実家を二世帯住宅へとリフォームするメリットと注意点
「親に子育てをサポートしてもらいたい」「住み慣れた土地で暮らしたい」などの理由から、近居や同居を検討する方が増えています。
実家を二世帯住宅へと建て替える選択肢もありますが、解体費や建築費の上昇が続いている今、おすすめしたいのは“二世帯住宅へのリフォーム”です。
目次
実家を二世帯住宅へとリフォームする4つのメリット
実家を二世帯住宅へとリフォームするメリットは、主に4つあります。
- 建て替えと比べて費用を抑えられる
- 子育てのサポートを受けやすい
- 親世帯の介護がしやすい
- 家族の思い出が詰まった家を残せる
それぞれ見ていきましょう。
建て替えと比べて費用を抑えられる
二世帯住宅には、居住空間を完全に分ける「完全分離型」、キッチンや浴室などのみを共有する「部分共有型」、そして個室以外をすべて共有する「完全同居型」の3つのタイプがあります。
まずは、建て替えとリフォームの費用相場を比較してみましょう。
タイプ | 建て替え | リフォーム |
完全分離型 | 3,000~5,400万円 | 1,000万円~ |
部分共有型 | 2,400~4,500万円 | 800万円~ |
完全同居型 | 1,800万~3,600万円 | 300万円~ |
費用を比較してみると、どのタイプを選んだとしても建て替えよりもリフォームのほうが、費用を抑えられることがわかります。
ただし上記はあくまで相場なので、実際にかかる費用は、修繕規模や住宅の仕様によって異なります。
子育てのサポートを受けやすい
親世帯との同居は、子育てのサポートを受けやすい点がメリットです。
とくに親世帯がすでに定年退職しているのなら、お子さんの急な体調不良や保育園からのお迎え要請、長期休暇などにも対応してもらいやすくなります。
また、共働きなどでお子さんが留守番する機会が多い場合も、同じ建物内に両親がいるので安心です。
親世帯の介護がしやすい
毎日のように顔を合わせる二世帯住宅なら、親の体調変化にも気づきやすく、すぐに対応することができます。介護が必要になったときにも、通ったり一時的に住み込んだりすることなく、長期的にサポートできるでしょう。
親世帯と子世帯で助け合いながら暮らしていけるのは、二世帯住宅ならではのメリットと言えます。
家族の思い出が詰まった家を残せる
家を建て替えたいと思ってはいても、「先祖代々引き継いだ家だから」「思い出があるから」と、親世帯が解体の決断をできないことがしばしばあります。
しかしリフォームなら“残したい部分”と“新しくしたい部分”の取捨選択ができるので、家族の思い出が詰まった家を残せるのがメリットです。
実家を二世帯住宅へとリフォームするときの注意点
さまざまなメリットがある実家のリフォームですが、一方で知っておきたい注意点もあります。
住宅の状態によっては建て替えたほうがいい
リフォーム費用が建て替えよりも高くなる、または同じくらいになるときには、建て替えを検討したほうがよいでしょう。
たとえば雨漏りやシロアリ被害によって住宅の構造部分に重大なダメージがあるときや、増築が必要なときは、建て替えと同じくらいの費用がかかることもあります。
もちろん「家を残したい」という気持ちが優先ならば、リフォームでの対応も可能です。
しかし費用を優先するのであれば、住宅の状態やリフォーム規模から、建て替えとリフォームのどちらがよいのか判断しましょう。
バリアフリーを意識したリフォームにする
親世帯と暮らすリフォームは、バリアフリーをとくに意識しなくてはなりません。
完全分離ならば1階を親世帯、2階を子世帯にしたり、室内の段差を無くしたり通路幅を広くしたりと、親世帯の老後を見据えたプランニングが必要です。
プライバシー面の価値観を家族ですり合わせておく
二世帯住宅へのリフォームで最も悩むポイントが、プライバシー面です。
プライバシーの確保を優先するのであれば完全分離型、または部分共有型になりますが、二世帯分の設備が必要になるため費用が一気に跳ね上がってしまいます。
さらに設備に割く面積が増える分、他部分に使える床面積が減る点にも注意しなくてはなりません。
プライバシー面はリフォーム後の暮らしやすさに直結する、とても重要な部分です。
家族がどの程度のプライベート空間を必要としているのかをしっかりと話し合い、プランニングを進める前に、価値観をすり合わせておきましょう。
贈与税が発生する可能性がある
実家を二世帯住宅へとリフォームするにあたって、子世帯が費用を負担することは少なくありません。
その際に注意したいのが、贈与税です。
親名義の家のリフォーム費用を子世帯が110万円以上負担すると、贈与とみなされリフォーム費用の負担額に応じて10〜55%の贈与税が課税される可能性があるからです。
子世帯がリフォーム費用を負担するのであれば、譲渡または売買で家の名義を子世帯に変更するなど、贈与税の対策を考えましょう。
リビングサーラでの二世帯リフォームの成功事例
実家を二世帯住宅へとリフォームしたら、どんな住まいが完成するのかも気になりますよね。最後に、リビングサーラが手がけた二世帯リフォームの成功事例を紹介します。
事例1:親と共に住まうための快適リフォーム
親世帯の介護ができるよう、二世帯住宅へとリフォームした事例です。
水まわり設備の老朽化が進み使いづらさもあったため、交換と同時に移動も行い、二世帯でも使いやすい設備と配置に変更しました。
介護が必要になった親世帯と安全に暮らせるように、室内の段差はすべて取り除き、建具もゆっくりと閉まるソフトクローズを採用。
室内の雰囲気は大きく変わりましたが、銘木を使った玄関や廊下の天井はそのままにしたり、リフォーム前に使っていたカウンターをダイニングテーブルにしたりと、再利用できるものは活用しています。
住宅タイプ | 一戸建て |
築年数 | 32年 |
事例2:プライバシーを考慮した二世帯住宅へ
お子さんの小学校入学に合わせて、実家を1階が親世帯、2階は子世帯の完全分離型の二世帯住宅へとリフォームした事例です。
玄関は共有ですが、鍵付きのドアを設けることでプライバシー面にしっかりと配慮。
ちょうどいい距離感で暮らせます。
さらに親世帯の住まいは、既存の間取りを活かしつつもバリアフリーを意識。一方で子世帯の住まいはランドリースペースやファミリークローゼットを設けるなど、家事効率を意識した間取りになっています。
それぞれの価値観を尊重した二世帯住宅へと生まれ変わりました。
住宅タイプ | 一戸建て |
築年数 | 32年 |
面積 | 115㎡ |
リフォーム費用 | 1,400万円 |
まとめ
実家を二世帯住宅へとリフォームすれば、費用を抑えられるだけではなく、親世帯と子世帯のお互いが安心して暮らせるというメリットもあります。
しかし互いが心地よく住み続けるためには、価値観やプライバシーを意識したプランニングが必須。さらに住宅の状態によっては、必ずしもリフォームが適しているとは限りません。
建て替えとリフォームで悩んだときには、住宅の状態や予算、家族の価値観などから、リフォームと建て替えのどちらがよいのかを考えることが大切です。
新築住宅からリフォームまで幅広く手がけるサーラグループにご相談いただければ、リフォームだけにとらわれず、お客さまにとって最善な方法をご提案いたします。
ご両親との同居をお考えの方は、まずはご相談ください。
■監修_リビングサーラ/施工管理担当者_資格:1級建築施工管理技士・2級建築士
WRITER PROFILE
井本 ちひろ
建築科系学科卒の住宅×金融専門ライター。
子供に「おかえり」が言える仕事を探してライターの道へ。
大学で得た経験とFP2級の知識を活かし、家づくり、水回り設備、エクステリア、火災保険、相続など、住宅にまつわる幅広い記事を中心に活動中。