中古住宅・マンションの購入前に整理すべきこと

近年、中古の戸建て・マンション購入、リノベーションの選択が増えていています。特に中古住宅や中古マンションは、新築に比べて安価で物件数も多い傾向にあり、周辺環境など選択肢も豊富にあります。そこで今回は、中古戸建てや中古マンションを購入する前に整理すべきポイントについて解説していきます。
予算について

最近は住宅価格も高騰し、新築よりも手が届きやすい中古住宅や中古マンションに注目が集まっています。そもそも中古住宅や中古マンションは、竣工から1年以上が経過しているもしくは、過去に人が居住したことがある住宅のことをいいます。中古住宅や中古マンションの流通は増加傾向で、年々物件が市場に多く売り出されています。
中古住宅や中古マンションを検討する前に整理しておきたいポイントの一つが予算です。
年収から考える適正な購入価格
マンション購入を検討する際、まず知っておきたいのが「無理のない予算」の考え方です。一般的に、住宅購入の際は「年収倍率」という指標が参考になります。年収倍率とは、住宅購入価格が年収の何倍かを表す数値で、無理のない返済計画を立てるためには、年収の6倍以内に収めるのが理想的です。
もちろん、これはあくまで目安であり、頭金の有無や他の借入金の状況、将来の収入見込みなどによって変わってきます。
以下に年収別の購入価格目安をまとめました:
世帯年収 | 購入価格目安(年収の6倍) |
---|---|
400万円 | 2,400万円 |
500万円 | 3,000万円 |
600万円 | 3,600万円 |
700万円 | 4,200万円 |
800万円 | 4,800万円 |
900万円 | 5,400万円 |
リノベーションの可否
また、「どんな暮らし方がしたいのか」で予算も変動していきます。中古住宅や中古マンションを購入後はリノベーションをするのか、しないのか。もしリノベーションをする場合はその費用を考える必要があります。
エリアによる価格の違い
次に、希望する中古住宅や中古マンションのエリアです。当たり前ですが、主要駅近郊などは高値、郊外になれば価格が落ち着くなど、差が出てきます。
まちなかの生活を楽しみたいのか、郊外で落ち着いた生活をしたいのか、希望するエリアをリストアップしながら、その周辺の価格をインターネットや情報誌などでリサーチするのが大切になります。
ライフイベントを考慮
予算を考える場合、家だけではなく今後控えるライフイベントの支出を考慮することも必要です。これから子育てを本格的に行うのか、子供が独立し、夫婦だけの生活になるのかなど、家族のライフステージによってお金のかかり方も変わっていきます。信頼のおけるファイナンシャルプランナーなどにも相談しながらライフイベントの支出を計算してみるのも良いでしょう。
立地について
中古住宅や中古マンションの物件の価値は、立地と言っても過言ではありません。特にマンションの場合は、立地がほとんどとも言われています。
通勤、子育て、レジャーなど、様々な点で人気のエリアであれば資産価値が落ちず、価格も他より高いことも。未来の住まい方や家族構成をイメージしながら、希望するエリアを見つけることが大切になります。
また、周辺のコミュニティーを確認することも大切です。特に中古マンションの場合は、周りにどんな方が住んでいるのかなど、管理組合や仲介会社などにも確認をとることで安心して暮らすことができます。
立地選びでは、「利便性」「安全性」「将来性」の3つの観点から検討することが重要です。
以下にて3つの観点を紹介します。
利便性のチェックポイント
利便性については、駅からの距離はもちろん、スーパーやコンビニ、医療機関、公園などの生活利便施設が徒歩圏内にあるかを確認しましょう。特に日常的に利用する施設(例えば、子育て世帯なら保育園・学校、高齢世帯なら病院など)が近くにあるかどうかは重要なポイントです。
安全性のチェックポイント
安全性については、ハザードマップで水害や地震のリスクを事前に確認することが大切です。国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」などで、洪水・土砂災害・津波などのリスクを確認できます。また、周辺の治安も重要なチェックポイントです。地域の犯罪発生状況は警察署のウェブサイトなどで確認することができます。
将来性と資産価値を左右する立地条件
将来性については、再開発計画や交通インフラの整備予定などの情報をチェックしましょう。これらは将来の資産価値に大きく影響します。自治体のホームページや都市計画図などで確認することができます。
間取りについて
次に整理するのが「間取り」。中古住宅や中古マンションを購入後にリノベーションする場合には、自分の理想に近い間取りづくりができるかなどを考えましょう。
リノベーションする際には柱、壁などの解体に制限があるので、リフォーム会社や住宅会社としっかりと相談しながら間取りを設計・施工することが大切になります。
間取りを検討する際には、「構造」と「自分たちのライフスタイル」の2つの観点から考えることが重要です。
構造面
まず構造面では、マンションの構造によってリノベーションの自由度が大きく異なります。大きく分けると「ラーメン構造」と「壁式構造」の2種類があります。ラーメン構造は柱と梁で建物を支える構造で、間取りの変更がしやすいのが特徴です。
一方、壁式構造は壁で建物を支える構造で、耐力壁は取り除けないため、間取り変更に制限があります。購入前に構造図面を確認し、希望する間取り変更が可能かどうかをリノベーション会社に相談しておくと安心です。
ライフスタイル面
次にライフスタイル面では、現在だけでなく将来のライフステージも考慮して間取りを考えましょう。例えば、子育て世帯であれば、子供の成長に合わせて個室が必要になるかや共働き世帯であれば、家事効率を高める動線や収納スペースが確保されているかなどを考慮する必要があります。
また、実際に内覧する際には、家具のレイアウトをイメージしながら各部屋の広さや形を確認しましょう。採光や通風なども重要なポイントです。
構造・築年数について
中古住宅や中古マンションは、新築物件ではないため、どうしても「築年数が経っていて古いのでは?」、「昔の構造で安心して暮らせるのかな?」「以前建てた物件だから住みにくいのでは?」と思っている方も多いのではないでしょうか。
中古マンションの場合
中古マンションを検討する際、特に重要なのが耐震性能です。1981年(昭和56年)6月1日の建築基準法改正を境に、それ以前は「旧耐震基準」、それ以降は「新耐震基準」と呼ばれています。新耐震基準は震度6強から7程度の地震に対しても倒壊・崩壊しない構造を求めており、より高い安全性が確保されています。旧耐震基準のマンションを検討する場合は、耐震診断や耐震補強工事の実施状況を必ず確認しましょう。
また、一般的に中古マンションの価格は、築20年頃まで大きく下落し、築25~30年を過ぎると下落率が緩やかになる傾向があります。この特性を理解して、コストパフォーマンスの高い物件を選ぶことが可能です。また、古くても大規模修繕で設備が新しくなり資産価値が上がっている場合もあるので、耐震性やメンテナンス状況など、トータルで判断しましょう。
中古住宅の場合
中古住宅の場合、新耐震基準が2000年(平成12年)6月に施行されました。もし中古住宅を選ぶのであれば、2000年(平成12年)6月以降に建築確認申請された住宅を選ぶと良いでしょう。同様に、2000年以降は性能表示制度もスタートしているので、耐震等級で耐震構造の強さを示されている住宅もあります。
リフォームやリノベーションを行うことで、さらに補強できるので安心して暮らすことができます。また、大手ハウスメーカーの場合は、独自の工法で認定取得しているケースもあるので、中古住宅を建てた建築会社を確認することもポイントです!
不動産会社について
最後のポイントは、中古住宅や中古マンションを取り扱う不動産会社をきちんとリサーチすることです!
手軽に調べることができるのが、不動産会社のホームページ。中古住宅や中古マンションの取扱数を確認しながら、過去の取引実績などを見て確認しましょう。
また、実際に不動産会社に訪問しながら相談するのもおすすめ。親身になって相談に乗ってくれる信頼ある不動産会社なのかを、実際に目で見て話を聞いて体感することで、理想の中古住宅や中古マンションに出会うこともできます。
信頼できる不動産会社の選び方
中古マンションの購入では、良い物件を見つけるだけでなく、信頼できる不動産会社を選ぶことも非常に重要です。不動産会社は単なる物件の紹介役ではなく、購入プロセス全体をサポートするパートナーとなります。ここでは、信頼できる不動産会社を選ぶためのポイントを解説します。
1. 専門性と経験
– 中古マンションの取引実績が豊富か – 希望エリアでの取引に精通しているか – 宅地建物取引士など専門資格を持ったスタッフが在籍しているか – マンション管理士やファイナンシャルプランナーなど、関連資格を持つスタッフがいるか
2. 情報提供の質
– 物件情報を詳細かつ正確に提供しているか – 物件の良い点だけでなく、気をつけるべき点も正直に伝えてくれるか – 質問に対して具体的かつ明確な回答をしてくれるか – 関連する専門知識(税金、住宅ローン、管理組合など)についても説明してくれる
3. 対応の丁寧さ
– 初回面談で希望条件をしっかりヒアリングしてくれるか – 連絡や返信が迅速か – 土日や夜間など、自分の都合に合わせた対応をしてくれるか – 強引な営業をせず、顧客のペースを尊重してくれるか
4. 評判と信頼性
– 業界団体(全国宅地建物取引業協会、全日本不動産協会など)に加盟しているか – 創業年数や企業規模(必ずしも大手が良いわけではないが、一定の安定性は重要) – 口コミや評判(インターネットや知人からの情報) – 過去のトラブル対応や紛争解決の実績
5. サポート体制
– 購入後のアフターフォローはあるか – トラブル発生時の対応体制 – リフォームやリノベーションの提案や協力会社の紹介 – 住宅ローンや税金対策などの専門家との連携
信頼できる不動産会社を見極めるためには、複数の会社に相談して比較することをお勧めします。初回面談での印象や提案内容、対応の丁寧さなどを総合的に判断しましょう。また、特に中古マンションの購入では、物件の欠点や管理状況などの重要情報を包み隠さず伝えてくれる正直さが重要です。「良いことだけを話す会社」よりも「リスクも含めて説明してくれる会社」の方が信頼できると言えるでしょう。
物件を内検する際チェックポイント
物件を内覧する際のチェックポイントも把握しておくと良いでしょう。内覧時には、日当たり・風通し・騒音・臭い・設備の動作確認などの基本的なチェックのほか、共用部分の管理状態(エントランス、エレベーター、駐輪場、ゴミ置き場など)も確認することが重要です。できれば複数回、異なる時間帯(平日/休日、昼/夜など)に訪問し、周辺環境や音の状況を確認するのが理想的です。
内覧の際のマナーとしては、現在の居住者がいる場合は特に配慮が必要です。靴を揃える、大声で話さない、許可なく写真撮影しない、不必要に物に触れないなどの基本的なマナーを守りましょう。また、質問がある場合は、事前にリストアップしておくと効率的です。
まとめ
いかがでしたか?最近注目されている中古住宅や中古マンションですが、購入前には自分や家族がどんな暮らしをしたいのかイメージを膨らませることが大切です。
求める理想と条件を整理し、自分たちでのリサーチと併せて、住宅のプロ(不動産会社や住宅会社)に相談すると、より詳しく中古住宅や中古マンションの購入のコツを教えてくれます。
いざ物件を探し始めると、良い物件が多く出てきて決め切れないこともあると思います。そんなときは、購入前に準備した求める理想と譲れない条件に立ち返り、自分たちだけのライフスタイルを実現していきましょう!
いざ物件を探し始めると、良い物件が多く出てきて決め切れないこともあると思います。そんなときは、購入前に準備した求める理想と譲れない条件に立ち返り、自分たちだけのライフスタイルを実現していきましょう!

■監修_サーラ不動産/担当者_資格:宅地建物取引士

WRITER PROFILE

つむぎ編集部
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