停電時の対策と発電・蓄電設備

停電時の対策と発電・蓄電設備

地震、台風、豪雨、大雪といった自然災害が頻発する日本において、「停電」は決して他人事ではありません。災害時だけでなく、落雷や設備の故障など、予期せぬ原因で電力供給がストップすることもあります。

照明、冷蔵庫、エアコン、スマートフォン、インターネットなど、私たちの暮らしは、電気によって支えられています。これらがもし突然使えなくなったら、どれほど不便で、不安な状況になるでしょうか。

この記事では、なぜ停電が起こるのか、停電時にどのようなリスクがあるのかといった基本的な情報から、いざという時に備えて家庭でできる対策、さらには太陽光発電や蓄電池、V2H、エネファームといった「創エネ・蓄エネ」設備が停電時にどのように役立つのかまで、詳しく解説していきます。

日頃から停電対策への意識を高め、ご家庭に合った備えを進めるきっかけとして、ぜひ最後までお読みください。

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停電時の対策と発電・蓄電設備

地震、台風、豪雨、大雪といった自然災害が頻発する日本において、「停電」は決して他人事ではありません。災害時だけでなく、落雷や設備の故障など、予期せぬ原因で電力供給がストップすることもあります。

照明、冷蔵庫、エアコン、スマートフォン、インターネットなど、私たちの暮らしは、電気によって支えられています。これらがもし突然使えなくなったら、どれほど不便で、不安な状況になるでしょうか。

この記事では、なぜ停電が起こるのか、停電時にどのようなリスクがあるのかといった基本的な情報から、いざという時に備えて家庭でできる対策、さらには太陽光発電や蓄電池、V2H、エネファームといった「創エネ・蓄エネ」設備が停電時にどのように役立つのかまで、詳しく解説していきます。

日頃から停電対策への意識を高め、ご家庭に合った備えを進めるきっかけとして、ぜひ最後までお読みください。

停電対策

停電発生の恐れ

近年の自然災害の増加によって、私たちの暮らしは常に停電のリスクと隣り合わせになっています。

「わが家は大丈夫」と過信せず、日頃から「もしも」の事態を想定しておくことが重要です。

停電が起こるパターン

停電は、大きな揺れで電柱が倒れたり電線が切れたりする地震、強風による断線や豪雨による送電設備被害をもたらす台風・豪雨、雪の重みや倒木で電線が接触・断線する大雪、送電設備を故障させる落雷といった自然災害によって主に引き起こされます。

このほかにも、電力設備の故障や点検作業、カラスの巣作りや動物の接触といった要因、さらには電力需要が供給能力を大幅に上回ることで計画的に停電(計画停電)が実施される場合もあります。

停電が起こる可能性

日本は「災害大国」とも言われるほど、地震や台風などの自然災害が多い国です。気象庁のデータを見ても、大雨や暴風などの気象警報・注意報の発表回数は年々増加傾向にあり、それに伴う停電のリスクも高まっていると言えます。

また、南海トラフ巨大地震や首都直下地震など、今後発生が危惧されている大規模地震では、広範囲で甚大な被害と長期間の停電が想定されています。

さらに、近年では電力インフラの老朽化も課題となっています。高度経済成長期に整備された多くの電力設備が更新時期を迎えており、突発的な故障による停電リスクも無視できません。

直近で起こった大規模停電

記憶に新しい大規模停電としては、2024年の能登半島地震や2019年台風15号(令和元年房総半島台風)による災害が挙げられます。

特に2019年の台風15号による千葉県の停電は、その深刻さを改めて浮き彫りにしました。鉄塔の倒壊や多数の電柱の損壊など、電力インフラそのものが甚大な被害を受けたため、復旧作業は困難を極めました。

冷蔵庫が停止して食料品が腐敗したり、スマートフォンの充電ができず情報収集や安否確認が困難になっただけでなく、猛暑の中でエアコンや扇風機が使えず熱中症で亡くなった方もいます。また、断水が併発した地域も多く、トイレが使えないなど衛生面でも大きな問題が生じました。

停電は単に「電気が使えない」というだけでなく、私たちの生命や健康、生活の質(QOL)を直接脅かす重大な問題なのです。

暮らし方による停電発生時のリスク

停電が発生すると、生活のさまざまな場面で支障をきたします。特にご家庭の状況によっては、そのリスクがさらに高まる場合があります。

停電発生時のリスク

一般的な家庭では次のようなリスクが想定されます。

  • 照明がつかない
  • 通信・情報収集ができない
  • 冷蔵庫・冷凍庫が使えない
  • 冷暖房が使えない
  • 調理ができない
  • 給湯器が使えない
  • 家電製品が動かない
  • セキュリティの低下

高齢者、乳幼児がいる場合のリスク

ご家庭に高齢者や乳幼児がいる場合、停電のリスクはさらに深刻になります。

  • 高齢者の場合

停電が発生すると、エアコンが使えなくなることで室温が変化し、体温調節機能が低下しがちな高齢者にとって大きな負担となってしまいます。持病の悪化や熱中症・低体温症を引き起こす可能性も高くなるでしょう。

さらに、在宅酸素療法装置や人工呼吸器といった生命維持に直結する医療機器がバッテリー切れで作動しなくなる恐れもあります。また、暗闇による転倒リスクの増加に加え、緊急時の情報入手や外部への連絡が困難になることも、大きな不安材料です。

  • 乳幼児の場合

乳幼児は体温調節機能が未熟なため室温変化に敏感であり、停電時には体調管理が難しくなります。

また、ミルク用のお湯や離乳食の準備、哺乳瓶の消毒ができなくなるほか、おむつ交換時の照明確保や冬場のおしりふきの保温など、衛生面でのケアも困難になります。

ペットがいる場合のリスク

大切な家族の一員であるペットも、停電による影響を受けます。特に暑さや寒さに弱い動物にとってはエアコンやヒーターの停止が命に関わります。

また、水槽のフィルターやエアレーション、自動給餌器・給水器が停止する恐れがあるほか、突然の暗闇や家族の様子からパニックを起こし、体調を崩すリスクも考えておかなければなりません。

さらに、停電時にはペット同伴可能な避難所の情報などが得にくくなる可能性も考慮する必要があるでしょう。

ペットイラスト

停電時の対策

停電によるリスクを軽減するためには、日頃からの備えが不可欠です。すぐにできる対策から、住宅設備による本格的な対策まで、ステップごとに見ていきましょう。

身近にできる停電時の対策

まずは、各家庭ですぐに準備できる備えとして下記のような物品を常備しておきましょう。

カテゴリアイテム詳細・ポイント
明かりの確保懐中電灯寝室、リビング、玄関など複数箇所に分散
ヘッドライト両手が自由に使えるため便利
ランタン型ライト部屋全体を照らすことができる
予備の乾電池懐中電灯やラジオ用に多めにストック使用推奨期限も定期的にチェック
情報の確保携帯ラジオスマートフォンの充電が切れても情報収集ができる
モバイルバッテリースマートフォン等の充電に不可欠大容量やソーラー充電機能付きも
食料・飲料飲料水1人1日3リットルを目安に、最低3日分を備蓄
非常食缶詰、レトルト、アルファ米、乾麺、栄養補助食品など調理不要または簡単な調理で食べられるもの
カセットコンロボンベお湯を沸かしたり、簡単な調理をしたりするのに役立つボンベも多めにストック
その他常備薬持病のある方は、薬を切らさないように
衛生用品ウェットティッシュ、消毒用アルコール、簡易トイレ、生理用品など
現金キャッシュレス決済やATMが使えなくなる場合に備え、小銭や千円札を準備
防寒・暑さ対策カイロ、毛布、アルミシート(防寒)、冷却シート、うちわ、携帯扇風機(乾電池式・充電式)など
ライト

停電対策設備の導入

災害時の備えは非常に重要ですが、停電が長引いた場合には限界があります。特に、エアコンや冷蔵庫、医療機器など、消費電力の大きい機器や、継続的に電力を必要とする機器は動かせません。

そこで、より安心・安全な暮らしを守るために注目されているのが「創エネ・蓄エネ」設備の導入です。具体的には、以下のような設備が挙げられます。

  • 太陽光発電システム
  • 家庭用蓄電池
  • V2H(Vehicle to Home)
  • 家庭用燃料電池(エネファーム)

これらの設備は、平常時には光熱費の削減や環境負荷の低減に貢献し、停電時には非常用電源として大きな力を発揮します。

次章からは、それぞれの設備が停電時にどのように役立つのかを詳しく見ていきましょう。

太陽光発電の停電時の動き

停電時に太陽光発電の電気を使うためには、いくつかの条件と手順、注意点があります。

太陽光発電の停電時の電気の流れ

通常、太陽光発電システムは電力会社の送電網と「系統連系」して運転しています。停電が発生すると、復旧作業中の感電事故などを防ぐために太陽光発電システムも自動的に発電を停止します。

停電時に太陽光発電の電気を使うためには、手動または自動で「自立運転モード」に切り替える必要があります。

自立運転モードに切り替えると、太陽が照っている日中であれば、発電した電気を「非常用(自立運転用)コンセント」から使用することができます。このコンセントは、多くの場合、パワコンの近くや、設置時に希望した場所(リビングなど)に設けられています。

太陽光発電の停電時の注意事項

自立運転モードは非常に有用ですが、万能ではありません。以下の点に注意が必要です。

  • 夜間や悪天候時は使えない

太陽光発電は、太陽の光がなければ発電できません。したがって、夜間や、雨、雪、曇りの日には電気を使うことができません。

  • 使用できる電力に上限がある

自立運転モードで使用できる電力は、多くの機種で最大1.5kW(1500W)程度です。これは、非常用コンセント1〜2口の合計で使える上限です。

スマートフォン充電や扇風機、ノートパソコンなどを同時に使うことは可能ですが、消費電力の大きい電子レンジやドライヤーなどを使うと、上限を超えてシステムが停止してしまう可能性があります。

  • 非常用コンセントでしか使えない

自立運転モードで使えるのは、基本的に「非常用コンセント」のみです。家全体のコンセントで電気が使えるようになるわけではありません。

(住宅全体で使用できる「全負荷対応」のパワコンもありますが、一般的ではありません)

  • 200V機器は使えない

非常用コンセントは100V専用がほとんどです。そのため、エアコンやIHクッキングヒーター、エコキュートなど、200V電源を必要とする機器は使用できません。

蓄電池の停電時の動き

太陽光発電の弱点である「夜間や悪天候時に電気が使えない」という点をカバーできるのが、家庭用蓄電池です。

蓄電池の停電時の電気の流れ

蓄電池を設置している場合、停電が発生すると、蓄電池は自動的に「自立運転モード」に切り替わり、蓄えていた電気の放電を開始します。

停電時にどの範囲で電気が使えるかは、蓄電池のタイプによって大きく2つに分かれます。

【特定負荷型】

  • 設置時にあらかじめ選んでおいた、特定のエリアやコンセントにのみ、電力を供給するタイプです。
  • 使える範囲は限られますが、その分、蓄電池の電力を重要な機器に集中させて、長時間使用できる可能性があります。
  • 比較的、導入コストが抑えられる傾向があります。

【全負荷型】

  • ほぼ家全体のすべてのコンセントや照明で、電気を使えるようにするタイプです。(200V機器に対応しているかは機種によります)
  • 停電時でも、普段に近い生活を送ることが可能です。エアコンやIHクッキングヒーターなど、消費電力の大きい機器も使用できる場合があります。
  • 停電時の利便性は非常に高いですが、導入コストは高くなる傾向があります。

太陽光発電と連携している場合は、日中は太陽光で発電した電気を使いつつ余った電気を蓄電池に充電します。

夜間や悪天候時には、蓄電池に蓄えた電気を使って電化製品を動かすことができます。これにより、停電が長期間続いた場合でも、電気を自給自足できる可能性が高まるでしょう。

蓄電池の停電時の注意事項

蓄電池も万能ではなく、その能力は「容量」と「出力」によって決まります。

  • 蓄電池の容量(kWh)

どれだけの電力量を蓄えられるかを示す値です。容量が大きいほど、長時間または多くの電化製品を使えます。

5kWh程度の中容量は、冷蔵庫や照明、テレビなどの生活に最低限必要な機器を合計で約10〜15時間程度動かすのに適しています。

一方、10kWh以上の大容量は、全負荷型と組み合わせることで、エアコンや電子レンジなどの消費電力の大きい機器も短時間使用できるため、停電時でもより長時間にわたって快適性を求める場合に有効です。

  • 蓄電池の出力(kW)

一度にどれだけの電力を使えるかを示す値です。「特定負荷型」では1.5kW〜2kW程度、「全負荷型」では5kW以上といった機種が多く見られます。

例えば、出力が2kW(2000W)の場合、電子レンジ(1000W)と炊飯器(1000W)を同時に使うと上限に達してしまいます。使用する電化製品の消費電力をあらかじめ確認しておくことが大切です。

  • 200V機器への対応

「全負荷型」であっても、機種によってはエアコンやIHクッキングヒーターなどの200V機器に対応していない場合があるため、導入時に確認が必要です。

蓄電池イラスト

その他の停電対策

太陽光発電や蓄電池以外にも、停電時に役立つ設備があります。電気自動車(EV)を活用する「V2H」と、ガスで発電する「エネファーム」です。

V2Hの停電時の電気の流れ・注意点

V2H(Vehicle to Home)は、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)に搭載されている大容量バッテリーの電気を取り出し、家庭用の電力として使用するためのシステムです。

停電が発生すると、V2H機器を介して、EV/PHEVから家庭へ電力が供給されます。(自動切り替え対応機種と手動切り替え機種があります)

太陽光発電と連携している場合、日中は太陽光で発電した電気を家庭で使い、余った電気をEV/PHEVに充電することも可能です。

  • メリット

EVのバッテリー容量は、一般的なものでも40kWh〜60kWh以上と、家庭用蓄電池(5〜15kWh程度)に比べて非常に大容量です。これにより、停電時でも数日間にわたって普段に近い生活を送れる可能性があります。

  • 注意点

当然ですが、車が外出中(通勤や買い物など)は、V2Hシステムがあっても家庭に電力を供給できません。停電が日中に発生した場合、車が帰宅するまでは電気を使えないことになります。

EV/PHEVをすでに所有している、または購入予定の方にとっては、家庭用蓄電池の代わり、あるいは併用する選択肢として非常に強力な停電対策となります。

V2H

エネファームの停電時の電気の流れ・注意点

エネファーム(家庭用燃料電池)は、都市ガスやLPガスから水素を取り出し、空気中の酸素と化学反応させることで、電気とお湯を同時に作り出すシステムです。

停電が発生すると、エネファームは自動的に「自立運転モード」に切り替わり、ガス供給が継続している限りは発電を続けることができます。

  • メリット

太陽光発電と異なり、ガスさえ供給されていれば、雨の日でも夜間でも継続して発電できるのが最大の強みです。(ただし、電源を取り出せるのは非常用コンセントのみ)

発電と同時にお湯も作られるため、停電時でもお風呂に入ったり、温かいシャワーを使えたりする安心感があります。

  • 注意点

地震などでガスの供給が停止してしまうと、エネファームも発電できなくなります。

自立運転時の発電出力は、機種にもよりますが最大700W〜1000W程度が一般的です。太陽光発電や蓄電池に比べると出力は小さめなので、使える電化製品は限られます。

ガスの安定供給が見込まれる地域や、太陽光発電の設置が難しい(日当たりが悪い、屋根形状が適さないなど)ご家庭にとって、有効な停電対策の一つと言えるでしょう。

蓄電池

停電時はあわてず対応を

地震や台風などの災害は、いつ、どこで発生するか予測できません。そして、災害が発生すれば、停電は高い確率で起こり得ます。

大切なのは、災害や停電を「他人事」や「いつか起こるかもしれないこと」ではなく、「わが家にも起こり得ること」として捉え、日頃から心掛けと準備をしておくことです。

今回ご紹介したように、停電への対策には、懐中電灯やモバイルバッテリーといった身近な備えから、太陽光発電、蓄電池、V2H、エネファームといった住宅設備の導入まで、大小さまざまな選択肢があります。

サーラでは、「グリーンリフォーム」というコンセプトのもと、お客さま一人ひとりの暮らしに合わせた最適なエネルギーソリューションをご提案しています。

サーラのグリーンリフォームは、

  • 創エネ:(太陽光発電)クリーンなエネルギーを創り出す
  • 蓄エネ:(蓄電池・V2H)創ったエネルギーを賢く貯める
  • 節エネ:(高効率設備)エネルギーの消費を抑える

この3つの視点を組み合わせ、環境に優しく、家計にもやさしく、そして災害時にも安心な暮らしを実現します。

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■監修_サーラエナジー/エネルギー事業、暮らし事業担当者

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一級建築士として、約250軒の注文住宅を設計・施工してきた実績を持つ建築とエネルギーの専門家です。その豊富な経験を活かし、あなたの理想の住まいを実現するためのヒントを、プロの視点からお伝えします!

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