住宅ローンの団信に加入したら生命保険はどうする?何が違う?
住宅ローンを借り入れる際に加入する「団体信用生命保険(団信)」。
契約者に万が一のことが起こった際に住宅ローン残高が保障されるため、“生命保険代わりになる”といわれることもあります。
では団信に加入したら、生命保険はどうすればいいのでしょうか。
今回のコラムでは、団信と生命保険の共通点と相違点を説明しながら、保険をどうすべきなのかをお伝えしていきます。
目次
住宅ローンの団信に加入したら見直しを!
今回のコラムの結論からお伝えすると、団信に加入してからすべきことは“保険の見直し”です。解約してもいいという声もありますが、団信と生命保険は加入する目的も保障される内容も異なるので、安易に解約してしまうのはおすすめできません。
月々のローン返済が始まったことで保険料の支払いが厳しいと感じたときも、死亡保険金を下げたり特約を途中解約したりして内容を見直せば、月々の保険料を下げられます。
団信と生命保険の保障内容が曖昧になっている方も多いと思いますので、次章から両者の共通点と相違点をしっかり見ていきましょう。
団信で保障される内容と加入の目的
冒頭で説明したように、団信は住宅ローンの契約者の死亡や高度障害などの万が一のことが起こった際に、住宅ローン残高が保障される保険です。
最近では団信にも種類が多くありますので、何がどうなった際に保障されるのかをもう少し詳しく見ていきましょう。
団信で保障される内容
団信には次のような種類があり、それぞれ保障内容が異なります。
種類 | 保障内容 |
一般団信 | 死亡、高度障害 |
がん保障付団信 | がん、死亡、高度障害 |
3大疾病保障付団信 | 脳卒中、急性心筋梗塞、がん、死亡、高度障害 |
8大疾病保障付団信 | 高血圧・脳卒中などの疾病による就業不能、死亡、高度障害 |
全疾病保障付団信 | すべての病気やケガによる就業不能、死亡、高度障害 |
一般団信で保障されるのは死亡と高度障害ですが、特約付きの団信であればさらに保障範囲が広くなります。“がん”と診断された際にローン残高が保障されるものや、給付金が受け取れるものなど、金融機関や種類によって保障内容が異なるのも団信の特徴です。
団信に給付金を受け取れる特約を付帯しておけば、医療保険の保障額を下げるなど、見直しの余地があります。
また最近では、金利の上乗せなしでがん保障を付帯している金融機関もあり、団信の充実度や上乗せ金利の有無から金融機関を選ぶ方も増えています。
団信に加入する目的
団信に加入する目的は、契約者の死亡後に家族の住居を確保するためです。金融機関としても、返済の滞納や任意売却のリスクを防ぐメリットがあります。
しかし団信で保障されるのは住宅ローン残高のみで、現金が支払われることはありません。住居は確保できても生活費までは保障されないのが、団信と生命保険の大きな違いです。
団信の加入にかかる保険料
一般団信の保険料は相当額が住宅ローンの金利に含まれているため、保険料として支払う必要はありません。
しかし先ほど挙げた「がん保障」や「疾病保障付」のように特約付きの団信であれば、適用金利に年0.1〜0.3%ほど上乗せする形で保険料を支払います。
上乗せ金利でどのくらい負担が増えるのか、次のケースで考えてみましょう。
- 借入額:4,000万円
- 適用金利:0.5%(変動はないものとする)
- 返済期間:35年
- 元利均等返済
金利0.5% | 金利0.7%(上乗せ0.2) | 差額 | |
月々の返済額 | 103,834円 | 107,408円 | 3,574円 |
総返済額 | 43,610,126円 | 45,111,275円 | 1,501,149円 |
特約を付帯して完済までローンを返済し続けたとすると、保険料に150万円かかった計算になります。もし完済までに金利の変動があれば、さらに負担は増えるでしょう。
しかし返済中に指定の病気と診断されると返済義務がなくなるため、実際にどのくらいの保険料を負担するのかは完済までわかりません。
また、団信は加入後の変更や解約ができないので、返済が厳しくなったからといって見直しができない点に注意しましょう。
生命保険で保障される内容と加入の目的
生命保険の種類と保障される内容
生命保険には次のような種類があり、それぞれ保障内容が異なります。
種類 | 保障内容 |
死亡保険 | 死亡または所定の高度障害になった際に保険金を受け取れる |
医療保険 | 入院や通院、手術時に給付金を受け取れる |
生存保険 | 保険期間満了後に生存していたら保険金・給付金を受け取れる |
介護保険 | 要介護状態になったときに給付金を受け取れる |
団信の保障内容と最も近しいのが、被保険者が死亡した際に保険金が支払われる「死亡保険」です。多くの方は死亡保障に加えて、病気やケガの保障を受けられる医療保険にも加入します。
生命保険に加入する目的
生命保険に加入する目的は、保険の種類によって異なります。
死亡保険は、葬儀費用や残された家族の生活費のために加入するので、被保険者の死後に必要になるであろうお金や収入をもとに保険金を決めます。
一方で医療保険や生存保険、介護保険などは被保険者の生きや、治療の為に保障が受けられるので、病気やケガにどのくらい備えたいのかによって、保障額を決めるのが特徴です。
家計への負担を軽減する目的もありますが、被保険者自身のために加入する保険と言えます。
生命保険にかかる保険料
生命保険の保険料は、年齢、保障範囲、保険金額などによって大きな差が出ます。
掛け捨てタイプだと月数百円〜の安い保険もありますが、貯蓄を兼ね備えたタイプで保障も手厚くすると月数万円〜になる場合があります。
内容を充実させるほど保険料は高くなるため、自分に必要な保障を取捨選択しなければなりません。しかし生命保険は団信とは違って、病気にならない限り、自由に見直しが出来ます。
ライフスタイルが変化したときやマネープランを考え直したいときなどに、ある程度は自分のタイミングで保障内容や保険料を変えられるのは、生命保険の大きなメリットです。
住宅ローンを組んだら、自分の加入した団信と生命保険の保障内容の確認を!
住宅ローンを組んで団信に加入したら、まずすべきなのは生命保険の見直しです。
加入した団信の保障内容をもとに、自分に万が一のことが起こった際に残された家族にどのくらいの保障が必要なのか、病気やケガをしたときにどのくらい保障がほしいのかを、再度考えてみてください。
『サーラフィナンシャルサービス』では損害保険や生命保険などを通じて、お客さまの住まいや生活をお手伝いしています。
団信を含めた生命保険の見直しの相談も可能ですので、保険をどうすべきかお悩みの方は予約フォームやお電話(0120-654-323)にて、お気軽にご相談ください。
■監修_サーラフィナンシャルサービス/担当者_資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士
WRITER PROFILE
井本 ちひろ
建築科系学科卒の住宅×金融専門ライター。
子供に「おかえり」が言える仕事を探してライターの道へ。
大学で得た経験とFP2級の知識を活かし、家づくり、水回り設備、エクステリア、火災保険、相続など、住宅にまつわる幅広い記事を中心に活動中。