火災保険の個人賠償責任保険はどんな補償?

火災保険の特約として付帯可能な個人賠償責任保険とは、日常生活のなかで誤って人にケガをさせてしまったり、モノを壊してしまったときなど、法律上損害賠償責任を負った場合に備える保険です。

1.火災保険特約の個人賠償責任保険が補償してくれる事故

個人賠償責任保険は、人の「身体」や「モノ」に損害を与えた場合が対象となります。具体的に個人賠償責任保険の補償対象となる事故には、以下のものが挙げられます。
- 買い物中、手に取った商品を落下させて壊してしまった
- マンションで洗濯機のホースが外れ、階下の部屋に水漏れ損害を与えた
- 自転車の運転中、通行人にぶつかってケガを負わせた
- 飼い犬の散歩中、犬が通行人に噛みついてケガを負わせた
- 子どもがクラスメイトのメガネを壊してしまった
※上記は一例です。
火災保険特約の個人賠償責任保険が補償されない事故
個人賠償責任保険が認められない可能性がある事故もあります。個人賠償責任保険は「日常生活のなかで起こりうる偶発的な事故」を対象としており、それに適さない場合は保険金は支払われません。具体的には以下の事例が挙げられます。
レストランでアルバイト中に、料理を客にこぼして服を汚してしまった
職務に直接起因している損害は、個人賠償責任保険の補償対象外となります。
同居する祖父のメガネを壊してしまった
同居の親族に対する事故は、補償の対象外です。
野球の試合で、対戦相手のメガネにボールを当てて壊してしまった
スポーツは本来危険がつきものであり、参加者同士が危険を合意の上で競技をしていると考えられるため、一般的に賠償責任は発生しません。ただし、試合中に通りがかりの人にファールボールがあたりケガをさせてしまった場合は、賠償責任が認められて補償対象となることもあります。
火災保険特約の個人賠償責任保険が適用される範囲は?
個人賠償責任保険は、実は生計を共にしている同居の親族も補償の対象となります。
例えば、世帯主の父親が被保険者となれば、同居している子どもや配偶者が対象となるでしょう。また同居していない子どもでも、大学生などで親から仕送りを受けている未婚の場合は、補償の対象となります。
火災保険で個人賠償責任保険を付帯する時の注意点
個人賠償責任保険は、火災保険や自動車保険などの特約として付帯していることが大半です。改めて加入する前に、今契約している火災保険の特約を確認すると良いでしょう。
自転車事故に備える火災保険特約の個人賠償責任保険
近年、自転車事故による相手への賠償や治療費に備える自転車保険が注目を浴びています。自転車事故による高額賠償事例について、ニュースなどで耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。2008年、当時11歳の子どもが自転車で62歳の女性と衝突。女性は意識が戻らない状態となりました。その後の裁判では、9,500万もの高額な賠償額の支払い命令がでました。子どもの起こした事件でも、被害者に大して大きな責任を負う必要があるという判決でした。
自転車保険への加入が義務化
そこで近年、自転車保険への加入を義務付けている自治体が増えています
2024年4月時点で34都道府県、東海地方では愛知三重岐阜静岡すべてが加入義務となっています。子どもが小学校に入って自転車で習い事や公園に行く機会が増えたり、中高生で自転車通学をするようになったりと、自転車保険への加入を検討するご家族も多いでしょう。「自転車保険」という名称で呼ばれているこの保険ですが、実は事故相手への損害賠償が補償される火災保険特約の「個人賠償責任保険」でまかなうことができます。
自転車保険への加入義務化についてはこちらをチェック▼
個人賠償責任保険の重複にご注意
個人賠償責任保険は、火災保険や自動車保険などの特約にセットしてつけることができるので、気づかないうちに加入していることもあります。自転車保険が義務化されたことであらためて個人賠償責任保険に加入したとしても、すでに他の保険の特約にあれば二重加入となってしまい、保険料が無駄になってしまうことも。
そうならないために、まずは今加入している火災保険などに個人賠償責任保険特約があるかを調べてみましょう。個人賠償責任保険は同居の家族全員が補償の対象となっているので、補償額がしっかりあれば、家族全員の自転車保険がその特約だけでまかなうことができます。
自転車事故の過去の高額賠償事例は6,000万円〜9,500万です。補償額の目安として1億円は考えておくとよいですね。
自転車保険と個人賠償責任保険特約との違い
自転車事故は、基本的には火災保険に付随する個人賠償責任保険特約でまかなえることがわかりました。法律上の損害賠償責任を負った場合、補償を受けることができます。
しかし、事故をした自分のケガの補償は、個人賠償責任保険で受けることはできません。そのため、自分のケガに対して補償を求める方は、他の医療保険でカバーするか、加害者側の損害も補償してくれる「自転車保険」に加入する必要があります。
火災保険だけじゃない!個人賠償責任保険の期限切れに注意
個人賠償責任保険特約をつけていたクレジットカードを解約したり、引っ越しや車の売却で火災保険や自動車保険を解約した場合、必然的に個人賠償責任保険も解約されてしまう場合があります。その場合、家族の日常生活の損害賠償に対する備えがない状態となってしまいますので、必ず新たな補償を付けてから解約するようにしてください。
個人賠償責任保険や火災保険の見直しならサーラフィナンシャルサービスへ
どんなに注意していても、まさかなことが起きるのが人生。個人賠償責任保険は、日常生活のさまざまなトラブルを幅広く補償してくれます。思わぬことで人にケガをさせてしまったり、モノを壊してしまったときなどの損害補償はもちろん、近年大きな問題となっている自転車事故による高額な損害賠償にも、しっかり補償してくれるでしょう。
さらに記名被保険者本人だけでなく、同居の家族全員が対象となるので、子どものいる家庭でも安心して暮らすことができますね。特に自転車に乗る人がいる家庭であれば、個人賠償保険にはしっかり加入しておきましょう。
サーラフィナンシャルサービスでは、火災保険はもちろん、特約である個人賠償責任保険に関するご相談も承っております。今の火災保険にどんな補償がついているのか、二重加入な状態になっていないかなど、見直しにより今の補償をより最適な内容に提案することもできます。気になる方は、お気軽にご相談くださいね。

■監修_サーラフィナンシャルサービス/担当者_資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士

WRITER PROFILE

mamhive 芝田ありさ
ライター歴15年。グローバルな視野と高いリサーチ能力、幅広い業界知識を併せ持つ行動派ライターとして、IT・住宅・金融・保険・教育を中心にライティングや取材を行う。得意のIT知識を活かしてホームページ制作も請け負っている。
女性ライターチーム「mamhive(マムハイブ)」に所属。