【新NISA】株価の大暴落時にやってはいけないこと
2024年8月、日経平均株価は大暴落しました。近年新NISA制度がきっかけで投資を始めた方も多く、夜も眠れないほど大きく動揺した方もいるかもしれません。
しかし長い目で見るとこの大暴落の出来事は、新NISA初心者へのよい洗礼であり、今後の教訓になるとも言われています。
今回は、株価大暴落時にやってはいけないことや、今後また起きるであろう大暴落に向けて備えるべきことについて解説いたします。
目次
新NISA普及最中の日経平均株価大暴落
2024年8月、これまで上昇基調にあった日経平均株価は大暴落しました。これまで順調にNISA口座で投資をしていたなかで、驚いた方も多いのではないでしょうか。
新NISA口座は年々増え、投資人口も増加の一途へ
2024年1月から新制度が開始した新NISA。旧NISAと比べて非課税投資枠が拡大され、制度の恒久化が図られたため、その税制メリットに魅力を感じて始める人が増えています。
証券会社10社におけるNISA口座開設件数は、2024年5月時点で約27万件。1年前の2023年5月の口座開設件数約16万件から、約1.7倍も増加しています。
同じく買付額も増えており2024年5月における買付額は、成長投資枠はたった1年で約1,573億円から約6,035億円の3.8倍へ、つみたて投資枠は約949億円から約3,043億円の3.2倍もの額へと増加しています。(※1)
これほどまでに国民に浸透している新NISAですが、すべてが順調にお金が増えていくばかり……というわけでもありませんでした。
(※1)日本証券業協会「NISA口座の開設・利用状況」より
2024年8月の日経平均株価大暴落で新NISA投資者は大混乱
日経平均株価は、34年ぶりとなる史上最高値を更新するなど、2024年7月までは好調でした。しかし8月5日月曜日、日経平均株価終値は前週末より4451円28銭(12.40%)安い3万1458円42銭で終えます。これは1987年10月に起きた株価暴落「ブラックマンデー」の3836円48銭を超えて、史上最大の下落となりました。
株価が急落した要因には、前月7月31日に日銀が利上げに踏み切ったために円高ドル安が加速したことや、米景気減速への懸念が高まりニューヨーク市場で株価が下落したことなどが考えられています。
株価大暴落時、新NISAで投資している人はどうしたらよいの?
2024年1月から始まった新NISA制度では、非課税投資枠の大幅拡大と制度の恒久化など大きなメリットが得られ、新NISA口座を利用して投資を始める人が増えました。メディアやSNSでも大きく取り上げられ、「新NISAで投資をすれば、資産は簡単に増える!」などと安心している方も多かったでしょう。
しかし今回の突然の大暴落。含み益が突然消えた口座を見てどうしたらよいのかわからず、パニック売りも多発する人も多かったと聞きます。
今もつみたてた資産をどうしたらよいのかわからず、困っている方が多いのが現状でしょう。このような危機的状況において、どう新NISAと向き合い対応するのか。これが投資で成功するためのターニングポイントなのです。
新NISA投資者が株式大暴落時にやってはいけないこと
2024年8月の株価大暴落を受けて、新NISA投資を始めたことを後悔したり、焦って損切りする人が後を絶ちません。暴落によりせっかく増やしたはずの自分の資産がマイナスになってしまうのを見るのは誰でも辛いものです。しかし感情的にならず冷静に判断をしましょう。
【大暴落時にやってはいけない】新NISAでつみたてた資産を売却する
暴落時、もっともやってはいけないのは「パニック売り」です。マイナスになっていく資産に不安を覚えて「これ以上損が出る前に」と急いで売るのだけは避けましょう。
過去の例を検証すると、暴落後に下落がしばらく続くことはありますが、一定期間が経過すると株価は暴落前を上回る場合がほとんどです。
例えば、2008年のリーマン・ショック。アメリカの株価指数であるS&P500を例にすると、3年後にはリーマンショック前と同水準へと戻り、それから9年後の2017年には、リーマンショック前の2倍以上もの株価になりました。同じように暴落したコロナショックやロシアのウクライナ侵攻などのときも、やがては元の水準にもどり、今では元水準よりも高値となっています。
【大暴落時にやってはいけない】新NISAのつみたて額を減らす
暴落時につみたて額を減らす判断も、得策とは言えません。なぜならつみたて投資の手法である「ドルコスト平均法」の効果で、暴落時は安く購入できるチャンスとなるからです。
ドルコスト平均法は、購入するタイミングを分散することで平均の購入単価を抑える手法です。毎月決まった金額を購入する新NISAのつみたて投資枠の場合、株価が安ければ多くの量を、高ければ少ない量を購入します。つまり暴落は、いつもと同じ金額で多くの量を購入できるため、着実に資産を築き上げられるのです。
【大暴落時にやってはいけない】新NISAのつみたてをやめて売却する
非課税で投資ができ、メリットが盛りたくさんの新NISA。暴落時もつみたてを継続することでドルコスト平均法の効果を得られるので、つみたて自体をやめてしまうのはもったいないでしょう。確実ではないですが、過去の事例から見て将来的に市場が回復するのがわかっているならなおさらです。
ただし家計が苦しく、毎月一定額をつみたてること自体が難しくなっているのでしたらやめる選択肢もあるかもしれません。
その場合、月々のつみたてはやめてもこれまでつみたててきた資産はそのまま新NISA口座に残して運用を続けられます。その場合、運用益を再び投資にまわすことで得られる「複利効果」が活かせるので、少しずつでも資産が増える可能性があります。
せっかくつみたててきたこれまでの資産をすべて売却する判断は、できるだけ避けるとよいでしょう。
新NISA投資者が、今後の大暴落に備える方法
過去の事例を見る限り、株価は数年に一度の間隔で急落します。
今後も必ず発生するであろう大暴落に対して、今から備えを始める必要があります。
大暴落に備えて新NISAの投資は余剰資金で行う
新NISA制度により、メリットが増え、身近となった投資ですが、投資はあくまで余剰資金で行うのが原則です。
とくに投資信託は、長期間運用で複利効果でコツコツ資産を増やすことを目的としているため、長期間つみたてられる余剰資金がない場合は新NISAのメリットが受けにくいと言えます。
また生活を切り詰めて生活費に充てる資金までもを無理して投資にまわしている場合、暴落時にどうしても売却せざるを得なくなります。前述の通り、暴落時に売却してしまうのはおすすめできません。どんなに株価が下がっても持ち続けることが、新NISA成功の秘訣です。
投資も人生もこれから先なにが起こるかは誰もわかりません。万が一のときのためにも、投資は余剰資金で行うようにしてください。
大暴落に備えて新NISAを含めたポートフォリオを見直す
株価の暴落に備えてポートフォリオを見直し、資産のリスクを考え直しましょう。
新NISA含めて投資の割合が多いと、生活に影響が出てしまいます。
一般的に資産は、預貯金等現金の割合は4割〜5割。投資の割合は3割程度が適切だと言われています。日々の生活費はもちろん、人生には結婚・出産・マイホーム・教育費など多くのライフイベントがあります。特に大きなライフイベントが控えている場合は、投資でなく流動性の高い現金で管理する、時間に余裕がある場合には投資も視野にいれるなど、改めて自身のライフスタイルに沿って見直してみるとよいでしょう。
株価大暴落にも慌てず、新NISAをうまく使いこなすために
株価の下落は、投資を始めたばかりの人だけでなく、多くの投資家に緊張が走る出来事です。それでも焦らず「ドルコスト平均法」にしたがって長期間つみたて投資を続けることが大切です。パニック売りにならないように、落ち着いて冷静に判断をしましょう。
また、次いつくるかわからない大暴落に向けてこの機会に改めて備えておくことも重要です。サーラファイナンシャルサービスでは、投資だけでなく生活全てにまつわるお金の相談を承っております。自身の今のポートフォリオで大丈夫なのか等、不安をお気軽にご相談ください。株価の大暴落にも左右されない、豊かな暮らしの手助けとなるでしょう。
■監修_サーラフィナンシャルサービス/担当者_資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士
WRITER PROFILE
mamhive 芝田ありさ
ライター歴15年。グローバルな視野と高いリサーチ能力、幅広い業界知識を併せ持つ行動派ライターとして、IT・住宅・金融・保険・教育を中心にライティングや取材を行う。得意のIT知識を活かしてホームページ制作も請け負っている。
女性ライターチーム「mamhive(マムハイブ)」に所属。