お金の価値が下がる?インフレからお金を守ろう

お金の価値が下がる?インフレからお金を守ろう

長くデフレが続いた日本ですが近年、デフレとは逆に物価が上がるインフレ時代に突入しています。コロナ禍が回復傾向となった2021年後半から物価が上がり始め、現在も上昇傾向が続いています。モノの価値が上がるインフレでは、モノを買うのに以前よりも多くのお金を支払わなければいけなくなり、相対的にお金の価値が減ってしまいます。インフレが進めば進むほど、今ある現金の価値が目減りしてしまうのです。

インフレに対応するには、資産を現金以外の資産で持つことが大切になります。そこで今回は、インフレの仕組みやインフレから資産を守る方法についてわかりやすく解説します。

お金の価値が下がると言われるインフレとは、どんな状況?

「物価上昇」の見出し

インフレとは「インフレーション(inflation)」を略した言葉で、モノやサービスの価格(物価)が継続的に上昇傾向となることを言います。つまり、私たちが普段購入している日用品などのモノの値段が上がることがインフレです。インフレが続くと、お金の価値は徐々に目減りしていきます。

お金の価値が下がるインフレの経済の流れとは

インフレは一般的に、景気が良いときに発生します。景気が良くなると給与が上がり、消費者の購入意欲がアップ。モノが売れると消費は拡大し、モノやサービスの値段が上がります。さらにモノの供給量を増やすために人件費や設備への投資が加速され、仕事が増え、より景気が良くなる……というのが、インフレの好循環です。

インフレとは反対にお金の価値が上がる?デフレはどんな状況?

デフレとはデフレーションの略で、物価が継続的に下落傾向になることを言います。

日本は長らくモノが売れず、デフレの状態が続いていました。デフレの状況下では、景気が悪く給与が下がり、購入意欲もなくなるのでモノの需要も下がります。

企業は少しでもモノを売ろうとさらに値段を下げるため、同じ金額でも買えるモノが増えて相対的にお金の価値は上がるのです。

デフレからインフレの時代へ、お金の価値が変わりつつある日本

デフレの状況が長らく続いていた日本ですが、2021年頃、コロナ禍からの回復による物流や原材料の価格向上をきっかけに物価が上昇し始めます。そんななか、ロシアのウクライナ侵攻によりエネルギーや小麦の値段も上昇。さらに円安状況を背景に、海外製品が軒並み値上げされました。つまりさまざまなコストが上昇したため、物価が上昇しインフレの傾向が高まりました。

コスト高によるインフレは、消費者にはあまり良い影響を与えません。賃金が上がらないのに日用品の価格が値上がりすれば、消費者は節約をすることになりかねないのです。

しかし近年、賃上げ率も上昇傾向になり始めました。2024年、春闘での平均賃上げ率は5.10%と33年ぶりの高水準へ。賃金が上がると消費に回すお金も増えるため、現在の日本は経済が好循環するインフレ環境になりつつあるのです。

インフレになるとお金の価値はどうなるの?

インフレになってモノが値上がりすると、相対的にお金の価値は下がります。同じお金で買えるモノの量が減り、以前よりも多くのお金を払わなくてはいけないからです。

例えば、毎年の物価上昇率が3%であった場合、今100万円のモノは1年後103万円まで上昇します。しかし100万円の実質的なお金の価値は100万円 × (1 – 0.03) = 97万円にまで減少してしまいます。

さらにその上昇率が10年続くと、今100万円のモノは約34.4%増加し、約134万4千円になります。そして100万円の実質的な価値は、約74万円まで目減りしてしまうでしょう。

このように物価上昇が続くと、同じ額のお金で購入できるモノやサービスの量が減り続け、お金の価値は減少してしまうのです。

インフレにより上がり続ける日本の物価と下がるお金の価値

スーパーマーケットで頭を抱える女性

実際に、日本の物価は年々上がり続けています。

身近な例をあげると、自動販売機の缶ジュース。1980円代には100円で購入できた缶ジュースが、2024年現在140円ほどで販売されています。100円というお金の価値自体が下がったため、100円を大切にもっていても今では缶ジュースが買えなくなってしまいました。

総務省が発表した2024年6月の消費者物価指数では、変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が107.8となり、前年同月よりも2.6%アップしました。日銀の物価安定目標である2%を超える上昇が続いています。

お金の価値が下がるインフレからお金を守る方法

ポイント

経済が好循環し、景気が良くなるというインフレは理想的ですが、円というお金の価値が相対的に下がってしまうという問題点があるのも確かです。インフレ下にほとんど利息のつかない預貯金にお金を預けるだけでは、資産価値が目減りする可能性が高いのです。

それでは、インフレに強い資産には具体的に何があるのでしょうか。現金ではなく「モノ」で持つことが大きなポイントになります。

【お金の価値を守るインフレ対策】株式や投資信託などの有価証券

インフレに強い資産として挙げられるのが、企業が発行する株式です。モノの値段が上がることによって企業は収益を上げやすくなり、業績が良くなるので必然的にに株価も上がるでしょう。

また、投資のプロに運営を任せる投資信託もインフレに強い資産です。投資信託は個別の株式とは異なりいくつもの商品に分散投資ができるので、値動きが安定しやすいメリットもあります。

【お金の価値を守るインフレ対策】金や不動産等の現物資産

古くから「有事の金」と言われる金は、安定資産として注目を集めています。企業の倒産や国の破綻などのリスクがある株式や貨幣と比べて、現物資産であるため破綻の心配がありません。普遍的な価値があるため、世界中どこでも取引ができます。近年世界的な金融不安から金を購入する動きが高まっており、10年以上にわたり金相場は暴騰。今後も高値で推移をすると予想されています。

また同じ現物資産である不動産も資産価値が下がりにくく、インフレ対策になるでしょう。ただし不動産投資には空室や老朽化リスクなど他の投資にはないリスクや、価値が上がらない不動産もあるため、慎重な物件選びが重要です。

【お金の価値を守るインフレ対策】外貨で運用する金融商品

ドル預金や米国債など、外貨建ての資産を持つこともインフレに備えるひとつの方法です。為替変動の影響を受ける外貨資産は、インフレ時には円資産よりも有利になる可能性があります。利上げを進める米国では利回りが2〜3%の商品も多く、インフレ率を上回る収益も見込めます。

お金の価値を減らさないために……インフレに強い資産を持っておこう

お金の専門家

今後もインフレが進むと考えられる日本だからこそ、インフレに強い資産を持つことが大切です。株式投資や投資信託を始める場合、税制優遇のある新NISAやiDeCoなども積極的に活用して、インフレ環境下でも資産を着実に増やしましょう。

サーラフィナンシャルサービスでは、お金の専門家による新NISAやiDeCoに関するご相談はもちろん、インフレに備える金融商品のご提案もしております。これからのインフレに立ち向かうために、早めに行動を始めてみませんか。

■監修_サーラフィナンシャルサービス/担当者_資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士

WRITER PROFILE

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mamhive 芝田ありさ

ワーホリで行ったニュージーランドをきっかけに、バックパッカーでオセアニア・アジアを中心に回るなどインターナショナルな大学生活を送り、東京のアパレル商社で海外相手の営業を経験。

結婚後は名古屋市に移り住み、女性ライターチーム「mamhive(マムハイブ)」に所属。
グローバルな視野と高いリサーチ能力、幅広い業界知識を併せ持つ行動派ライターとして、幅広いライティングのほか、得意のIT知識を活かしてホームページ制作も請け負う。

魚座のB型
座右の銘は「足るを知る」「ケセラセラ」

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