デマンドレスポンスって何?優しく解説します

「デマンドレスポンス(DR)」という言葉を耳にしたことはありますか?
「なんだか難しそう…」と感じるかもしれませんが、実は私たちの暮らしや電気代に深く関わる、とても重要な仕組みです。特に、太陽光発電や蓄電池、電気自動車(EV)をお持ちの方や、これから導入を考えている方にはぜひ知っていただきたいキーワードです。
この記事では、デマンドレスポンスの基本から、その種類、メリット・デメリット、さらには蓄電池をお得に導入できる補助金制度まで、分かりやすく解説していきます。環境にも家計にも優しい未来のエネルギーの使い方を、この記事で一緒に学んでいきましょう。

目次
デマンドレスポンスとは?
デマンドレスポンス(Demand Response 略して「DR」)とは、電力の需要と供給のバランスを保つために、消費者が電力の使用量をコントロールする仕組みのことです。「電力需要(Demand)への応答(Response)」と考えると分かりやすいかもしれません。
電力は、常に需要と供給が一致していないと、電気の品質(周波数)が乱れてしまい大規模な停電につながる恐れがあります。しかし、発電側(供給側)が調整用に予備の電力を大量に蓄えておくことは、技術面でもコスト面でも非常に難しいのが現状です。
そこで、電力の供給量に合わせて、需要側(つまり私たち消費者)が使用量を調整することで、電力システムの安定化を図るのがデマンドレスポンスの考え方です。

出典:資源エネルギー庁HP
具体的なデマンドレスポンスの方法としては、電力会社やアグリゲーター(※)からの要請に応じて、電気の使い方を調整(節電や電力使用の時間をずらすなど)したり、蓄電池に貯めておいた電気を放出したりすることが挙げられます。
そのデマンドレスポンスに協力した見返りとして、報酬(インセンティブ)や電気料金の割引といったメリットが得られるのがポイントです。
※アグリゲーター:消費者と電力会社の間に入り、デマンドレスポンスのやり取りを仲介する事業者のこと。
デマンドレスポンスの意義
なぜ今、デマンドレスポンスが注目されているのでしょうか。その背景には、主に3つの理由があります。
再生可能エネルギーの普及
近年大幅に発電量を増やしている太陽光や風力といった再生可能エネルギーは、天候によって発電量が大きく変動します。例えば、晴れた日の昼間は電気が余り、曇りや雨の日、夜間は不足しがちです。
この不安定な電力を有効活用するために、電気が余っている時に蓄電池に貯めたり電気自動車に充電したり(需要を増やす)、電気が足りない時に蓄電池から電気を使ったり、節電したり(需要を減らす)といった調整が必要になります。デマンドレスポンスには、この調整役として大きな期待が寄せられているのです。
発電コストの抑制
デマンドレスポンスは、電力の需給バランスの改善に貢献するだけではありません。需要がひっ迫したときの電力使用量を抑えることで、電力会社は火力発電所の燃料となる石油や天然ガスの使用量を減らすことができます。その結果、発電のための燃料調達コストを抑制でき、電気料金の高騰を防ぐというメリットがあります。
電気料金の削減メリット
家庭や企業といった電気の需要家にとっては、デマンドレスポンスに協力することによって電気料金の高騰を防ぎ家計の負担が抑えられるメリットに加えて、電力会社などからの報酬が得られるという二重のメリットが得られます。
このように、デマンドレスポンスはエネルギーを効率的に使い、環境への負荷を減らしながら、安定した電力供給を維持するための重要な取り組みとして注目を集めています。
デマンドレスポンスはどんな方におすすめ?
デマンドレスポンスは、特に以下のような方におすすめです。
- 家庭用蓄電池を設置している、または検討している方
- 太陽光発電システムを設置している、または検討している方
- 電気自動車(EV)やV2H(Vehicle to Home)をお持ちの方、または検討している方
- エコキュートなどのヒートポンプ給湯器をお使いの方
これらの設備は、電気を貯めたり、使う時間をずらしたりすることが比較的容易なため、デマンドレスポンスに参加しやすいという特長があります。
デマンドレスポンスの詳細
デマンドレスポンスには、電力の使用量を「減らす」方向と「増やす」方向の二つがあります。得られる報酬としては、「インセンティブ型」と「電気料金型」の2パターンが用意されています。
上げDR
「上げDR」とは、電力の供給が需要を上回っているとき、つまり電気が余っている状況で、意図的に電力消費を増やす取り組みです。
電力会社などから「上げDR」の要請が出た時間帯に蓄電池や電気自動車を充電したり、エコキュートでお湯を沸かしたりすることで、余った電気を有効に活用します。
例としては、再生可能エネルギーの発電量が多いにも関わらず、空調などの電力需要が少ない春や秋の晴れた昼間などが挙げられます。
下げDR
「下げDR」は、上げDRとは逆に、電力の需要が供給を上回りそうなとき、つまり電力がひっ迫している状況で、節電に協力する取り組みです。
例としては真夏の夕方など、電力需要がピークになる時間帯です。電力会社からの要請で、蓄電池に貯めた電気を使ったり、エアコンの設定温度を調整したり、不要な照明を消したりすることで、電力消費を抑制します。

出典:資源エネルギー庁HP
インセンティブ型DR
インセンティブ型DRとは、電力会社やアグリゲーターと事前に契約を結び、節電要請(下げDR)や電力使用要請(上げDR)に応じることで報酬(インセンティブ)として現金やポイントなどを受け取れる仕組みです。
電気料金型DR
電気料金型DRは、時間帯によって電気料金が変動する料金プランを活用した仕組みです。電力需要が高まる時間帯は料金が高く、需要が少ない時間帯や再生可能エネルギーの発電量が多い時間帯は料金が安く設定されます。利用者は、料金が安い時間帯に電気の使用をシフトさせることでデマンドレスポンスに貢献しつつ、結果的に電気代を節約できます。


出典:資源エネルギー庁HP
インセンティブ型デマンドレスポンスとは?
より確実にメリットを得やすい「インセンティブ型」について、詳しく見ていきましょう。
インセンティブ型デマンドレスポンスの仕組み
1.契約
利用者(需要家)は、電力会社やアグリゲーターとデマンドレスポンスに関する契約を結びます。
2.要請
電力需給がひっ迫した際などに、電力会社やアグリゲーターから利用者へ「〇時から〇時まで節電してください」といった要請が通知されます。
3.実施
利用者は、要請に応じて節電などのアクションを実行します。家庭用蓄電池があれば、自動で放電に切り替わるように設定することも可能です。
4.報酬
節電量などの成果に応じて、電力会社やアグリゲーターから報酬が支払われます。
この仕組みは、節電した電力量を「発電」したと見なす考え方から「ネガワット取引」とも呼ばれています。
インセンティブ型のメリット
- 確実な報酬
要請に応えて節電すれば、その成果に応じて確実な報酬が得られます。
- 効果の大きさ
契約に基づいているため、電力システム全体でどのくらいの節電量が見込まれるか予測しやすく、電力安定化への貢献度が高いとされています。
インセンティブ型のデメリット
- 事前の契約が必要
参加するには、電力会社やアグリゲーターとの契約手続きが必要です。
- 手間がかかる場合も
要請があるたびに手動で対応する場合、少し手間に感じる可能性があります。(※蓄電池などがあれば自動制御が可能です)
サーラeエナジーでは、インセンティブ型のデマンドレスポンスサービスを提供しています。詳しくはこちらのサイトをご確認ください。

電気料金型デマンドレスポンス
次に、日々の工夫で参加できる「電気料金型」について見ていきましょう。
電気料金型デマンドレスポンスの仕組み
電気の市場価格に連動して料金単価が変動する「ダイナミックプライシング」などの新しい電気料金プランを活用するものです。
- 料金が安い時間帯
再生可能エネルギーの発電量が多く、電気が余りがちな昼間などの電気料金が安く設定され、その時間帯に蓄電池やEVへの充電、エコキュートの湯沸かしなど、電気を多く使う家事を済ませます。
- 料金が高い時間帯
電力需要が集中する夕方などの時間帯は電気料金が高く設定され、家庭内で使用する電気を蓄電池からの放電に切り替えたり、空調を消したりして電気の使用を控えます。
このように、利用者が自らの判断で電気の使い方を工夫し、電気料金を節約する仕組みが電気料金型デマンドレスポンスです。
電気料金型のメリット
- 手軽に参加できる
対応する料金プランに加入すれば、特別な契約なしで始められます。
- 自由度が高い
いつ、どのくらい電気の使い方を工夫するかは利用者の自由です。
電気料金型のデメリット
- 効果が不確実
利用者の自主的な行動に依存するため、節電効果は確実ではありません。
- ライフスタイルへの影響
料金を意識するあまり、生活に不便を感じる可能性があります。
DR家庭用蓄電事業について
デマンドレスポンスへの参加を強力に後押しするのが、家庭用蓄電池の導入に使える補助金です。
DR導入で家庭用蓄電池に最大60万円の補助金
国は、デマンドレスポンスに活用できる家庭用蓄電池の導入を促進するため、「DRリソース導入のための家庭用蓄電システム導入支援事業(DR家庭用蓄電池事業)」という補助金制度を設けています。
この制度を活用すると、蓄電システムの性能や容量に応じて、最大60万円もの補助金が交付される可能性があります。
補助金の要件
DR家庭用蓄電池事業の補助金は「3.7万円/kWhを基準に機器評価の上乗せを加味した額」または「設備費+工事費×1/3」または「上限60万円」のうち最も低い額が交付されます
申請にあたっては、アグリゲーターや電力会社との契約が必須で、少なくとも2027年3月31日までDR参加を継続する必要があることにご注意ください。
2025年度の補助金は早期に受付終了
この補助金は非常に人気が高く、2025年3月26日から公募が開始された令和6年度補正予算分は、当初2025年12月5日までの公募予定でしたが、予算上限額に達したため2025年7月2日に受付を終了しています。
来年度以降の動向に注目
来年度以降の補助金交付は未定ですが、カーボンニュートラルの実現に向けて、同様の制度が継続される可能性は高いと考えられます。
これから蓄電池の購入を検討される方は、国の補助金制度の最新情報を事前に確認し、スムーズに申請できるよう準備しておくことが非常に重要です。

家庭用蓄電池の購入、デマンドレスポンスの申込みはサーラまで
デマンドレスポンスへの参加や、その鍵となる家庭用蓄電池の導入は、これからの時代のスタンダードなエネルギーとの付き合い方になっていくでしょう。
「何から始めたらいいかわからない」
「補助金の手続きが難しそう…」
そんな時は、ぜひ私たちサーラにご相談ください。
サーラでは、「グリーンリフォーム」というコンセプトのもと、お客さま一人ひとりの暮らしに合わせた最適なエネルギーソリューションをご提案しています。
サーラのグリーンリフォームは、
- 創エネ:(太陽光発電)クリーンなエネルギーを創り出す
- 蓄エネ:(蓄電池・V2H)創ったエネルギーを賢く貯める
- 節エネ:(高効率設備)エネルギーの消費を抑える
この3つの視点を組み合わせ、環境に優しく、家計にもやさしく、そして災害時にも安心な暮らしを実現します。
サーラでは、お客さまのライフスタイルに合わせた最適な家庭用蓄電池のご提案から、補助金制度を活用したお得な導入プラン、設置工事、そしてデマンドレスポンスへの参加申し込みまで、すべてをワンストップでサポートいたします。

■監修_サーラエナジー/エネルギー事業、暮らし事業担当者

WRITER PROFILE

矢部 直美
一級建築士/WEBライター
一級建築士として、約250軒の注文住宅を設計・施工してきた実績を持つ建築とエネルギーの専門家です。その豊富な経験を活かし、あなたの理想の住まいを実現するためのヒントを、プロの視点からお伝えします!