなえた性能向上リフォーム | リビングサーラ [くらすデザイン]
耐震改修 安心して住み継ぐ家(浜松市)
築52年の木造住宅、壁が少なく窓が多い日本の和風家屋。耐震面で不安に感じられていました。ご相談を頂き、お宅の状況を細かく調べさせて頂いた上で耐震計算をしたところかなり低い数値に・・・
制震装置オイルダンパー「Hiダイナミック制震工法」や屋根材の軽量化で耐震数値1の基準を満たすお宅になりました。
詳細はこちら▼
耐震改修 安心して住み繋ぐ家 | リビングサーラ [くらすデザイン]
耐震リフォームで大切な住まいを守りましょう
今回の記事を通して、リフォームの際に耐震対策を考慮することの重要性を強調してきました。我々が住む日本は地震大国であり、そのリスクから自宅を守るためには、耐震リフォームが必要不可欠です。
耐震リフォームは、自宅の安全性を高めるだけでなく、住む人々の生活の安心感を向上させ、さらには家の価値を高めるメリットもあります。
しかし、耐震リフォームは専門的な知識を必要とします。そのため、自分一人で判断するのではなく、専門家に相談し、最適な計画を立てることが大切です。
最後に、私たちは常に地震のリスクと共に生活しています。そのリスクを減らし、安心して生活できる家を手に入れるために、ぜひ耐震リフォームを検討してみてください。あなたとあなたの大切な家族の安全のために、そして、あなたの家がこれからも長く大切な場所であり続けるために。
サーラは、耐震リフォームの無料相談を受け付けております。
是非お気軽にお問い合わせください。
■監修_リビングサーラ/施工管理担当者_資格:1級建築施工管理技士・2級建築士
WRITER PROFILE
つむぎ編集部
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