火災保険は台風被害で使える?補償内容から請求方法まで徹底解説!
近年、大型の台風が頻繁に発生し、私たちの住まいに大きな被害をもたらすことがあります。「台風で屋根瓦が飛んでしまった」「飛んできたもので窓ガラスが割れた」など、万が一の被害に遭った際、その修理費用は火災保険で補償される可能性があることをご存知でしょうか。
火災保険は、火事だけでなく、台風などの自然災害による損害もカバーする心強い備えです。この記事では、台風被害で火災保険がどのように役立つのか、補償内容から保険金請求の手順、注意点まで分かりやすく解説します。

目次
火災保険で台風被害は補償されるの?
結論から言うと、台風による建物の損害は、火災保険で補償されるケースがほとんどです。ただし、被害の原因によって適用される補償が異なります。ご自身の契約内容を確認し、どの補償が適用されるか理解しておくことが大切です。
洪水や土砂崩れによる被害を補償する「水災補償」
水災補償は、台風やゲリラ豪雨などが原因で起こる洪水、高潮、土砂崩れなどによる損害を補償します。ただし、この補償は任意で加入を選択するタイプの火災保険も多く、ご自身の契約に含まれているか確認が必要です。
一般的に、「床上浸水」や「地盤面から45cmを超える浸水」といった具体的な支払い基準が設けられています。自治体のハザードマップなどを参考に、お住まいの地域のリスクに応じて加入を検討することが重要です。
強風や竜巻による被害を補償する「風災補償」
風災補償は、台風の強風や竜巻、突風などが原因で生じた損害を補償するものです。多くの火災保険で基本補償に含まれており、台風被害において最も利用される機会が多い補償といえます。
例えば、「強風で屋根瓦が飛ばされた」「飛んできた看板が当たって窓ガラスが割れた」「カーポートの屋根が破損した」といったケースが風災補償の対象となります。
落雷による被害を補償する「落雷補償」
落雷補償は、落雷による直接的な被害や、それに伴う電気的な被害を補償します。台風は激しい雷雨を伴うことが多いため、この補償も重要になります。
「家に雷が落ちて屋根の一部が壊れた」といった直接的な損害はもちろん、「落雷による過電流(サージ電流)が発生し、コンセントに繋いでいたテレビやパソコンが故障した」といったケースも補償の対象となる可能性があります。
火災保険の台風被害で補償される対象物は?
一般的な火災保険の対象は大きく分けて「建物」と「家財」があります。
建物のみを補償するプランや家財のみを補償するプランなど、火災保険の契約内容によって異なるので、まずは自分がどれを対象にした火災保険に加入しているのかを確認してみましょう。
具体的に「建物」「家財」とはどんなものを指すのでしょうか。

火災保険の「建物」とは
火災保険では、住居のみに使用される建物本体と、その建物に付随する門や塀、66㎡未満の車庫などの付属建物も建物の対象としています。敷地内の土地や建物に定着していて動かせないものだと捉えるとわかりやすいでしょう。
保険会社によって違いはありますが、一般的な具体例は以下の通りです。
・建物の基礎部分
・門や塀、車庫カーポートや物置などの付属建築
・建物に備え付けられている浴槽や調理台、便器など
・玄関ドア、畳や襖など備え付けの建具
火災保険の「家財」とは
家財とは、保険の対象となる建物のなかにある家具や電化製品など生活に必要な道具を言います。建物とは異なり、自分で動かせるものだと考えるとわかりやすいでしょう。
保険会社によって違いはありますが、一般的な具体例は以下の通りです。
・ソファー、寝具などの家具類
・冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機などの家電類
・食器、衣類、書籍、日用品
・貴金属、美術品、骨董品など(補償額の上限あり)
【損害別】台風被害で補償の対象となるケース
台風による被害は多岐にわたりますが、具体的にどのような損害が補償の対象になるのでしょうか。代表的なケースを損害箇所別にご紹介します。
| 損害箇所 | 具体的な被害の例 | 主な適用補償 |
| 屋根・外壁・雨どい | 強風で屋根瓦が飛んだ、剥がれた、ずれた。飛来物が当たり外壁に穴が開いた。雨どいが強風で変形・破損した。 | 風災補償 |
| 窓ガラス・網戸 | 強風による飛来物で窓ガラスが割れた。風圧で網戸が破れた、外れた。 | 風災補償 |
| アンテナ・カーポート | テレビアンテナが強風で倒れた。カーポートの屋根パネルが吹き飛ばされた。 | 風災補償 |
| 家財 | 割れた窓から雨が吹き込み、家具や家電が濡れて故障した。床上浸水で家財が使えなくなった。 | 風災補償・水災補償 |
屋根・外壁・雨どいの損害
屋根や外壁、雨どいは、台風の強風の影響を最も受けやすい部分です。瓦が飛んだり、外壁材が剥がれたりした場合は、風災補償の対象となります。これらの損傷を放置すると雨漏りの原因にもなるため、被害を発見したら速やかに対応することが重要です。
窓ガラス・網戸の損害
台風の際には、風で飛ばされた看板や木の枝などが窓ガラスに衝突し、ひび割れや破損につながることがあります。このような飛来物による損害も風災補償でカバーされます。また、強風の圧力で網戸が破損した場合も対象となることがあります。
アンテナ・カーポート・塀の損害
建物に付属するテレビアンテナやカーポート、塀、門なども補償の対象です。これらが強風によって倒れたり、破損したりした場合も、火災保険で修理費用を請求できる可能性があります。ただし、保険の対象が「建物のみ」となっている契約では、建物本体から独立した車庫や物置は対象外となる場合もあるため、契約内容を確認しましょう。ただし、保険の対象が「建物のみ」となっている契約では、建物本体から独立した車庫や物置は対象外となる場合もあるため、契約内容を確認しましょう。
飛来物による損害
台風の際には、近隣の建物の一部や看板、植木鉢など、様々なものが強風で飛ばされてきます。これらの飛来物が自宅に衝突して生じた損害は、原因が風であるため風災補償の対象となります。何が飛んできたか特定できなくても、台風による被害であると客観的に判断できれば問題ないことが多いです。
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台風被害が火災保険で補償されないケース
台風被害は、水災補償、風災補償、落雷補償で補償されますが、場合によっては補償されないケースも発生します。
多いのが補償のもれです。基本的に落雷・風災は火災保険の基本補償に含まれていますが、水災補償は外すこともできます。水災補償を外している場合、もちろん水災に関する補償はされませんので注意が必要です。

経年劣化による損害と判断された場合
火災保険は、あくまで突発的かつ偶然な事故による損害を補償するためのものです。そのため、建物の老朽化や自然な消耗である「経年劣化」が原因と判断された損害については、保険金は支払われません。
例えば、もともとサビや腐食が進んでいたトタン屋根が、台風の風雨によって剥がれてしまったようなケースでは、経年劣化が主たる原因とみなされ、補償の対象外となることがあります。
損害額が免責金額(自己負担額)に満たない場合
火災保険の契約には、多くの場合「免責金額(自己負担額)」が設定されています。これは、損害が発生した際に契約者が自分で負担する金額のことです。
修理にかかる費用(損害額)が、この免責金額を下回る場合は、保険金は支払われません。例えば、免責金額を5万円に設定している契約で、台風による被害の修理費用が3万円だった場合、全額自己負担となり保険金は受け取れません。※例外あり
【台風被害の火災保険】水災で補償されないケース
一般的に水災補償の保険金支払要件は、
・再調達価額の30%以上の損害を受けた場合
・床上浸水または地盤面から45cmを超えて浸水した場合
のいずれかに当てはまる場合に認められます。
この要件に満たない場合は、水災被害でも補償されません。他の補償されないケースには、以下が挙げられます。
集中豪雨で閉め忘れた窓から雨が吹き込み、家財が被害を受けた
偶発的な事故を補償する火災保険では、雨の吹き込みによる被害は基本的に補償対象外となります。ただし台風による強風で窓ガラスが破損して雨が吹き込んだ場合は、風災補償の対象となります。
車庫に停めていた自家用車が台風による浸水で水没した
車庫に停めている自家用車であっても、自動車は火災保険の対象に含まれないため水災による補償はされません。自家用車の損害は自動車保険で備えておきましょう。
ただし総排気量125cc以下の原付自転車に関しては家財として補償されるケースもあります。
【台風被害の火災保険】風災で補償されないケース
風災で補償されないケースには、以下が挙げられます。
台風による風が原因ではない物体の飛来による損害
台風でなくても強風で建物が破壊された場合は風災による被害として補償されますが、強風が原因でない場合は風災で補償はされません。(契約内容により、不測かつ突発的な事故として補償される可能性があります)
また建物の経年劣化が原因で損害が発生した場合も、補償対象にはなりません。
【台風被害の火災保険】落雷で補償されないケース
落雷で補償されないケースには、以下が挙げられます。
落雷によってパソコンやゲーム機が壊れ、保存データが消失した
落雷でパソコンやゲーム機が故障した場合、本体の修理費用は補償されます。しかしデータやソフトウェアなどの無形物に関しては、落雷による被害としての補償はされません。
台風被害で受け取れる火災保険金
火災保険で受け取ることができる保険金には主に「損害保険金」と「費用保険金」があります。具体的にどのような保険金の種類があるのでしょうか。

損害保険金
台風による風災や水災で損害があった場合、その損害に対して支払われるのが損害保険金です。損害を受けた部分の修理費用や再購入費用が支払われますが、契約時に免責金額が定められている場合は、免責金額を引いた額が支払われます。
費用保険金
費用保険金は、建物や家財の損害を対象とした損害保険金とは別に、さまざまな費用をサポートするために支払われる保険金です。
主に以下のものが挙げられます。
臨時費用保険金
台風による被害や修理で自宅に住めない場合などで、臨時に利用したホテルなどの宿泊費用などを賄ってくれるのが臨時費用保険金です。保険会社にもよりますが、支払われる金額は損害補償金の10%〜30%が相場です。
残存物片付け費用保険金
損害保険金が支払われる場合、被害を受けた対象を修繕する際の瓦礫の残がいなどを片付ける費用が支払われる保険金です。建物の取り壊し費用や搬出費用、廃棄処分費、清掃費用などが含まれます。かかった実費が支払われますが、損害保険金の10%ほどが限度です。
損害防止費用保険金
火災・落雷・爆発等の事故において、損害の発生・拡大防止のために負担した実費が支払われます。例えば台風による落雷で火災が発生し、初期消火に消火器を使用した場合。消火器を買い直すための費用が、補償されます。
台風被害による火災保険金の請求方法
それでは実際に台風被害が発生した場合、どのように保険会社に請求すればよいのでしょうか。

火災保険を契約した代理店や保険会社に連絡
被害状況が確認できたら、まずは契約した保険代理店や保険会社へ連絡します。
保険証券が手元にあれば用意し、契約者名や証券番号とともに事故の日時や状況を伝えます。
台風被害の修繕見積もりや被害状況がわかる写真を用意
保険金請求には、修繕に必要な見積もりや、被害状況のわかる写真の提出が必要となります。ハウスメーカーや工務店などに相談し、修繕見積もりを出してもらいましょう。
そして被害の程度がわかる写真と一緒に、保険会社に提出します。
火災保険の保険金請求書の記入提出
保険会社から届いた保険金請求に必要な書類に記入をします。場合によっては、罹災証明書(りさいしょうめいしょ)や印鑑証明書、建物の登記簿謄本が必要になる場合もあります。
台風被害による火災保険金の認定・支払い
保険金請求書を提出すると、保険会社による被害状況の調査・確認の後、支払われる保険金の額が決定します。鑑定人による現地調査が行われることもあります。
調査により確定した保険金額は、契約者指定の口座に振り込まれます。
保険金請求に必要となる主な書類
保険金の請求をスムーズに進めるためには、必要書類を漏れなく準備することが重要です。必要となる主な書類は以下の通りです。
| 書類の種類 | 内容と入手方法 |
| 保険金請求書 | 保険会社から取り寄せ、契約者自身が必要事項を記入します。 |
| 事故状況説明書 | いつ、どこで、何が原因で、どのような被害が出たのかを具体的に記載します。書式は保険会社から提供されることが多いです。 |
| 修理費用の見積書 | 修理を依頼するハウスメーカーや工務店などに作成を依頼します。 |
| 損害箇所の写真 | ご自身で、被害状況が分かる写真を撮影します。 |
この他にも、被害の規模によっては「罹災証明書」など、自治体が発行する書類が必要になる場合もあります。保険会社からの案内に従って、必要なものを揃えましょう。
火災保険を請求する際の3つの注意点
火災保険の請求時には、いくつか知っておきたい注意点があります。トラブルを避け、適切に保険を活用するために、以下のポイントを必ず押さえておきましょう。
保険金の請求期限は3年以内
保険法により、保険金を請求する権利は、損害が発生した日から3年で時効によって消滅すると定められています。「被害は小さかったから」と請求を後回しにしているうちに、期限が過ぎてしまうことのないよう、被害に気づいたら速やかに手続きを開始しましょう。
被災後すぐに修理業者と契約しない
被害に遭うと、焦ってすぐに修理を依頼したくなる気持ちは分かりますが、まずは保険会社に連絡し、指示を仰ぐことが先決です。保険会社の損害確認が終わる前に修理を始めてしまうと、被害の状況が正確に確認できず、適切な保険金が支払われない可能性があります。応急処置が必要な場合でも、必ず事前に保険会社に相談しましょう。
「保険金で自己負担なく修理できる」という勧誘に注意する
台風被害の後に、「火災保険を使えば無料で家の修理ができます」などと勧誘してくる訪問業者や、高額な手数料を請求する申請代行業者によるトラブルが報告されています。保険金の請求は、契約者自身で簡単に行うことができます。不審な勧誘は安易に信用せず、必ず契約している保険会社や代理店に相談するようにしてください。
参考:日本損害保険協会 住宅の修理などに関するトラブルにご注意
火災保険に加入して、思いがけない台風被害に備えておこう
火災保険は、火災だけでなく、台風による大雨や暴風による被害を広く補償してくれることがわかりました。日本では毎年いくつもの台風が上陸し、甚大な被害も報告されています。いつ発生してもおかしくない自然災害のためにも、火災保険の加入を検討したり見直しをしたりしてみてはいかがでしょうか。
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サーラフィナンシャルサービスでは、火災保険のご相談を承っております。サーラで火災保険に加入した場合、修繕見積もりの取得から保険金請求まですべてサーラグループ内で完結できるので、スムーズに保険金を受け取ることができます。
新規加入はもちろん、現在の火災保険に関して不安がある方も、お気軽にご相談ください。

■監修_サーラフィナンシャルサービス/担当者_資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士