リフォームで相続税対策!評価額を下げて賢く節税する方法とは?
老後に自宅のリフォームを考えたとき、「リフォームで資産価値が上がると、子が家を相続するときに相続税が高くなるのでは?」と、税金面が心配になる方も多いでしょう。
リフォームによる相続税への影響は工事内容によって変わり、相続財産とみなされるリフォームは相続税が高くなる可能性があります。
今回のコラムでは、リフォームと相続税の関係性を説明しつつ、相続税に影響するケースとしないケースを説明しますので、ぜひ参考にしてください。

目次
リフォームが相続税対策に効果的な理由とは?

なぜ自宅をリフォームすることが、結果として相続税の節税につながるのでしょうか。その理由は、相続税が計算されるときの「財産の評価方法」に秘密があります。現金のまま持っている場合と、リフォームによって建物という形に資産を変えた場合とでは、相続税の計算の元となる「評価額」に大きな差が生まれるのです。ここでは、リフォームが節税になる基本的な仕組みについて詳しく見ていきましょう。
現金を建物に変えて相続財産を圧縮する
相続税対策の基本は、資産価値を下げずに「相続税評価額」だけを下げることです。現金や預金は、例えば1,000万円あればそのまま1,000万円として評価され、課税対象になります。一方で、リフォーム工事を行って現金を建物(不動産)の一部に変えると、その評価額は大きく下がります。通常、建物の相続税評価額は「固定資産税評価額」を基準に計算されますが、これは実際の工事代金や市場価格の約60%から70%程度になることが一般的です。
| 資産の種類 | 金額(価値) | 相続税評価額 | 評価額の圧縮率 |
| 現金・預金 | 1,000万円 | 1,000万円 | 0%(そのまま) |
| リフォーム工事 | 1,000万円 | 約0円~数十万円 | ほぼ100%減(※) |
※上記は一般的な修繕リフォームの場合です。増築などを伴わないリフォームであれば、建物の固定資産税評価額自体は変わらないことが多いため、投じた現金がそのまま相続財産から消えることになり、極めて高い節税効果が期待できます。つまり、手元の現金を使ってリフォームをすることで、将来支払うはずだった相続税を減らしつつ、住まいを快適にできるという一石二鳥の効果があるのです。
家屋の固定資産税評価額は上がらない
「リフォームをして家がきれいになったら、固定資産税も上がってしまうのでは?」と心配される方もいらっしゃいますよね。しかし、キッチンやトイレの交換、壁紙の張り替え、外壁塗装といった一般的なリフォームであれば、建物の固定資産税評価額は上がらないことがほとんどです。固定資産税評価額が上がるのは、床面積が増える「増築」や、建物の主要構造部をやり直すような大規模な工事を行った場合などに限られます。
したがって、一般的なリフォームであれば、工事にかかった費用分の現金は相続財産から減りますが、建物の評価額は以前の低いまま維持されます。結果として、相続財産の総額が減少し、相続税の負担を抑えることができるのです。ただし、建築確認申請が必要になるような大規模なリノベーションを行う場合は、評価額が見直される可能性があるため、事前に施工会社や税理士に確認することをおすすめします。
自宅のリフォームと相続税の関係性について

相続税は、財産価値の基準である「相続税評価額」によって決まります。
建物の相続税評価額には固定資産税評価額を使いますが、3年に1度しか見直しがないので、タイミングによってはリフォームの内容が反映されていません。
つまり相続発生時にリフォームによる資産価値の変化が固定資産税評価額に反映されていたのか、いないのかで手続きが変わってきます。
その点も踏まえて、まずは自宅のリフォームと相続税の関係性や手続きについて、基本を確認していきましょう。
相続発生前にリフォームした場合
前述のように、相続税の申告には固定資産税評価額を使います。
リフォーム後に1度しか固定資産税が見直しされていれば、そのままの固定資産税評価額で相続税を申告することができます。
相続発生直前にリフォームした場合
相続直前にリフォームした場合は、固定資産税評価額に資産価値の変化が反映されていないケースがほとんどです。その場合は相続税の申告時に、リフォーム費用の加算が必要になる可能性があります。
リフォーム費用の価額は近隣住宅を参考に評価するとされていますが、実際のところ個別評価は困難なため、次の計算式が使われます。
リフォーム費用 ー 償却費相当額 × 70%
償却費相当額 = リフォーム費用 × 90% × 経過年数 ÷ 耐用年数
耐用年数は住宅の耐用年数に合わせて計算するのが基本で、木造住宅ならば22年、鉄筋コンクリート造(RC造)ならば47年で計算します。
リフォーム費用の加算額は自分で計算することもできますが、所轄する税務署の窓口で質問するのが確実です。
リフォームと相続税で必要な手続き
建築確認申請が必要な大掛かりなリフォームを行った場合、固定資産税評価額に反映されていなければ、相続税の申告時にリフォーム費用を加算します。
「リフォームしたことを黙っていれば発覚しないないのでは?」と考える方も多いのですが、隠したとしても税務署には十中八九発覚してしまいます。
なぜなら税務署は被相続人(亡くなった人)の預貯金の動きを確認し、さらにリフォーム会社の収益も照らし合わせているからです。
意図的にリフォームの事実を黙っていると、“過少申告重加算税”として追加で納める相続税額に対して35%もの税率が課せられます。
リフォーム費用の加算が必要な場合は、必ず申告時に手続きしてください。
ただしリフォーム費用の加算が必要なのは“相続財産とみなされるリフォームのみ”なので、建築確認申請が不要な工事などは基本的に申告は不要です。
どのような工事に申告が必要なのかは、次章で詳しく確認しましょう。
リフォームで相続税対策をする際の注意点は?

進め方を間違えると「節税になるはずが、逆にお金がかかってしまった」という事態になりかねません。相続税対策としてリフォームを行う際に、必ず押さえておくべき重要な注意点を見ていきましょう。
リフォーム資金は建物の所有者が支払う
最も基本的かつ重要なルールは、「リフォーム費用は、その建物の所有者(名義人)が支払う」ということです。例えば、実家の名義が父親であるにもかかわらず、同居する子供がリフォーム費用を負担してしまうと、税務上は「子供から父親への贈与」とみなされ、父親に贈与税がかかってしまう可能性があります。
また、父親の相続財産を減らすことが目的なのですから、父親自身の現金を使って支払わなければ意味がありません。子供が費用を出してしまっては、父親の現金は減らず、相続税対策としての効果が得られないのです。もし子供が資金を出したい場合は、先ほど触れたようにリフォーム前に建物の名義の一部を子供に移転する、あるいは親子で金銭消費貸借契約(借金の契約)を結ぶなど、法的に適切な処理を行う必要があります。
工事完了と支払いは相続発生前に済ませる
リフォームによる節税効果を得るためには、原則として「相続が発生する前(親が亡くなる前)」に工事が完了し、代金の支払いが済んでいることが望ましいです。もし、工事の途中で相続が発生してしまった場合、支払った手付金などは「前渡金」や「建設仮勘定」といった債権として扱われ、現金のまま持っているのと同様に評価されてしまうリスクがあります。
また、工事が終わっていても代金が未払い(債務)の状態だと、リフォーム後のきれいな家(価値が上がったとはみなされない固定資産税評価額)と、リフォーム代金の未払い債務が相殺されることになりますが、税務署の判断によっては工事代金相当額(価格)で建物が評価されるケースも考えられます。確実な節税効果を狙うなら、余裕を持ったスケジュールで計画し、親が元気なうちに工事と支払いを完了させておくことが鉄則です。
大規模な増築は評価額が上がるリスク
記事の冒頭で「一般的なリフォームなら評価額は上がらない」とお伝えしましたが、建物の床面積が増える「増築」や、骨組みだけを残して作り直すような大規模なリノベーションを行う場合は注意が必要です。こうした工事を行うと、役所の家屋調査が入り、固定資産税評価額が再計算されて高くなる可能性があります。
| 工事の種類 | 固定資産税評価額への影響 | 相続税評価への影響 |
| 内装・設備交換 | 基本的に変わらない | 評価額は低いまま(節税効果大) |
| 増築・大規模改修 | 上がる可能性が高い | 評価額が上がり、節税効果が薄れる |
評価額が上がってしまうと、せっかく現金を減らしても、その分建物の評価額が増えてしまい、トータルの相続財産圧縮効果が薄れてしまいます。
また、毎年の固定資産税の負担も増えてしまいます。大規模な工事を検討する際は、施工会社に「この工事で固定資産税評価額が変わるか」を事前に確認し、シミュレーションをしておくことが大切です。
相続税対策にならない失敗ケースとは?
最後に、よかれと思ってやったことが裏目に出てしまう、よくある失敗ケースをご紹介します。これらの落とし穴を避けることで、確実な相続税対策を実現しましょう。
親名義の家を子供の資金で直す
先ほどの注意点でも触れましたが、このケースは非常に多くのトラブルを招きます。「親にお金を使わせるのは忍びないから」という親孝行の気持ちで子供が費用を出すことがありますが、税務署から見ればそれは「親への利益供与(贈与)」です。建物の価値(利益)が親に帰属する以上、親に贈与税が課税されるリスクがあります。
これを避けるためには、リフォーム費用を出した割合に応じて、建物の持分(名義)を子供に移す登記を行う必要があります。しかし、登記には登録免許税や司法書士への報酬などの費用がかかりますし、手続きも手間がかかります。基本的には「親の家は親のお金で直す」のが、最もシンプルで確実な相続税対策となります。
二世帯住宅を区分登記にしてしまう
二世帯住宅を建てる際、1階を親名義、2階を子名義といったように、場所ごとに完全に所有権を分ける「区分登記」をしてしまうことがあります。しかし、区分登記をしてしまうと、小規模宅地等の特例が使えなくなる可能性が極めて高くなります。この特例の適用要件において、区分所有建物登記がされている場合は「同居」とはみなされないというルールがあるためです。
特例を活用して土地の評価額を80%減額したいのであれば、建物全体を親子で共有する「共有登記」にするか、あるいは親単独の名義にしておく必要があります。「登記の仕方ひとつで数百万円も税金が変わってしまった」と後悔しないよう、二世帯住宅へのリフォームや建て替えを行う際は、必ず登記の方法について税理士に相談してください。
まとめ

大がかりな工事や住宅の資産価値を高めるようなリフォームは、“相続財産”とみなされるため、相続税に影響します。
とくに相続直前に工事した場合は、相続税の申告時にリフォーム費用の加算が必要になる可能性があり、申告を忘れたり隠したりすると追徴課税が発生する恐れがあります。
相続税への影響を確実に把握しておくためには、実績のあるリフォーム会社に依頼すると安心です。リビングサーラでは快適に過ごせるプランニングはもちろん、申請に必要な書類のサポートも行っております。
相談会やセミナーなども定期的に行っておりますので、自宅のリフォームをお考えの方は、お気軽にご相談ください。

■監修_リビングサーラ/施工管理担当者_資格:1級建築施工管理技士・2級建築士