知っておくべき!年末調整の保険料控除を解説!

知っておくべき!年末調整の保険料控除を解説!

毎年年末が近づくと、勤務先から年末調整の記入と提出を求められます。年末調整のなかでも生命保険料控除は、保険に加入している給与所得者にとってとても大切な手続きです。よく分からないからと手続きを怠ると、節税のチャンスを逃してしまうかもしれません。

かしこく節税するためにも、年末調整や生命保険料控除について理解し、自分の生命保険料がどれだけ控除されるのかを把握しておきましょう。

今回は、年末調整における生命保険料控除について、わかりやすく解説します。

生命保険料控除とは?

生命保険料控除とは、所得税や住民税を計算するときに、課税の公平性を図るために所得から一定の金額が差し引かれる制度のことです。

つまり、払い込んだ生命保険料に応じて、所得税や住民税が軽減されるしくみです。基本的には年末調整のときに手続きをおこないます。詳しく解説していきましょう。

年末調整とは?

会社員や公務員など給与所得者の方は、年末調整という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。年末調整とは、簡単にいうと「正しい税額を納付する計算をする」こと。つまり、所得税の過不足金を調整するための手続きなのです。

会社が従業員の給与から所得税を徴収することを「源泉徴収」と言いますが、年末調整では、実際に徴収した源泉徴収額と、本来の所得税額を比較して調整します。

年末調整における生命保険料控除は節税になる

生命保険料控除の申請は、勤務先から配布される「給与所得者の保険料控除申告書」に記入して提出します。控除により課税対象となる所得が減り、所得税や住民税を軽減することができます。

面倒だからといって適当に年末調整を行うと、損をする可能性があります。毎年年末が近づくと各保険会社から「生命保険料控除証明書」が届きます。この証明書が生命保険料控除に必要となりますので、年末調整までしっかり保管しておきましょう。

生命保険料控除の種類について

生命保険料控除の対象となる保険は、以下の3つが挙げられます。

・一般生命保険

・介護医療保険

・個人年金保険

一般生命保険とは、生存または死亡に基因し一定額の保険金、その他給付金に係る保険料のこと。介護医療保険は、入院・通院などにともなう給付部分に係る保険料。そして個人年金保険は、個人年金保険料税制適格特約を付加した個人年金保険に係る保険料です。

これら保険料の支払いで控除される金額には上限が設定されています。

また、2010年に行われた税制改正により生命保険料控除制度は改正されました。これにより、2011年12月31日までに契約した生命保険は旧生命保険料控除が適用され、2012年1月1日以降に結んだ契約は、新制度となります。新制度と旧制度では、控除の上限額が異なります。加入している保険がいつ加入した保険なのか、確認して計算をしましょう。

新旧別・控除区分ごとにまとめた表は以下のとおりです。

控除額表

年末調整で生命保険料控除を受ける方法

それでは、保険料控除のために具体的に年末調整でどのような手続きを行えばよいのでしょうか。

「給与所得者の保険料控除申告書」に記入する

給与所得者の保険料控除申告書

会社員や公務員の方は、10月〜12月の間に、勤務先から年末調整の書類提出を求められます。その中の、給与所得者の保険料控除申告書に記入し提出することで、保険料控除を受けることができます。

申告書の中でも、左側「生命保険料控除」の欄が記入すべき項目です。「一般の生命保険」「介護医療保険」「個人年金保険」に分かれているので、記入しましょう。

記入するところが多いので一見難しそうに見えますが、基本保険会社から送られてきた生命保険料控除証明書を参照しながら記入すればスムーズに書けるでしょう。

「生命保険料控除証明書」を提出する

申告書の記入・提出には、保険会社から送付される生命保険料控除証明書が必須となります。

毎年10月〜11月にかけて自宅に送られてくるので、無くさないように保管しておきます。

「給与所得者の保険料控除申告書」を会社に提出する

申告書が不備なく記入できたかを確認し、会社の定める期限までに提出しましょう。期限に遅れると年末調整に間に合わなくなります。

もし申告書の記入欄が足りず保険料が書ききれない場合は会社に相談し、2枚目の申告書をもらうなどで対処します。ただし、すでに記入してある保険料が控除限度額に届いている場合は、すべての保険を書く必要はありません。

年末調整で生命保険料控除を受けるときの注意点

正しく年末調整で生命保険料控除を受けるために、意識しておきたい注意点やよくある質問をまとめました。

よくある質問

生命保険料控除の対象外となる保険もある

生命保険料控除は、すべての保険が対象なわけではありません。例えば、傷害保険・旅行保険・自動車保険・賠償責任保険などは、生命保険ではないため対象外となります。(損害保険でも、疾病による入院費用や介護費用を担保する第三分野商品は対象になります)

保険料控除の対象であれば必ず保険会社から保険料控除証明書が届くので、それで確認ができます。

なお、火災保険に付帯した地震保険に関しては「地震保険料控除」を受けることができます。地震保険に加入している方はこちらも忘れず申告しましょう。

年末調整で生命保険料控除の申告を忘れてしまった場合は?

会社の定めた年末調整の提出期限を過ぎてしまい、生命保険料控除の申告を忘れてしまった場合は、自分で確定申告をすることで申告することができます。

確定申告は基本的に3月15日までですので、その日にちに間に合えば大丈夫です。もしその年の申告に間に合わなくても、確定申告自体は5年間猶予があります。つまり、年末調整で保険料控除の申告を忘れても5年間は申告ができます。

年末調整までに生命保険料控除証明書を紛失した場合は?

毎年10月〜11月頃、保険会社から送られてくる生命保険料控除証明書。いくつもの保険会社から送られてくると、紛失してしまうことも……。しかし心配はいりません。ほとんどの保険会社は再発行をしてくれますので、まずは問い合わせてみましょう。

しかし年末調整の期限は決められています。前述の通り確定申告でも保険料控除申告はできますが、スムーズに控除申請を進めるためにも紛失に気づいたらすみやかに再発行の手続きを行いましょう。

転職した場合の年末調整の注意点は?

1年の間に新しい会社に転職した場合、前職での給与と合算して年末調整をする必要があります。そのためには、前職から受け取った源泉徴収票を今の会社に提出してから年末調整を行います。

もし、前職の源泉徴収票の発行が年末調整に間に合わなかった場合は、今の会社に相談した上で確定申告を行う準備をはじめましょう。

年末調整で申告できる生命保険料以外の控除は?

年末調整では生命保険料控除以外にも、社会保険料控除・地震保険料控除・小規模企業共済等掛金控除があります。

いずれも適応する場合は税金が控除されますので申告しておきましょう。

年末調整では漏れのないように生命保険料控除を申告しよう

年末調整は、その年の給与や賞与から源泉徴収された所得税を精算する、大切な手続きです。

生命保険の契約時期や種類によって控除額が異なるため難しく感じるかもしれませんが、上手に活用することで大きな節税効果が得られます。スムーズに手続きを進めるためにも、事前に知識を身に付けておきましょう。

■監修_サーラフィナンシャルサービス/担当者_資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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WRITER PROFILE

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mamhive 芝田ありさ

ライター歴15年。グローバルな視野と高いリサーチ能力、幅広い業界知識を併せ持つ行動派ライターとして、IT・住宅・金融・保険・教育を中心にライティングや取材を行う。得意のIT知識を活かしてホームページ制作も請け負っている。
女性ライターチーム「mamhive(マムハイブ)」に所属。

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