【プロが監修】iDeCoでの資産運用の始め方

【プロが監修】iDeCoでの資産運用の始め方

岸田総理は、令和5年を「資産所得倍増元年」と制定しました。老後2,000万円問題が話題となったことや国を挙げての投資政策により、年々「貯蓄から投資へ」の風潮が強まっています。特に税制優遇がある個人型確定拠出年金「iDeCo」は、老後のための資産運用として注目が集まっており、加入者も年々増加傾向にあります。

iDeCoとは、具体的にどのような年金制度なのでしょうか。こちらではiDeCoのしくみや成り立ち、iDeCoで資産運用を行うメリットについて詳しく解説していきましょう。

iDeCoとはどんな資産運用方法?

「個人型確定拠出年金」の愛称であるiDeCo。自分が拠出した掛金を自分で運用し、資産形成するしくみとなっています。原則、60歳以降にしか受け取ることができません

いくら積み立てるのか、どんな金融商品で運用するのかは自分次第。公的年金では補うことができない老後資金を上乗せするための、もうひとつの年金と考えれば分かりやすいですね。つまりiDeCoとは、自分で運用しながら老後資金を積み立てていく、私的年金制度なのです。

iDeCoの成り立ちと変遷

日本の公的年金制度は、現役世代から集めた年金保険料を高齢者の年金として仕送り方式で支払うことで成り立っています。しかし少子高齢化が進む日本では、この制度を維持することが難しいのが現状です。公的年金維持のために受給開始年齢を遅らせたり、年金額を減らすなど、財源が不安定になってきています。

そんな状況のなか2001年(平成13年)に法制度化したのが、アメリカの確定拠出年金「401k」をモデルとした確定拠出年金制度です。企業が拠出する「企業型確定拠出年金」と個人が拠出する「個人型確定拠出年金」の2つに分けられ、個人型確定拠出年金(現iDeCo)は2002年(平成14年)の1月から開始されました。もともと自営業者や企業年金のない従業員のみに限られていた個人型確定拠出年金でしたが、2016年(平成28年)の制度改正により企業年金のある従業員や専業主婦、公務員にまで拡大。公募により「iDeCo」という愛称が名付けられ、加入者も一気に増加することになりました。

さらに2022年(令和4年)の制度改正により、企業型確定拠出年金加入者もiDeCoに加入することができるようになりました。政府が国をあげて、国民の資産形成を後押ししていることがわかりますね。

iDeCoで資産運用をする加入者は年々増加傾向

2002年(平成14年)に制度が施行されて以来、iDeCo加入者数は増加の一途を辿っています。

特に2017年(平成29年)1月に施行された加入者範囲の拡大を機に急増し、2018年(平成30年)8月末には100万人、2021年(令和3年)5月末には200万人を超えました。

さらに2022年(令和4年)の加入要件緩和を受けて加入者はより増加し、2023年(令和5年)7月末には300万人を突破しています。

iDeCoで資産運用するための加入条件は?

現在のiDeCoは加入資格が広く、国民年金加入者であれば基本的に誰でも加入することができます。ただし、国民年金の保険料納付免除者や納付猶予を受けている方、農業者年金に加入している方は加入ができませんのでご注意ください。また企業型確定拠出年金の「マッチング拠出制度」を利用している方も、加入ができません。

加入年齢は、以前は20歳〜60歳未満でしたが、2022年(令和4年)の法改正により国民年金加入者であれば65歳になるまで拠出できるようになりました

iDeCoの掛金限度額

最低拠出額は5,000円ですが、上限額は被保険者の種別や企業年金制度の加入状況により異なります。

以下の表を参考にしてください。

職業拠出限度額
自営業者など第1号被保険者月額6万8000円※国民年金基金または国民年金付加保険料との合算した額
専業主婦(主夫)など第3号被保険者月額2万3000円
会社員など第2号被保険者(勤務先に企業年金等がない場合)月額2万3000円
会社員など第2号被保険者(勤務先に企業年金等がなく、企業型確定拠出年金に加入している場合)月額2万0000円
会社員など第2号被保険者(勤務先に企業年金等がある)月額1万2,000円※1
公務員月額1万2,000円※1

※1.2024年12月から月額2万円に引き上げられる予定

iDeCoで資産運用をする3つの税制メリット

iDeCoのメリットと言えば、税制優遇が受けられる点でしょう。

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iDeCo掛金の全額所得控除

iDeCoは、拠出した掛金が全額所得控除されます。つまり、毎年の課税所得が掛金分減ることとなり、その分所得税と翌年分の住民税の負担が軽減されることになります。

この所得控除は「小規模企業共済等掛金控除」と呼ばれ、会社員の場合は年末調整、自営業の場合は確定申告にて控除を受けることができます。その際に、毎年送付されるiDeCoの払込証明書「小規模企業共済等掛金払込証明書」が必要になるため、紛失しないように注意しましょう。

iDeCoは資産運用益が非課税

通常、投資信託や株等で運用し運用益が出た場合は、20.315%の税金がかかります。増えたお金から税金が差し引かれることになるんですね。しかしiDeCoで運用した場合、運用益がいくら増えても非課税となります。本来支払うべき税金分も、そのまま運用に回すことができるため、効率的に資金運用ができるようになります。

さらに原則60歳まで引き出すことのできないiDeCoは、必然的に長期投資となり、複利効果にも期待ができるでしょう。

iDeCo受取時の税制優遇

給付受取時にも税制優遇があります。

iDeCoの給付金受取方法は、一時金方式と年金方式が挙げられます。

iDeCoで運用していた資産を現金化し一括で受け取る一時金式は、退職所得の扱いになるため、「退職所得控除」を利用することができます。

一方、公的年金のように毎月一定額を受け取る年金方式の場合、所得は雑所得となり、「公的年金等控除」を利用することができます。

一時金と年金を併用する場合は、退職所得控除と公的年金等控除のどちらも利用することができます。

iDeCoで資産運用をするデメリット

メリットの多いiDeCoですが、デメリットもしっかり把握しておく必要があります。

ポイント

iDeCoでの資産運用は途中解約不可能

iDeCoは原則、途中解約ができません。一度始めたら60歳になるまでお金を引き出すことができないことは覚えておきましょう。加入者本人が死亡した場合は、遺族が「死亡一時金」として受け取ることはできます

途中解約はできませんが、掛金の支払いが厳しくなったときは、掛金を減額したり支払いを停止するという方法があります。

iDeCoでの資産運用には運用リスクがある

長期間の積み立てや分散投資が特徴のiDeCoは、比較的リスクを抑えた運用が可能だと言われています。しかし、選んだ金融商品の運用次第では元本割れをする可能性もあり、場合によっては利益がマイナスになることもあるでしょう。またリスクのない元本保証の商品もありますが、その場合、利益は期待できません。

どのような金融商品を購入するのか、事前に投資の知識を身に付けてから選ぶと良いでしょう。

お任せください

iDeCoは老後のための資産運用に有効な手段

iDeCoを上手に利用することで、将来の老後の備えとして役に立つことが分かりました。投資と聞くと難しいイメージがあるかもしれませんが、iDeCoは投資初心者でも取り組みやすく、分かりやすい制度です。加入対象者が広がったことから年々新規加入者が増え続けており、運用中はもちろん受取時に税制優遇が得られるところもうれしいですね。

サーラファイナンシャルサービスでは、iDeCo加入に関するご相談も承っております。毎月の掛金やどんな金融商品が向いているのかなど、お一人おひとりに適したご提案をさせていただきますので、お気軽にご相談ください。

■監修_サーラフィナンシャルサービス/担当者_資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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WRITER PROFILE

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mamhive 芝田ありさ

ライター歴15年。グローバルな視野と高いリサーチ能力、幅広い業界知識を併せ持つ行動派ライターとして、IT・住宅・金融・保険・教育を中心にライティングや取材を行う。得意のIT知識を活かしてホームページ制作も請け負っている。
女性ライターチーム「mamhive(マムハイブ)」に所属。

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