初心者でも始めやすい資産運用方法は?
本や雑誌だけではなく、テレビやYouTubeなどでも資産運用が取り上げられるようになり、投資を始める方がどんどん増えています。
しかし資産運用とひとくちに言ってもいろいろな方法があるので、「何があるのかわからない」「初心者向きの投資はあるのかな?」という方も多いはずです。
そこで今回のコラムでは、初心者でも始めやすい資産運用方法として、新NISAとiDeCoを紹介します。
資産運用を始めるにあたって知っておきたい注意点も説明しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
初心者におすすめの資産運用方法2つ
株、債券、生命保険、不動産、金…
資産運用には様々な種類があり、リスクやリターンもそれぞれ異なります。
その中でも初心者が始めやすいのは、運用で利益が出たときに税制優遇を受けられる『新NISA(少額投資非課税制度)』と『iDeCo(個人型確定拠出年金)』の2つです。
本来ならば株や債券の運用によって得た利益には、20.315%の税金がかかりますが、新NISAとiDeCoの運用益は非課税。
投資初心者にも取り組みやすい制度になっています。
それぞれどのような制度なのか、以下に見ていきましょう。
新NISA
新NISAは、2024年1月1日から始まった、新しいNISA制度です。
これまでも少額投資非課税制度として『つみたてNISA』や『一般NISA』、『ジュニアNISA(※1)』がありましたが、新NISAはつみたてNISAと一般NISAを一本化した制度になります。
(※1:ジュニアNISAは2023年で制度終了)
新NISAには月々積み立て投資を行う『つみたて投資枠』と、スポット的にも商品を購入できる『成長投資枠』に分かれており、それぞれ年間投資枠や対象商品が異なります。
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
年間投資上限額 | 120万円 | 240万円 |
生涯非課税限度額 | 1,800万円(うち1,200万円が成長投資枠) | |
非課税保有期間 | 無期限 | |
対象年齢 | 18歳以上の成人 | |
買付方法 | 積立 | 積立・スポット |
対象商品 | 投資信託 | 株式、投資信託、ETF |
制度を併用すれば最大で年間360万円を投資することが可能ですが、非課税枠1,800万円の限度額を超えると特定口座や一般口座などを使うため、運用益に税金が課せられます。
ただし非課税枠は再利用できるので、保有商品を売却すれば空いた枠で新しい商品を買えるようになります。
たとえば1,800万円の枠を使い切ったとしても、500万円分の保有商品を売却すれば、売却の翌年以降に500万円分の非課税枠を再び使えるという仕組みです。
つみたて投資枠と成長投資枠について、もう少し詳しく説明しましょう。
つみたて投資枠
つみたて投資枠は、旧制度のつみたてNISAを引き継ぐ枠になっています。
月々1,000円(金融機関によっては100円)~ほどの少額投資ができるので、余剰資金が少ない方や投資初心者でも気軽に始められるのが魅力。
管理や運用にかかる信託報酬が低い商品のみが、対象となっています。
成長投資枠
成長投資枠は、旧制度の一般NISAを引き継ぐ枠になっています。
投資信託のほか上場株式の購入も可能で、対象商品の多さが特徴。
個別株投資をすれば、保有株式数に応じて株主優待や配当を受けることができます。
同じ新NISAでも枠によって使い方が異なるので、少額から始めたいのならつみたて投資枠、株主優待を受けたいのなら成長投資枠といった形で、運用の目的に合わせた投資を考えてみてください。
iDeCo
iDeCo(イデコ)は『個人型確定拠出年金』とも呼ばれる、自分で積み立てる形の年金制度です。自分の掛け金で金融商品を購入して運用し、60歳以降に一括または分割で積み立てた資金を受け取ります。
iDeCoの掛け金は職業に応じた上限があるので、まずは一覧で見てみましょう。
自営業者など第1号被保険者 | 月額68,000円 ※国民年金基金または国民年金付加保険料との合算した額 |
会社員など第2号被保険者(勤務先に企業年金等がない場合) | 月額23,000円 |
専業主婦(主夫)など第3号被保険者 | |
会社員など第2号被保険者(勤務先に企業年金等がなく、企業型確定拠出年金に加入している場合) | 月額20,000万円 |
会社員など第2号被保険者(勤務先に企業年金等がある) | 月額12,000円(※1) |
公務員 |
(※1)2024年12月から月額2万円に引き上げられる予定
職業に応じて12,000〜68,000円の上限が設けられていますが、最低額は職業にかかわらず月5,000円(年間6万円)です。
60歳まで、年間6万円を投資に回すことを前提に始めなくてはなりません。(※1)
(※1)どうしても支払えないときには「加入者資格喪失届」を提出して停止することも可能
iDeCoを始めるメリットは、運用益が全て非課税で、受け取るときにも控除が利用される点です。そのほか運用中の掛け金が全額所得控除になるなど、さまざまな優遇を受けられます。
しかし積み立てた資産は60歳まで引き出せず、口座の管理や給付、還付などに手数料がかかる点に注意が必要です。原則として、60歳までは途中解約もできません。
iDeCoを始めるときには、老後まで使う予定のない資金のみを運用に回しましょう。
iDeCoの始め方や税制優遇について詳しく解説した記事がありますので、ぜひこちらも参考にしてください。
>iDeCoは年末調整が必要?正しく税制優遇をうけるにはどうしたらいいの?
資産運用を始めるにあたって心がけておきたこと
資産運用は、自分の資産を効率よく増やせる可能性がある点がメリットです。
しかしその一方で、知っておきたい注意点もあります。
まずは手元の預貯金を増やす
資産運用を始めるにあたって、まずは手元の預貯金がどのくらいあるのかを確認してみてください。
病気やケガ、失業などで収入が減ったときのための生活防衛資金と、急な出費などに対応できるお金が手元にあれば、すぐに資産運用を始めてもよいでしょう。
万が一のときに必要な生活防衛資金は、4人家族で6か月〜1年分の収入が目安といわれています。月30万円で生活している家庭ならば、180〜300万円ほどは預貯金として持っておきたいところです。
生活防衛資金や急な出費への蓄えが不安な方は、まずは貯金を増やすことを意識してみてください。
資産運用に回すのは余裕資金のみ
資産運用を始めると、「これまで貯金に回していたお金は、全額資産運用に回そう」と考える方もいるのですが、あまりおすすめできません。
投資に使ってもいいのは、“当面つかう予定のないお金”や“本来なら自由に使えるお金”などの余裕資金のみです。
投資は少なからずリスクがあり、投資額より資産が減ってしまう時期があるかもしれません。そのようなときに慌てないためにも、余裕資金のみを投資に回すことをおすすめします。
「お金を口座で眠らせておくのはもったいない」と言われてはいますが、だからといって無理に投資する必要はありません。
すぐに使う予定のないお金のみを、資産運用に回すようにしてください。
まとめ
物価上昇や老後2,000万円問題、住宅ローン金利の上昇など、将来的なお金の悩みは尽きません。何かあったときのための備えとして、今回紹介した新NISAやiDeCoを利用して効率よく資産を増やしましょう。
ただし投資には少なからずリスクもあるため、余裕資金のみを使うことが大切です。
サーラファイナンシャルサービスでは、新NISAやiDeCo加入に関するご相談も承っております。毎月の掛金やどんな金融商品が向いているのかなど、お客さま一人ひとりに適したご提案をさせていただきますので、お気軽にご相談ください。
■監修_サーラフィナンシャルサービス/担当者_資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士
WRITER PROFILE
井本 ちひろ
建築科系学科卒の住宅×金融専門ライター。
子供に「おかえり」が言える仕事を探してライターの道へ。
大学で得た経験とFP2級の知識を活かし、家づくり、水回り設備、エクステリア、火災保険、相続など、住宅にまつわる幅広い記事を中心に活動中。