電動キックボードに自賠責保険・任意保険は必要?
最近、街中で見かける機会が増えた電動キックボード。
2023年に改正道路交通法が施行され、より手軽で乗りやすい乗り物となりました。その一方で電動キックボードの交通違反検挙数は半年間で7000件を超え、事故も増加しています。
今回は、免許なしで運転ができる電動キックボード(特定小型原動機付自転車)の定義や新しい交通ルールについてご紹介します。また電動キックボードの保険の必要性についても理解を深め、安全運転の意識を高めましょう。
目次
電動キックボード(特定小型原動機付自転車)とは?
電動キックボードとは、バッテリーやモーターを搭載した自走可能なキックボードのことです。一回の充電で30〜100キロメートル走行できるものが多く、家庭用電源で充電可能。バッテリーを外して持ち運べるものもあり、利便性が高いのが特徴です。
操作もいたってシンプル。アクセルレバーやブレーキレバーで速度を調節し、自転車やバイクと同じようにハンドルと身体でバランスを取りながら走行します。ただしタイヤの口径が小さいため、縁石や排水口の段差や障害物には注意が必要です。
最近は高齢者向けの四輪電動キックボードなども開発されており、より乗りやすく実用的な商品展開に注目を集めています。
法改正における電動キックボードの交通ルール
2023年7月、電動キックボードに関する改正道路交通法が施工されました。
それまで電動キックボードは「原動機付自転車等」に分類されており、公道走行には運転免許が必要でした。しかし法改正により、一定の基準を満たす電動キックボードは「特定小型原動機付自転車」と定義され、16歳以上であれば運転免許がなくても運転できるようになったのです。
特定小型原動機付自転車の基準
それでは、どのような電動キックボードが「特定小型原動機付自転車」と定義されるのでしょうか。以下の基準をすべて満たすものです。
電動キックボードの車体の大きさ
長さ190センチメートル以下、幅60センチメートル以下の車体
電動キックボードの車体構造
・原動機として、定格出力が0.60キロワット以下の電動機を用いていること
・時速20キロメートルを超える速度が出せないこと
・走行中に最高速度の設定を変更できないこと
・オートマチック・トランスミッション(AT)機構であること
・最高速度表示灯が備えてあること
これらの基準を満たしていない電動キックボードは、道路交通法改正後も引き続き一般原動機付自転車または自動車の運転免許が必要です。
また特定小型原動機付自転車は、これらの基準に加え、道路運送車両法上の保安基準に適合していること(ヘッドライトやブレーキランプなど)やナンバープレートを取り付けていること、自賠責保険の契約も必要となります。
【保険は必要?】気をつけよう!増加する電動キックボードの事故
道路交通法改正により、新ルールのもと公道走行ができるようになった電動キックボード。
免許なしで運転できるとはいえ、運転者が犯した道路交通法の規定に反する行為に関しては、交通反則通告制度の対象となります。
実際に電動キックボードの事故は増加傾向にあり、取り締まり件数も増えているのが現状です。一体どのような事故が発生しているのでしょうか。
電動キックボードでの飲酒運転
2023年の7月には、東京都豊島区で大学生が電動キックボードを飲酒運転して追突事故を起こし、書類送検されました。
また2023年9月には、大阪で電動キックボードとトラックの衝突事故があり、酒気帯び状態で電動キックボードを運転した30代の男性が書類送検されました。
電動キックボードでの飲酒運転は、もちろん違法行為です。相応の罰則が課せられますし、普通免許を所持している人が電動キックボードで飲酒運転をした場合、免許停止処分が下される可能性もあります。
電動キックボードによるひき逃げ事件
ひき逃げ事故も増えています。
2024年2月には、愛知県名古屋市内で電動キックボードによるひき逃げ事件があり、歩行者の男性が鎖骨を折るなどの大けがをしました。運転していた40代の男性は逮捕。この電動キックボードは最高速度が20キロメートルを超えるもので、免許が必要な原動機付自転車扱いのものでした。
ほかにも、全国各地で同じような電動キックボードによるひき逃げ事件が報告されています。事故を起こしたあと、けが人の救護と警察署への報告を行わない場合はひき逃げとなり、道路交通法違反が発生します。免許が不要な電動キックボードであっても、道路交通法では「車両」扱いとなり、同じく道路交通法違反が発生します。
電動キックボードによる死亡事故
電動キックボード運転中の死亡事故も報告されています。
2023年12月には、長野県軽井沢町で30代の女性が運転する電動キックボードと高速バスが衝突し、運転手の女性が死亡しました。
女性が運転していた電動キックボードも、運転免許が必要な最高速度が20キロメートルを超えるものでした。無免許で、さらにヘルメットもつけていなかったとみられています。
特定小型原動機付自転車におけるヘルメットは「努力義務」とされていますが、命を守るヘルメットの大切さが改めて分かります。
電動キックボードの保険加入は必要?不要?
手軽に乗れる電動キックボードですが、公道を走るには、自賠責保険への加入が必須となります。
電動キックボードは自賠責保険加入がマスト
自賠責保険とは「自動車損害賠償責任保険・共済」のことです。運転中に他人を死亡させたりけがをさせたときに、被害者への損害賠償の補填をしてくれる保険です。
電動キックボードの自賠責保険の補償内容
自賠責保険における、事故の被害者一人あたりの支払限度額は以下のとおりです。
・死亡による損害 最高3,000万円
・後遺障害における損害 75万円〜4,000万円
・障害による損害 最高120万円
電動キックボードで自賠責保険に加入しないとどうなる?
すべての電動キックボードは、自動車損害保険保証に基づき、自賠責保険に入っていないと運転することができません。万が一加入せずに事故を起こしてしまうと、自賠責保険から支払われるはずだった賠償金がすべて自己負担となってしまいます。もし任意保険に加入していたとしても、支払われるのは自賠責保険の保証限度額を超えた金額だけとなってしまいます。
たとえ事故を起こさなくても、自賠責に入らずに運転した場合は1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
電動キックボードを運転する場合は、必ず自賠責に加入しましょう。
電動キックボードは任意保険(自動車保険・バイク保険)に加入する必要はある?
被害者の保護を目的とした自賠責保険は、基本的に他人を死傷させた場合のみ、補償されます。対物損害や運転者自身のけが、ご自身の電動キックボードの損害に対しての補償はありません。
また、他人を死亡させてしまった対人賠償事故でも、自賠責保険では最高3,000万円までしか補償されません。3,000万円以上の高額賠償が必要になったときは、自賠責保険だけでは足りないのです。
そのため、対人・対物賠償が無制限であったり、運転者自身の怪我を補償してくれる任意保険に加入していると安心です。最近は電動キックボード用の任意保険商品も登場していますし、原動機付自転車(原付バイク)用の任意保険に入るという選択肢もあります。
電動キックボードの自賠責保険・任意保険は、サーラファイナンシャルサービスへ相談しよう
電動キックボードを運転する場合、自賠責保険の加入が必須であること、任意保険にもハイいた方が良いことが分かりました。法律上の加入義務はもちろん、実際に電動キックボードの事故は増え続けています。自賠責保険・任意保険に加入することで、万が一の事故の際に被害者の対人賠償補償、対物補償、ご自身の怪我の補償を受けることができるでしょう。
サーラファイナンシャルサービスでは、電動キックボード(特定小型原動機付自転車)の自賠責保険の申込みも承っております。サーラファイナンシャルサービスのホームページの「バイク自賠責」から、簡単にネット申し込みすることができます。自賠責保険の保険料はどこで加入しても同額なので、ネット上ですぐに申し込めるサーラのサービスはとても便利ですよ。
電動キックボードを購入したら、すぐに自賠責保険の手続きを行いましょう。そして交通ルールをしっかり守り、安全で快適な電動キックボードライフを楽しんでください。
■監修_サーラフィナンシャルサービス/担当者_資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士
WRITER PROFILE
mamhive 芝田ありさ
ライター歴15年。グローバルな視野と高いリサーチ能力、幅広い業界知識を併せ持つ行動派ライターとして、IT・住宅・金融・保険・教育を中心にライティングや取材を行う。得意のIT知識を活かしてホームページ制作も請け負っている。
女性ライターチーム「mamhive(マムハイブ)」に所属。