【要チェック】一軒家解体の費用相場と注意点!30坪・50坪別の料金目安と失敗しないポイントを解説

「解体費用はいくらかかるの?」
「どんな手続きが必要なの?」
「解体後に税金が上がるって本当?」
これらの疑問を解決せずに解体を進めてしまうと、予想以上の費用がかかったり、最悪の場合は新しい家が建てられない土地になったりする可能性があります。
この記事では、一軒家の解体費用の相場から工事の流れ、費用を抑える方法、解体時の注意点まで詳しく解説します。読み終える頃には、解体に関する不安が解消され、安心して解体工事を依頼できるようになるでしょう。
ぜひ最後までお読みください。

【広さ別】一軒家の解体費用の相場は?

家の解体費用は、建物の広さや構造、立地条件などによって変わります。一般的な相場を知っておくことで、予算計画を立てやすくなります。また見積もり内容が適正かどうか判断する目安にもなるでしょう。そこで、ここからは一軒家の解体費用の相場について解説します。
実は解体工事費用は構造によって若干費用が変わります。具体的な費用の違いは以下の通りです。
構造 | 坪単価相場 |
木造 | 3~5万円 |
鉄骨造 | 4~7万円 |
鉄筋コンクリート造 | 5~8万円 |
上記の構造別の費用相場を把握したうえで、建物の広さに換算するとどれくらいの費用が必要なのか以下のケースにわけて解説します。
- 30坪の一軒家を解体する際
- 50坪の一軒家を解体する際
それぞれの相場を見ていきましょう。
30坪の一軒家を解体する際の相場
30坪(約100㎡)程度の一軒家を解体する場合の費用相場は、約90万円〜240万円程度です。
構造別にわけると以下の通りになります。
構造 | 費用相場 |
木造 | 90〜150万円 |
鉄骨造 | 150〜210万円 |
RC(鉄筋コンクリート)造 | 180〜240万円 |
表から読み取れる通り、木造住宅であれば比較的低コストで解体できますが、鉄骨造や鉄筋コンクリート造になると費用は上昇します。
50坪の一軒家を解体する際の相場
50坪(約165㎡)程度の一軒家の解体費用相場は、約150万円〜400万円程度です。
こちらも構造別にわけてみてみましょう。
構造 | 費用相場 |
木造 | 150〜250万円 |
鉄骨造 | 250〜350万円 |
RC(鉄筋コンクリート)造 | 300〜400万円 |
上記は坪単価で換算した場合の相場です。規模が大きくなると単純に解体面積が増えるだけでなく、より大きな重機が必要になったり、廃材の量が増えたりします。坪数が大きくなると、相場よりも高くなる可能性があることを覚えておきましょう。
一軒家を解体するまでの流れ

家を解体するまでの流れには大きく4つのステップがあります。それぞれのステップで行われるおもな内容は以下の通りです。
ステップ | おもな内容 | 期間の目安 |
1.現地調査 | 解体業者による現場確認・工事計画策定 | 1日 |
2.家屋調査 | 建物内部構造・有害物質の詳細調査 | 1-2日 |
3.解体工事 | 建物の解体作業を行う | 約1週間 |
4.廃材処理・整地 | 廃材の分別処分と土地の整地作業 | 1-2日 |
それぞれのステップについて内容を解説していきます。
1.現地調査
最初に行われるのが「現地調査」です。解体業者が実際に現場を訪れ、周辺環境や建物の状態を確認します。現地調査では、おもに以下の項目がチェックされます。
- 建物の構造や広さ
- 敷地への重機の進入経路
- 近隣との境界線
- 近隣への配慮、騒音対策
現地調査の結果をもとに、具体的な工事計画と見積もりが作成されますので、気になる点があれば、この段階で解体業者に相談しておくことが重要です。
2.家屋調査
現地調査の後に行われるのが「家屋調査」です。この段階では、解体対象となる建物の内部構造や使用されている材質、とくに有害物質の有無などを詳しく調べます。家屋調査では、おもに以下の項目を確認します。
- アスベストなどの有害物質の使用有無
- 地下タンクや浄化槽などの地中設備の有無
- 解体前に撤去すべき設備のチェック
- 残置物の確認
家屋調査の結果によっては、追加費用が発生する場合もありますので、調査結果は必ず確認するようにしましょう。
3.解体工事
家屋調査が完了すると、いよいよ「解体工事」の段階に入ります。
工程 | 内容 |
1. 内装解体 | 建物内部の設備や内装材を取り除く |
2. 屋根解体 | 上部から順に屋根材や下地を撤去する |
3. 外壁解体 | 外壁材を撤去する |
4. 構造解体 | 大型重機で建物の骨組みとなる構造部分を解体 |
工事中は近隣への配慮として防音シートの設置や作業時間の調整などの対策が取られます。工事期間は建物の大きさや構造によって異なりますが、一般的な一戸建ては1週間程度で完了します。
4.廃材処理・整地
解体工事の最終段階は「廃材処理・整地」です。
解体によって生じた廃材は、産業廃棄物にあたります。法律に則り、おもに以下の種類にわけられて処分されます。
- 木
- コンクリート・ガラ
- プラスチック
- 金属
- ガラス・陶磁器
廃材を撤去した後は、土地を平らに整地する作業が行われます。必要に応じて砂利を敷くなどの処理も行います。最後に整地をして、解体工事終了です。
一軒家の解体工事以外にかかる費用は?

家の解体費用を考える際、解体工事費だけでなく、その他にもさまざまな費用がかかることを知っておく必要があります。
- 付帯工事費用
- 諸費用
解体工事を始めて行う際は、これらの費用は見落としがちです。全体の費用に大きく影響することがあります。それぞれの費用について詳しく見ていきましょう。
付帯工事
付帯工事とは、解体工事の前後に必要となる建物以外の関連工事のことです。おもな付帯工事には以下が含まれます。
- 仮設フェンスの設置
- 隣家との境界にあるブロック塀の撤去
- 電気・ガス・水道などの引き込み管の撤去・移設
- 隣家への影響を抑えるための養生
- 解体後の整地や砂利敷き
- アスベスト調査・除去工事
- 地中埋設物(浄化槽・配管・タンクなど)の撤去
付帯工事費用は物件状況で大きく変わるため、見積もり段階での確認と余裕を持った資金計画を立てておくことをおすすめします。
諸費用
解体工事には工事費以外にもさまざまな諸費用がかかります。たとえば、建物の滅失登記費用や建設リサイクル法に基づく分別解体等の届出費用、許可申請費用などの行政手続き費用が必要です。
諸経費の相場は、一般的に工事費の10〜15%程度です。ただし、物件の状況によって諸経費は変動します。解体工事を行う際は諸費用がいくらかかるかも事前に業者へ確認しておくとトラブル防止につながります。
一軒家の解体費用を抑える方法とは?

家の解体費用は決して安いものではありません。しかし、いくつかの工夫をすることで費用を抑えることも可能です。
例を挙げると、解体費用を抑える方法には以下の点があります。
- 事前に片づけをする
- 助成金、補助金を活用する
- 住宅ローンに組み込む
それぞれの方法について見ていきましょう。
事前に片づけをする
解体業者に依頼する前に自分で家の中を片づけることで、費用の削減が可能です。家の中に家財道具が残っている場合、不用品の処分として追加で費用がかかります。
たとえば下記のものは家財処分費として追加費用がかかります。
- ソファ、ベッドなどの大型家具
- 冷蔵庫、洗濯機などの大型家電
- 食器、衣類、本などの家財道具
- 物置、庭石、プランターなど
持ち運ぶのに人手が必要なものもありますが、使えるものはリサイクルショップに売れば、処分費を節約できます。また片付けの中で思い出の品や、高価なものが出てくる場合もあるでしょう。
面倒と思わず、なるべく余裕を持ってあらかじめ家の中を片付けておきましょう。
家を解体する際の助成金、補助金を活用する
自治体によっては、家の解体に対して助成金や補助金を出している場合があります。
たとえば愛知県では以下のような助成金、補助金があります。
自治体 | 制度名・内容 | 補助額・上限 | おもな対象条件 |
名古屋市 | 木造住宅密集地域改善助成金 | 除却費用の1/3 または 最大40万円 | 老朽木造住宅 密集地域 市指定区域 など |
一宮市 | 老朽空き家解体工事補助金 | 最大30万円 | 老朽空き家 一定の危険性有 など |
春日井市 | 老朽危険空家等除却費補助金 | 最大20万円 | 倒壊等の恐れがある空き家 |
蒲郡市 | 空家解体費補助金 | 最大35万円 (工事費の1/2) | 1年以上空き家 老朽・危険認定 など |
西尾市 | 住宅除却工事補助金 | 除却費の23% (上限20万円) | 耐震診断1.0未満または倒壊危険住宅 |
常滑市 | 危険空家住宅の除却費補助 | 工事費の4/5 (上限30万円) | 1年以上空き家 危険認定 など |
幸田町 | 危険空き家解体工事費補助 | 最大30万円 | 1年以上空き家 木造住宅 危険認定 など |
助成金の多くは一年以上空き家となっている住宅が対象のものが多いです。ただ、中には耐震性能が低い家と判断されれば補助される制度もあります。
上記以外にも利用できる補助金が各自治体で用意されていますので、まずは自治体の窓口に問い合わせてみましょう。
住宅ローンに組み込む
建て替えの場合、解体工事に割ける自己資金がないという人も多いでしょう。その場合は住宅ローンへの組み込みも有効な手段です。費用そのものを抑えるわけではありませんが、一度の出費を少なくする効果があります。
解体工事単体では、基本的にローンは組めません。ただ古い家を解体して新しく家を建てる場合は、解体費用を住宅ローンに組み込めます。これにより、まとまった現金を用意する必要がなくなります。
ただし、住宅ローンに組み込む際は以下の点に注意してください。
- 借入額が増えることで総支払額も増える
- 審査に時間がかかる
- 融資の入金時期の確認が必要
スケジュール遅れや、解体工事費の支払いにトラブルが生じないためにも事前に建築会社や金融機関、解体業者などと相談し、返済計画などをしっかり確認しておきましょう。

一軒家を解体するときの注意点

家を解体する際には、いくつかの重要な注意点があります。
- 解体後の各種手続き
- 固定資産税が上がる
- 再建築不可の場合がある
- 解体以外の選択肢も視野に入れる
- アスベスト、地中埋設物などで費用が上がる可能性あり
解体工事自体はプロの業者に任せるとしても、所有者として把握しておくとトラブルに遭うリスクがグッと下がります。
それぞれの注意点について見ていきましょう。
解体後は滅失登記などの手続きを忘れずに
家屋を解体した後は、法務局での「滅失登記」などの手続きが必要です。これは建物が存在しなくなったことを公的に登録する手続きで、怠ると様々なトラブルの原因につながります。
解体工事完了後は、法務局での滅失登記と市区町村への家屋滅失の届出を速やかに行いましょう。家屋滅失の届出により、翌年度からの固定資産税が建物分に関して課税されなくなります。さらに、電気・ガス・水道などのライフラインの解約手続きも事前に済ませておかなければなりません。
これらの手続きは解体業者によってはサポートを行っているところもあります。契約時に手続きのサポート内容について確認しておくと安心です。
一軒家の更地解体は固定資産税が上がる
意外と知られていないのが、家を解体して更地にすると固定資産税が上がるケースがあるという点です。住宅用地には「住宅用地の特例」という税制優遇措置が適用されており、固定資産税が大幅に軽減されています。
住宅用地の種類 | 土地の面積 | 軽減率 |
小規模住宅用地 | 200㎡以下 | 1/6 |
一般住宅用地 | 200㎡超 | 1/3 |
上表:固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置|国土交通省をもとに筆者作成
しかし、建物を解体して更地になると、この特例が適用されなくなるため、税額が最大で6倍まで跳ね上がります。とくに都市部の土地価格が高い地域では、この税額の違いが大きくなるので解体工事を行う際は注意しましょう。
解体を検討する際には、事前に市区町村の固定資産税担当窓口で税金がどれくらい変わるかをシミュレーションしておくと安心です。
一軒家を解体すると再建築不可になるケースもある
建物を解体して更地にした後、同じ場所に新しい建物を建てようと考えている場合は注意が必要です。とくに古い建物が建っている土地では、現行の建築基準法に適合していないケースがあります。
昔の家は建築基準法に適合していなくても、そのまま住み続けられます。しかし一度解体すると新たに建築する際には現行法に従う必要があります。一般的に一軒家で再建築不可となるのは接道義務を果たしていないケースです。
接道義務とはどんなものかというと、
“
建築物の敷地は、建築基準法第42条で定義される道路(原則として幅員4メートル以上のものをいう)に、間口2メートル以上で接していなければなりません。これを接道義務といいます(建築基準法第43条)。
というものです。
再建築不可の土地となると、土地の資産価値が大幅に下がる可能性もあります。解体前に必ず建築士や不動産の専門家に相談し、再建築の可否を確認しておきましょう。
接道義務について詳しく知りたい人や、建て替える方法について知りたい人は以下のコラムもチェックしてみて下さい。
土地の購入前に要確認!前面道路で知っておくべき基本知識|サーラつむぎ
解体せずに家を売却するのもひとつの手段
家屋の老朽化や維持費の問題で解体を検討している場合、古家付きの土地として売却するのもひとつの手段です。家とセットで土地を売却するメリットは以下の通りです。
- 解体費用を負担せずに済む
- 買い手が見つかれば売却によってお金が手に入る
- 売却期間中も税負担軽減が継続される
解体費用を考慮した価格設定にしておけば、買主が解体かリフォームかを選択できるため、買い手が見つかりやすい傾向があります。解体するかどうかを悩んでいる場合は、不動産会社に相談し、解体と売却のどちらが経済的にメリットがあるか比較検討してみましょう。
アスベスト、地中埋設物などで費用が上がる可能性あり
解体工事では、事前に想定していなかった費用が発生するケースがあります。とくに注意すべきなのがアスベストと地中埋設物です。
アスベストは1970年代から1990年代にかけて多くの建物で使用されており、発見された場合は専門業者による除去作業が法律で義務付けられています。除去費用は数十万円から数百万円になる場合があり、注意が必要です。
また、地中には浄化槽や古い配管、地下タンクなどの埋設物が残っている場合があります。これらは事前調査で発見しにくく、解体中に見つかることが多いため、追加費用として請求されます。
このような予期せぬ費用に備えて、解体予算には余裕を持たせておくのが大切です。地中埋設物やアスベストはエリアや築年数などからある程度は予測ができます。見積もり時に追加費用の可能性について業者に確認しておくと安心です。
まとめ

一軒家の解体費用は、30坪で約90万円〜240万円、50坪で約150万円〜400万円が相場です。木造住宅が最も安く、鉄筋コンクリート造になると費用は上がります。解体工事は現地調査から廃材処理まで約2週間程度で完了しますが、解体費用以外にも付帯工事や諸費用が工事費の10〜15%程度かかります。今回紹介した費用を抑えるポイントを抑えて解体工事の準備を進めていきましょう。
ただし、解体工事は
- 固定資産税が上がる
- 再建築できない
- アスベストや地中埋設物などで追加費用が発生する
といったケースに遭う場合も見られます。
上記のように、思ってもみなかったトラブルに合わないためにも、一度不動産のプロに相談してみましょう。
サーラ住宅は戸建の新築のみならず不動産の売買のご相談も得意としています。困った時はぜひ、サーラ住宅へお声がけください。

■監修_サーラ住宅/担当者

WRITER PROFILE

望月尚文
不動産関係に特化したWebライター。
不動産業歴10年以上。一級建築施工管理技士、二級建築士、宅地建物取引士の資格を保有。
業界での経験と不動産に関わる専門資格を活かし、不動産取引や家づくりのノウハウを一般の方にわかりやすく解説します。