フローリングの張り替え費用・工期・方法を徹底解説

フローリングは物を落としたり液体をこぼしたりと、とくに傷つきやすい場所です。
年月が経つと、劣化も気になりはじめるでしょう。
一般的にフローリングの張り替え時期の目安は15〜30年ほどですが、他にもリフォームを検討すべきタイミングがいくつかあります。
そこで本記事ではフローリングの張り替え費用や工期、方法、適切なタイミングなどを解説します。リビングサーラが手がけたリフォーム事例やよくある質問にもお答えしますので、ぜひ参考にしてください。

目次
フローリングの張り替え方法は2種類

フローリングのリフォーム方法は『張り替え』と『重ね張り』の2種類に分けられます。どちらもメリットもあればデメリットもあるので、自宅の状況や予算に合わせて適切な方法を選びましょう。
フローリングの『張り替え』
既存のフローリングを撤去してから、新しい床材を施工する方法です。
メリットとデメリットを見てみましょう。
メリット | デメリット |
・下地まで補修できる ・床下の配線や配管メンテナンスもできる | ・費用が高くなる ・工期が長くなる |
張り替え時には下地まで解体するので、劣化や腐食がみられるときには根本からしっかり修繕する点がメリットです。その際には、床下にある配線や配管類のメンテナンスも行えます。配線と配管の耐用年数は20~30年ですが、フローリングの張り替え時に交換しておけば、メンテナンスのために床材を解体する手間と費用が抑えられます。
ただし、張り替えは解体をともなう大がかりな施工になるため、重ね張りよりも費用は高く、工期も長くなる場合がほとんどです。
フローリングの『重ね張り』
既存のフローリングの上に、新しい床材を重ねて貼る方法です。
メリットとデメリットを見てみましょう。
メリット | デメリット |
・費用を抑えられる ・工期が短い ・工事中の騒音が少ない | ・下地の補修ができない ・張り替えよりも耐用年数が短くなることがある ・床の高さが上がる |
重ね張りは既存のフローリングを撤去しないため、廃材処分の手間と費用がかかりません。費用と工期を抑えられ、施工時の騒音も少ない点がメリットです。家具の移動も最小限で済むでしょう。
ただし下地の補修ができないので、張り替えよりも耐用年数が短くなることも。
フローリングそのものは問題なくても、下地の劣化や腐食によって修繕が必要になる可能性があります。とくに現時点で沈みや床鳴りなどがある場合は構造上の問題が考えられるので、長持ちさせたいのなら、張り替えをおすすめします。
また重ね張りをしたあとは床材の厚み分だけ床の高さが上がるため、扉を開け閉めしにくくなったり、段差ができたりする可能性がある点にも注意が必要です。
フローリングの張り替えるときの費用目安と工期

フローリングを張り替えるときの費用目安は、施工方法と『無垢フローリング』か『複合フローリング』かで大きく異なります。さらに無垢フローリングであれば樹種、複合フローリングなら仕上げ材によって費用が変わってきます。
ここでは、それらの平均的な費用を見てみましょう。
【部屋の畳数ごとの費用目安】
張り替え(付帯費用込み) | 重ね張り | |||
無垢 | 複合 | 無垢 | 複合 | |
6畳 | 15~20万 | 12~17万円 | 12~18万円 | 10~14万円 |
8畳 | 18~25万円 | 14~20万円 | 14~22万円 | 12~17万円 |
10畳 | 22~29万円 | 16~23万円 | 18~28万円 | 14~22万円 |
20畳 | 43~60万円 | 33~50万円 | 35~55万円 | 30~45万円 |
表を見てわかるように、張り替えよりも重ね張りのほうがやや費用を抑えられます。張り替えの付帯工事費に関しては、施工面積が広くなるほど1畳あたりの費用が安くなります。
また、無垢フローリングと複合フローリングの違いは、「一枚板か、合板か」という部分です。一枚木を切り出してつくった無垢フローリングのほうが木の質感や温かみを感じられますが、費用は高め。費用を抑えたいなら、合板の上にスライスした天然木や化粧シートを貼った複合フローリングがおすすめです。
床材の特徴を詳しく説明した記事がありますので、こちらも参考にしてみてください。
フローリングを張り替えるタイミング

フローリングの張り替えを検討すべきタイミングは、主に次の4つです。
①耐用年数に近づいた、または超えたとき
フローリングの耐用年数は無垢フローリングが20〜30年、複合フローリングが15〜20年ほどです。耐用年数に近づいた、または超えた場合はリフォームを検討しましょう。
ただし、フローリングは使用状況や環境によっても、最適なリフォーム時期が異なります。
たとえばキッチンのように水や油汚れが付きやすい場所や、日当たりがよく過ごす時間も長いリビングのフローリングは、劣化が早い傾向があります。
②床が沈んだり音が鳴ったりするとき
床を歩いたときに沈む感覚があったり、「ギシギシ」「ミシミシ」といった異音がしたりするときには、張り替えを検討しましょう。
とくに床鳴りがする場合は、下地材の腐食や破損、構造材の損傷、施工不良などの問題が潜んでいることが多く、早急な対応が必要です。下地や構造部分の補修が必要になる可能性が高いので、点検も含めてリフォーム会社に相談してみてください。
③汚れや傷、凹みなどが目立つとき
物を落としたり家具を移動させたり、ペットが爪とぎをしたりと、フローリングは日常生活を送るなかでさまざまな汚れや傷、凹みなどがとくにできやすい場所です。湿気や結露しやすい場所だと、部分的にカビが生えることもあるかもしれません。
全体的に損傷が目立つようになっときや、ささくれがあるときなどには怪我の危険性があるため、リフォームを検討したほうがよいでしょう。
とくにシミ、カビがある部分はフローリング内部にまで湿気が浸透し、下地材が腐食している可能性があります。リフォーム会社への相談時に点検をしてもらい、必要があれば下地の補修と張り替えを行いましょう。
④ライフスタイルが変わったとき
定年やお子さんの独立、親との同居、ペットの飼育などでライフスタイルが変わったときも、フローリングの張り替えタイミングです。とくに高齢の親と暮らすときやペットを飼い始めたときには、滑りにくい素材や傷つきにくい素材を選ぶことで、安全かつ快適に過ごせるようになります。
フローリングの張り替えリフォーム事例

ここからは、実際にリビングサーラが手がけたフローリングのリフォーム事例を紹介します。仕上がりイメージも含めて、ぜひ参考にしてください。
①こだわりの無垢フローリングに張り替えた事例
床全体を、シルバーパインの無垢フローリングに張り替えた事例です。
仕上げに床材表面に『ガラスフィニッシュ』を塗布したので、ガラスの塗膜が傷や汚れから無垢材を守ってくれます。このように仕上げ塗料を活用すれば、無垢材の風合いを残しつつも、耐久性を高めることが可能です。
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②重ね張りで部屋の印象を変えつつもコストを抑えた事例
マンションのフローリングを、重ね張りでリフォームした事例です。
リフォーム前は暖色系でまとめたナチュラルテイストの部屋でしたが、リフォームを機にグレイッシュなフローリングに重ね張りし、ホテルライクな空間へと一新。
床材分の厚みによって床高が6mmほど上がったので、扉の改修も行いました。
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③デザイン性が高い複合フローリングでリフォームした事例
二世帯住宅の床材を、ヘリンボーン柄の複合フローリングにリフォームした事例です。
無垢材でヘリンボーン柄をつくるにはかなりの手間と費用がかかるため、この事例ではパネル形状の複合フローリングを採用。施工コストを従来の1/4〜1/3まで抑えられました。
合板でできているといっても、表面は天然木を2mmにスライスした突き板なので、費用を抑えつつも、木の風合いを感じられるのがポイントです。
▶事例の詳細はこちら
リフォーム会社を選ぶときのポイント

予算内で満足度が高いリフォームを行うためには、リフォーム会社選びが重要です。
その際に意識したいポイントを見てみましょう。
フローリングの張り替えの実績があるか
フローリングのリフォームは、ただ床材を交換するのではなく、既存フローリングの状況や予算に合わせて適切な方法を見極めなければなりません。さらに無垢フローリングは反りや変形が起こりやすいので、木材の特性を踏まえた施工が求められます。
そのためフローリングを張り替えるなら、床材リフォームの対応実績が豊富で、構造部分の修繕まで対応できる会社に相談したほうが安心です。ホームページの施工事例などから工事の対応範囲や実績を確認し、知り合いやホームページを通して口コミなどにも目を通しておきましょう。
詳細な見積もりを提示してくれるか
信頼できるリフォーム会社は、相談ベースから詳細でわかりやすい見積もりを提示します。
材料費や工事費、諸費用などが明確に分かれていて、なおかつ使用する材料の使用まで具体的に記載されているのかを確認しましょう。
『フローリングの張り替えるときの費用目安と工期』の章で説明したように、フローリングのリフォーム費用は方法と床材の種類によって大きく異なります。
相見積もりをする際にも、リフォームの方法、フローリング材の種類、グレードなどを同じ条件で伝え、内容に差異がないか確認しておくと安心です。
“工事費用一式”とだけ記載された曖昧な見積書を提示する会社は、避けることをおすすめします。
施工保証やアフターフォローがあるか
フローリングのリフォームは、小さな傷や隙間ができていたりと、工事後に施工不良が見つかるケースも少なくありません。その際に保証やアフターフォローがなければ、すべて自己負担で修理することになります。
とくに無垢フローリングは乾燥する冬時期には縮み、湿度が高い梅雨時期などには膨らむ特性があるため、変形してしまうこともあります。不具合や困りごとができたときにスムーズに対応してもらうためにも、一定期間の施工保証があり、アフターフォローも充実している会社を選ぶのが安心です。
フローリングの張り替えでよくある質問

最後に、フローリングの張り替えでよくある質問にお答えします。
Q:マンションでも張り替えはできる?
マンションでも、フローリングを張り替えられます。
ただし多くのマンションでは管理規約に遮音等級の規定があり、指定された性能を満たすフローリング材しか選べません。一般的には、遮音等級L-45以上が求められます。
工事に関しても施工時間が制限される可能性があるため、事前に管理組合に確認しておくと安心です。
Q:住みながらでもリフォームできる?
基本的には可能です。
家全体の床をリフォームする場合も部屋ごとに工事を行うため、家具と居住スペースを移動しながら工事を進めていきます。ただし戸建住宅で構造部分に触れるような大がかりな工事を行うのなら、仮住まいをしたほうがいいケースもあります。
リフォーム会社と相談しながら、スケジュールや期間中の仮住まいを検討しましょう。
Q:フローリングのリフォームはDIYできる?
施工方法によります。
DIYに慣れている人なら、重ね張りや置くタイプのフロアタイプは自分で施工できるかもしれませんが、張り替えのDIYはおすすめできません。
張り替え時には下地処理や段差の調整が必要になるため、一気に難易度が上がるからです。自分でやって失敗すると結局業者依頼が必要になり、費用もかさみます。
安全性と仕上がりのクオリティを優先するのなら、初めからリフォーム会社に相談しましょう。
まとめ

新築や前回のリフォームから年数が経ったときや、フローリングの傷や汚れ、床鳴りがきになるときには点検も兼ねて、まずはリフォーム会社に相談しましょう。
ライフスタイルが変わったときも、リフォームのタイミングです。
予算が気になるときには、重ね張りや複合フローリングを選べば、費用を抑えながらも快適な住まいを実現できます。床の状態や予算、リフォームの目的などから、適切な方法を選択しましょう。
リビングサーラでは、フローリングの張り替えをはじめ、下地や構造部分の補修、シロアリ点検・駆除などの大がかりな工事にも対応しています。
安心かつ快適な暮らしを実現するためにも、家の困りごとは、ぜひ私共にご相談ください。

■監修_リビングサーラ/施工管理担当者_資格:1級建築施工管理技士・2級建築士

WRITER PROFILE

井本 ちひろ
建築科系学科卒の住宅×金融専門ライター。
子供に「おかえり」が言える仕事を探してライターの道へ。
大学で得た経験とFP2級の知識を活かし、家づくり、水回り設備、エクステリア、火災保険、相続など、住宅にまつわる幅広い記事を中心に活動中。