オープンキッチンのメリットとデメリットは?使い勝手をよくするためのポイントを解説

せっかくキッチンをリフォームするなら、おしゃれで開放感がある『オープンキッチン』にしたいですよね。しかし、オープンキッチンには使い勝手や日々のお手入れなどの面で、デメリットと取れる部分もあります。両者をしっかりと比較しないと、「思っていたのと違った」と、後悔してしまうことも。
そこで本記事では、オープンキッチンの基本部分とメリット・デメリットをはじめ、使い勝手をよくするためのポイントを解説します。リビングサーラが手がけた事例も紹介しますので、ぜひリフォームの参考にしてください。

目次
オープンキッチンの基本

「オープンキッチン」とひとくちに言っても、レイアウトにはいくつか種類があり、それぞれデザインや使い勝手も異なります。メリットとデメリットを確認する前に、まずは基本部分を頭に入れておきましょう。
オープンキッチンとは?クローズドキッチンとの違い
オープンキッチンは、リビング・ダイニングとひと続きになったキッチンのこと。最近の新築住宅で最も多く採用されています。リビングやダイニングに向かって配置されることが多く、調理をしながら家族やゲストとコミュニケーションをとりやすいのが特徴です。
一方で『クローズドキッチン』は、調理スペースが完全に独立したキッチンのこと。
リビングやダイニングとは壁で区切られているので、調理中のにおいや音、煙などが伝わりにくいのが特徴です。扉やゲートを取り付ければ、お子さんやペットが入るのを防げます。「調理に集中したい」「家事スペースとリビングをしっかり分けたい」という人に、おすすめです。
オープンかクローズドかで使い勝手はもちろん、間取りも大きく変わってくるので、まずは自分たちに合うスタイルを考えてみてください。
オープンキッチンの主なレイアウト
オープンキッチンにはいくつかレイアウトがあり、それぞれ特徴が異なります。
アイランド型
島のように独立していて、キッチンの左右から出入りできるレイアウトです。
複数人で調理しやすく、室内のインテリアに馴染みやすいデザイン性の高さなどから人気を集めています。ただし設置には広いスペースが必要なので、LDKの面積や間取りによっては難しいことも。とくにリフォームでは注意が必要です。
ペニンシュラ型
キッチンの一方が壁に面していて、片側からのみ出入りができます。
壁面に取り付ける形で配置するので、カップボードや冷蔵庫などの配置がしやすく、開放感と実用性のバランスがよさがメリット。
省スペースでも設置できるので、新築・リフォームに限らず人気のレイアウトです。
I型
シンクからコンロまでが横並びになっていて、対面・非対面のどちらにでも対応できます。
収納を増やしたいときには吊り戸棚を取り付けられるので、間取りや収納量不足の課題をクリアしやすいのが魅力。デザインのシンプルさを求める人や、空間を効率的に活用したい人におすすめです。
L型
シンクとコンロが直角に向き合うように、配置します。
作業動線が短く調理や片づけがしやすいこと、シンク側とコンロ側で複数人での作業がしやすいことがメリット。ただし、コーナー部分がデッドスペースになりやすいので、収納計画に工夫が必要です。
セパレート(Ⅱ型)
シンクとコンロを向かい合わせに配置するレイアウトです。
壁付け+ペニンシュラ、壁付け+アイランドのように、コンロ側とシンク側で配置を変えるなど、レイアウトの自由度の高さが魅力。
ただし広い設置スペースを要するため、リフォームで取り入れるときには配置の工夫が必要です。
キッチンの種類とレイアウトについて詳しく解説した記事がありますので、ぜひこちらも参考にしてください。
関連記事:キッチンの種類とレイアウトをご紹介!
オープンキッチンのメリットと人気な理由

オープンキッチンが主流になっているのは、使い勝手やデザイン性の高さはもちろんですが、多くの方の生活スタイルにマッチしているのが理由です。
家族やゲストとコミュニケーションが取りやすい
オープンキッチンは会話をしながら調理ができるので、家族やゲストとコミュニケーションをとりやすい点がメリットです。また、リビングで遊ぶお子さんを見守りながら、宿題をするお子さんに声をかけながらといった、“ながら家事”ができるのも、オープンキッチンの大きな魅力といえます。
開放感があり空間を広く見せられる
LDKをひとつの空間にまとめれば、面積が広くなることで開放感がうまれます。とくにコンパクトな家にオープンキッチンを採用すれば、圧迫感を軽減する効果も。吹き抜けや大きな窓と組み合わせると、より空間を広く見せることができます。
デザイン性が高くおしゃれな空間になる
オープンキッチンは近年主流ということもあり、各キッチンメーカーがいろいろなデザインのキッチンを出しています。たとえばステンレスやセラミック、タイル、天然石、木目調など、素材感もさまざま。デザイン性がとても高いので、キッチン自体がインテリアのひとつになります。
また、キッチン部分だけ下がり天井にしたり、間接照明を取り付けたりすれば、さらに洗練された空間に。アイデア次第でLDKの空間をおしゃれに演出できることも、オープンキッチンを取り入れるメリットといえそうです。
家事動線がよくなる
リビングやダイニングと直結しているオープンキッチンは、家事動線のよさが抜群です。キッチン横にダイニングテーブルを配置すれば、料理の配膳と片づけがスムーズに。キッチン裏に浴室やランドリースペースを設ければ、家事効率がぐっとUPします。
レイアウトだけではなく動線も意識した配置にすれば、日常的な家事の負担を大きく軽減できるでしょう。
オープンキッチンのデメリットとよくある後悔ポイント

オープンキッチンには開放感や使いやすさにさまざまなメリットがある一方で、空間がひと続きになっているからこそ出てくるデメリットもあります。それらを把握したうえで、自分に向いているのかを考えてみてください。
油や水はねがしやすい
コンロやシンク前に仕切りがないオープンキッチンは、どうしてもリビングやダイニング側に油や水が飛び散りやすくなります。とくに無垢フローリングの家では、水や油はねはシミになるので要注意。染み込んでしまう前に拭き取らなくてはなりません。
対策としては、透明の水・油はね防止パネルを取り付ける、キッチン部分だけは水や汚れに強い床材にする、マットを敷くなどがあります。
室内のきれいさを保つためにも、対策とセットで導入を考えましょう。
間取りに制限が出やすい
アイランドキッチンやセパレートキッチンは開放感がある一方で、設置にかなりのスペースを要します。リフォームでは、キッチンを占める面積によってリビングやダイニングが狭くなってしまうことも。場合によっては配置自体が難しいかもしれません。
家全体の間取りをつくり直せば調整できるかもしれませんが、その場合はリフォーム費用が高くなってしまいます。「キッチンスペースはもっと小さくしておけばよかった」「費用をかけすぎた」と後悔しないためにも、LDKの面積や予算なども加味して考えましょう。
調理中のにおいや煙が伝わりやすい
オープンキッチンでは油や水はねだけではなく、においや煙もリビングとダイニングに流れやすくなります。とくに揚げ物や焼き魚などのにおいが強いものを調理したときには、ソファやクッション、カーテンなどににおい移りすることも。部屋自体のにおいは換気扇をまわせば数時間で消えますが、ファブリック類には染み付いてしまいます。
対策としては、キッチン横に窓を取り付ける、換気システムを取り入れる方法などがありますが、完全にシャットアウトはできません。においや煙が伝わりやすいことに納得したうえで、導入しましょう。
来客時に手元が見えやすい
リビングを見渡せることがオープンキッチンのメリットですが、それと同時に、リビングからもキッチンが丸見えになります。とくにフラットタイプのキッチンを選ぶと、手元やシンクまで見えてしまうので、こまめな片づけや掃除が不可欠。とくに来客時に調理するときには、その様子まで見えてしまうのでストレスになるかもしれません。
対策は、次章で詳しく説明します。
収納スペースが限られる
オープンキッチンは壁面が少なく、吊り戸棚も取り付けないことがほとんど。クローズドキッチンよりも、収納場所が限られます。収納量を確保するためには、スライドタイプのキッチンを選ぶか、大容量のカップボードを選ぶ方法などがありますが、調理器具や食器、ストック品が多い方は注意が必要です。
使い勝手がよいオープンキッチンにするコツ

前章で説明したデメリットは、工夫次第で解決できるものがほとんどです。ここでは、具体的な対策を説明します。
目隠しになる腰壁を設置する
手元が丸見えになるデメリットは、腰壁の設置で解決できます。
腰壁とは、キッチン本体を囲むように立ち上げた壁で、立ち上げた部分をカウンターにしたり、ニッチをつくって収納量を増やしたりもできます。
壁を高くすれば油や水はねも防止できるので、汚れが気になる方にも腰壁の設置がおすすめです。ただし、壁を高くしすぎると圧迫感が出てしまうので、空間の広さや見え方に合わせた高さを調整しましょう。圧迫感を軽減するには、リビング・ダイニング側に向く壁だけ淡い色を選ぶのがポイントです。
家具と家電の配置を含めてレイアウトを考える
キッチンスペースにはキッチン本体だけではなく、カップボードや冷蔵庫、調理用の家電などのさまざまな物を置きます。レイアウトによって使い勝手や見た目が大きく変わってくるので、それらも含めて配置を考えることが大切です。
配置を考えるときには、キッチンメーカーが提供しているシミュレーションツールを使うのがおすすめ。間取りを含めたレイアウトを考えられます。
▶LIXIL『LDKデザインシミュレーター』
▶ハウステック『システムキッチン ARシミュレーション』
PCがあれば自宅で簡単に操作できるので、ぜひご活用ください。
その際には、コンセントの位置と数まで考えておくのがポイント。目安は3〜4か所(6〜8口)で、使う予定の家電より少し多く設けるのが使い勝手を高めるコツです。
パントリーをつくる
前述のように、オープンキッチンは収納量が不足しがちです。
調理器具や食器、ストック品が多い方は、パントリーの設置を検討しましょう。キッチンの見た目をすっきりと保ちながら、収納量をしっかりと確保できます。季節ものの家電や掃除機などを一緒にしまいたい方は『ウォークインタイプ』。家事動線をよくしたい方は、通り抜けができる『ウォークスルータイプ』といった具合に種類を選べば、使い勝手がぐっとよくなります。
リビングサーラのオープンキッチン事例
ここからは、リビングサーラが手がけたオープンキッチンのリフォーム事例を紹介します。
ぜひ参考にしてください。
開放感のあるペニンシュラキッチン

明るく開放感のあるペニンシュラキッチンにリフォームした事例です。
採用したのはLIXILのシエラで、グレージュカラーが床と天井の明るいカラーにとても映えます。空間のアクセントになるように、ペンダントライトを取り入れたのもポイントです。

コンロ前には、天板からレンジフードまでを覆うクリアタイプの水・油はね防止パネル(オイルガード)を取り付けたので、すっきり感を保ちつつも、油汚れはしっかり防げます。
▶施工事例の詳細はこちら
複数人で調理がしやすいオープンキッチン

二世帯住宅に、オープンキッチンを導入した事例です。
1階は親世帯、2階は子世帯となっており、2階にもミニキッチンがありますが、お施主さまに「家族そろって食事をしたい」との希望があったため、アイランドシンクを採用しました。シンクと作業台が2つあるので、複数人での調理もストレスフリーです。

シンクとコンロを分けるセパレートタイプではなく、あえてアイランドシンクを追加したのは使い勝手を考慮してのこと。親世帯だけが調理するときにも使いやすいように、I型キッチンを採用しました。配置だけではなく種類まで工夫することで、キッチンの使い勝手がぐっとよくなります。
▶施工事例の詳細はこちら
カウンター付きで食事もできるアイランドキッチン

マンションにオープンキッチンを取り入れた事例です。
リフォーム前は部分的に壁がある対面キッチンだったため、調理をしながらテレビが見れないことや、孤独感があったことが悩みでした。それらを解消するために、キッチン前の壁を解体して開放感のあるアイランドキッチンを採用。
壊せない垂れ壁はアクセントクロスと照明で、インテリアのような印象にしています。
このように制約が多いマンションでも、アイデア次第で開放的なキッチンへとリフォームすることが可能です。
▶施工事例の詳細はこちら
まとめ

オープンキッチンは、家族とのつながりや開放感、デザイン性など多くの魅力がありますが、油はねやにおい、収納不足といったデメリットも存在します。
さらにリフォームにおいては、LDKの広さや間取りなどの兼ね合いも重要です。
リフォーム後に後悔しないためには、デメリットへの対策を考えるとともに、自分たちのライフスタイルに合うプランを考えることが大切です。
事例で紹介したように、リフォームで面積や間取りに制約がある中でも、アイデア次第で使い勝手のよいキッチンへとリフォームできます。今回紹介したポイントも含めて、自分たちにとってどのようなキッチンが使いやすいのかを考えてみてください。
リビングサーラではヒアリングをもとに、お客さまの希望や予算、元ある間取りをいかせるプランを提案いたします。オープンキッチンへのリフォームをお考えの方は、お気軽にご相談ください。
▶リフォーム事例はこちらから

■監修_リビングサーラ/施工管理担当者_資格:1級建築施工管理技士・2級建築士

WRITER PROFILE

井本 ちひろ
建築科系学科卒の住宅×金融専門ライター。
子供に「おかえり」が言える仕事を探してライターの道へ。
大学で得た経験とFP2級の知識を活かし、家づくり、水回り設備、エクステリア、火災保険、相続など、住宅にまつわる幅広い記事を中心に活動中。