蓄電池とV2Hどっちがいいの?購入前に知っておきたい注意点

蓄電池とV2Hどっちがいいの?購入前に知っておきたい注意点

社会情勢、国際情勢の変化により、エネルギー価格が高騰しています。

電力会社に頼らない生活に興味を持つ方が増える中、注目されているのが、家庭に導入できる蓄電池やV2Hといった蓄電設備です。 多額なコストが必要になりがちですが、家計にも効率的な電力自給率を上げるポイントなどを紹介します。

家庭におけるエネルギー問題と対策

高圧電線

電力会社に頼らない時代

新型コロナウイルス感染症の流行やウクライナ情勢により、電気やガスといったエネルギー価格が高騰しています。ガソリン代の高騰も続き、家計のやりくりにお困りの方も多いことでしょう。

また、近年の地球温暖化による異常気象に加えて、2011年の東日本大震災による福島第一原発事故により、エネルギーの供給自体が不安定な時代となりました。

事故後は、当たり前だった電力会社への依存に疑問を抱く方も増え、自宅に蓄電設備を導入して太陽光発電から充電し、電力会社からの電力購入を取りやめる方も出てきています。

原発系統の電力に頼らない、こうした電力の完全自給自足をする体制は「オフグリッド」「独立電源」とも呼ばれます。

家庭におけるカーボンニュートラル化を進めるには、どんな設備が必要で、どのくらいのコストがかかるのかを、詳しく見ていきましょう。

自給自足に必要な太陽光発電や蓄電設備

容量と価格

容量は消費量の倍程度が理想

①卒FITへの対策(太陽光発電が設置されている光景)

太陽光発電のソーラーパネルの発電量は1kWあたり年間1140kWh程度ですが、発電量は天気によって左右されるため、日によってかなり差が生じます。

独立電源にした場合、梅雨の時期などは電気が使えなくなってしまう恐れもあるため、前もって多めに発電できるように容量に余裕を持たせておく必要があります。

消費量の倍程度は発電できる設備を整えておくと安心ですね。

例えば1日5kWh程度の電力消費があるご家庭であれば、年間3650kWhを発電できる約3.2kWのソーラーパネルの設置が必要になります。

ソーラーパネルの価格はkw単価30万円前後のため、100万円弱の設置費がかかる計算になります。

リチウムイオン電池がお勧め

太陽光発電から充電する蓄電システムは、3日〜1週間程度の消費量に相当する電力を貯められる量が必要です。蓄電池の場合、容量が小さすぎると雨天が続いた時に不安が募り、使用深度が深くなると電池の寿命も早まるため、容量には余裕を持たせた方が安心です。

目安として20〜30kWhが最適でしょう。

使用する電池は、費用を抑えるなら再生鉛電池(2〜5万円/kWh)、長寿命を期待するならリチウムイオン蓄電池(7.5〜20万円/kWh)です。

完全オフグリッド生活を送られている方では鉛電池を使っている方も多いですが、寿命が短く、設置にスペースを取ります。

20kWhを導入する場合、鉛電池なら約50万円、リチウムイオン電池なら約150万円かかることになりますが、鉛電池の場合だと使用回数は800回程度、リチウムイオン電池は4000回から最大6000回の使用に耐える優れものもあります。

将来的なメンテナンスや買い替え費用も考えて、お得な選択をしましょう。

環境にも家計にも優しい発電システムを

電力を完全に自給自足するとなると多額なコストがかかり、オフグリッド電源は無駄になる電力まで発生してしまうため、家庭のお財布にも、地球の環境的にも最良の選択だとは言えません。現時点では太陽光発電のみ導入し、蓄電池の購入をFIT制度が終了する10年後まで待つという選択が経済的に最もお得だと考えられます。

昨今では太陽光発電の導入世帯も増え、昼間に発電量が増えすぎて一部抑制がかかり、売電できなくなるリスクも出てきています。売電単価も年々下がり、その一方で電気代が上がっていく今後は、より太陽光発電で作った電力を積極的に使う方が経済的にもお得になると言えます。

次は大規模で高額な蓄電システムに頼ることなく、少しでも電力の自給率を上げられる方法を紹介していきます。

電力自給率を上げる工夫

系統連系のイメージ写真

系統連系でムダをなくす

必要量の倍のソーラーパネルを設置することは、せっかく発電した電力の半分が無駄になり、経済面だけでなく環境面でも好ましくありません。

この半分を系統に流すことができれば、他の家庭の電力供給に充てられることになり、その分、石油や天然ガスなどの化石燃料などによる発電を減らせます。ソーラーパネルが故障するといったトラブル発生時にも安心です。

設置の向きで発電量を平衡にする

快晴時の発電パターンは、昼にピークがある山なりになるのが通常です。この山の高さは設置方法によってある程度平衡化することができます。

ソーラーパネルの稼働量を最大にする場合、直射日光がより当たる南向きに設置するのが効率的と言われますが、東西にずらすと、昼間の発電量は少し下がるものの、朝と夕方により多くの発電量が得られ、1日を通して均衡化された発電量が得られます。

また、パネルの容量に対してパワーコンディショナの容量を少なくすると、ピークの頂上部分が削り取られた発電パターンとなり、初期費用の削減にもつながります。

できるだけ昼間に消費する

電力自給率を上げるうえで、相性の良い設備が、電気を使う温水器です。 ヒートポンプ式のエコキュートはガス給湯器と比べてランニングコストが低く、どんな家庭にもお勧めですが、特に太陽光発電の設置家庭で昼間の余剰電力を積極的に使いたいという方に効果的です。

蓄電池とV2Hの違い

環境変化に合わせた設備の選び方(電気自動車を充電する様子)
Charging electric car with own charger in house, sustainable transportation concept.

蓄電設備には大きく分けて蓄電池とV2Hがあります。それぞれの特長やデメリットを紹介します。

単独で使用できる

蓄電池

蓄電池は選べる種類も多く、車は不要で、単独で使用できます。

ただ、消防法の規制により最大10kWhと容量が少なく、使用によっては家庭の一部にしか電力を供給できません。

電気自動車へ急速充電

V2H

V2H(Vehicle to Home)は電気自動車やプラグインハイブリッド車とセットで蓄電できるシステムで、蓄電量は35~60kWhと大容量。災害などの停電時にも、普段からお使いのコンセントや200V電源向けの機器が使用でき、電気自動車への急速充電も可能です。

ただ、電気自動車の購入が不可欠で、太陽が出ている時間帯に車が止まっていないと充放電できないデメリットがあります。

蓄電池とV2Hを併用すると、非常時に使える電力が増えるといったメリットがありますが、維持管理をするうえで注意が必要です。次項で詳しくみていきましょう。

蓄電池やV2Hを検討する際の注意点

電力の交換ロスを減らす

蓄電池とV2Hを併用する場合、まず導入費用が高くなります。また、電気自動車のバッテリーの劣化が早まる危険性があります。

そして、太陽光発電、蓄電池、V2Hのそれぞれにパワーコンディショナがある場合、パワコンやバッテリーの維持管理費用や、直流と交流で交換する際に発生する電力ロスに注意が必要です。

パワーコンディショナを1台に集約することで、それぞれの機器が生活リズムや電気の使用状況に合わせて連携する「トライブリッド蓄電システム」であれば、電力の変換ロスを最小限に抑えることができます。

電気自動車に乗り換える

地球温暖化対策から、世界各国で電気自動車が普及しています。

国内でも軽自動車のEV車が発売され、国や地方自治体の補助金もあり、大容量の蓄電先としての電気自動車が手頃に入手できる時代になってきています。 V2Hと電気自動車を組み合わせれば、従来通りの車の買い替えにより大容量のバッテリー交換が自動的に進められることになります。

(おわりに…)

ますます電気の需要が増える一方で、今後も電気代は上がり続けていくとみられ、リスクへの対策が求められます。

エネルギー環境も社会情勢、国際情勢に伴い変化し、地域の皆様の住まいやライフスタイルにも影響を及ぼすことが予想されます。

太陽光発電や蓄電池に関心のある方は、まずはサーラエナジーにお気軽にご相談ください。

監修_サーラエナジー/エネルギー事業、暮らし事業担当者

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WRITER PROFILE

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由本 裕貴

1983年3月20日、愛知県豊川市生まれ。
御津高校、愛知大学を経て、2005年に日刊スポーツ新聞社入社。プロ野球やサッカー日本代表を担当し、2014年に東愛知新聞社へ転職。2021年からフリーに転向し、翌年から東日新聞ライターとして東三河のニュースや話題を追っている他、スポーツマガジンやオカルト雑誌などでも執筆。豊川商工会議所発行「メセナ」の校正も請け負う。著書に「実は殺ってないんです 豊川市幼児殺害事件」「東三河と戦争 語り継ぐ歴史の痕跡」「訪れたい 東三河の駅」がある。
家族は妻と長男。趣味はスポーツ観戦、都市伝説の探求。

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