サンルームを後付けで増築!価格相場やメリット、注意点を解説

屋根や壁がガラスやポリカーボネート(耐熱性、耐衝撃性のあるプラスチック)素材で囲まれたサンルーム。突然の雨を防いだり、冬場もポカポカで物干しやカフェスペース、ガーデニングまでさまざまな使い道ができる魅力的なスペースです。
サンルームの増築を検討中の人の中には「費用はどれくらい?」「我が家に合うタイプはどれ?」といった疑問を抱えている人もいるでしょう。こんな疑問を持ったまま進めると、予算オーバーや使い勝手の悪さ、建築基準法違反といったトラブルになりかねません。
この記事では、サンルーム増築の基本知識から費用相場、メリット・デメリット、注意点までわかりやすく解説します。事前に理解しておくことで、後悔のない快適なサンルーム空間を手に入れ、固定資産税の増加や違法建築のリスクも避けられます。
ぜひ最後までお読みください。

サンルームの増築は方法と費用相場を確認しよう
サンルームの増築を検討する際は、まず設置方法と費用相場についての理解が大切です。
サンルームには
- 床納まりタイプ
- 土間納まりタイプ
- バルコニー囲いタイプ
の3種類があります。
それぞれの特徴や費用は異なりますので、ご自宅の環境や予算に合わせて最適なタイプを選ぶようにしましょう。各タイプの詳細や費用相場について、ここでは詳しく解説していきます。ご自宅に合ったサンルームを選ぶための参考にしてください。
サンルームの増築方法1:床納まりタイプ
床納まりタイプは1階の庭に取り付けるタイプで、住まいの床と同じ高さでバルコニーを設置できます。そのため出入りがスムーズで使いやすい点が魅力です。
床納まりタイプの費用相場は、サイズによって次のように異なります。
サイズ | 費用相場 |
横幅2,730mm×奥行1,785mm | 約50万~85万円 |
横幅3,640mm×奥行1,785mm | 約55万~90万円 |
横幅3,640mm×奥行2,685mm | 約70万~110万円 |
※標準工事の費用相場となります。
サンルームの増築方法2:土間納まりタイプ
土間納まりタイプも1階の庭に設置しますが、既存のタイルテラスやコンクリートの床を活用して取り付けます。
住まいとの段差があるため出入りには若干の手間がかかりますが、床納まりタイプより開放的な「屋外」の雰囲気を楽しめます。ゴミ置き場や自転車置き場など、屋外収納スペースとしても最適です。
土間納まりタイプの費用相場は以下の通りです。
サイズ | 費用相場 |
横幅1,820mmx奥行885mm | 45〜75万円 |
横幅1,820mmx奥行1,785mm | 55〜90万円 |
横幅2,730mm×奥行1,785mm | 65~110万円 |
横幅3,640mm×奥行1,785mm | 70~115万円 |
横幅3,640mm×奥行2,685mm | 105~180万円 |
※標準工事の費用相場となります。
土間やタイルテラスを新しくつくる場合は、上記に加えて工事費用が別途かかります。
サンルームの増築方法3:バルコニー囲いタイプ
バルコニー囲いタイプは2階のベランダやバルコニーにサンルームを取り付けるタイプです。既存のベランダ・バルコニー空間を囲ってつくります。バルコニー囲いタイプではサンルームの取り付けには制限があり、寸法や取り付け位置には決まりがあります。
バルコニー囲いタイプの費用相場は以下の通りです。
サイズ | 費用相場 |
横幅2,730mm×奥行885mm | 55~80万円 |
横幅2,730mm×奥行1,785mm | 65~90万円 |
横幅3,640mmx奥行885mm | 55〜85万円 |
横幅3,640mm×奥行1,785mm | 65~90万円 |
※標準工事の費用相場となります。
サンルームを増築するメリット

サンルームの増築にはおもに下記のメリットがあります。
- 天候を気にせず洗濯物を干せる
- 断熱効果が得られる
- 植物を育てるのによい
これらのメリットを理解することで、サンルーム増築の価値をより明確に把握できるでしょう。自分のライフスタイルに当てはめてみて、サンルームでどんな利用シーンが思い浮かぶか想像してみてください。
天候を気にせず洗濯物を干せる
サンルームの最大のメリットのひとつは、天候に左右されず洗濯物を干せる点です。サンルームは透明や半透明のガラス、ポリカーボネートで囲われているため、以下の効果が期待できます。
- 雨の影響を受けない
- 日光を取り入れて、暖かい空間を維持できる
そのため横殴りの雨が降っても洗濯物が濡れませんし、冬場は洗濯物が乾きやすくなります。また、紫外線を適度に取り入れられるため、衣類の除菌効果も期待できます。除菌効果により室内干しによる生乾きの臭いや部屋の湿気問題も解消できるでしょう。
断熱効果が得られる
サンルームは家の外壁と外部の間に空気層を作り出すため、断熱効果が得られます。とくに日当たりのよい場所にサンルームを設置すると、冬季にはサンルーム内が暖かくなり、より効果的に冷気の侵入防止が可能です。これにより暖房効率が向上し、エネルギーコストの削減にもつながります。
サンルームは住宅全体の温度変化を緩やかにするため、快適な室内環境を維持しやすくなります。
植物を育てるのによい
サンルームは植物栽培に理想的な環境を提供します。豊富な日光と年間を通じて安定した温かい環境により、さまざまな種類の植物を育てられます。外部と隔離された空間のため霜や虫がつきにくく、プランターでの野菜などの栽培とも相性がよいです。
サンルームを増築するデメリット

サンルームの増築には多くのメリットがある一方で、下記のようなデメリットもあります。
- 雨音がうるさい
- 外から丸見え
- 夏は暑くなりやすい
実際に増築を検討する際には、これらのデメリットをあらかじめ認識し、対策を考えておくことが重要です。ここではサンルーム増築に伴うおもなデメリットと、その対処法について解説します。これらの情報を参考に、自分の生活環境や優先事項に照らし合わせて、サンルーム増築について総合的に判断しましょう。
雨音がうるさい
サンルームのデメリットとして最も多く挙げられるのが、雨天時の騒音問題です。屋根がプラスチック素材のため、雨粒が直接屋根に当たるとコツコツと叩くような音が発生します。
とくに激しい雨や雹の場合は、かなりの騒音となる可能性があります。この問題は、サンルームを寝室の近くに設置する場合にとくに注意が必要です。就寝時に雨音が気になり、睡眠の質が低下する恐れがあるため、寝室以外の場所に設置するなど、設置位置を慎重に検討しましょう。
近年では防音効果のある屋根材も開発されていますので、予算に余裕があれば検討してみるのもひとつの手です。
外から丸見え
サンルームは透明または半透明のパネルで構成されているため、プライバシーの確保が課題となります。外からの視線が気になり、リラックスできない場合があります。
せっかくカフェスペースとして利用したかったのに、視線が気になって使わなくなってしまったといった問題が生じかねません。
対策としては、カーテンレールの設置や目隠しパネルの取り付けが有効です。また、サンルーム外側への目隠しフェンスの設置により、採光を確保しながらプライバシーを守ることも可能です。
夏は暑くなりやすい
サンルームの大きなデメリットのひとつに、夏場の温度上昇があります。
先ほど述べたようにガラスやポリカーボネートは温室効果を生み出すため、直射日光が当たる夏場はサンルーム内は非常に高温になりやすいです。この問題に対処するには、通風窓や換気扇を設けて空気を循環させるのが有効です。また、遮熱性能を備えた屋根材を採用したり、日よけシェードやすだれを設置したりして直射日光を遮る工夫も効果的でしょう。
季節ごとの使い方を工夫し、夏場は早朝や夕方など比較的涼しい時間帯での使用を心がけるとよいですね。
サンルームを増築するときの注意点

サンルームの増築を成功させるためには、いくつかの重要な注意点があります。単に見た目や使い勝手だけでなく、法的な側面や将来的なコストについても事前に検討しておくのが重要です。ここでは、サンルーム増築時にとくに注意すべきポイントについて詳しく解説します。これらの情報を参考に、後悔のない計画を立てましょう。
固定資産税の納める額が増える
サンルームの増築をすると、固定資産税が増えます。理由を簡単に説明するとサンルームが屋根や壁で囲われており、建物として判断されるためです。
具体的には以下のように固定資産税が計算されます。
固定資産税の評価額x税率(1.4%)=固定資産税額
たとえばサンルームの評価額が100万円の場合、年間の固定資産税額は14,000円となり、毎年数千円程度の追加固定資産税が発生します。
サンルームを頻繁に活用できれば追加コストは価値があるものとなりますが、使用頻度が低ければ単なる税負担増となります。そのため、増築前に将来的な使用計画を綿密に立て、本当に必要な増築かどうかを慎重に判断することが大切です。
建ぺい率の制限に引っかかる可能性がある
サンルームの増築は建築物の床面積として算入されるため、建ぺい率(敷地面積に対する建築面積の割合)の制限に注意が必要です。建ぺい率は地域ごとに上限が定められており、既に制限いっぱいまで建築されている場合、サンルームの増築により違法建築となる可能性があります。増築前に現在の建ぺい率を確認し、余裕があるかを判断することが重要です。
また、増築後には約10万円程度の費用が必要となる登記変更手続きも忘れずに計画に組み込んでおきましょう。
そうじが大変
サンルームのメンテナンスにおける大きな課題は清掃の手間です。サンルームは以下の点から定期的な掃除が欠かせません。
- 透明なパネルは指紋や埃、水垢が目立ちやすい
- 屋根部分には落ち葉や砂、鳥の糞が堆積しやすい
とくにバルコニー囲いはそうじ自体が高所作業になる可能性があり、自身でのメンテナンスが困難になる可能性が十分に考えられます。
汚れを放置すると見た目が損なわれるだけでなく、素材の劣化も早まるため、定期的なメンテナンスは必須です。サンルームの増築を検討する際は、この清掃の手間を考慮し、定期的なメンテナンスが可能かどうかも検討しましょう。
建築会社の住宅保証が受けられなくなることも
サンルームの増築を依頼する業者選びにも注意が必要です。とくに新築住宅の場合、家を建てた建築会社以外の業者にサンルーム工事を依頼すると、住宅保証に影響が出る可能性があります。
サンルーム設置工事では外壁に穴を開ける作業が伴うため、雨漏りなどのリスクが発生します。このような工事によって生じた不具合は、建築会社の保証対象外となることがあるのです。そのため、新築後間もない住宅にサンルームを増築する場合は、建築したハウスメーカーに相談するのが安心です。
サンルームの増築は住宅の保証内容を事前に確認し、保証期間中の増築工事がどのような影響を与えるのかを明確にしておきましょう。
まとめ

サンルームの増築には、「床納まりタイプ」「土間納まりタイプ」「バルコニー囲いタイプ」の3種類があり、それぞれに特徴と費用相場が異なります。魅力的なメリットがある一方、覚えておきたいデメリットもあります。
サンルーム増築を検討されている方は、これらのメリット・デメリットを総合的に判断し、ご自身のライフスタイルに合った選択が大切です。具体的な費用や建ぺい率については、お住まいの地域の住宅会社や役所に相談してみましょう。また、新築後間もない住宅の場合は、保証内容について建築したハウスメーカーに確認することをおすすめします。適切な計画と対策で、快適なサンルーム空間を実現してください。
リビングサーラの「くらすデザイン」では、お客さまの生活スタイルに合ったご提案はもちろん届け出に必要な書類など申請のお手伝いも行っています。気になっているけど一歩が進めなかった方はぜひ一度お話してみませんか。

■監修_リビングサーラ/施工管理担当者_資格:1級建築施工管理技士・2級建築士

WRITER PROFILE

望月尚文
不動産関係に特化したWebライター。
不動産業歴10年以上。一級建築施工管理技士、二級建築士、宅地建物取引士の資格を保有。
業界での経験と不動産に関わる専門資格を活かし、不動産取引や家づくりのノウハウを一般の方にわかりやすく解説します。