シロアリがいるかどうかの見極め方は?住まいに寄せ付けない方法などを建築士が徹底解説
「うちにシロアリがいるのかな?」「床がブカブカするけど、これってシロアリのせい?」「どうやって確認すればいいんだろう?」このような不安に対して建築士が解説します。
シロアリは建物などの木材を食べる害虫です。外から見ただけでは被害に気づきにくく、発見が遅れると家の強度が大きく低下してしまいます。実際、日本では約5軒に1軒がシロアリの被害を経験しているといわれているのです。
この記事では、シロアリがいるかどうかを見分ける具体的なサインや、発見したときの対処法、そして被害を防ぐための日頃のチェックポイントをわかりやすく解説します。
ぜひ最後までお読みください。

目次
シロアリについて

シロアリは日本全国に生息する害虫で、住宅に深刻な被害をもたらします。日本における代表的なシロアリは、ヤマトシロアリとイエシロアリの2種類です。ヤマトシロアリは北海道の一部を除く全国に分布し、イエシロアリは主に温暖な地域に生息しています。
国土交通省の調査によると、日本の住宅の約5軒に1軒がシロアリ被害を経験しているとされ、年間の被害総額は1千億円にも上ります。シロアリは木材の内部を食い荒らすため、外見からは被害がわかりにくいのが特徴です。発見が遅れると建物の耐震性を著しく低下させる危険性があります。早期発見と適切な対策が、住まいを守るために非常に重要です。
シロアリがいるかどうかの見分け方

シロアリがいるかどうかを見分けるには、いくつかの明確なサインがあります。以下の6つのポイントを確認することで、シロアリの存在を早期に発見できます。
- 羽アリを見かける(春〜初夏)
- 床や柱がブカブカする
- 壁や柱を叩くと軽い音がする
- ドアや窓が開けづらい
- ウッドデッキなど、庭の木材が食われている
- 家の周囲や基礎に土の道(蟻道)がある
それぞれ詳しく説明していきましょう。
羽アリを見かける(春〜初夏)
まず注目したいのが羽アリの発生です。4月から7月にかけて、家の中や周辺で羽アリを見かけた場合、シロアリが生息している可能性が高いです。シロアリは繁殖期になると羽アリとなって、新しい巣を作るために大量に飛び立つため、巣が近くにある証拠なのです。
ヤマトシロアリは4月から5月の昼間に、イエシロアリは6月から7月の夕方から夜にかけて飛び立つ習性があります。羽アリを見つけたら、窓際や浴室、玄関などの湿気の多い場所を重点的に確認しましょう。また、羽アリの死骸や落ちた羽が大量に見つかる場合も、シロアリが近くに潜んでいる可能性を疑いましょう。
床や柱がブカブカする
次に確認したいのが床や柱の状態です。以下のような症状が見られた場合は、シロアリ被害を疑いましょう。
- 床が沈み込むような感覚がある
- 柱を押すとブカブカと柔らかく感じる
シロアリは木材の柔らかい部分を好んで食べるため、表面は無傷でも内部がスカスカになっていることがあります。とくに、水回りや玄関、和室の畳の下などは湿気が多くシロアリが発生しやすい場所です。床を歩いたときにきしむ音がしたり、明らかに以前より沈み込みが大きくなった場合は要注意です。
専門業者による点検を早めに受けましょう。放置すると建物の構造自体に影響を及ぼす危険性があります。
壁や柱を叩くと軽い音がする
音も重要な判断材料です。健全な木材を叩くと中身の詰まった重い音がします。対してシロアリに食害された木材を叩くと、空洞ができているため軽く高い音がします。
とくに、柱や梁などの構造材を軽く叩いて音を確認してください。
- コンコンという軽い音
- ポコポコという空洞音
- 木材の表面が簡単にへこむ
などの場合はシロアリ被害の疑いがある症状です。
定期的に家の主要な木部を叩いて音を確認する習慣をつけると、早期発見につながります。
ドアや窓が開けづらい
ドアや窓の開閉に違和感がある場合も、シロアリ被害による恐れがあります。シロアリが柱や土台を食害すると、建物全体のバランスが崩れて歪みが生じます。その結果、以前はスムーズに開閉できていたドアや窓が引っかかったり、隙間ができたりするのです。
建具の不具合は経年劣化の場合もありますが、シロアリ被害の可能性も考慮しての点検が大切です。
ウッドデッキなど、庭の木材が食われている
庭の木材の状態も見逃せないチェックポイントです。
以下のような現象が庭の木材に見られたら、シロアリの食害が疑われます。
- 腐食している
- 表面に小さな穴が開いている
- 踏むと沈み込む
シロアリは屋外の木材から侵入し、そこから建物本体へと被害を広げていくケースが多いです。とくに地面に直接触れている木材や、湿気の多い場所に置かれた木材は要注意です。
たとえばウッドデッキは建物とくっついているので、シロアリが建物内へ侵入しやすくなります。
ウッドデッキなど、庭の木材に被害が見られたら、建物本体への侵入を防ぐため、早急に対策を行いましょう。
家の周囲や基礎に土の道(蟻道)がある
最も確実なシロアリの証拠は蟻道(ぎどう)があるかどうかです。蟻道とは、シロアリが土や排泄物、木くずなどを使って作るトンネル状の通路で、基礎や外壁の表面に茶色い筋状の盛り上がりとして現れます。
以下の部分によく作られるので、注意深く確認してください。
- 基礎の立ち上がり
- 玄関ポーチ
- 浴室の外壁
シロアリは太陽光や風を嫌うため、地中から建物へ侵入する際にこの蟻道を作って移動します。幅は数ミリから1センチ程度で、基礎のひび割れや配管の隙間などから建物内部へと伸びています。
蟻道を発見した場合は、シロアリが確実に活動している証拠ですので、すぐに専門業者に連絡しましょう。
シロアリがいた場合の駆除方法

シロアリが発見された場合、駆除方法には大きく分けて2つの選択肢があります。
- 専門業者による駆除
- 市販の薬剤を使った駆除
それぞれの特徴を説明していきましょう。
プロの業者は床下に潜って被害範囲を正確に調査し、薬剤散布や毒餌の設置を適切に行います。駆除後は5年程度の保証が付くことが多く、万が一再発した場合も対応してもらえます。費用は10万円から30万円程度が相場ですが、確実な駆除と再発防止を考えると安心できる選択肢です。
一方、市販の薬剤を使った駆除は、目に見えるシロアリを駆除し、不快感を和らげる応急処置としての利用がおすすめです。
ホームセンターで購入できるスプレー式の薬剤や毒餌剤を使用しますが、床下全体への処理は難しく、見えない部分に被害が広がっている可能性もあります。前述の通り応急処置としては有効ですが、根本的な解決には専門業者への依頼をおすすめします。
シロアリ駆除後に必要なリフォーム例

シロアリ駆除後には、被害を受けた部分の修繕工事が必要になります。
- 床下の束柱・土台の交換
- フローリング・畳の張り替え
- 浴室・脱衣所まわりの木部補修
- 外壁や基礎の補修・防蟻処理
それぞれの工事内容を説明していきましょう。
床下の束柱・土台の交換
最も重要な修繕が「床下の束柱・土台の交換」です。
束柱や土台は住宅の重量を支える基礎構造であり、シロアリに食われると建物の安全性に直接影響します。被害が進行している場合は、腐食した木材を撤去して新しい防蟻処理済みの木材に交換しましょう。
放置すると床の傾きや沈下につながるため、早急な対応が必要です。
床下地・畳の張り替え
床材が被害を受けた場合は「フローリング・畳の張り替え」が必要です。
シロアリは床下から侵入して床の下地や畳を食害します。表面上は問題なく見えても、下地が空洞化していることがあります。歩くとブカブカする、きしむ音がするなどの症状がある場合は張り替えを検討しましょう。
浴室・脱衣所まわりの木部補修
水まわりはとくに被害が集中しやすいため「浴室・脱衣所まわりの木部補修」が重要です。
湿気が多い浴室や脱衣所の周辺は、シロアリが好む環境です。浴室の土台、洗面台下の木枠、脱衣所の床下などが食害されているケースが多く見られます。補修では腐食した木材を取り除き、防水・防蟻処理を施した新しい材料に交換します。
同時に換気設備の見直しや浴室の交換工事も行うと再発防止に効果的です。
外壁や基礎の補修・防蟻処理
建物の外側からの対策として、外壁や基礎の補修・防蟻処理も欠かせません。
シロアリは基礎のひび割れや外壁と基礎の隙間から侵入することがあります。蟻道が作られていた箇所は丁寧に除去し、基礎のクラック補修や外壁の隙間を埋める工事を行います。
とくに外壁はひび割れによってシロアリの侵入を許すだけでなく、建物内に雨などの水分が侵入しやすくなるのです。水分が建物内に侵入すると、柱や土台が湿気てしまい、より一層シロアリの被害を助長しかねません。そのため外壁の劣化がひどい場合は、改修工事もあわせて行うと効果的です。
さらに建物周辺の土壌や外壁の下地に防蟻薬剤を散布することで、再侵入を防止できます。
シロアリを寄せつけない住まいづくりチェックポイント

シロアリの被害を未然に防ぐには、日頃からの住環境管理が重要です。以下のチェックポイントを定期的に確認することで、シロアリが寄りつきにくい住まいを維持できます。
| チェック項目 | 具体的な対策内容 | 実施頻度 |
| 床下・外壁通気を確保 | ・換気口が塞がれていないか ・床下ファンの動作確認 ・壁際に適度な空間を確保 | 年1回以上 |
| 雨漏り・水漏れの修理 | ・天井のシミや壁の変色の修理 ・水回りの配管接続部を定期確認 | 異常発見時は即対応 |
| 周囲に木材や段ボールを放置しない | ・不要な木材 ・段ボールは処分 ・薪は家から離れた場所に保管 ・庭の切り株を撤去 | 随時 |
| 定期的に点検実施 | ・専門業者による床下の状況確認 ・蟻道の有無チェック ・必要に応じて防蟻処理の再実施 | 3〜5年ごと |
まとめ|シロアリがいるかどうかをしっかり見極めて安心・安全な暮らしを実現しよう

シロアリがいるかどうかは、目視のほかに触る、叩くなどで被害状況がわかります。もしシロアリを見つけたら、専門業者に駆除してもらうのが安心です。駆除した後は、床下や水回りの修理が必要になることもあります。
大切なお家をシロアリから守るには、定期的なチェック、早期発見がとても大切です。少しでも「おかしいな」と感じたら、一人で悩まずに住宅会社に相談してみてください。専門家に見てもらうことで、安心して快適に暮らせるお家を守れるでしょう。
サーラではシロアリ駆除はもちろん、駆除後のリフォームまでトータル提案が可能です。予算から最適な手段とリフォーム内容をご提案します。お気軽にご相談ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。

■監修_リビングサーラ/施工管理担当者_資格:1級建築施工管理技士・2級建築士
WRITER PROFILE
望月尚文
不動産業歴10年以上。一級建築施工管理技士、二級建築士、宅地建物取引士の資格を保有。
平屋の家づくりに関するブログ「平屋の手引き」 (https://mochionoblog.com/)の運営者。
業界での経験と不動産に関わる専門資格を活かし、不動産取引や家づくりのノウハウを一般の方にわかりやすく解説します。