必ず知っておきたい!リフォームと相続税の関係性
老後に自宅のリフォームを考えたとき、「リフォームで資産価値が上がると、子が家を相続するときに相続税が高くなるのでは?」と、税金面が心配になる方も多いでしょう。
リフォームによる相続税への影響は工事内容によって変わり、相続財産とみなされるリフォームは相続税が高くなる可能性があります。
今回のコラムでは、リフォームと相続税の関係性を説明しつつ、相続税に影響するケースとしないケースを説明しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
自宅のリフォームと相続税の関係性について
相続税は、財産価値の基準である「相続税評価額」によって決まります。
建物の相続税評価額には固定資産税評価額を使いますが、3年に1度しか見直しがないので、タイミングによってはリフォームの内容が反映されていません。
つまり相続発生時にリフォームによる資産価値の変化が固定資産税評価額に反映されていたのか、いないのかで手続きが変わってきます。
その点も踏まえて、まずは自宅のリフォームと相続税の関係性や手続きについて、基本を確認していきましょう。
相続発生前にリフォームした場合
前述のように、相続税の申告には固定資産税評価額を使います。
リフォーム後に1度でも固定資産税が見直しされていれば、そのままの固定資産税評価額で相続税を申告することができます。
相続発生直前にリフォームした場合
相続直前にリフォームした場合は、固定資産税評価額に資産価値の変化が反映されていないケースがほとんどです。その場合は相続税の申告時に、リフォーム費用の加算が必要になる可能性があります。
リフォーム費用の価額は近隣住宅を参考に評価するとされていますが、実際のところ個別評価は困難なため、次の計算式が使われます。
- リフォーム費用 ー 償却費相当額 × 70%
- 償却費相当額 = リフォーム費用 × 90% × 経過年数 ÷ 耐用年数
耐用年数は住宅の耐用年数に合わせて計算するのが基本で、木造住宅ならば22年、鉄筋コンクリート造(RC造)ならば47年で計算します。
リフォーム費用の加算額は自分で計算することもできますが、所轄する税務署の窓口で質問するのが確実です。
リフォームと相続税で必要な手続き
建築確認申請が必要な大掛かりなリフォームを行った場合、固定資産税評価額に反映されていなければ、相続税の申告時にリフォーム費用を加算します。
「リフォームしたことを黙っていればバレないのでは?」と考える方も多いのですが、隠したとしても税務署には十中八九バレてしまいます。
なぜなら税務署は被相続人(亡くなった人)の預貯金の動きを確認し、さらにリフォーム会社の収益も照らし合わせているからです。
意図的にリフォームの事実を黙っていると、“過少申告重加算税”として追加で納める相続税額に対して35%もの税率が課せられます。
リフォーム費用の加算が必要な場合は、必ず申告時に手続きしてください。
ただしリフォーム費用の加算が必要なのは“相続財産とみなされるリフォームのみ”なので、建築確認申請が不要な工事などは基本的に申告は不要です。
どのような工事に申告が必要なのかは、次章で詳しく確認しましょう。
自宅をリフォームしたときに費用を加算するケース・しないケース
相続税の申告時にリフォーム費用の加算が必要なのは、“相続財産とみなされるリフォーム”のみで、“修繕とみなされるリフォーム”であれば、加算は必要ありません。
具体的にどのような工事が加算され、加算されないのはどんな工事なのかをここで確認しておきましょう。
相続財産とみなされるリフォーム
相続財産とみなされるのは、次のようなリフォームです。
- 増築工事
- 間取りの変更
- スケルトンリフォーム
床面積が増える増築工事や、間取りの変更、スケルトンリフォームなどの一般的に建築確認申請が必要な工事が相続財産とみなされます。
意外に思うかもしれませんが、自分たちのために行うバリアフリーの工事も相続財産とみなされるため、注意が必要です。
住宅の資産価値を高めるリフォームは基本的に加算対象となるので、心配な方は必ずリフォーム会社に相談のうえ、工事を検討してください。
修繕とみなされるリフォーム
修繕とみなされるのは、主に次のようなリフォームです。
- 雨漏りの修理
- 水まわり設備の交換
- 外壁、屋根の塗装
- 壁紙、床材の張り換え
- 20万円以下のリフォーム
上記のように、経年劣化または故障した部分の修理や交換、または維持するための工事は、住宅の資産価値が高まるわけではないので修繕とみなされます。
国税庁が提供している相続財産と修繕を判断するフロー図がありますので、ぜひこちらも参考にしてください。
出典:国税庁修繕費と資本的支出の区分
自宅のリフォームで注意したい支払いについて
自宅を子へと引き継ぐことが決まっている場合は、リフォーム費用を子が援助するケースも珍しくありません。
しかし年間で110万円を超える額の援助を受けると、贈与額に応じて10〜55%の贈与税が発生する可能性があるため注意が必要です。
たとえばリフォーム費用に500万円かかり、子がそのうち300万円を補助したとしたら基礎控除額を超えた190万円に対して贈与税が課せられます。
子と費用を出し合ってリフォームする場合は、相続税だけではなく贈与税にも注意しましょう。
税金について知ると「リフォームしないほうがいいでは?」と思うかもしれませんが、リフォームを対象とした次のような補助金制度もあります。
- 耐震リフォーム
- 省エネリフォーム
- バリアフリー
制度を活用すれば、払う税金よりも手元に入ってくる補助金のほうが大きくなる場合もありますので、ぜひ活用してください。
>耐震補強には補助金が出るの?耐震補強リフォームをして地震に備えよう!
>補助額は最大290万円!『住宅省エネキャンペーン2024』の申請が始まりました!
まとめ
大がかりな工事や住宅の資産価値を高めるようなリフォームは、“相続財産”とみなされるため、相続税に影響します。
とくに相続直前に工事した場合は、相続税の申告時にリフォーム費用の加算が必要になる可能性があり、申告を忘れたり隠したりすると追徴課税が発生する恐れがあります。
相続税への影響を確実に把握しておくためには、実績のあるリフォーム会社に依頼すると安心です。リビングサーラでは快適に過ごせるプランニングはもちろん、申請に必要な書類のサポートも行っております。
相談会やセミナーなども定期的に行っておりますので、自宅のリフォームをお考えの方は、お気軽にご相談ください。
■監修_リビングサーラ/施工管理担当者_資格:1級建築施工管理技士・2級建築士
WRITER PROFILE
井本 ちひろ
建築科系学科卒の住宅×金融専門ライター。
子供に「おかえり」が言える仕事を探してライターの道へ。
大学で得た経験とFP2級の知識を活かし、家づくり、水回り設備、エクステリア、火災保険、相続など、住宅にまつわる幅広い記事を中心に活動中。