火災保険は必要?加入の必要性と後悔しないための選び方を詳しく解説!
引っ越しをするときには、住まいの立地、条件に合った物件探し、物件に合う家具家電の準備など、検討しなければならないことがたくさんあり、準備に追われる日々ですね。
そんなときでも忘れてはならないのが火災保険です。
火災に遭うことはないだろうと思って火災保険に加入していないと、思わぬところで損害を被ることもあります。では火災保険はなぜ加入が必要なのでしょうか。

目次
火災保険は本当に必要?加入が求められる4つの理由

火災保険は、単に火事に備えるだけの保険ではありません。私たちの生活を取り巻く様々なリスクから資産を守るために、法的な背景や災害の多様化をふまえて、その必要性が高まっています。ここでは、火災保険への加入が推奨される4つの主な理由を解説します。
隣家の火事が原因でも賠償は期待できない「失火責任法」
もし、隣家の火事が燃え移って自宅が焼けてしまった場合、「火元である隣家が弁償してくれるはず」と考えるのが自然かもしれません。しかし、日本では「失火責任法」という法律により、失火者に重大な過失がなければ、損害賠償責任を問われないことになっています。
この法律があるため、たとえ隣家からのもらい火で自宅が全焼しても、原則として損害の賠償を求めることはできません。自分の財産を守るためには、自分自身で火災保険に加入し、備えておく必要があるのです。
参照:失火の責任に関する法律
住宅火災の発生状況
消防庁が公開している令和5年(1月〜12月)の火災の概要によると、総出火件数は、38,659 件でした。これは、およそ1日あたり 106 件、14 分ごとに1件の火災が発生したことになります。火災種別でみると、建物火災が 20,968 件でそのうちの住宅火災が11,293件となります。
建物火災 20,968 件を出火原因を件数が多い順にみると
1位「こんろ」2,768 件(13.2%)
2位「たばこ」1,924 件(9.2%)
3位「電気機器」1,687 件(8.0%)
4位「配線器具」1,307 件(6.2%)
5位「放火」1,139 件(5.4%)
上記のように、私たちの身近な場面で火災のリスクがあることが分かります。
参照:総務省消防庁 火災の概要
火災だけじゃない!台風や水漏れなどの災害リスクも補償
火災保険という名称から、補償は火事のみと誤解されがちですが、実際には非常に幅広い損害をカバーしています。近年、大型化する台風による風災や、ゲリラ豪雨による水災など、自然災害のリスクは年々高まっています。
火災保険は、これらの自然災害による損害にも対応しています。例えば、台風で屋根が飛ばされた、大雨で床上浸水したといったケースも補償の対象となります。また、マンションなどで起こりがちな、上階からの水漏れで家財が濡れてしまったといった日常生活のトラブルにも備えることができます。
住宅ローンや賃貸契約で加入が必須条件の場合も
持ち家を購入するために住宅ローンを組む際、多くの金融機関では、火災保険への加入を融資の必須条件としています。これは、万が一火災などで担保物件である建物が失われた場合に、ローンだけが残ってしまう事態を防ぐためです。
同様に、賃貸物件を借りる際にも、入居条件として火災保険(借家人賠償責任保険を含む)への加入を求められることがほとんどです。これは、入居者が火事を起こしてしまった場合に、大家さんへの損害賠償責任を果たすため、また、自分の家財を守るために必要となります。
一戸建て火災保険の補償内容

住まいを取り巻くリスクは失火やもらい火による火災のみではありません。
ではどのような災害から備えることができるのでしょうか。
落雷、ガス爆発などに関するリスク
落雷により過電流が流れて、住まいの設備が壊れてしまったり、ガス漏れや事故による爆発で発生した損害に備えることができます。
風災、雹災、雪災に関するリスク
台風や雹災、竜巻、豪雪などを原因として窓ガラスが割れてしまった、屋根が飛んでしまったなどの被害に備えることができます。
給排水設備に発生した事故による水ぬれに関するリスク
給排水設備の破損、もしくは詰まりにより発生した漏水、放水または他人の戸室で発生した漏水、放水等による水ぬれの被害を補償します。
泥棒に窓ガラスを割られたなどの損害や家財の盗難に関するリスク
強盗、窃盗またはこれらの未遂で、建物の損傷や汚損等の被害を補償します。
台風や集中豪雨に伴う川の氾濫による水害に関するリスク
台風、暴風雨、豪雨等により床上浸水の被害を補償します。
近年では台風や大雨による水災を含む自然災害が多発しています。“住まいが床上浸水をしてしまった”、なんて被害を、自分のお金で修理をしようとすると高額の支払いになります。
自動車の飛び込みや不注意による破損、汚損に関するリスク
不測かつ突発的な、破損、汚損の被害を補償します。
関連記事:火災保険の「破損・汚損」は本当に必要?補償されない例や補償額を紹介 | 住まい・暮らしの情報サイト SALAつむぎ
どこまで補償される?「建物」と「家財」の範囲
火災保険に加入する際は、補償の対象を「建物」のみにするか、「家財」も含むかを選択する必要があります。両者の違いを正しく理解し、自分に必要な範囲を決めましょう。 建物と家財はそれぞれ別に保険契約を結ぶ必要があります。持ち家の場合は「建物」と「家財」の両方、賃貸の場合は「家財」のみ(建物は大家さんが加入)に加入するのが一般的です。
「建物」の具体的な補償範囲
「建物」とは、建物本体とその建物に付随して一体となっているものを指します。具体的には、基礎、柱、壁、屋根といった主要構造部のほか、以下のようなものも含まれます。
- 建物付属物: 門、塀、垣、物置、車庫など
- 建物設備: ガス設備、電気設備、給排水設備、冷暖房設備、浴槽、調理台など
つまり、建物に固定されていて、簡単に動かすことができないものが「建物」の補償範囲と考えると分かりやすいでしょう。
「家財」の具体的な補償範囲
「家財」とは、建物の中にある生活用の動産を指します。具体的には、家具、家電製品、衣類、食器類などが含まれます。引っ越しの際に持ち運ぶものをイメージすると分かりやすいです。
| 対象 | 具体例 | 補償区分 |
| 建物本体と一体化したもの | 柱、壁、屋根、浴槽、システムキッチン、作り付けの棚 | 建物 |
| 建物内にある動かせるもの | テレビ、冷蔵庫、ソファ、洋服、 | 家財 |
自分に合った火災保険の選び方と比較のポイント

火災保険は、補償内容を自由に組み合わせられる商品が多いため、自分の住まいのリスクに合った適切なプランを選ぶことが重要です。ここでは、保険を選ぶ際のポイントを解説します。
ハザードマップで自宅周辺のリスクを確認する
まずは、国土交通省や自治体が公開しているハザードマップを確認し、自宅がどのような災害リスクにさらされているかを把握しましょう。 例えば、川の近くや低地にある場合は水災リスクが高く、山の近くであれば土砂災害のリスクが考えられます。リスクが低いと判断できれば、その補償を外すことで保険料を節約できます。
ハザードマップは保険会社独自で作成されているものがあります。ご自宅周辺に予想されるリスクをハザードマップでご確認いただきたい場合はサーラフィナンシャルサービスまでお気軽にお問い合わせください。
関連記事:ハザードマップの見方をわかりやすく解説!あなたの住まいの地域は大丈夫? | 住まい・暮らしの情報サイト SALAつむぎ
水災補償はマンションの高層階では不要な場合も
マンションの高層階(一般的に3階以上)に住んでいる場合、洪水や床上浸水による直接的な被害を受ける可能性は極めて低いと言えます。そのため、水災補償を外すことで、保険料を安く抑えられる可能性があります。
複数の保険会社から見積もりを取って比較する
火災保険の保険料や補償内容は、保険会社によって様々です。そのため、1社だけでなく、複数の保険会社から見積もりを取り、内容を比較検討することが非常に重要です。インターネットの一括見積もりサイトなどを活用すれば、一度の入力で複数の保険会社の見積もりを手軽に取り寄せることができるので便利です。
マンションの火災保険はどう加入する?

マンションは戸建て住宅とは違って、集合住宅となるため、火災保険には必要ないのではと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
マンションはエントランスや廊下、バルコニーといった「共用部分」と、被保険者(建物・家財の所有者で補償を受けられる方)が所有している住居にのみ使用される「専有部分」に分けられます。共用部分については、一般的にマンションの管理組合が加入している火災保険でカバーされますが、専有部分に関しては自分で火災保険に加入する必要があります。
マンションは壁で仕切られた集合住宅であり、何らかの災害が発生すれば、自室だけではなく上下左右の部屋にも、影響を及ぼす可能性があります。つまり、誰もが加害者・被害者となりやすい環境なのです。
マンションの建物は、マンションにお住まいの方が加入する火災保険では、専有部分のみが建物の補償範囲となります。
【1.火災保険は本当に必要?】でお伝えしたとおり、現在の日本の制度では自分の家を守るために、自分で火災保険に加入をして備えるしかないのです。
自宅がオール電化の場合でも火災保険は必要か
オール電化はガスを使う機会が少なく、「火災になる確率が低いから、火災保険は必要ないのでは?」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。結論から申し上げますとオール電化住宅でも火災保険は必要です。
オール電化住宅の場合
- コンセントから火花が飛び散って引火して火災
- IHクッキングヒーター使用時の発火や引火による火災
- 放火/もらい火
- 自然災害による火災
上記などの災害の可能性は十分に考えられます。また【2.一戸建て火災保険の補償内容】で述べたように火災保険は自然災害による「損害」に対しても補償がされます。
三井住友海上火災保険(株)の「GK すまいの保険」の2018年度~2022年度支払実績に基づいた数値(支払件数)によると、風災・雹災・雪災の被害が45.8%、火災・落雷・爆発の被害に関してはわずか4.7%の支払実績です。
風災・雹災・雪災 45.8%
破損・汚損等 39.9%
火災・落雷・爆発 4.7%
その他(水ぬれ、盗難、水災) 10.2%
オール電化で火災の危険性が少ない場合でも、自然災害に備えて火災保険に加入しておく必要があります。
ちょっとひとこと:火災保険に関するトラブル

火災保険に加入をすると、万が一の際には保険金請求を行うことができますが、国民生活センターによると、その保険金請求に関するトラブルが多発しているといいます。「火災保険を使って自己負担なく住宅の修理ができる」や「保険金が出るようサポートする」など、申請手続きを代行し、その保険金の一定割合を手数料でもらうといった不審な勧誘が多発しています。
保険金の請求は、申請サポート会社に頼らずとも加入者自身で行えます。ご自宅で災害が発生した際には、まずはご加入の保険会社もしくは、サーラフィナンシャルサービスまでご相談ください。
出典:国民生活センター保険金で住宅修理ができると勧誘する事業者に注意!-申請サポートを受ける前に、損害保険会社に連絡を 保険金の請求は、加入者ご自身で!!-(発表情報)_国民生活センター (kokusen.go.jp)
火災保険の必要性に関するよくある質問

火災保険の必要性に関するよくある質問をまとめました。
火災保険で地震による損害は補償を受けられる?
火災保険では地震を原因とする損害は補償されません。
地震による建物の損壊、埋没、地震を原因とする火災、津波による被害は地震保険で補償します。
火災保険と合わせて地震保険にも加入をすることが必要です。
賃貸住宅火災保険ってなに?
賃貸住宅火災保険とは、賃貸物件に住む人向けの火災保険で、住まいに関わるトラブルや損害に備えるための保険です。火災や水漏れといった災害による損害から、自分の持ち物や他人への賠償責任まで幅広くカバーします。賃貸契約時に加入が義務付けられていることが多く、入居者と物件オーナー双方の安心を守る役割があります。
最後に

大切なすまいで安心した暮らしをするためにも火災保険は必要です。ご自宅の周辺環境、地形によってもリスクは異なります。自然災害による被害が頻発している昨今でハザードマップを活用してすまいを取り巻くリスクを知ることが第一歩です。
サーラフィナンシャルサービスでは新規のご相談はもちろん、すでにご契約いただいているお客さまもご相談いただけます。サーラフィナンシャルサービスはWEBで見積もりをお送りすることも可能です。まずはお気軽にサーラフィナンシャルサービスにお問い合わせください。

■監修_サーラフィナンシャルサービス/担当者_資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士