屋根の葺き替えとは?交換が必要な状態と費用相場、工期は?

屋根の葺き替えとは?交換が必要な状態と費用相場、工期は?

屋根の劣化が気になるときや水漏れなどが起こったときには、部分的な修理を考えるかもしれませんが、状態によっては『葺き替え(ふきかえ)』をしたほうがいいケースもあります。

しかしどのような状態なら、部分補修ではなく葺き替えが必要なのでしょうか。

本記事では、葺き替えの費用や工期などの基本部分を説明します。

サーラのリフォームCTA

屋根の『葺き替え』とは?

瓦屋根

そもそも葺き替えは、どのような工事を行うのでしょうか。

屋根の修理でよくある『重ね葺き(かさねぶき)』との違いもあわせて説明します。

屋根を丸ごと新しく交換すること

既存の屋根を撤去して、新しい屋根材を取り付けることを『葺き替え』といいます。

屋根材だけではなく防水シート(ルーフィング)と野地板も交換するので、新品同様の仕上がりになり、家の寿命を延ばせられる点がメリットです。

葺き替えの目的は修繕ではありますが、瓦屋根から金属屋根に交換して住宅のイメージをがらっと変えるなど、家の模様替えのような役割もあります。

既存の屋根よりも軽い屋根材へと交換すれば、耐震性の向上にもつながるでしょう。

逆に重い屋根だと荷重に家が耐えられなくなる恐れがあるため、既存屋根より重量のある屋根材への交換はできません。

なお、建築基準法の改正により2025年4月からは、木造2階建てと床面積が200㎡を超える平屋は『新2号建築物』として扱われます。野地板のような屋根を構成する建材を1/2以上改修すると大規模修繕に該当し、工事にあたって『建築確認申請』が必要です。

建築確認申請は“現行の建築基準法を満たしているか”を確認するための大切な検査ではありますが、申請には費用と時間がかかります。

「できるだけ費用を抑えたい」と考える方は、2025年4月までに工事を進めたほうがよいでしょう。

木造戸建の大規模なリフォームに関する建築確認手続について

『重ね葺き』との違い

葺き替えが屋根全体を交換するのに対して、『重ね葺き(カバー工法)』は既存屋根の上に新しい屋根を重ねます。“既存屋根を撤去するか、しないか”という部分が大きな違いです。

重ね葺きには、葺き替えよりも費用が安価で工期も短く、断熱効果が期待できるなどのメリットがあります。しかし既存の防水シートや野地板の交換ができないので、状態によっては施工できないことも。また日本瓦や洋瓦のような、瓦屋根は葺き替えができません。

なお、重ね葺き(カバー工法)は、2025年4月以降も建築確認申請は不要です。

屋根の葺き替えが必要なケース

天井の雨漏り

葺き替えは大掛かりな工事になるので「できれば避けたい」と考える方も多いです。

しかしここで挙げるような状態や症状があるのなら、部分的な修繕や重ね葺きよりも、葺き替えを検討したほうがよいでしょう。

屋根材の耐用年数が過ぎている

築年数が経っていて、なおかつ屋根材の耐用年数が過ぎているのなら、葺き替えをおすすめします。屋根材ごとの耐用年数は以下のとおりです。

日本瓦50〜100年
セメント瓦
30〜40年
ガルバリウム鋼板
スレート20〜30年
アスファルトシングル
トタン10~20年
ステンレス40~50年

屋根材によって差はありますが、築30〜40年ほどが目安時期です。

屋根材の劣化が激しい

屋根材は瓦1枚を取り替えたりスレートを差し替えたりと、部分的な補修が可能です。

しかし部分補修では対応しきれないほど広範囲が劣化や破損している場合は、防水シートや野地板まで劣化している可能性があるため、葺き替えを検討しましょう。

台風による剥がれや積雪による屋根の破損なら、火災保険を使って修理できる可能性があります。

野地板が劣化している

防水シートが劣化すると野地板に雨水が入り込み、腐食して雨漏りが発生します。

もし野地板が劣化や腐食しているのなら、葺き替えで根本からしっかりと修繕することをおすすめします。

劣化・破損した屋根を放置するリスク

劣化または破損した屋根を放置すると、雨漏りの原因になるだけではなく、構造部分が腐食して住宅に重大なダメージを与えてしまうことも。

屋根だけではなく構造部分も修繕するとなると、費用は一気に跳ね上がります。

屋根に劣化や破損がみられるのなら、できるだけ早くリフォーム会社に相談しましょう。

屋根の葺き替えの費用相場と工期

費用相場と工期

屋根材の葺き替え費用と工期は、どのくらいかかるのでしょうか。

それぞれ見ていきましょう。

葺き替えの費用相場

葺き替えの費用相場は既存屋根の種類と、新しい屋根材の種類によって変わります。

一戸建ての屋根を交換するときの費用相場は、以下のとおりです。

既存屋根新しい屋根材費用相場
瓦屋根90〜250万円
スレート屋根70〜200万円
ガルバリウム鋼板80〜200万円
スレート屋根スレート屋根70〜160万円
ガルバリウム鋼板80〜200万円
セメント瓦瓦屋根100〜250万円
スレート屋根95〜200万円
ガルバリウム鋼板80〜180万円

さらに屋根材の費用に加えて、以下のような費用もかかります。

施工内容費用相場


施工費用
日本瓦:5,500〜15,000円/㎡
スレート屋根:4,000〜8,000円/㎡
ガルバリウム鋼板:5,000〜8,000円/㎡
撤去費用+廃材処分費3,000〜6,000円
防水シート施工2,000〜4,000円/㎡
足場費用600〜1,500円/㎡
アスベスト処理費10〜30万円

既存屋根が古いスレート屋根の場合はアスベストを含んでいる可能性があり、その場合は処分費がかかります。撤去にあたって家をシートで覆う準備や近隣住民への挨拶も必要になるため、事前に業者に確認しておきましょう。

また表を見てわかるように、施工費用の中でも足場費用が意外と高額です。

外壁も劣化してきているのなら、屋根材と同時に外壁塗装や交換もしておくと足場費用を抑えられます。

葺き替えの工期

葺き替えの工期は、7〜10日ほどが一般的で、次の流れで進んでいきます。

  1. 足場の設置と既存屋根の撤去:2~3日
  2. 下地の補修:1~2日
  3. 新しい屋根材の設置:2~3日
  4. 仕上げ作業:1~2日
  5. 清掃と点検:1日

屋根の形状や状態、修繕の程度、天候によっても若干左右しますが、10日前後と考えておくとよいでしょう。

梅雨時期や冬の寒い時期などは天候によって作業が止まることが多いので、早めに工事を済ませたいのなら、春や秋のように気候が安定している時期に工事を行うことをおすすめします。

まとめ

屋根の画像

屋根は高い部分にあるため劣化や破損にはなかなか気づけないので、雨漏りが起こって初めて気づくことも少なくありません。

大規模な台風や積雪があったときには、点検依頼をしたほうが安心です。

軽度な水漏れや破損であれば部分的な修繕で済みますが、耐用年数を超えていたり、破損や劣化が広範囲にわたっていたりするのなら、葺き替えで根本からしっかりと修繕することをおすすめします。

サーラのリフォームでは屋根材の点検依頼も受け付けており、家を長持ちさせるために適切な方法を提案させていただきます。グループ会社であるサーラフィナンシャルサービスをご利用いただければ、火災保険の適用有無まで一貫してサポートが可能です。

住まいに関する困りごとは、ぜひサーラグループにご相談ください。

サーラのリフォームCTA

■監修_リビングサーラ/施工管理担当者_資格:1級建築施工管理技士・2級建築士

資料請求・お問い合わせはこちらから

WRITER PROFILE

アバター画像

井本 ちひろ

建築科系学科卒の住宅×金融専門ライター。
子供に「おかえり」が言える仕事を探してライターの道へ。
大学で得た経験とFP2級の知識を活かし、家づくり、水回り設備、エクステリア、火災保険、相続など、住宅にまつわる幅広い記事を中心に活動中。

RELATED

  • 【早めに修理を!】雨樋が壊れた!修理すべき?壊れる原因や費用相場について建築士が解説

    【早めに修理を!】雨樋が壊れた!修理すべき?壊れる原因や費用相場について建築士が解説

  • 新築住宅にかかる固定資産税はいくら?目安や計算方法など紹介!

    新築住宅にかかる固定資産税はいくら?目安や計算方法など紹介!

  • エコカラットは後悔する?エコカラット導入のポイントや施工事例をご紹介

    エコカラットは後悔する?エコカラット導入のポイントや施工事例をご紹介

  • 新築にテレビアンテナはいらない?アンテナ設置のメリットデメリット

    新築にテレビアンテナはいらない?アンテナ設置のメリットデメリット

  • 新築の間取りの成功例を紹介、30坪前後で快適な暮らしを!

    新築の間取りの成功例を紹介、30坪前後で快適な暮らしを!

  • キッチンの目隠しアイデアとおしゃれな施工事例をご紹介!

    キッチンの目隠しアイデアとおしゃれな施工事例をご紹介!