【早めに修理を!】雨樋が壊れた!修理すべき?壊れる原因や費用相場について建築士が解説
「雨の日に外に出たら、雨樋から水が漏れていた」「台風の翌日に雨樋の割れに気づいた」といった方向けに雨樋の修理について解説します。雨樋くらいなら放置しても大丈夫と考えている方もいるでしょう。しかし、雨樋は建物を守る重要な役割をになっています。放置しているとさまざまなトラブルに見舞われる可能性があるのです。
そこで、この記事では建築士の視点から、雨樋の重要性や修理のタイミング、費用相場までを詳しく解説します。費用を抑えて雨樋修理を行うコツも紹介するので、ぜひ最後までお読みください。
目次
壊れた雨樋を放置しても大丈夫?
「壊れた雨樋を放置しても大丈夫?」という問いの答えは「No」です。実は雨樋は建物を守る重要な役割をになっています。
雨水を適切に排水し、快適な住環境を維持するのが雨樋の役割です。破損した雨樋を放置すると、うまく雨水が処理されず、外壁の汚れや劣化につながります。うまく処理されない雨水が屋根を伝って建物内に侵入し雨漏りにつながる可能性もゼロではありません。このように雨樋の破損は深刻な住宅トラブルを引き起こすことがあるのです。
また、雨水が直接落下することで発生する騒音や泥はねは、近隣関係にも影響を及ぼすことがあります。
以上のことから壊れた雨樋は早めの修理をおすすめします。
雨樋はなぜこわれる?おもな4つの原因を解説
雨樋の破損には、主に自然環境による要因と、使用による経年変化が関係しています。具体的には以下の要因が挙げられ、これらが複合的に作用することで破損が進行していきます。
・自然災害 ・経年劣化 ・ゴミの詰まり ・温度変化 |
それぞれの原因について、詳しく見ていきましょう。
自然災害
台風や積雪などの自然災害は、雨樋にダメージを与えます。自然災害による被害の具体例は以下の通りです。
自然災害 | 被害の種類 | 詳細 |
強風・台風 | 歪み | 雨樋本体が歪む |
継ぎ目の外れ | 雨樋の継ぎ目が外れる | |
穴あき | 飛散物が直撃して穴が開く | |
積雪 | 支持金具の変形 | 雪の重み(1mの積雪で1トンの重さ)で支持金具が徐々に変形 |
破損 | 屋根からの落雪が雨樋に衝突して破損 | |
ひょう | へこみ | 雨樋の表面にへこみが発生 |
亀裂 | 雨樋の表面に亀裂が発生 |
このように、自然災害はさまざまな形で雨樋にダメージを与えます。
経年劣化
劣化の主な原因は紫外線です。太陽光に含まれる紫外線により、樹脂の分子構造が徐々に変化していきます。その結果、最初は光沢があった表面が白っぽく変色したり、樹脂自体が硬くなって柔軟性を失ったりするのです。このような状態になると、小さな衝撃でもヒビが入りやすくなってしまいます。
また、雨樋の接合部や支持金具などの金属部分は、雨水に触れ続けることで徐々に錆びていきます。とくに落ち葉や土埃が溜まった状態で雨水が長時間滞留すると、常に水に触れた状態が続くので、金属の腐食が加速される傾向にあるでしょう。
ゴミの詰まり
落ち葉や小枝、砂などの堆積物は、雨水の流れを妨げる大きな要因です。排水が滞ることで雨樋内に水が溜まり、雨水やゴミの重みで変形や破損を引き起こします。また、冬季には溜まった水が凍結し、膨張することで雨樋を破損させる可能性もあります。
温度変化
気温の変化による素材の膨張と収縮は、雨樋の接合部に負担をかけます。とくに夏季の高温時と冬季の低温時では、素材の伸縮率が大きく異なり、これが繰り返されることで接合部の緩みや破損につながります。場合によっては雨樋を支えている金具が外れてしまい、適切に雨水が処理できなくなるケースも考えられるでしょう。
雨樋を修理するタイミング
「雨樋が壊れる原因はわかったけど、修理やメンテナンスのタイミングは目安があるの?」と感じた方もいるでしょう。
そこで、ここからは雨樋修理のタイミングについて解説します。
一般的な耐用年数は約20年とされていますが、使用環境や気候条件によって大きく異なることがあります。とくに注意が必要なのは、雨樋の変形や破損が見られる場合、継ぎ目からの水漏れが発生している場合、そして支持金具が緩んでいる場合です。これらの症状が確認されたら、早めの修理を検討しましょう。
雨樋修理の費用相場
雨樋の修理費用は、破損の程度や修理範囲によって大きく異なってきます。部分的な修理の場合、1か所あたり3〜5万円程度が目安です。一方、全面的な交換が必要な場合は、戸建て住宅で20〜60万円程度の費用が発生することがあります。
また、2階建ての屋根部の雨樋など、高所作業になる場合は、足場の設置が必要です。足場設置費用で少なくとも10万円から20万円程度の費用が必要になるでしょう。
修理方法や使用する材料によっても費用は変動しますので、修理を依頼する場合は複数の業者から見積もりを取ることをお勧めします。
雨樋の修理方法とは?自分でできる?
雨樋のメンテナンスは大きく分けて以下の2か所に分かれます。
・軒樋 ・たて樋 |
軒樋とは屋根の軒先から流れてきた雨水を受けるための樋で建物に対して水平についています。
対してたて樋は名前の通り、縦方向につく樋です。軒樋が受けた雨水を地上までおろす役割があります。
それぞれのメンテナンス内容を表にまとめました。
部位 | メンテナンス内容 |
たて樋 | 目視点検(変形、亀裂、漏水の確認) |
清掃(落ち葉やゴミの除去) | |
固定金具の点検・締め直し | |
軒樋 | 目視点検(変形、亀裂、漏水の確認) |
清掃(落ち葉やゴミの除去) | |
勾配の確認・調整 | |
共通 | 塗装 |
劣化部の交換・補修 |
雨樋のメンテナンスを自分でできるかというと、あまりお勧めできません。理由はメンテナンス内容の多くが高所作業になり、作業に危険が伴うためです。
理想的なメンテナンスの周期は年に1回程度清掃を行い、各部の点検を行う形ですが、費用の都合でなかなか難しいと思われます。ですので年に1回程度ご自身で雨樋の目視チェックを実施し、不具合や気になる点を見つけたら、専門業者へ相談する流れが一番おすすめです。
もし自分で補修を行う際は、安全に考慮し、たて樋の地上付近の補修や支持金具の固定程度にとどめておきましょう。
雨樋修理の費用を抑える方法
雨樋の修理費用を効果的に抑えるためには、適切な方法の選択が重要です。以下の二つの方法を活用することで、修理費用を大幅に削減できる可能性があります。
・火災保険の利用 ・外壁塗装と一緒に修理 |
それぞれの内容について解説していきます。
火災保険の利用
台風や強風、雪の重みなどの自然災害による雨樋の破損は、火災保険の補償対象となることが多くあります。保険を活用することで、修理費用の負担を大きく軽減できる可能性があります。保険申請の際は、破損状況の写真撮影や修理見積書の準備が必要です。
不備があると手続きに遅れが生じたり、保険金が降りなかったりするケースもあります。また経年劣化による損傷は保険対象外のため、破損原因の見極めが重要です。
そのため火災保険を利用した修理の場合は、保険適用の修理実績がある専門業者へ依頼するのが安心です。
外壁塗装と一緒に修理
雨樋の修理を外壁塗装工事と同時に行うことで、足場代などの共通費用が節約できます。とくに2階建て以上の住宅では、足場の設置費用が10万円以上かかることもあるため、同時施工によるコスト削減効果は大きくなります。
また、外壁工事の際に雨樋周りも綿密に点検できるため、潜在的な問題も早期発見が可能です。計画的な修繕により、長期的な維持管理コストの削減にもつながります。
まとめ
雨樋は、建物を雨水から守る重要な役割を果たしています。破損や劣化を放置すると、建物全体に深刻な影響を及ぼす可能性があるため、定期的な点検と適切なメンテナンスが欠かせません。修理が必要な場合は、火災保険が適用できるかどうかを確認し、外壁塗装などの工事と合わせて行うことで、効率的に修理費用が抑えられます。
サーラリフォームでは、火災保険を利用した修理の実績が豊富にあり、専門的な知識と経験を活かした適切な施工を提供しています。建物を長く快適に保つため、雨樋のメンテナンスを大切にしましょう。
■監修_サーラエナジー/エネルギー事業、暮らし事業担当者
WRITER PROFILE
望月尚文
不動産関係に特化したWebライター。
不動産業歴10年以上。一級建築施工管理技士、二級建築士、宅地建物取引士の資格を保有。
業界での経験と不動産に関わる専門資格を活かし、不動産取引や家づくりのノウハウを一般の方にわかりやすく解説します。