和紙畳(新素材の畳)のメリット・デメリットを解説!どんな畳か知っていますか?
生活様式の洋風化とフローリングの普及により、最近では和室のないお宅も多くなりました。
しかし、畳は世界に類がない日本固有の文化であり、今でも多くの方に愛されているのも事実です。何も敷かなくてもやわらかく、冬は暖かく、夏は涼しげで肌触りが気持ちいい。畳は、まさに「天然のエアコン」と言えます。オシャレな空間の創出や応接間、お年寄りや小さなお子さんの居場所として、四帖半畳敷きの和室をつくる方も増えています。
今回は、性能面の進化から、畳の弱点を克服した和紙畳(新素材の畳)がどんな畳なのか、メリット・デメリットも含めてご紹介します。
目次
和紙畳(新素材の畳)はどんな畳?
畳は現代も進化を続けており、中でも和紙畳は、一般的に畳に使われるい草を使わず細長くより合わせた和紙を編み込んで作る畳です。
デザインが豊富な上に、畳のデメリットをカバーしているため、オシャレで機能性の高い畳として人気を集めています。
琉球や半畳、ふちなしといった新しい形状も流行っています。
性能面の進化に着目し畳の弱点を克服した新素材の畳、和紙畳について試験結果と共にご紹介します。
優れた性能
和紙畳の特徴には次のようなものが挙げられます。
- 耐久性が高く、い草より長持ちする
- 撥水性に優れて汚れが染みつかない
- ダニやカビが発生しにくい
- 変色しにくく、新品と同じ状態が続く
- デザインやカラーバリエーションが豊富で、洋風・現代風な畳も楽しめる
- メンテナンスが簡単
変色しにくく、美しさ長持ち
機械妙和紙に特殊顔料を練り込み、さらに樹脂コーティングした効果によって変色・褐色を抑え、真新しいままの畳の表情を長く保ちます。
1~2年に相当する、48時間続けて紫外線を照射した変色試験結果で、い草と見比べても色ムラを気にする必要がありません。
伝統の高級畳の感触をそのままに、青畳の醍醐味を存分に味わえます。
身体や衣類に優しい
普段から使われないことの多い和室では、どうしても梅雨の時期にカビが発生してしまいがちです。
それでも和紙畳であれば、アレルギーやアトピー性皮膚炎の原因となるカビやダニの発生を抑えられます。
い草のように染土を使っていないため、衣類などを汚す心配もありません。
撥水効果が高く、掃除やお手入れも簡単。
汚れの目立たない柄を選択すれば、もしシミがついても安心です。
畳表を湿度の高い場所に1週間放置したカビの繁殖試験でも、い草の畳と比べて発生を抑制できました。
一方で、い草の畳に見られる調湿効果がない、畳らしいい草の香りを楽しめない、い草の畳よりも価格が高いといったデメリットがあるのも事実です。
い草畳と和紙畳の違い
い草畳と和紙畳の見た目はほとんど変わりませんが、4点の違いをご紹介します。
調湿効果
い草畳は部屋の湿気を吸収することから、適度な湿度を保てます。一方、和紙畳は湿気を吸収しないため、調湿効果はありません。
手触り感
い草畳は柔らかい手触りで、和紙畳は少し硬めです。ただし、和紙畳は表面を樹脂でコーティングして編みこんであるため、い草に比べて表面がぽろぽろと剥げてきにくくなっています。
衛生面
い草畳は網目の細かなすき間にダニが入り込みやすいですが、和紙畳は細かなすき間が無いため、ダニが入り込む心配がなく、カビの発生も抑制されます。
和紙畳は樹脂コーティングされていることによって撥水効果があるため、飲み物をこぼしても中に染み込まず、拭き取るだけなので衛生的です。
豊富なカラーバリエーション
和紙畳は、い草畳では作れない様々な色があります。豊富なデザイン性のため、和室にはもちろん、洋室にも合うデザインのカラーを選ぶことができます。
和紙畳(新素材の畳)のメリット、デメリットを解説!
和紙畳(新素材の畳)のメリット
和紙畳のメリットを4点にまとめてみました。
耐久性が高く長持ちする
和紙畳は耐久性に優れており、頑丈で傷みにくいという特徴があります。日焼けによる変色もしにくいです。
長持ちするためトータルコストが安い
和紙畳の価格はい草畳より高くなりますが、傷に強く、経年劣化がしにくいため、メンテナンスや交換をする必要がほとんどありません。
ダニやカビが発生しにくく衛生的
和紙畳は湿気を吸収しないため、ダニやカビが発生しにくい特性があります。また、和紙畳には樹脂コーティングがされており、汚れが染み込みにくいため、簡単に掃除がしやすく衛生的です。
カラーバリエーションが豊富
和紙畳は、デザインやカラーが豊富にあるため、お部屋の雰囲気に合わせたコーディネートができます。洋室にも合うので、フローリングと合わせたおしゃれな空間にすることが可能です。
和紙畳(新素材の畳)のデメリット
続いて、和紙畳のデメリットの3点です。
初期費用が少し高い
和紙畳は、い草畳よりも高価ですが、将来的に数回表替えをするい草畳と20~40年そのまま使い続ける和紙畳とのトータルコストで考えると、必ずしも高い金額とはいえません。
い草の香りが楽しめない
和紙畳は和紙を加工して畳にしているため、い草の香りはありません。い草の香りを楽しみたい方には向いていないかもしれません。
硬く感じる
い草畳よりも硬い素材でできているため、人によっては硬く感じることがあります。また、テレビや家具などの重いものを置くと跡が付きやすく、凹みが戻りにくいため注意が必要です。
和紙畳の耐用年数は?
和紙畳の耐用年数は、日々の使い方にもよりますが、約20~40年と言われています。
一方、い草畳の耐用年数は標準的なものなら15年程度、上質な畳でも20~25年と言われているため、比べると2倍以上の寿命があると考えていただいてもかまいません。
ダイケンが製造する和紙畳「健やかおもて」のデザインを一部ご紹介!
和紙畳には様々な色やデザインがあります。
壁紙や天井などのお部屋の雰囲気、用途によってお好きな色やデザインを選ぶと良いでしょう。
銀白(ぎんぱく)
爽やかな銀白色で、一般住宅、マンションから飲食店まで幅広い用途におすすめです。
清流(せいりゅう)
織り目の新しい斬新なデザインで、一般住宅はもちろん、ホテル、旅館、料亭、お茶室など、お客さまの多い場所におすすめです。縁なし畳にもマッチします。
銀白色の他、黄金色、亜麻色、墨染色、藍色、薄桜色、青磁色、小麦色などがあります。
綾波(あやなみ)
縁なし畳用にデザインされた綾織の畳表です。
床龍(しょうりゅう)
伝統美と高級感を上品に演出する、床の間専用の畳表です。
彩園(さいえん)
縁なし畳専用に開発された、平織りの新和風タイプ畳表です。
清流ちゅら
縁なしといえば七島表。その七島表の凸凹感のある質感・素材感を再現しており、モダンでかわいい新しい和の空間におすすめです。
色やデザインの詳細は、ダイケンのカタログからご覧いただけます。
ダイケン畳 健やかくん | カタログビュー (daiken.jp)
進化を遂げる畳床
畳は、畳表(畳の表面)、畳床(畳の中)、畳縁(畳へり)の3つの組み合わせで出来ています。
和紙畳とは、和紙を材料にした畳表を指します。
和紙畳の下部に位置する畳床も近年は進化を遂げており、エコ素材で健康・環境に配慮した商品が発売されています。
また、床暖房に対応できる商品もありますので、リフォームを検討いただく際には、小さなお子さんやお年寄りに優しい和室の床暖房もぜひ検討ください。
畳の新調や和室をお考えの方、和紙畳について関心のある方は、お気軽にご相談ください。
■監修_サーラエナジー/エネルギー事業、暮らし事業担当者
WRITER PROFILE
由本 裕貴
1983年3月20日、愛知県豊川市生まれ。
御津高校、愛知大学を経て、2005年に日刊スポーツ新聞社入社。プロ野球やサッカー日本代表を担当し、2014年に東愛知新聞社へ転職。2021年からフリーに転向し、翌年から東日新聞ライターとして東三河のニュースや話題を追っている他、スポーツマガジンやオカルト雑誌などでも執筆。豊川商工会議所発行「メセナ」の校正も請け負う。著書に「実は殺ってないんです 豊川市幼児殺害事件」「東三河と戦争 語り継ぐ歴史の痕跡」「訪れたい 東三河の駅」がある。
家族は妻と長男。趣味はスポーツ観戦、都市伝説の探求。