雪災は火災保険で補償される?請求の流れや注意点をチェック!
雪によって建物や家財が損害を受けたときには、火災保険の補償対象になる可能性があります。2014年(平成26年)の大雪では、住宅の一部やカーポートの破損の被害が多くありましたが、多くのケースで火災保険が適用されました。
大雪はいつ降るかわかりません。
これから訪れる冬に備えて、雪災の補償対象や請求の流れ、注意点などを頭に入れておきましょう。
目次
雪災は火災保険の補償対象!
冒頭でもお伝えしたように、雪が原因で建物や家財が損害を受けたときには『雪災』にあたり、火災保険の補償対象になる可能性があります。
実際に関東圏で起こった2014年(平成26年)2月の記録的な大雪では、火災保険の支払い保険金額が2,500億円を超え、過去最大の支払いとなりました。
しかし雪災に火災保険が使えるとは知らず、実費で修理してしまった方も一定数いるでしょう。火災保険は自動車保険のように保険金を請求しても保険料が上がる心配がないため、いざというときに使わなければもったいないです。
どのような損害を受けたときに雪災になるのかは、次章で説明します。
火災保険の雪災で補償されるケース・補償されないケース
残念ながら雪による損害は、すべてが火災保険の対象になるわけではありません。
補償されるケースとされないケースを、以下に見ていきましょう。
補償されるケース
雪による損害で火災保険の対象となるのは、主に次のような損害です。
- 雪の重みで屋根が変形した
- 屋根に積もった雪の重みで雨どいが壊れた、または歪んだ
- 雪の重みでカーポートが壊れた
- 雪崩で住宅が破損した
- 雪崩によって住宅内に雪が入り、家財が損害を受けた
上記を見てわかるように、雪による損害の多くは火災保険で補償されます。
ただし火災保険は加入時に補償対象を『建物』『家財』『建物と家財』のいずれかで決めており、補償が受けられるのは対象物のみです。
建物 | 家財 |
・家屋(備え付けの設備を含む) ・門、塀、垣 ・物置、車庫、カーポート | ・家具 ・家電 ・生活用品 ・自転車など |
たとえば対象を『建物のみ』にしていた場合は、雪崩によって住宅内に雪が入り家財が壊れても、家財に対する補償は受けられません。保険金を請求する前に、保険証券や保険会社のマイページなどで対象物を確認してみてください。
補償されないケース
一方で次のような損害は、火災保険の対象外になる可能性が高いです。
- 経年劣化が原因と考えられる損害
- 被害を防ぐためにかかった費用
- 免責金額以下の損害
雪が決定打となって損害を受けたとしても、経年劣化による要因が大きいと判断されれば火災保険は適用されません。雪が降る前から屋根材が破損していたり、耐用年数を大きく超えていたりする場合は、火災保険での修理は難しいでしょう。
しかし経年劣化か雪の災害(もしくは雪災、雪)による損害かを判断するのは保険会社なので、まずは代理店や保険会社の窓口で相談してみてください。
また被害を防ぐためにかかった費用も、火災保険の対象外です。雪おろしや事前のリフォームにかかった費用を請求することはできません。
そして火災保険加入時に決めた免責金額以下の損害も、補償対象外です。
免責金額は0円、1万円、3万円、5万円、10万円などいくつか選択肢があり、たとえば免責金額が10万円ならば、10万円以下の損害額だと保険金は支払われません。
請求前に、自分がどの免責金額を選んだのか確認しておきましょう。
雪災で保険金を請求する流れ
雪災で損害を受けたときには、次の流れで保険金を請求しましょう。
- 損害状況や状態がわかる写真を撮影しておく
- 保険会社に事故発生の連絡をする
- 修理会社等より被害修復の見積書の取付を行う
- 保険金請求書類を受け取る
- 保険金請求資料の作成、提出
- 保険金支払額の確認、承認
- 保険金の受け取り
※2022年10月以降契約では、多くの保険会社で原則・修理が終了してから保険金を支払う規定(建物復旧義務)を採用しています。
損害を受けたら、片づける前に状況や状態がわかる写真を複数角度から撮影しておきます。
事故発生の連絡をしたら請求書類が送られてくるので、必要事項を記載し、添付資料とともに返送してください。書類提出までに修理会社への修理見積の依頼・見積書の取付も必要となります。
そして書類をもとに保険金の審査が行われ、支払いが可決されると保険金支払額が提示されるので、確認して承認します。書類の不足や不備がなければ、1週間前後で保険金が支払われる流れです。
相談から保険金の支払いまではスムーズに進めば1か月程度ですが、大規模災害時の窓口の混雑や修理の規模や内容によっては時間がかかる可能性があります。
火災保険の雪災で知っておきたい注意点
最後に、雪災で知っておきたい注意点を3つ説明します。
申請期限は3年以内
雪災にかかわらず、火災保険の申請期限は“損害を受けた日から3年以内”です。
申請期限を過ぎてしまうと、たとえ補償対象であっても保険金を受け取ることはできません。逆を言えば、3年以内に受けた損害ならば火災保険で請求できる可能性があります。
もし3年以内に雪による損害を受けたのなら、保険会社の窓口に相談してみてください。
雪災による車の損害は車両保険になる
自動車は火災保険ではなく、車両保険の対象です。
雪によってカーポートが破損し、停めていた車が損害を受けたとしても火災保険で直すことはできません。
車両保険に加入していれば保険を使って修理できるかもしれませんが、自動車保険は火災保険とは違い、補償を使うと次年度の保険料が高くなります。
保険を使うべきなのかは、慎重に検討したほうがよいでしょう。
雪解け水による洪水や浸水は『水災』になる
雪そのものによる損害は雪災になりますが、雪解け水による損害は『水災』にあたります。
雪解け水が原因で床上浸水したときや、河川が氾濫して洪水被害を受けたときには水災補償を付帯していなければ補償を受けられない点に注意しましょう。
まとめ
気温の上昇によって暖冬になる年が増えてはいるものの、記録的な大雪や季節外れの雪が降る年もあるので油断はできません。とくに2024年の冬は、ラニーニャ現象の発生によって寒気が南下して、昨年よりも厳しい寒さになると予想されています。
万が一の災害に備えるためにも、火災保険の加入状況を確認し、不安や疑問があれば、更新時期でなくとも見直しをおすすめします。
サーラフィナンシャルサービスでは、火災保険の相談も承っております。災害発生時にはサーラグループのリフォーム会社と連携し、スムーズな対応が可能です。お気軽にご相談ください。
■監修_サーラフィナンシャルサービス/担当者_資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士
WRITER PROFILE
井本 ちひろ
建築科系学科卒の住宅×金融専門ライター。
子供に「おかえり」が言える仕事を探してライターの道へ。
大学で得た経験とFP2級の知識を活かし、家づくり、水回り設備、エクステリア、火災保険、相続など、住宅にまつわる幅広い記事を中心に活動中。