火災保険の必要性はあるのか?
引っ越しをするときには、すまいの立地、条件に合った物件探し、物件に合う家具家電の準備など、検討しなければならないことがたくさんあり、準備に追われる日々ですね。
そんなときでも忘れてはならないのが火災保険です。
火災に遭うことはないだろうと思って火災保険に加入していないと、思わぬところで損害を被ることもあります。では火災保険はなぜ加入が必要でしょうか。
目次
自分の家を守るために
国内には失火責任法という法律が存在しています。
失火責任法は「民法第709条の規定は、失火の場合には適用しない。ただし、失火者に重大な過失があったときはこの限りではない。」
つまり
もらい火に救済なし
隣家の失火が自分の家に燃え移ってしまっても、失火の原因に重大な過失がない場合、失火責任法の規定により損害賠償の必要がありません。
つまり、自分の家でいくら火災の発生に気をつけていたとしても、隣家の失火により自分の家が燃えてしまったら自分で修理をする必要があるのです。
火災保険に加入していれば、自分の火災保険で修理をすることができます。
現在の日本の制度では自分の家を守るために、自分で備えるしかないのです。
火災保険で補償できる自然災害
すまいを取り巻くリスクは失火やもらい火による火災のみではありません。
ではどのような災害から備えることができるのでしょうか。
住まいを取り巻くリスク
①落雷、ガス爆発などの破裂
落雷により過電流が流れて、すまいの設備が壊れてしまったなどの被害に備えることができます。
②風災・雹災による窓ガラスや屋根の破損
台風や雹災、竜巻、豪雪などを原因として窓ガラスが割れてしまった、屋根が飛んでしまったなどの被害に備えることができます。
③給排水設備に発生した事故による水ぬれ
給排水設備の破損、もしくは詰まりにより発生した漏水、放水または他人の戸室で発生した漏水、放水等による水ぬれの被害を補償します。
④泥棒に窓ガラスを割られたなどの損害や家財の盗難
強盗、窃盗またはこれらの未遂で、建物の損傷や汚損等の被害を補償します。
⑤台風や集中豪雨に伴う川の氾濫による水災
台風、暴風雨、豪雨等により床上浸水の被害を補償します。
⑥自動車の飛び込みや不注意による破損、汚損
不測かつ突発的な、破損、汚損の被害を補償します。
火災保険では地震を原因とする損害は補償されません。
地震による建物の損壊、埋没、地震を原因とする火災、津波による被害は地震保険で補償します。
火災保険と合わせて地震保険にも加入をすることが必要です。
近年では台風や大雨による水災を含む自然災害が多発しています。“すまいが床上浸水をしてしまった”、なんて被害を、自分のお金で修理をしようとすると高額の支払いになります。
直近数年の住宅火災は年間7,000件
消防庁が公開している令和4年(1月~9月)の火災の概要によると、総出火件数は、27,432 件でした。これは、およそ1日あたり 100 件、14 分ごとに1件の火災が発生したことになります。火災種別でみると、建物火災が 14,781 件でそのうちの住宅火災が7913件となります。
建物火災 14,781 件 を出火原因を件数が多い順にみると
1位「こんろ」1,902 件(12.9%)
2位「たばこ」1,365 件(9.2%)
3位「電気機器」1,073 件(7.3%)
4位「配線器具」963 件(6.5%)
5位「ストーブ」725 件(4.9%)
上記のように、私たちの身近な場面で火災のリスクがあることが分かります。
リスクの確認方法とは
すまいの立地によっても備えるべき補償範囲は変わってきます。
ご自宅のハザードマップを確認することで必要な補償を確認することができます。
ご自宅の想定される自然災害のリスクに合わせた補償をすることが必要です。
ハザードマップは保険会社独自で作成されているものがあります。ご自宅周辺に予想されるリスクをハザードマップでご確認いただきたい場合はサーラフィナンシャルサービスまでお気軽にお問い合わせください。
火災保険で補償する保険の対象
保険の対象とは
保険の対象は「建物」「家財」の2つです。
①「建物」一戸建て、マンション等の補償をするもの
②「家財」家具、家電製品、衣類などを補償するもの
建物のみを補償している契約の場合は、ご自宅に災害が発生したとしても、家具、家電製品などの家財は補償されません。
皆さんよく、「家には高級品などはないから、、」「必要あるのかな、、」
と家財の補償を必要に感じない方がいらっしゃいますが、家財には家具類、衣類、寝具類、家電製品をはじめ、歯ブラシや茶わんに至るまでさまざまなものが含まれます。
保険金設定の考え方
例えば、4人家族(ご世帯主の年齢40歳)の場合
標準的な家財の再調達額*は1,400万円ともいわれており、万が一の際に家財を一度に買い揃えると、思った以上の金額が必要です。
*再調達価額:損害が発生した時の発生した場所における保険の対象と同一の構造、質、用途、規模、型、能力のものを再築または再取得するのに必要な金額をいいます。
万が一の際に必要最低限の家財を揃えるだけの保険金額を備えておくと安心です。
マンションの火災保険はどう加入する?
マンションは戸建て住宅とは違って、集合住宅となるため、火災保険には必要ないのではと思われる方もいらっしゃるかもしれません。マンションはエントランスや廊下、バルコニーといった「共用部分」と、被保険者(建物・家財の所有者で補償を受けられる方)が所有している住居にのみ使用される「専有部分」に分けられます。共用部分については、一般的にマンションの管理組合が加入している火災保険でカバーされますが、専有部分に関しては自分で火災保険に加入する必要があります。
マンションは壁で仕切られた集合住宅であり、何らかの災害が発生すれば、自室だけではなく上下左右の部屋にも、影響を及ぼす可能性があります。つまり、誰もが加害者・被害者となりやすい環境なのです。マンションの建物は、マンションにお住まいの方が加入する火災保険では、専有部分のみが建物の補償範囲となります。
【1.自分の家を守るために】でお伝えしたとおり、現在の日本の制度では自分の家を守るために、自分で火災保険に加入をして備えるしかないのです。
自宅がオール電化の場合でも火災保険は必要か
オール電化はガスを使う機会が少なく、「火災になる確率が低いから、火災保険は必要ないのでは?」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。結論から申し上げますとオール電化住宅でも火災保険は必要です。
オール電化住宅の場合
- コンセントから火花が飛び散って引火して火災
- IHクッキングヒーター使用時の発火や引火による火災
- 放火/もらい火
- 自然災害による火災
上記などの災害の可能性は十分に考えられます。また【2.火災保険で補償できる自然災害】で述べたように火災保険は自然災害による「損害」に対しても補償がされます。
三井住友海上火災保険(株)の「GK すまいの保険」の2018年度~2020年度支払実績に基づいた数値によると、風災・雹災・雪災の被害が55.7%、火災・落雷・爆発の被害に関してはわずか4%の支払実績です。
風災・雹災・雪災 55.7%
破損・汚損等 30.7%
火災・落雷・爆発 4%
その他(水ぬれ、盗難、水災) 9.6%
オール電化で火災の危険性は少ない場合でも、自然災害に備えて火災保険に加入しておく必要があります。
ちょっとひとこと:火災保険に関するトラブル
火災保険に加入をすると、万が一の際には保険金請求を行うことができますが、国民生活センターによると、その保険金請求に関するトラブルが多発しているといいます。「火災保険を使って自己負担なく住宅の修理ができる」や「保険金が出るようサポートする」など、申請手続を代行し、その保険金の一定割合を手数料でもらうといった不審な勧誘が多発しています。
保険金の請求は、申請サポート会社に頼らずとも加入者自身で行えます。ご自宅で災害が発生した際には、まずはご加入の保険会社もしくは、サーラフィナンシャルサービスまでご相談ください。
出典:国民生活センター
保険金で住宅修理ができると勧誘する事業者に注意!-申請サポートを受ける前に、損害保険会社に連絡を 保険金の請求は、加入者ご自身で!!-(発表情報)_国民生活センター (kokusen.go.jp)
最後に
大切なすまいで安心した暮らしをするためにも火災保険は必要です。ご自宅の周辺環境、地形によってもリスクは異なります。自然災害による被害が頻発している昨今でハザードマップを活用してすまいを取り巻くリスクを知ることが第一歩です。
サーラフィナンシャルサービスでは新規のご相談はもちろん、すでにご契約いただいているお客さまもご相談いただけます。サーラフィナンシャルサービスはWEBで見積をお送りすることも可能です。まずはお気軽にサーラフィナンシャルサービスにお問い合わせください。
WRITER PROFILE
つむぎ編集部
地域の皆さまの生活に、ちょっと役立つ情報を提供しています。