火災保険の「破損・汚損」は本当に必要?補償されない例や補償額を紹介
火災保険の「破損・汚損」は必要なのか?と迷われる方も多い破損・汚損。保険料節約のためにもなるべく必要最低限の補償にしたいところです。今回は火災保険の補償の1つである「破損・汚損」について解説します。
火災保険の補償範囲は火災だけでなく、風災、水ぬれ、水災、盗難、破損・汚損など多岐にわたります。気候変動の影響により気象災害は激甚化・頻発化し、大規模地震などの発生も切迫しておりますが、住まいを取り巻くリスクは自然災害だけではありません。住まいの中にも気を付けていても防ぎようのないようなリスクが存在します。
破損・汚損って何?
そもそも、破損・汚損とは、不測かつ突発的な事故をいいます。
※火災、風災、水ぬれ、盗難等の事故または台風、暴風雨、豪雨等による洪水・融雪洪水・高潮・土砂崩れ・落石等によって損害を被る事故を除きます。
不測かつ突発的な事故(破損・汚損)とは、予測不可能な事故(繰り返し同内容の事故が発生する場合を除く)で、事故の原因や事故日がはっきりしている事故です。
補償の対象は「建物」「家財」となりますが、破損・汚損の例として以下のような事故を補償することができます。
建物の破損・汚損の例
「自動車が飛び込んできて、建物が壊れてしまった」
「模様替えをしようとしたときに家具をぶつけてドアを壊してしまった」
家財の破損・汚損の例
掃除中に保険の対象となる液晶テレビをテレビ台から誤って落としてしまった」
「掃除中に食器棚にぶつかり食器が割れてしまった」
「建物」のみというプランでご契約いただいている場合は、家具、家電などの家財の破損・汚損は補償することができませんので、「建物」「家財」両方のプランでご契約することをおすすめします。
破損・汚損の補償は必要か?
火災保険の破損汚損の補償は、自然災害ほどイメージがわかないので必要ないと考える人も多いです。自然災害とは異なり、日常生活で発生するケースが大半なので、補償対象になることに気がついていないこともあります。ちょっとしたアクシデントだと思っていても、修理をしようとすると数十万円の損害になることもあります。
以下の3点に当てはまる方には破損・汚損の補償を付けることをおすすめします。
暮らしの中に当てはまる心配事はありますか?
- お子さんがいる家庭
- 不注意・うっかりでモノを壊したりすることが多いと感じる人
- 高額な家具・家電を所有している人
・お子さんがいる家庭
小さなお子さんがいるご家庭では、意図せずお子さんがモノを壊してしまったり、汚損してしまうことがあるかもしれません。逆にお子さんも独立し、夫婦2人で暮らしていたり、すでに築年数が経っており多少の傷などは気にしないという場合は、加入を考え直しても良いかもしれません。
・不注意・うっかりでモノを壊したりすることが多いと感じる人
家具を運んでいたら誤って壁に穴をあけてしまった、重たいモノを落としてフローリングが損傷してしまったなど、うっかりミスをしてしまうことがあると感じる方に破損・汚損を付けておくと安心です。
・高額な家具・家電を所有している人
高価な家財を多く所有している人は、その分破損・汚損時のリスクも高くなります。例えば、高額な家具を一式購入した人や、親から受け継いだ高価な貴金属や骨とう品、帳簿等が複数ある人など、万が一対象物が破損してしまった際の被害が大きい場合には、家財に破損・汚損の補償を付けておくと安心です。
保険金支払い実績からわかる、破損・汚損の必要性とは
三井住友海上の「GK すまいの保険」の2018年度~2020年度支払実績に基づいた数値によると、破損・汚損のお支払い件数の割合は、風災被害の次に多いという実績です。
風災・雹災・雪災 55.7%
破損・汚損等 30.7%
火災・落雷・爆発 4%
その他(水ぬれ、盗難、水災) 9.6%
自然災害や火災に比べて、破損・汚損は日常生活の“うっかり”で発生するため、私たちにもっとも身近にある事故とも言えます。
参照:三井住友海上「GK すまいの保険」の2018年度~2020年度支払実績に基づいた数値
保険金がお支払いできない事例
下記のいずれかに該当する損害については、保険金でお支払いができません。
経年劣化が原因の場合
- 保険対象の自然の消耗、劣化、性質による変色、さび、かび、腐敗、ひび割れ、はがれ、発酵などにより発生した損害
- ねずみ食い、虫食いによる損害
これらの経年劣化、経年変化による損害は、不測かつ突発的事故に当てはまらないため、保険適用外となります。
敷地外での事故
建物が所在する敷地外にある家財に発生した事故による損害は火災保険の対象外です。
※ただし自宅外家財に発生した損害を補償する特約等を付帯することもご選択いただけます。
故意または重大な過失による損害
故意または重大な過失による損害は不測かつ突発的事故に該当しません。
見た目のみの損傷
通常発生し得るすり傷、塗料のはがれ落ち、ゆがみ、たわみ、へこみ、その他外観上の損傷または汚染であって、保険対象の機能の喪失または低下を伴わない損害は該当しません。
その他の場合
また、以下のような家財は破損・汚損で保証対象外となります。
- 電気的・機械的事故によって発生した損害
- 電球・ブラウン管等の管球類に生じた損害
- メガネ・コンタクトレンズ・義歯・補聴器などこれらに準ずるものに生じた損害
- 船舶・ラジコン・スマートフォン(携帯通信機器、付属品)・タブレット等の通信機器に生じた損害
- 動物・植物に生じた損害
※対象となる家財の範囲は保険会社によって違いがあるので契約の際にご確認ください。ご加入の保険会社によって対象外の範囲が異なる場合がございます。詳しくはご加入の保険会社への確認またはサーラ保険までご相談ください。
保険金受け取りまでの流れ
保険の対象となる建物・家財に不測かつ突発的な事故があった場合の、発生から保険金受取までの流れをご紹介します。
写真を撮影
不測かつ突発的な事故が発生した場合、事故の状態、状況がわかる写真を撮影してください保険金請求をする際に保険会社に提出します。状況が分かる撮影をお願いします。
事故の状況をメモ
いつ、どこで、だれが、どのように起こしたという事故状況についても保険会社に伝えることになります。事故状況を忘れないようにメモしてください。
修理業者に見積の依頼
建物の破損・汚損による修理やリフォーム工事はサーラグループ(サーラ住宅、サーラハウスサポート、リビングサーラ、サーラE&L各社等)で対応をすることができます。サーラグループ各社またサーラ保険までご相談ください。
保険代理店またはご加入の保険会社へ連絡
サーラ保険またはご加入の保険会社までご連絡ください。
事故状況の確認、申請書類の準備を専門の部署がお手伝いさせていただきます。
よくある質問
ペットによる破損や汚損
ペットを飼っていることによって生じた破損や汚損、例えば猫が壁で爪とぎをして壁紙がボロボロになってしまったなどの事故は火災保険の破損・汚損の対象とはなりません。破損・汚損はあくまでも不測かつ突発的な事故をいいます。
破損汚損補償を受けたら支払う保険料が高くなるのか
「破損汚損補償を使用すると翌年の保険料に影響が出るのではないか?」と心配されている方もいるかもしれません。自動車保険には「等級」制度があることにより、保険を使うことによって等級が下がり、翌年の保険料が上がるという仕組みとなっていますが、火災保険には「等級」が存在しません。
破損汚損補償を一度使ったからといって保険料が上がるというわけではないのでご安心ください。
申請で用意するもの
以下3点が主な必要書類です。保険金請求書には事故の状況を記載することになるため、事故日や事故状況は忘れずに記録しておいてください。
- 損傷の分かる写真
- 修理見積
- 保険金請求書
最後に
破損・汚損は「子どもが家の中でボール遊びをしていて自宅のガラスを割ってしまった」「掃除をしている時に誤って保険の対象となるテレビを倒して壊してしまった」など、家庭内で身近に発生する事故です。ちょっとした事故の修理費用が思ったよりも高額だったなんてこともあります。暮らしの中での心配を減らすためにも、火災保険の「破損・汚損」は必要だと考えられます。
新たに火災保険に加入するタイミングの方はぜひ破損・汚損の付帯をご検討ください。「すでに火災保険には加入されているが、破損・汚損が付帯しているのか分からない」などご相談がございましたらサーラ保険までお気軽にお問い合わせください。
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つむぎ編集部
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