ベランダに屋根を後付けすることは可能?設置するメリットや注意点を解説!

ベランダやバルコニーは、洗濯物干し以外にも観葉植物を育てたり、家庭菜園をしたりなど住まいの大切な屋外スペースです。突然の雨で洗濯物が濡れないよう、屋根をつけたいと考えた方も多いのではないでしょうか。実はベランダ屋根には洗濯物の雨よけ以外にも多くのメリットがあるのです。
この記事では、ベランダ屋根の設置によるメリットや、後付け工事の際の注意点、費用の目安などについて詳しく解説します。
なお、本来ベランダは屋根のある屋外スペースという意味です。屋根がついていない屋外スペースはバルコニーと呼びますが、ここではひとまとめにベランダとして解説します。
ベランダ屋根の設置をご検討の方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次
ベランダ(バルコニー)屋根のメリット

まずはベランダに屋根を設置することで得られるメリットについて、具体的にご紹介していきます。
メリットは主に以下の4点があげられます。
【ベランダ屋根のメリット】 ・突然の雨でも洗濯物が濡れない ・洗濯物の目隠し効果がある ・日差しをコントロールできる ・バルコニーの寿命を伸ばせる |
それぞれのメリットについて詳しく見てみましょう。
突然の雨でも洗濯物が濡れない
急な天候の変化は、洗濯物を干している方にとって大きな悩みとなっています。ベランダに屋根があれば、突然の雨が降り出しても慌てて洗濯物を取り込む必要がありません。
また、外出時も安心して洗濯物を干したままにできるため、家事の効率化にもつながります。
洗濯物の目隠し効果がある
ベランダ屋根を設置することで、洗濯物を見えにくくする効果があります。商品によっては側面や正面に目隠しパネルを追加できるものもあるため、道路に面したベランダでも、プライバシーを確保しながら洗濯物を干すことが可能です。
日差しをコントロールできる
屋根の設置により、室内に差し込む直射日光を適度にさえぎれます。とくに夏場は、室温の上昇を抑制できるため、エアコンの効率が向上し、光熱費の削減にもつながります。
また、家具や床材の日焼けを防ぐ効果も期待できるでしょう。
バルコニーの床の寿命を伸ばせる
戸建て住宅の2階にあるベランダ床には、防水塗料や防水材が使用されています。これらの耐用年数は通常10〜15年程度ですが、強い日差しにさらされ続けると紫外線の影響で劣化が早まることがあります。劣化したままだと雨漏れの危険性があり、定期的なメンテナンスが必要です。
屋根を設置して直射日光を遮ることで、床材の寿命を延ばせます。
ベランダに屋根を後付けするデメリット
多くのメリットがある一方で、ベランダに屋根を後付けすることにはいくつかのデメリットも存在します。設置してから後悔しないように、事前にしっかりと把握しておきましょう。
部屋が暗くなる可能性がある
屋根を設置することで、室内に差し込む光の量が減り、部屋が以前より暗く感じられることがあります。特に、もともと日当たりの良くない北向きのベランダや、リビングに面したベランダの場合は注意が必要です。このデメリットは、光を通しやすい透明または半透明の屋根材を選ぶことで、ある程度緩和できます。
雨音が気になることがある
屋根の素材によっては、雨が当たると音が響くことがあります。特に、寝室に面したベランダに屋根を設置する場合、豪雨や台風の際に雨音が気になって眠りを妨げてしまう可能性も考えられます。静音性に配慮された製品もありますが、音に敏感な方は注意が必要です。
定期的なメンテナンスが必要になる
屋根を設置すると、落ち葉や砂埃、鳥のフンなどで汚れが溜まりやすくなります。美観を保ち、屋根材の劣化を防ぐためには、定期的な掃除が必要です。手の届きにくい高所の掃除は、手間や危険が伴うことも考慮しておきましょう。
強風や積雪で破損するリスクがある
屋根は風や雪の影響を直接受けます。台風が多い地域や積雪地帯では、それに耐えうる強度を持った製品を選ばないと、強風で屋根材が飛んだり、雪の重みで破損したりする危険性があります。地域の気候に合った耐風圧強度や耐積雪量の製品を選ぶことが重要です。
ベランダ(バルコニー)の屋根を後付けするときのポイント・注意点

後付けでベランダ屋根を設置する際は、いくつかの重要なポイントに注意が必要です。以下の項目について、順を追って確認していきましょう。
チェック項目 | 確認ポイント | 注意事項 |
□ 方角の確認 | ・南向き/南東向き:◎ ・北向き/北西向き:△ | 北向きの場合は、設置効果が限定的になる可能性があります |
□ 取付スペース | ・十分な奥行きがあるか ・施工スペースは確保できるか | 奥行きが小さいと、雨よけ効果が低下します |
□ 建ぺい率 | ・現在の建ぺい率 ・増加後の建ぺい率 ・法定制限値 | 建築士や専門家への事前相談が必要です |
□ 外壁状態 | ・防水処理の必要性 ・外壁の強度 ・固定方法 | 雨漏り防止のため、専門業者による施工が必須です |
□ 物件種別 | ・持ち家:自己判断可能 ・賃貸:要相談 | 賃貸の場合: ・管理会社/大家の許可が必要 ・原状回復費用の確認 |
□ 雨音対策 | ・通常タイプ ・防音仕様タイプ | ポリカーボネート製の場合、雨音が発生します |
□ 地域特性 | 地域の気候特性を把握する 例:豪雪地域、強風地域など | 地域の気候に適した製品を選択してください |
※ベランダを後付けする場合、形状によっては「増築」とみなされ、建ぺい率や容積率に影響することがあります。その場合は建築確認申請が必要になるケースもあります。実際の工事にあたっては、設計士や建築士にご確認ください。
それぞれのポイント・注意点についてもう少し詳しく見ていきましょう。
屋根の取り付けに適した方角かチェックする
ベランダ屋根の効果を最大限に引き出すためには、方角の選定が極めて重要です。たとえば、南向きや南東向きのベランダは、朝日から夕方まで十分な日光を受けるため、日差しの調節効果が高く期待できます。これは夏場のエアコン使用時にとくに効果を発揮し、室温の上昇を2〜3度程度抑える効果があるとされています。
一方、北向きや北西向きの場合は、日照時間が限られるため、日差し対策としての効果は限定的です。例えるなら、日傘を差して日向を歩くのと日陰を歩くのでは、効果に大きな違いがあるのと同じです。ただし、雨よけとしての機能は方角に関係なく発揮されます。
取付スペースを確認する
効果的な雨よけとして機能するためには、十分な奥行きが必要です。ベランダの奥行きが小さい場合、屋根を設置しても雨風を十分に防ぐことができず、期待した効果が得られない可能性があります。取り付け前に、必要な奥行きを確保できるか確認しましょう。
建ぺい率のチェックが必要
建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合のことで、地域によって制限値が異なります。建築面積とは建物を真上から見たときの面積です。
建築面積には緩和ルールがあり、一定の条件を満たすと面積に含まないとする決まりがあります。ベランダもそのひとつで、外壁から張り出した形状のベランダは一定規模以上のものを除き建築面積に含まないというルールがあります。
しかし、このベランダに柱付きの屋根やサンルームを設置するとベランダの面積が建築面積に含まれてしまうのです。そのため建ぺい率ギリギリで建てた建物の場合は、ベランダ屋根をつけることで、建築基準法違反につながる可能性もゼロではありません。
あらかじめ建ぺい率のチェックを行なったうえでベランダ屋根の設置を検討すると良いでしょう。
外壁の防水処理をしっかり行なう
後付けの屋根設置では、外壁に複数のボルトホールを開ける必要があります。これは、本の棚を壁に取り付けるような簡単な作業ではありません。例えるなら、船底に穴を開けて装備を取り付けるようなもので、確実な防水処理が必要不可欠です。
一般的な工事では、シーリング材による防水処理に加え、専用の防水カバーを設置するなど、複数の防水対策を施します。これは、一度雨漏りが発生すると、外壁内部の腐食や室内の壁紙剥がれなど、予想以上に広範囲な被害につながる可能性があるためです。
持ち家か賃貸か
持ち家の場合は、自己判断で屋根を設置できますが、賃貸物件の場合は慎重な対応が必要です。賃貸物件では、退去時の原状回復義務があり、屋根の撤去費用や外壁の補修費用が必要となる可能性があります。設置を検討する際は、必ず管理会社や大家さんに相談してください。
雨音が気になることがある
多くのベランダ屋根には、ポリカーボネート製の屋根材が使用されています。
ポリカーボネート製の屋根材は、軽量で丈夫な反面、雨音が気になりやすいのが特徴です。とくに就寝時の雨音は、静かな環境だとポンポンと太鼓を叩くような音に感じられることもあります。防音性能を重視する場合は、雨音軽減仕様の商品をチョイスするのがおすすめです。
住んでいる場所の気候に合わせる
地域によって気候条件が大きく異なるため、その地域に適した屋根を選択することが重要です。強風地域では耐風性能の高い商品を、積雪地域では耐雪荷重の大きい商品を選ぶなど、地域特性に応じた選択が必要です。
後付けできるベランダ屋根の種類と選び方

ベランダに後付けできる屋根には、様々な種類があります。ここでは「形状」と「素材」の2つの観点から、それぞれの特徴と選び方のポイントを解説します。
【形状で選ぶ】アール型:雨の吹き込みを防ぐ優しいフォルム
屋根の先端がアルファベットの「R」のように丸みを帯びているのが「アール型」です。 優しく柔らかな印象を与えるデザインで、和風から洋風まで様々な住宅にマッチします。
先端がカーブしていることで、雨の吹き込みを防ぎやすいという機能的なメリットもあります。
【形状で選ぶ】フラット型:モダンで開放的なデザイン
屋根が一直線になっているのが「フラット型」です。 シャープでモダンな印象を与えるため、シンプルなデザインの住宅と相性が良いでしょう。
アール型のように先端が下がっていないため、開放感が感じられ、ベランダが広く見えるというメリットがあります。
【形状で選ぶ】ルーフ型:柱なしで広々使える
「ルーフ型」は、屋根を支える柱がなく、建物の外壁に直接取り付けるタイプの屋根です。 柱がない分、ベランダのスペースを広々と使えるのが最大のメリットです。狭小地の住宅や、ベランダからの眺望を重視したい場合におすすめです。
【素材で選ぶ】ポリカーボネートが主流
現在、ベランダ屋根の素材として主流なのが「ポリカーボネート」です。 ポリカーボネートは、ガラスの約200倍の強度を持ちながらも、軽量で加工しやすいのが特徴です。
紫外線をほぼ100%カットする効果があるため、洗濯物や室内を日焼けから守ります。また、太陽光の熱をカットする「熱線吸収タイプ」や「熱線遮断タイプ」もあり、夏の暑さ対策として非常に有効です。
ベランダ(バルコニー)の屋根を後付けする際の費用相場

ベランダ屋根の設置費用は、規模や材質によって大きく異なります。標準的なサイズの場合、工事費を含めて10〜20万円程度が一般的な相場です。ただし、大型のサイズや高機能な商品を選択する場合は、それ以上の費用がかかることもあります。
ベランダ屋根以外の選択肢も検討しよう
ベランダの利用目的によっては、屋根以外の製品が適している場合もあります。代表的な2つの選択肢をご紹介します。
手軽な日よけ・雨よけなら「オーニング」
「オーニング」は、布製の折りたたみ式テントのようなもので、必要な時だけ引き出して使える簡易的な屋根です。 日差しが強い日や、小雨の時だけ使いたいといった場合に便利です。使わない時は収納できるため、日当たりを確保したい時にも柔軟に対応できます。
部屋のように使える「サンルーム」
洗濯物を干すスペースとしてだけでなく、もう一つの部屋としてベランダを活用したい場合は、「サンルーム」の設置も選択肢の一つです。 ガラスで囲まれた空間なので、雨や風、花粉などを気にせず洗濯物を干せるほか、趣味のスペースや子供の遊び場としても活用できます。
最後に

ベランダ屋根の設置は、日常生活の快適性を高める有効な方法です。しかし、その設置には地域特性の理解や専門的な知識・技術が必要不可欠です。長期にわたって安全に使用するためには、信頼できる業者に依頼することをお勧めします。
サーラグループでは、地域に密着したサービスを提供しており、お客様のニーズに合わせた最適な提案が可能です。ベランダ屋根の設置をご検討の際は、ぜひサーラのリフォームにご相談ください。

■監修_リビングサーラ/施工管理担当者_資格:1級建築施工管理技士・2級建築士

WRITER PROFILE

つむぎ編集部
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