高齢者世帯に人気の減築リフォーム!暮らしを豊かにするメリットや、失敗しないための注意点を紹介

高齢者世帯に人気の減築リフォーム!暮らしを豊かにするメリットや、失敗しないための注意点を紹介

子育てがひと段落し、お子さまが独立して家を離れると、ご夫婦2人だけではお住まいが広く感じられるようになり、身体的にも経済的にも不便や無駄が生まれてきます。

そんな時、使わなくなった部屋や空間を取り除く「減築リフォーム」で、現在のライフスタイルに合わせた快適な暮らしが手に入ります。

少子高齢化社会では必然ともいえる減築リフォームのメリット・デメリットをはじめ、リフォームのパターンごとによる効果、失敗しないための注意点を紹介します。

ぜひ、ご参考にしてください。

少子高齢化で減築リフォームは増加傾向に

「減築」とは建物の床面積を減らすリフォームで、2階建てを平屋に変えたり、使っていない部屋を撤去したりして建物を小さくすることです。「増築」の対義語として使われます。

国土交通政策研究所によれば、「住宅の建築面積の一部や階数を減らすなど建築物の床面積を減らして住宅のコンパクト化を図ること」と定義しています。

近年、減築リフォームが増えている理由には、少子高齢化社会に伴う高齢者だけの世帯や核家族が増加している背景があります。

平成30年の総務省「住宅・土地統計調査」によると、「高齢単身」の世帯における住宅室数の平均は4.37室、「高齢夫婦のみ」の世帯でも5.35室となっています。

お子様たちが独立されても、同じ家にそのまま住み続けている方が多いことで、世帯人数の割にはかなり部屋数の多い家に住んでいるのが現状です。

特に高齢者にとっては生活費の削減、管理の容易化、安全確保の観点から、お子さんが使っていた部屋をなくすといった減築リフォームを実施する傾向が強いのです。

次章ではさまざまなメリットを紹介するので、お住まいの構造や世帯人数によって最適なリフォームを検討してみましょう。

減築リフォームのメリット

減築リフォームは身体的、経済的、社会的な面でメリットをもたらす可能性を秘めています。

家事動線

生活動線が短くなる

高齢者は距離のある廊下や急な階段、たくさんの部屋があるお住まいでの生活がだんだん難しくなりますが、減築によって無駄な空間が減ることで移動がスムーズになり、段差や階段での転倒事故のリスクも低減できます。

また、暮らしのスペースが減るということは、費用や工期の面でバリアフリー化をしやすくなることも意味します。

家事の負担が減る

部屋数が少なくなれば、掃除や片付けといった日常の維持管理もラクラク。動線が短くなれば、炊事や洗濯などの家事の負担も減ります。場合によっては、洗濯物を干すために毎日階段を上り下りしていた日々からも解放されます。

高齢者だけの世帯にとってみれば、部屋数が少ない住まいは健康面で最適なのです。

家計に優しい

減築によって部屋数が減れば、電気代をはじめ、冷暖房の光熱費も減少し、生活費の節約につながります。

壁や床などの老朽化に伴うメンテナンス費用も必要ない上に、建物の床面積の合計によって定められる固定資産税も減額される可能性があります。

高齢者は退職して収入が減るケースが多いので、こういった費用が削減できることはうれしいですよね。

耐震性が上がる

2階部分の減築は、建物の耐震性アップをもたらします。

2階構造の建物は1階部分の柱や壁に負荷がかかっているため、2階部分をなくすことで地震の揺れに強くなり、倒壊の危険性を低減します。

今年1月の能登半島地震でも、2階建て木造住宅の多くが倒壊しました。

防犯性が向上する

普段から使用していない部屋がある場合、夜間も明かりがついていないなど人気がないと空き巣に狙われやすくなります。特にリビングから遠い部屋は侵入しても気付きにくいので、泥棒の格好のターゲットとなってしまいます。

減築により、無防備な部屋をなくすことで防犯性の向上が期待できます。

スペースを有効活用できる

1階部分の減築で空いた空間は、車や自転車の駐車スペースや、庭などに活用できます。

家族構成や趣味に合わせて、好きな空間に生まれ変わらせましょう。

都市部での住宅密集地域では、隣家との距離を確保できるメリットもあります。

減築リフォームのデメリット

さまざまなメリットを生む減築リフォームですが、同時にデメリットもあります。

コストが高額になる

減築には解体作業が欠かせません。壁や屋根、柱などさまざまな部分に手を加えるため、予想したよりも工事費用が高額になることが少なくありません。2階建ての場合は足場代が必要となり、重機を使わず建物を一部だけ解体する場合でも人件費がかかります。解体中にシロアリが発見されれば、追加で駆除や朽ちた柱の修繕費用も発生します。

予算内で計画通りに進めるためにも、専門業者に見積もりを依頼しましょう。

収納スペースが不足する

減築するとお住まいの中はスッキリしますが、収納スペースが足りなくなる可能性があります。減築する部分を決める際に、家具や荷物を収納するスペースを確保できるようにあらかじめ計画しておきましょう。

仮住まいの手配・費用が必要

リビングなど日常生活で使用する部分や、大規模な工事を伴う場合、リフォーム期間中は仮住まいで暮らす必要が生じます。仮住まいとして利用できるのはホテルやウィークリーマンションで、もちろん家賃や移動費がかかります。

仮住まいの紹介や引っ越しなどをサポートしてくれるリフォーム業者もあるので、探してみるのもいいですね。

減築リフォームのパターン

減築リフォームには複数のパターンがあります。パターンによってもたらされる効果も異なります。

減築パターン
https://www.mlit.go.jp/pri/houkoku/gaiyou/pdf/kkk97.pdf

平屋の一部除去

駐車場スペースを広げたり、ガーデニングを楽しむために庭を広げたりしたいシニア世代におすすめです。住宅密集地では隣家とのスペースを確保することにもつながります。

2階建ての1、2階の一部除去

お子さまが独立された後、子ども部屋を除去する際に多いパターンです。

掃除などの手間が省けて、電気代などの節約にもつながります。

2階建ての2階の一部除去

耐震性や防犯性のアップが期待できます。

2階建ての1階の一部除去

1階一部撤去

庭を広く取ることで採光や通風を確保でき、隣家との距離も生まれます。

2階部分を支えていた柱や壁が減るため、耐震面で注意が必要です。

2階建ての2階の全部除去

二回撤去し平屋へ

平屋住宅に変わることで階段がなくなり、転倒防止や身体への負担軽減につながります。

ワンフロアでの生活動線となり、お年寄りにも暮らしやすくなります。

2階建ての2階床の一部の除去

お住まいに吹き抜けの空間が生まれ、開放的になります。

内装のイメージをガラリと変えることができます。

減築リフォームの注意点

減築リフォームを行う際には各種手続きが必要です。

それなりにコストと時間もかかることなので、主な注意点を挙げます。

不動産登記の手続きを進める司法書士

建築確認申請の有無をチェック!

減築リフォームをするにあたり、建築確認申請が必要な場合と、申請しなくてもいい場合があります。平屋でも複数階の建物でも、建築確認申請の基準は同じです。

減築のみを行う場合、たいていは建築確認の申請は不要ですが、申請すべき場合もあります。

建物は次のように分類されています。

2号建築物(3階建て以上の木造住宅など)

3号建築物(2階建て以上の鉄骨住宅など)

4号建築物(平屋や2階建て以下の木造住宅など)

このうち、一般的に多い4号建築物では確認申請が必要になることはほとんどありませんが、2号建築物と3号建築物での大規模なリフォームでは必要となるケースがあります。

たとえば階数を減らし、床部分を屋根に変える工事などは申請が必要になる可能性が高いです。大規模な耐震補強を伴う場合も申請が必要になることがあります。

確認申請が必要なリフォームかどうかは、業者や地域の窓口に確認すると安心です。

建政部 (mlit.go.jp)

登記申請は1カ月以内に!

減築リフォームの場合、床面積が変われば登記申請を行う必要があります。

工事完了日から1カ月以内の申請が定められており、手続きには費用がかかります。

業者選びは慎重に!

悪質な業者に工事を任せると、減築工事の後に雨漏りが発生するケースがあります。

減築では一部分を解体するため、その際の修復や防水加工がしっかりと行われていなかった場合に発生しがちです。

専門性が高いリフォームとなるため、安価だからと値段で決めず、なるべく実績があり評判のいい業者に頼むようにしましょう。

さいごに

減築リフォームがもたらす効果は、決して高齢者世帯だけに限ったものではありません。

紹介してきたように「庭やガレージを大きくしたい」「隣家との間隔を広げたい」といった要望を実現できるケースもあり、たくさんの可能性を秘めています。

ただ、費用が高額になる場合が多いため、ご家庭の経済状況や家族構成、健康状態などを十分に考慮し、適切な計画を立てることが大切です。

サーラグループでもさまざまな用途に対応した減築リフォームの実績がありますので、お気軽にご相談ください。

■監修_リビングサーラ/施工管理担当者_資格:1級建築施工管理技士・2級建築士

WRITER PROFILE

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由本 裕貴

1983年3月20日、愛知県豊川市生まれ。
御津高校、愛知大学を経て、2005年に日刊スポーツ新聞社入社。プロ野球やサッカー日本代表を担当し、2014年に東愛知新聞社へ転職。2021年からフリーに転向し、翌年から東日新聞ライターとして東三河のニュースや話題を追っている他、スポーツマガジンやオカルト雑誌などでも執筆。豊川商工会議所発行「メセナ」の校正も請け負う。著書に「実は殺ってないんです 豊川市幼児殺害事件」「東三河と戦争 語り継ぐ歴史の痕跡」「訪れたい 東三河の駅」がある。
家族は妻と長男。趣味はスポーツ観戦、都市伝説の探求。

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