Jクレジットの基礎知識 !メリットや利用方法について詳しく解説

Jクレジットの基礎知識 !メリットや利用方法について詳しく解説

異常気象や気候変動で世界的に環境問題が注目される中、日本でも主に温室効果ガスの削減を掲げた「2050年カーボンニュートラル宣言」が推進されるなど、SDGs(持続可能な開発目標)の取り組みの一環として、個人でも企業でも「脱炭素」に向けたさまざまな取り組みが行われています。

「Jクレジット制度」も、その一つです。今回は、Jクレジットの仕組みや、創出と購入の双方におけるメリット、具体的な参加方法を紹介します。

この制度で創出されたクレジットは、経団連カーボンニュートラル行動計画の目標達成やカーボン・オフセットなど、さまざまな用途にも活用できます。

Jクレジット制度の利用を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

Jクレジットって何?

Jクレジットって何

異常気象や海面上昇の原因とされる温室効果ガスの排出量は先進国を中心に際立っていますが、カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量が全体としてゼロになっている状態を表します。

日本では2020年10月の臨時国会で、当時の菅義偉総理が所信表明演説で「2050年カーボンニュートラル宣言」を行いました。気候変動問題に関する国際的な枠組み「パリ協定」では、今世紀後半のカーボンニュートラル実現を目標に掲げています。

こうした背景から、2021年1月までに、日本を含む124カ国と1地域が2050年までのカーボンニュートラル実現を表明しています。これらの国の世界全体のCO2排出量に占める割合は37.7%に上り、中国も2060年までのカーボンニュートラル実現を表明しています。

地球温暖化や食糧不足など、社会的な課題への危機意識が高まり、企業や個人でもSDGsへの取り組みの重要性が認識されていますが、企業の事業内容や規模によってはこれらの実現が難しいケースもあります。

そこで、温室効果ガスの排出量を埋め合わせる取り組みの一つに「Jクレジット制度」があります。

削減・吸収量をクレジットに変換

Jクレジットとは、省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの利用によるCO2などの排出削減量や、適切な森林管理によるCO2などの吸収量を「クレジット」として国が認証する制度です。

クレジットを創出した企業は売却することで資金を得て、事業拡大や投資費用の回収などの用途に使用できるようになります。

この制度は、企業や自治体単体では不可能な環境問題への取り組みも、社会全体で実現できるようになります。

Jクレジットのメリット

Jクレジットのメリット

Jクレジットを創出する企業や自治体には、以下のようなメリットがあります。

創出者のメリット

コスト削減

省エネ設備の導入や再生可能エネルギーの活用で、ランニングコストの低減やクリーンエネルギーの導入が可能になります。

クレジット売却による利益

クレジット売却益を設備投資の一部に補填したり、投資費用の回収や、さらなる省エネ投資に活用できます。

PR効果とブランディング化

自主的な排出削減や吸収プロジェクトを行うことで、環境保全に積極的な企業、団体としてPRし、事業をブランディング化できます。

新たなネットワークの構築

クレジットが地元に縁の深い企業や地方公共団体に利用されるなどして、新しいネットワークの構築につながります。

組織内の意識改革

省エネの取り組みが具体的な数値として見えるようになり、社員やメンバーの意識向上や社内教育につながります。

購入者のメリット

クレジットを購入する側の企業にも、以下のようなメリットが挙げられます。

地球環境への貢献

クレジットを購入することで、日本各地の森林保全活動や中小企業などの省エネ活動を後押しできます。

企業のPR効果

温対法・省エネ法の報告への活用や、各種企業評価調査などにおいてクレジット購入をPRすることで企業評価の向上につながります。

ビジネスチャンスの創出

クレジット購入を通して構築された企業や地方公共団体とのネットワークを活用し、ビジネス機会の獲得や、新たなビジネスモデルの創出につなげられます。

製品やサービスの差別化

製品、サービスに係るCO2排出量をオフセットすることで、差別化・ブランディングに利用できます。

Jクレジット制度に参加するには

Jクレジット制度に参加するにはどうすればいいのでしょうか。

クレジットの創出と購入の双方で、具体的な進め方を順番に紹介していきます。

Jクレジットを創出する

1.事業の計画・計画

どんなCO2排出削減・吸収事業を計画・実施しているかを明確にします。

例として、省エネルギーではボイラー・ヒートポンプ・空調設備・照明設備・コージェネレーションなどの導入・更新、再生可能エネルギーへの代替では太陽光発電・水力発電・風力発電・バイオマスボイラーの導入、森林管理では定期的・計画的な間伐が挙げられます。

2.事務局で相談・確認

実施・計画内容について、Jクレジット制度事務局に事前相談ができます。具体的な方法論の規定があるため確認しましょう。該当がない場合は新たに登録できるケースもあります。

また、支援の条件をクリアしていれば、プロジェクト登録時に必要となる申請書作成へのサポートと、妥当性確認の審査費用の支援が受けられます。

3.プロジェクトの登録

計画の詳細を記載した「プロジェクト計画書」を作成して登録申請します。

4.モニタリングの実施

計画に基づき、実際の削減量を計測します。

5.報告書の作成・クレジットの認証

モニタリング結果に基づき、排出削減・吸収量を算定して報告書を作成し、クレジット認証を申請します。認証時にも事務局で報告書作成支援・検証の費用支援が受けられます。

6.クレジットを売却する

売却するには、Jクレジット・プロバイダーと呼ばれる仲介事業者を通じてクレジットを売却する方法や、クレジット情報を「売り出しクレジット一覧」に掲載して購入者を募集する方法もあります。事務局が年1~2回実施する入札販売で売却することもできます。

Jクレジットを購入する

1.管理用口座の開設

Jクレジット登録簿システムを利用して新規に作成します。口座の開設は1事業者につき1口座のみです。

2.クレジットの購入

クレジットを購入する方法も、売却と同様に仲介、売り出しクレジット一覧からの選択、入札の3種類があります。

仲介事業者には活用ニーズに合致するクレジットの調達や、カーボン・オフセットに関するコンサルティングサービスを依頼することもできます。入札参加にはクレジット管理用口座の取得が必須です。

3.クレジットの無効化

購入後、一度使われたクレジットが再利用・再販売されないように管理用口座へ移転されたクレジットを無効化します。口座を持っていない場合、Jクレジット・プロバイダーやクレジット保有者による代理手続きも可能です。

Jクレジットの活用方法

Jクレジットの活用方法

Jクレジット制度は国内クレジット制度とオフセット・クレジット(J―VER)制度が統合して生まれた制度です。国が運営していることもあり、創出したクレジットは経団連カーボンニュートラル行動計画の目標達成やカーボン・オフセットなど、さまざまな用途に活用できます。利用対象は以下の通りです。

◆温対法(地球温暖化対策の推進に関する法律)における調整後温室効果ガス排出量や調整後排出係数の報告

◆省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)における共同省エネルギー事業の報告。

◆CDP(投資家向けに企業の環境情報の提供を目的とした国際的なNGO)に対して、再エネ電力・再エネ熱由来のJクレジットを再エネ調達量として報告。

◆SBT(Science Based Targets、企業が設定する温室効果ガス削減目標)において、再エネ電力・再エネ熱由来のJクレジットを再エネ調達量として報告。

◆RE100(企業が自らの事業の使用電力を100%再エネで賄うことを目指す、国際的なイニシアチブ)において、再エネ電力由来のJクレジットを再エネ調達量として報告。

カーボン・オフセット(排出されたCO2を他の場所の削減分で直接・間接的に吸収する取り組み)に利用。

さいごに

紹介してきたように、Jクレジット制度をうまく活用することで温室効果ガスの削減に貢献できるだけでなく、創出者になれば温暖化対策に積極的な企業として広報・PR活動ができ、企業や団体のブランディングに非常に有効です。

クレジット購入者も同様に、自社だけでは目標を達成できない部分を創出者の協力によって達成できるようになり、地球環境への貢献に寄与できます。

サーラグループでは、カーボンニュートラルの実現に向けて「サーラのグリーンリフォーム」をご提案しています。

エネルギーを自ら創り、蓄え、節約しながら、無駄なく活かすという「創エネ、蓄エネ、節エネ」の3つの視点から、V2Hや蓄電池、太陽光発電やエコキュート、ハイブリッド給湯器といったCO2削減につながる設備や取り組みを紹介しています。

地球環境だけでなく、皆さまの快適な生活にも役立つ、エコでスマートな暮らしをご提供しますので、専用サイトものぞいてみてくださいね。

参照:サーラのリフォーム グリーンリフォーム

https://reform.sala.jp/reform-menu/green/

■監修_サーラエナジー/エネルギー事業、暮らし事業担当者

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WRITER PROFILE

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由本 裕貴

1983年3月20日、愛知県豊川市生まれ。
御津高校、愛知大学を経て、2005年に日刊スポーツ新聞社入社。プロ野球やサッカー日本代表を担当し、2014年に東愛知新聞社へ転職。2021年からフリーに転向し、翌年から東日新聞ライターとして東三河のニュースや話題を追っている他、スポーツマガジンやオカルト雑誌などでも執筆。豊川商工会議所発行「メセナ」の校正も請け負う。著書に「実は殺ってないんです 豊川市幼児殺害事件」「東三河と戦争 語り継ぐ歴史の痕跡」「訪れたい 東三河の駅」がある。
家族は妻と長男。趣味はスポーツ観戦、都市伝説の探求。

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