リビング階段は後悔も多い?知っておくべきメリットとデメリット
モデルハウスなどで『リビング階段』を見かけて、「おしゃれで素敵」「部屋が広く見える」と感じた方も多いでしょう。
実際に注文住宅を建てる方の多くが、リビング階段を選択しています。
しかし、デザイン性だけに惹かれてリビング階段を選択した結果、「住み始めてから後悔した」という方も少なくありません。
そこで今回のコラムでは、リビング階段を検討するときに知っておきたいメリットとデメリットを説明します。後悔しないためのポイントも説明しますので、ぜひ家づくりの参考にしてください。
目次
リビング階段のメリット
まずはリビング階段のメリットから見ていきましょう。
- 開放感のあるリビングになる
- 家族間のコミュニケーションが取りやすい
- 冷暖房を管理しやすい
開放感のあるリビングになる
吹き抜けとリビング階段を組み合わせると、開放感のあるリビングに仕上がります。
階段幅分の面積が増えて、2階へと続く吹き抜けがあることで視界が広がるからです。リビングとして使える広さは同じだとしても、リビング階段と吹き抜けがある部屋のほうが広く感じるでしょう。
また、吹き抜け部分に窓を設ければ、リビングと2階の日当たりも確保できます。
デザイン性はもちろんのこと、リビングに面積をあまり割けない狭小住宅などで室内を広く見せる方法、部屋を明るくする方法としても有効です。
家族間のコミュニケーションが取りやすい
リビング階段の魅力はなんと言っても、家族間のコミュニケーションが取りやすい点です。お子さんが学校へ行くときや帰ってきたときには必ずリビングを通るので、「いってらっしゃい」「おかえり」と、声かけができます。
外出や帰宅も把握しやすいので、気づかぬうちに家族が出て行っていた、あるいは帰ってきていたという心配もありません。
冷暖房を管理しやすい
リビング階段といえば「夏は暑く、冬は寒い」という点がデメリットとして挙げられますが、これはひと昔前の話です。
今の住宅は性能が上がっているため、気密性と断熱性を高めておけば、寒さや暑さの面でリビング階段を後悔することはありません。
逆にリビングを通して2階にも冷暖房が届くので、空調を管理しやすくなります。最近増えているのは、吹き抜けとあわせて床下や小屋裏にエアコンを設置する住宅です。
温かい空気は上へ、冷たい空気は下へといく性質を利用して、2台のエアコンで家全体の空調を管理します。
吹き抜けがあるとエアコンが効きづらいデメリットは、住宅性能や設備で解決できると覚えておきましょう。
リビング階段のデメリット
リビング階段には魅力的なメリットがある一方で、住宅性能の向上ではカバーしきれないデメリットもあります。
- 臭いや音が伝わりやすい
- プライベートが確保しづらい
臭いや音が伝わりやすい
リビング階段ではどう気を付けていても、臭いや音が伝わりやすいのが特徴です。
焼肉やたこ焼き、揚げ物などの臭いが強い料理を作ったときには、階段を通して臭いが2階まで上ってしまうでしょう。
また、リビングでのテレビ音、話し声などが響きやすく、同時に個室からの音も伝わりやすくなります。
階段の周りに建具を設けたり、調理時や来客時にロールカーテンで仕切ったりと、対策はできますが、完璧に防げるわけではありません。
臭い漏れ、音漏れの点に納得したうえで、リビング階段を検討してください。
プライベートが確保しづらい
リビング階段で最も後悔が多いのが、プライベート面に関するものです。
たとえば来客時、事前に知らせがあれば掃除や身支度などの準備をできますが、急な来客時に慌てる場面も必ず出てくるでしょう。
お子さんが急に友人を連れてきたときにリビングが散らかっていたり、パジャマで過ごしていたりしても、隠すことはできません。別の部屋へと一時的に身を隠せても、いつ降りてくるのかと、不安な気持ちで過ごすことになります。
お子さん目線で考えたときにも、交友関係が家族にオープンになることや、友人やパートナーに家族を見られてしまうことをストレスに感じる心配もあります。
プライベートが見える面にはメリットもあれば、デメリットもあるのです。
リビング階段で後悔しないためのポイント
リビング階段で後悔しないためには、どのようなポイントに気を付ければいいのでしょうか。最後に3つのポイントを説明します。
- ライフスタイルの変化も見据えて検討する
- 高気密高断熱住宅にする
- 家族の価値観をすり合わせる
ライフスタイルの変化も見据えて検討する
お子さんの幼児期や学童期に家づくりをすると、「姿が見えるから安心」「コミュニケーションが取れる」と、ついつい目先のライフスタイルだけを考えがちです。
しかし、子どもには必ず思春期がやってくるので、リビング階段を検討するときにはライフスタイルの変化も頭に入れておかなければなりません。
家族構成はもちろん、お子さんの性格、性別なども考慮しながら、リビング階段にすべきなのかを考えてみてください。
高気密高断熱住宅にする
リビング階段で後悔しないためには、高気密高断熱住宅であることが必須です。
気密性と断熱性が高くない一般住宅にリビング階段を取り入れると、冷暖房の効率が悪くなり、寒さや暑さを感じてしまいます。
目安となるのは、UA値0.6以下、断熱等級5以上の「ZEH基準」です。
【UA値とは?】
UA値は外皮平均熱貫流率といって熱の逃げやすさを表す数値で、低いほど熱損失が少ない家だとわかります。
家族の価値観をすり合わせる
デメリットの章でお伝えした内容は、どちらも価値観による考えの違いが大きく出る部分です。たとえば「急な来客も平気」「人に見られるほうが室内をきれいにできる」と感じる方は、プライベート面のデメリットはクリアしています。
臭いや音に関しても「その都度換気すればいい」「家族の気配を感じられるほうが安心」と考えるのならば、それほど気にする必要はありません。
リビング階段のデメリット部分を家族がどう考えているのか、家族間でしっかりと価値観のすり合わせをしておくことが、後悔をしない家づくりのポイントです。
リビング階段は住宅性能と価値観のすり合わせが重要!
今回のコラムでお伝えしたように、リビング階段にはメリットもあればデメリットもあります。家づくりで大切なのは、“後悔するかもしれない部分を減らすこと”なので、デメリットに重きを置いて、リビング階段にすべきなのかを考えてみてください。
中でもよく考えていただきたいのが、プライベートの確保についてです。
冷暖房や音や臭いなどは、住宅性能や間取り、アイデアしだいで解決できるものがほとんどですが、価値観はそう簡単に変えることはできません。
家族がどのような価値観を持っているのか、ライフスタイルはどのように変化していくのかなど、今だけではなく、先も見据えて慎重に検討しましょう。
サーラ住宅は、屋根断熱・外張断熱・基礎断熱を組み合わせた「丸ごと外断熱」で、断熱性も省エネ性も確保した家づくりに力を入れていますので、リビング階段と吹き抜けの家でも1年中快適に暮らせます。
性能部分はもちろん、プランについてお悩みの方は、ぜひサーラ住宅にご相談ください。
■監修_サーラ住宅/担当者
WRITER PROFILE
井本 ちひろ
建築科系学科卒の住宅×金融専門ライター。
子供に「おかえり」が言える仕事を探してライターの道へ。
大学で得た経験とFP2級の知識を活かし、家づくり、水回り設備、エクステリア、火災保険、相続など、住宅にまつわる幅広い記事を中心に活動中。