南海トラフ大地震に備える!自分でできる対策からプロに頼む備えまで

南海トラフ大地震に備える!自分でできる対策からプロに頼む備えまで

この夏、南海トラフ地震の臨時情報が発表された影響で、人々にはこれまでになく防災意識が高まっています。

今回、改めて地震対策の重要性を再確認するとともに、自分ですぐにでもできる対策から、耐震補強リフォームや地震保険といったプロの業者に頼む備えについても紹介します。

地震に強いお住まい、地震に強いご家庭を築くため、必読です。

地震の備え

日々高まるリスク

2024年8月8日、日本列島に緊張が走りました。

宮崎県沖で最大震度6弱の地震が発生。南海トラフ地震の想定震源域で発生したことから、気象庁は即座に調査を行った結果、大規模地震が発生する可能性が普段よりも高まっているとして、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を発表しました。

制度開始後、初めてとなる発表に、多くの方が不安を感じたことでしょう。

その後、想定震源域での地震活動が落ち着いてきたことから、この注意情報は1週間で終了しました。

それでも、南海トラフ地震は今後30年以内に発生する確率が70~80%とされ、昭和の東南海・南海地震から約80年が経過していることから、切迫性の高い状態に変わりはありません。

いつ大地震が発生してもおかしくないことを念頭に、備えを万全にしておく必要があるのです。

地震被害の種類

大地震が発生すると、どのような被害が発生するのでしょうか。

大きく分けて、一次被害と二次被害に分けられます。

一次被害とは地震の揺れでもたらされる直接的な被害で、建物の倒壊や家具の転倒、地滑りや土砂崩れ、液状化があります。

そして、二次被害が地震をきっかけに発生するその他の被害を指し、暖房器具や家具転倒による火災、電気やガス、水道や道路といったライフラインの寸断、そして海に近い沿岸部などでは津波が発生します。さらに、余震による揺れにも注意が必要です。

対策の重要性

2011年の東日本大震災では津波で多くの命が犠牲となりましたが、1995年の阪神・淡路大震災や、2024年1月の能登半島地震では建物の倒壊や家具の転倒、火災によって亡くなった方が多くを占めました。

これらの被害は、家具の固定や耐震補強などの対策で防ぐことができます。

また、地震の発生時に助かっても、その後の避難生活で体調を崩すなどして命を落とす災害関連死もあります。

これらも、日頃から備蓄品を常備しておいたり、ライフラインが寸断したときに困らない設備を整えることで防ぐ可能性が高まります。

ご自身、ご家族の命と生活を守るため、対策は十分でない場合はすぐにでも対策に乗り出す必要があるのです。

すぐにできる地震対策

まずは、ご自身やご家族ですぐにでもできる対策から紹介していきます。

備蓄品の備え

備蓄

電気やガス、水道と言ったライフラインが止まった場合に備え、生活を送れるように災害備蓄品を常備しておくことが大切です。

備蓄量の目安は以下の通りです。

水:1人1日3ℓ×3日分

食料:3日分×人数分

簡易トイレ:1日1人5回×3日分

トイレットペーパー(ティッシュとしても代用):1日1人1ロール×3日分

毛布:1人1枚

懐中電灯:1人1つ

モバイルバッテリー:1人1つ

日頃から浴槽に水を張っておけば、断水時にトイレを流す水にも使えます。

地震対策グッズ

最近はホームセンターやインターネット通販などで防災バッグなどの対策グッズが販売されています。

防災バッグにはラジオや水、缶詰パンや乾電池、レインコートやスリッパ、歯ブラシやマスクなど、あらゆる時代に役立ちそうなアイテムがセットで詰まっており、バッグ自体は女性や高齢者でも背負える重さ5キロ以下に設定されているケースが多いです。

家族1人つき1セット備えておくことが理想です。

就寝時に発生した場合に備え、スムーズに避難できるように枕元にヘルメットや懐中電灯、 スリッパを置いておくのもいいでしょう。

家具の固定と移動

家具固定

食器棚や本棚、タンスや冷蔵庫といった大きな家具や家電は、大きな揺れで倒れることで凶器になります。これらは市販の対策商品で備えが可能です。

突っ張り棒:家具や家電と天井の間に耐震用の突っ張り棒を入れて固定する

金具(L字金具、ビス等):家具と壁・梁を固定する

家具転倒防止プレート(耐震シート、耐震マット):家具や家電の下手前側に挟み込むことで転倒を防ぐ

このほか、扉が付いた食器棚から食器が飛び出さないように扉をロックする「耐震ラッチ」や、割れたガラスで怪我をしないように「飛散防止フィルム」を貼るのも有効です。

また、家具を移動することも備えになります。

寝室にタンスがある場合、倒れてくる方向を考えてタンスを離れた位置に移動させたり、向きを変えるだけでも違います。

クローゼットや倉庫に移動できるものは収納し、重たいものは低い位置に移動させておくのもいいでしょう。

避難計画を立てる

避難計画

地震が起きた際、どのような行動を取るかをあらかじめご家族で決めておくことも重要です。

集合場所や避難所へのルートを決め、ノートに書き留めておくなどして家族で共有しておきましょう。電話がつながらない状況では、NTTが運用する災害用伝言板を活用して安否を知らせ合うのも有効ですので、こういった連絡ツールの使い方も共有しておきましょう。

火災予防と非常用照明

地震による火災を防ぐため、冬場はストーブ等の暖房機器の周辺は整理整頓し、可燃物を近くに置かない、住宅用消火器や住宅用火災警報器を設置することも有効です。

通電火災を防ぐため、分電盤に地震の揺れでブレーカーが遮断される器具を取り付けたり、業者に依頼する必要がありますが、揺れで電気を自動で遮断する「感震ブレーカー」や「感震コンセント」を導入することもいいでしょう。

また、停電時に備えて、電源が遮断されても内臓バッテリーや非常用電源で機能する非常用照明器具(非常灯)を設置しておくと便利です。

プロに頼む地震対策

次に、専門業者や機関に依頼して行う対策を紹介します。

リフォームで耐震強度を高める

現在の耐震基準の元となるのは、1981年6月1日に施行された震度6以上の揺れにも対応できる「新耐震基準」です。よって、1981年5月以前に建築確認申請を受けた旧耐震基準の住宅では耐震補強工事が必要になります。

自治体によっては旧耐震基準の木造住宅を対象とした無料耐震診断や、耐震補強に補助金が出る制度もあります。

耐震補強には壁や柱、屋根を取り換える大規模な工事や、揺れに合わせて変形することで振動エネルギーを吸収して揺れを減衰させる「ダンパー」を取り付ける施工もあります。

ダンパーには複数の種類があり、ゴムや樹脂系、金属系、油圧系など素材や、筋交いダンパー、仕口ダンパーなど、形状や取り付け方法によって異なります。

日々の生活に不便さを感じていたり、家族構成が変わったりしてリフォームをご検討の方は、合わせて耐震補強もしておくことをお勧めします。

サーラグループでは、耐震補強を兼ねたリフォームにも実績がありますので、ここにその一部を紹介します。

・浜松市(築52年、工事費用2100万円)

https://living-sala.co.jp/works/p8710

地震の揺れを吸収し、家全体に掛かる力を弱める制振装置オイルダンパー「Hiダイナミック制震工法」を導入。重い土葺き日本瓦を撤去し、軽量瓦「ルーガ」を施工し屋根を軽くしたこともあり、耐震数値1の基準を満たす住宅になりました。

・豊橋市(築28年、工事費用865万円)

https://living-sala.co.jp/works/p12387

住宅の南面に大きな窓が多く、以前から耐震性能を心配されていたため、ご予算やご要望を踏まえて制振ダンパーを採用した耐震工事をご提案。制振ダンパーは繰り返しの地震に強く、合板補強による耐震補強工事よりも工事範囲を抑えられます。

また、各自治体では補助金の申込みができます。耐震改修をご検討の際はご確認ください。

https://www.city.toyohashi.lg.jp/25523.htm

https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/kensido/home_tochi/home/kensido/taisin/syorui_03.html

地震保険に加入する

地震保険

地震による揺れや火災でお住まいや家具・家電を失った事態に備えて、地震保険に加入しておくことも大切です。

地震保険とは地震や噴火、津波を原因とする火災・損壊・埋没・流失による建物や家財の損害を補償する保険で、「地震保険に関する法律」に基づき政府と民間の損害保険会社が共同で運営しています。

注意すべきなのは、「火災保険」では火事や自然災害による損害を補償していますが、地震等を原因とした損害は補償されません。地震等の被害に備えるためには、「地震保険」に加入する必要があるのです。

地震保険で支払われる保険金は4つの段階に分けられます。

全損:地震保険金額の100%(時価額が限度)

大半損:地震保険金額の60%(時価額の60%が限度)

小半損:地震保険金額の30%(時価額の30%が限度)

一部損:地震保険金額の5%(時価額の5%が限度)

※補償内容の詳細は各保険会社のパンフレット等をご確認ください。

サーラフィナンシャルサービスでは、地震保険などの損害保険の加入見直しの相談を受け付けており、相談予約やWEB見積もりにも対応しています。

一度、いまご契約の保険と比べてみませんか?

https://www.sala-fs.co.jp/form/web-quote

防災訓練の重要性と実施方法

いざ地震が発生すると恐怖でパニックになってしまい、思うような行動が取れないことでしょう。緊急時に落ち着いて適切な行動が取れるように、災害時のさまざまな状況を想定した訓練に参加しておくことも大切です。

自治体や町内会、企業が実施する訓練に参加することも選択肢の一つですが、ご家庭やご友人とでも訓練は実施できます。

地震を想定した訓練には、以下の種類があります。

安否確認訓練:自身の安全確保を行った後、周囲の人々や建物の状況確認、責任者への報告を行います。

初期消火訓練:消防隊が到着するまでの間、消火器やバケツリレーなどで火災の拡大を抑えます。

救出救助訓練:さまざまな資機材を使用した負傷者の救出や搬送などを実践し、救出救助に関する知識や技術を学びます。

応急救命訓練:心肺蘇生法やAED(自動体外式除細動器)の使い方、止血法などを学びます。お近くの消防署や、インターネットでも受講できます。

避難誘導訓練:複数の避難経路や避難場所を事前に設定して実際に移動することで、災害時のリスクを軽減します。危険個所の確認や、車いすでの避難体験も有効です。

さいごに

南海トラフ地震の臨時情報が初めて発表された直後、街の店舗からは水やトイレットペーパーなどが品薄になり、買いだめが起きました。私たちには冷静な行動が求められますが、裏を返せば、これまでになく防災意識が高まった証拠と言えるでしょう。

これを絶好の機会をとらえ、災害がやってくるその日に備えて、いま行動に移すことが大切です。

■監修_リビングサーラ/施工管理担当者_資格:1級建築施工管理技士・2級建築士

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WRITER PROFILE

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由本 裕貴

1983年3月20日、愛知県豊川市生まれ。
御津高校、愛知大学を経て、2005年に日刊スポーツ新聞社入社。プロ野球やサッカー日本代表を担当し、2014年に東愛知新聞社へ転職。2021年からフリーに転向し、翌年から東日新聞ライターとして東三河のニュースや話題を追っている他、スポーツマガジンやオカルト雑誌などでも執筆。豊川商工会議所発行「メセナ」の校正も請け負う。著書に「実は殺ってないんです 豊川市幼児殺害事件」「東三河と戦争 語り継ぐ歴史の痕跡」「訪れたい 東三河の駅」がある。
家族は妻と長男。趣味はスポーツ観戦、都市伝説の探求。

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