都市ガスとLPガスの違い
エネルギー価格が高騰する昨今、エネルギー料金は気になるところですよね。
今回は家庭に供給される都市ガスとLPガス(プロパンガス)について、供給の仕組みや特徴、料金の違いなどを比較、ご紹介します。
目次
家庭で使用されるガスの種類
家庭で使われるガスには都市ガス、LPガス(プロパンガス)、簡易ガス(団地ガス)の3種類があります。
◆都市ガス
ガス導管を通して家庭にガスを届けます。そのため、都市ガス導管が配備された地域にお住まいの方でしか使うことができません。
◆LPガス(プロパンガス)
LPガス(プロパンガス)会社の社員が、LPガスが入ったボンベをご家庭に配達することでガスを届けます。ご自宅の敷地内にガスボンベを置くスペースが必要です。
◆簡易ガス(団地ガス)
70戸以上ある団地などで、敷地内にガス発生設備を敷き、各家庭にガスを届けます。
このうち、圧倒的に多くの家庭で使用されている都市ガスとLPガスについて、次章から詳しく見ていきましょう。
都市ガスの仕組み、特徴
都市ガスは、メタンが主成分の液化天然ガス(Liquefied natural gas)を使っており、その頭文字からLNGとも呼ばれます。日本の天然ガス需要の約97%は輸入でまかなわれており、その主な輸入元はオーストラリアやマレーシアです。
2019年度現在、オーストラリア、マレーシアなどのアジア大洋州地域とロシア、米国などの地域が約83%を占めており、石油と比べれば中東依存度は低いです。特に2012年度から最大の輸入先となっているオーストラリアは、新規LNG基地からの輸入が順次開始されており、その割合は2012年度の19.6%から2019年度には39.2%に拡大しています。
参照:経済産業省資源エネルギー庁:一次エネルギーの動向
https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2021/html/2-1-3.html
都市ガスの仕組み
都市ガスは原料となるLNGが陸揚げ後に気化・臭化などの工程を経て、地中に埋まった導管を通じて各家庭に供給されています。この導管の管理や家庭までの供給といった一連の業務は都市ガス会社が請け負っており、東海地方ではおなじみの東邦ガスをはじめ、東京ガス、大阪ガス、西部ガスの大手4社を中心に、全国で約200社が各地域で担ってきました。
2017年4月に都市ガスが小売全面自由化となり、都市ガスを売る小売部門に新規参入ができようになりましたが、荷揚げした加工後のガスを各地域に運ぶ導管の運営・管理は規制事業のままとなっており、従来通り既存の都市ガス会社が行っているのが現状です。
都市ガスの特徴
都市ガスは一般的に空気よりも軽く、空気中では高い場所へ拡散します。
ご家庭でガス漏れが発生したい場合、ガスは天井部に溜まるため、都市ガスを使用している家庭ではガス漏れ警報器が部屋の上方に設置されています。
ガス自体は無臭ですが、ガス漏れをした時にすぐに気づくことができるよう、人工的な臭いがつけられています。
また、都市ガスはマイナス162℃まで冷やすと液体になり、体積が600分の1と小さくなる性質を持っています。
サーラエナジーでは東三河、遠州西部の両地域で都市ガス事業を行っています。都市ガスをお届けしている地区は、愛知県豊橋市、豊川市、蒲郡市、田原市、静岡県浜松市、湖西市、磐田市の7市です。
ガス管の整備状況によっては都市ガスをお届けできない場合もあるため、詳しくはお近くのサーラの窓口までお問い合わせください。
お問い合わせ:サーラエナジー
https://www.salaenergy.co.jp/corporation/city-area/
また、他のガス事業者様のエリアについては日本ガス協会のホームページで紹介されています。
参照:一般社団法人日本ガス協会
https://www.gas.or.jp/
LPガス(プロパンガス)の仕組みと特徴
LPガスの仕組み
LPガスとは、石油ガスを液化したものを指します。正式名称は液化石油ガス(Liquefied Petroleum Gas)で、その頭文字からLPガス、LPGと呼ばれます。
家庭で使われるLPガスの主成分の多くはプロパン・ブタンのため、「プロパンガス」とも呼ばれます。その大半は中東のカタールやUAE、サウジアラビアなどや、米国から輸入されています。
LPガスは、原料となるプロパンガスが海外から陸揚げされた後、ボンベに充填し、各家庭に届けられています。ガスを扱う会社は大小さまざまで、日本全国で約2万社もの会社があるとされています。
LPガスの特徴
LPガスは空気よりも重く、家庭でガスが漏れた際は低い場所に溜まります。プロパンは空気の約1・5倍、ブタンは空気の約2倍の重さがあります。
都市ガスとは対照的に、LPガスを使用している家庭ではガス漏れ警報器が下方に設置されています。
都市ガスと同様に、LPガス自体は無臭ですが、ガス漏れ時にすぐに気づくことができるように人工的な臭いにおいがつけられています。
また、マイナス42℃まで冷やすと液体になり、体積は気体の時から250分の1になります。液体にすることで、輸入時や家庭に届ける際に効率よく運ぶことができるのがメリットです。
都市ガスとLPガスの料金の違い
都市ガスとLPガスの料金を比べると、一般的にLPガスの方が高いと言われています。
経済産業省資源エネルギー庁の「ガス料金等の現状について」(平成25年7月)によると、全国平均では都市ガスに比べて1・86倍高い状況です。
ただ、LPガスは自由料金で、国や公的機関によるガイドラインはなく、事業者が料金を自由に決められます。ガス会社によって差があるため、契約される際にはできるだけ複数社の料金を比較することをお勧めします。
また、都市ガスでもLPガスでも、導入費として新築時などに配管工事が必要になります。LPガスの場合、配管工事費などが無償となる代わりに、その分を毎月のガス使用料金として分割で支払うケースもありますので、契約時には必ず確認するようにしましょう。
おわりに…
都市ガスを使用されている方は、ガスの小売自由化によりガス会社のプランを選ぶことができる地域があります。今よりもお得なガス会社のプランがあるか、この機会に見直してみることをお勧めします。
また、LPガスをお使いの方もガス会社を自由に選ぶことができるので、ガス代が高いと感じる方はガス会社を見直してみてはどうでしょうか。
お得そうにみえて実は損をしてしていることがないように、お値打ちで信頼ができるガス会社を選択しましょう。
■監修_サーラエナジー/エネルギー事業、暮らし事業担当者
WRITER PROFILE
由本 裕貴
1983年3月20日、愛知県豊川市生まれ。
御津高校、愛知大学を経て、2005年に日刊スポーツ新聞社入社。プロ野球やサッカー日本代表を担当し、2014年に東愛知新聞社へ転職。2021年からフリーに転向し、翌年から東日新聞ライターとして東三河のニュースや話題を追っている他、スポーツマガジンやオカルト雑誌などでも執筆。豊川商工会議所発行「メセナ」の校正も請け負う。著書に「実は殺ってないんです 豊川市幼児殺害事件」「東三河と戦争 語り継ぐ歴史の痕跡」「訪れたい 東三河の駅」がある。
家族は妻と長男。趣味はスポーツ観戦、都市伝説の探求。