砂壁とは? 砂壁をリフォームする4つの方法・費用・工期を解説
砂がポロポロと落ちてきたり、ヒビやカビが発生したり、経年劣化が目立つ「砂壁」。どうにかしたいとお困りではないでしょうか。
砂壁の劣化は見た目にもよくありませんが、メリットである「調湿効果」が低下している場合もあります。
この記事では、砂壁のリフォーム方法を4つご紹介。それぞれの費用と工期も解説しているので、砂壁の劣化にお困りの方はぜひご覧ください。
目次
砂壁とは
砂壁とは、色砂(天然石や貝殻を粉砕したもの)を糊液で練ったものを原料とし、石こうボードなどの下地の上に塗り仕上げた壁を指します。
砂壁は、砂の色や素材を変えることによって多彩な表現が可能で、和室の王道の壁材として古くから使われてきました。
砂壁をリフォームする時期・タイミング
砂壁のリフォームタイミングは、壁の状態を注意深く観察することで判断できます。
以下のような状態が見られないか、確認してみましょう。
- 砂壁にヒビが入っている
- 砂壁が自然にボロボロ剥がれ落ちる
- 砂壁にカビが生えている
砂壁にヒビが見られたり、ボロボロと剥がれ落ちてきたりする場合は、劣化が進行しており、壁が脆く危険な状態です。リフォームすることをおすすめします。
また、砂壁にカビが生えている場合は、換気が不十分で湿気がたまっていると考えられます。換気をしても改善されない場合は、砂壁の調湿性が低下している可能性も。カビは健康に悪影響を及ぼすので、早めにリフォームを検討しましょう。
砂壁のメリット・デメリット
砂壁は、独特の風合いが魅力の壁材ですが、耐久性の低さやメンテナンス費用がかかることがデメリットです。
メリット1.調湿効果に優れている
砂壁は、部屋の湿度を調節する機能があります。湿度が高いときは湿気を吸収し、乾燥しているときには水分を放出。部屋の湿度をコントロールすることができます。
また、調湿作用はカビやダニの発生を抑えるのに有効です。砂壁は、高温多湿の日本に適した壁材ともいえます。
メリット2.燃えにくい
砂壁の原料である色砂は、不燃性の天然素材です。万が一の火災の際にも、燃え広がりにくく、延焼を防ぐ効果を期待できます。
木造住宅の防火性を高められることも、砂壁のメリットといえるでしょう。
メリット3.アレルギー対策になる
建材に含まれる化学物質が健康に悪影響を及ぼす「シックハウス症候群」。頭痛や目まいが起きたり、鼻水が出たり、喉が痛くなったりするなど、さまざまなアレルギー症状を引き起こすといわれています。
砂壁は天然素材で化学物質を含まないため、アレルギー対策として有効な建材です。
デメリット1.耐久性が低い
砂壁は、繊細に仕上げられた自然素材の壁です。衝撃や擦れには弱く、耐久性が低いといえます。
メリットである調湿性も、水分の吸収・放出を繰り返すうちに糊が劣化し、砂がポロポロと剥がれ落ちる原因に。調湿効果を維持するためには、定期的な塗り直しが必要になります。
デメリット2.メンテナンス費用がかかる
耐久性の低い砂壁は、メンテナンスが必要になるケースも少なくありません。軽微なひび割れや穴は、パテと塗料で補修することができますが、大きなひび割れや剥がれ、広範囲にカビが発生した場合は、専門業者に補修や塗り直しを依頼する必要があります。
デメリット3.掃除に手間がかかる
砂壁の凸凹とした表面は、自然素材らしい質感が魅力ですが、埃や汚れが付きやすく、掃除をしにくいことがデメリットです。
また、劣化した砂壁は、何もしていないのにポロポロと砂が崩れ落ちてくることも。カーテンや絨毯などに付着すると、取り除くのにも手間がかかります。
砂壁のリフォーム方法
砂壁のリフォーム方法は、塗り直しや塗り替えが基本です。砂壁リフォームにかかる費用と工期の目安を一覧でご紹介します。
リフォーム方法 | 費用の目安(6畳の場合) | 工期の目安(6畳の場合) |
砂壁の塗り直し | 5~10万円 | 2~5日 |
珪藻土への塗り替え | 12~21万円 | 2~4日 |
漆喰への塗り替え | 12~24万円 | 2~4日 |
壁紙への変更 | 9~20万円 | 1~3日 |
※費用や工期は、現状の砂壁や下地の状態、塗りの回数などによって変わります。詳しく知るには、現地調査が必要です。
砂壁→砂壁への塗り直し
部屋の用途が変わらず、劣化の修復が目的の場合は、砂壁への塗り直しが最も費用を抑えられます。
砂壁のメリットを維持しつつも、耐久性の低さや剥がれ落ちる砂が気になる場合は、同じ塗り壁材である珪藻土や漆喰への塗り替えがおすすめです。
砂壁→珪藻土への塗り替え
珪藻土は、植物性プランクトンの化石からできた塗り壁材です。小さな穴が無数にある「多孔質」という特徴があり、調湿性や吸音性、耐火性などに優れています。
珪藻土は、カラーバリエーションが豊富で、塗り方で模様を付けることも可能です。多彩な表現ができるので、和室に限らず、洋室やリビングなどにも幅広く使われています。
砂壁→漆喰への塗り替え
漆喰は、消石灰に糊を加えて練った塗り壁材です。珪藻土と同様に、塗り方でさまざまな模様を付けることが可能で、独特の表現力があります。
漆喰は時間の経過とともに硬化する特性があるため、塗り壁で耐久性を高めたい場合には漆喰がおすすめです。
砂壁から壁紙へ変更する
和室から洋室へのリフォームや雰囲気を変えたい場合には、壁紙に変更する方法もあります。ただし、砂壁のもつ調湿性や耐火性などのメリットは失われるので注意しましょう。
また、砂壁は湿気を吸収する特性があるので、砂壁を残したままビニールクロス(壁紙)で覆ってしまうと、結露が発生する可能性があります。結露はカビの発生にもつながるので、砂壁は除去して下地調整をしたほうが良いでしょう。
砂壁のリフォームは自分でDIYできる?
前述した通り、壁紙に変える場合は、砂壁は剥がしたほうが結露やカビを防げるので安心です。砂壁を剥がすことはDIYでも可能ですが、剥がした後のやすりがけやパテを塗るといった下地調整は簡単な作業ではありません。
DIYでは下地調整に失敗するケースも多く、それまでの作業と費用が無駄になってしまうことも。砂壁のリフォームは、基本的にリフォーム会社に依頼することをおすすめします。
砂壁リフォームを業者に依頼するときの注意点
砂壁リフォームを業者に依頼する際には、砂壁リフォームの施工実績やアフターサービスのある会社を選びましょう。
部屋の用途やイメージを明確にする
砂壁のリフォームのほかに、畳をフローリングにしたい、押し入れをクローゼットにしたいなど、部屋の用途やイメージを変えたい箇所が他にないか、事前によく確認しておきましょう。工事はまとめて行ったほうが費用を抑えられます。
リフォーム業者の選定
砂壁のリフォームは難易度の高い工事のため、砂壁の施工実績があるリフォーム会社を選ぶことが大切です。施工実績の有無は事前に確認しておきましょう。
事前調査
見積もりの作成には、事前調査が必要です。事前調査では、砂壁のカビやヒビの有無など状態をチェックします。砂壁の状態によって、表層的なリフォームで済む場合もあれば、大掛かりなリフォームが必要になる場合もあります。
見積もりと予算の確認
見積もり内容が予算と合っているか、内訳を含めてよく確認しましょう。疑問点があれば、契約前に業者に確認することが大切です。
アフターサービスの確認
万が一に備えて、アフターサービスのあるリフォーム会社を選ぶと安心です。アフターサービスは会社によって内容がさまざまなので、よく説明を受けておきましょう。
工期とスケジュールの調整
砂壁のリフォーム期間中は、部屋が使えなくなります。個室として使っている場合は、工事期間中どこで過ごすのか、スケジュール調整を含めて検討しておく必要があります。
まとめ
砂壁のリフォームは主に4つの方法があり、最も費用を抑えられるのは砂壁の塗り直しです。耐久性の低さや剥がれる砂が気になる場合は、同じ塗り壁材の珪藻土や漆喰に塗り替えると良いでしょう。
費用や工期は、現状の砂壁の状態にも左右されるので、現地調査を行うことが大切です。
リビングサーラでは、事前の現地調査をしっかりと行った上でお見積りをご提案いたします。アフターサービスも充実しており、リフォームを末永くサポートさせていただきます。
■監修_リビングサーラ/施工管理担当者_資格:1級建築施工管理技士・2級建築士
WRITER PROFILE
高山 みさと
住宅・インテリア専門ライター。設計職の経験とインテリアコーディネーターの資格を活かして多くのメディアで記事を手掛けている。
築20年の戸建てに夫と息子の3人暮らし。実際にさまざまなリフォームを経験し、執筆にも活かしている。自分で設計したキッチンにリフォームするのが夢。