エコキュートが故障!火災保険は使える?対象となるケースを解説!

エコキュートとは、ガスを使わずに「電気」と「空気熱」を利用してお湯を沸かせる給湯器のことをいいます。家庭内で使用するエネルギーを全て電気でまかなう「オール電化住宅」でよく使われています。
「エコキュートが故障したら、火災保険は使えるの?」
「エコキュートの故障が火災保険の対象となる場合は?」
と、疑問に思う人もいるのではないでしょうか。
エコキュートの故障原因や火災保険の補償内容によっては、火災保険で補償をうけることができます。
本記事では、エコキュートの故障が火災保険の対象となる場合・ならない場合の事例や火災保険を使う場合の注意点について解説します。

目次
火災保険とは?

火災保険とは、火災などの災害によって住宅や家財に損害が発生したときに保険金が支払われるものです。
火災保険で補償される災害は火災だけでなく、落雷や風災、水災などさまざまな災害が対象となります。
【火災保険の補償範囲】
補償される例 | |
火災・破裂・爆発 | 失火やもらい火、ガス漏れなどによる爆発による損害 |
落雷 | 落雷による火災や電化製品の損害 |
風災・ひょう災・雪災 | 台風、雹(ひょう)、大雪などによる損害 |
水災 | 台風や大雨などによる洪水、浸水などによる損害 |
建物の外部からの衝突 | 自動車やボールなどの衝突による損害 |
水濡れ | 上階からの水濡れなどによる損害 |
盗難 | 盗難による損害 |
不測かつ突発的な事故 | 自宅で起きた突発的な事故による損害 |
※補償対象は保険会社によって異なります。
なお、地震および地震が原因で起きた津波、火災などの損害については、火災保険では補償されません。地震の損害に備えるには、地震保険に加入する必要があります。地震保険は単独では加入できず、火災保険とセットで加入しなければなりません。
参考:日本損害保険協会 – 損害保険Q&A – すまいの保険 –
エコキュートの故障が火災保険の補償対象となる場合とは?

補償内容や故障理由によって変わりますが、エコキュートの故障は火災保険で補償される場合があります。
火災保険は、住宅(建物)と住宅の中にある家具や家電などの損害を補償する保険です。このように、「建物」や「家財」といった補償の対象になるものを「保険の対象」といいます。
火災保険では、「建物のみ」「家財のみ」「建物+家財」の3パターンがあります。エコキュートは、住宅に取り付けられていることから「建物」の対象となります。そのため、建物を保険の対象としている火災保険に加入している場合、エコキュートの故障は火災保険の対象となる可能性があります。
対象となる条件
火災保険の補償範囲である火災や落雷などが原因でエコキュートが故障した場合、火災保険の補償対象となるケースがあります。
火災保険の対象となるケース | |
火災・破裂・爆発 | 火災によってエコキュートが故障した |
落雷 | 落雷による過電流でエコキュートが故障した(事例①) |
風災・ひょう災・雪災 | 台風でエコキュートが転倒して故障した |
水災 | 洪水による浸水でエコキュートが故障した |
建物の外部からの衝突 | ボールがぶつかってエコキュートが故障した(事例②) |
盗難 | エコキュートが盗難にあった |
上記のようなケースでエコキュートが故障した場合は、火災保険の対象となる可能性が高いため契約している保険会社に確認しましょう。
なお、火災保険の契約内容によっては上記のケースでも対象とならない場合があります。水災や盗難に関する補償は対象外となっていることもあるため、日頃から火災保険の契約内容を確認しておくことをおすすめします。
上記のケースの中で「落雷による故障」「ボールがぶつかったことによる故障」について、以下で詳しく説明していきます。
事例①:落雷による故障
近年、ゲリラ豪雨や激しい雷雨などの異常気象が増えており、日本で発生する雷は年間100万回にものぼるといわれています。地球温暖化などの影響によって今後も雷は増加する予測も出ていることから、落雷によってエコキュートが故障するリスクも高まっています。
前述のとおり、エコキュートは「建物」の対象となるため、建物の契約内容に応じて補償をうけられます。
免責金額が設定されている場合、その金額分は自己負担となり、残りの損害額が保険金として支払われます。たとえば、エコキュートの損害額が30万円、免責金額が10万円の場合、20万円が保険金として支払われることになります。
事例②:ボールがぶつかったことによる故障
自然災害のほかにも、子どもがエコキュートにボールをぶつけて故障するケースもあります。
ボールがぶつかったことによる故障は「建物の外部からの衝突」に当てはまるため、契約内容に含まれている場合は補償される可能性が高くなります。
また、ボール以外にも自動車の衝突や飛行機からの落下物なども「建物の外部からの衝突」に該当します。
なお、「故意にボールをぶつけた」場合は補償の対象外となるため、注意しましょう。
エコキュートの故障が火災保険の対象とならない場合とは?

火災保険は「住まいの損害に備える保険」であるため、不測かつ突発的に損害をうけたときに補償されます。そのため、エコキュートが故障したからといって必ずしも火災保険の補償をうけられるわけではありません。具体的には、以下のような原因で故障した場合には火災保険の補償の対象外となります。
・経年劣化による故障
・地震による故障
・重大な過失による故障
以下で詳しくみていきましょう。
事例①:経年劣化によるエコキュートの故障
経年劣化が原因でエコキュートが故障した場合は、補償の対象外となります。なぜなら、経年劣化は「偶然の事故や災害によって発生した損害」には当てはまらないからです。
エコキュートの耐用年数は10~15年といわれています。長く使用を続けると、部品を交換しても経年劣化によって突然故障するリスクは高くなります。
突然の故障によって生活が不便になるのは防ぎたいところです。エコキュートの取扱説明書をよく読んで、適切に使用するようにしましょう。
事例②:地震によるエコキュートの故障
前述したように、地震によってエコキュートが故障した場合は、火災保険の補償の対象ではなく地震保険の対象となります。地震によって火災が起きた場合でも、火災保険では補償されません。地震による損害に備えるためには、別途地震保険に入る必要があります。
契約内容によっても異なりますが、地震保険は一般的に「全損」「大半損」「小半損」「⼀部損」といった4段階の損害の程度に分けられます。損害の程度が「⼀部損」に至らない場合は補償の対象外となるため、地震によってエコキュートが故障しても地震保険で補償されない可能性もあります。
事例③:重大な過失によるエコキュートの故障
「誤った使い方をしてエコキュートが故障した」「エコキュートをわざと壊した」など、故意または重大な過失によってエコキュートが故障した場合も補償の対象外となります。
前述したように、火災保険は「不測かつ突発的に損害をうけたとき」に補償をうけられます。故意または重大な過失による故障は「不測かつ突発的な損害」に当てはまらないため、補償をうけることができません。
当然ですが、「わざとエコキュートを壊して補償してもらおう!」といったことはできません。
エコキュートの故障で火災保険を使う場合の注意点

ここまで紹介したように、エコキュートの故障は自然災害などによって「不測かつ突発的に損害をうけたとき」に火災保険の補償をうけられますが、経年劣化や重大な過失によって故障した場合は補償をうけることができません。
実際に火災保険を使えるかどうかは保険会社や契約内容によって異なるため、エコキュートが故障したら次の3点を確認するようにしましょう。
・エコキュートの故障原因を確認する
・メーカー保証を確認する
・火災保険の免責金額を確認する
以下で詳しく説明していきます。
エコキュートの故障原因を確認する
次のような状態になったときは、エコキュートが故障していると考えられます。まずはエコキュートの業者に連絡を取り、故障原因の調査と修理の見積もりをお願いしましょう。
・お湯が出ない
・タンクから水漏れしている
・異音がする
・エラーコードが消えない
自然災害や事故などによってエコキュートが故障した場合、火災保険の補償対象となりますが、それ以外の故障原因の場合はメーカー保証または自己負担での修理となります。
メーカー保証を確認する
エコキュートを購入すると、メーカーによる保証期間がつきます。保証期間はメーカーによって異なりますが、一般的には1~5年で設定されています。
エコキュートが故障する原因は、自然災害や突発的な事故だけでなく部品の初期不良や不具合などもあげられます。そのようなときに使えるのがメーカー保証です。メーカー保証期間内にエコキュートが故障したときは、火災保険ではなくメーカー保証が優先されます。
ただし、エコキュートの故障原因によっては、メーカーの保証期間内であっても保証の対象外となることがあります。代表的な例として、自然災害や経年劣化などがあげられます。
エコキュートが故障したら、メーカー保証期間内であるかを確認しましょう。
火災保険の免責金額を確認する
一般的に、火災保険には免責金額が設定されています。免責金額とは、損害をうけたときに自己負担する金額のことをいいます。つまり、損害額から免責金額を差し引いた金額が保険金として支払われることになります。
前述したように、エコキュートの損害額が30万円、免責金額が10万円の場合、20万円が保険金として支払われることになります。反対に、エコキュートの損害額が5万円、免責金額が10万円の場合は、保険金が支払われないということになります。
免責金額の条件等は保険会社によって異なりますが、一般的には免責金額を高く設定すると支払う保険料は安く、免責金額を低く設定すると支払う保険料は高くなります。
自然災害など、火災保険の補償対象が原因でエコキュートが故障しても、損害額が免責金額以下であれば保険金は支払われないため、注意しましょう。
まとめ
本記事では、エコキュートの故障が火災保険の対象となる場合・ならない場合の事例や火災保険を使う場合の注意点について解説しました。
エコキュートの故障が火災保険の補償対象となるのは、自然災害や事故など「不測かつ突発的に損害をうけたとき」となります。一例として、「火災によってエコキュートが故障した」「落雷による過電流でエコキュートが故障した」「ボールがぶつかってエコキュートが故障した」などがあげられます。
一方、経年劣化による故障や重大な過失によってエコキュートが故障した場合は火災保険の補償対象とはなりません。また、損害額が火災保険の免責金額以下であった場合、保険金は支払われず、自己負担となります。
サーラフィナンシャルサービスでは、住まいを自然災害や事故などのリスクに備えるための相談を承っております。
「火災保険、どうやって選んだらいいの?」「火災保険の補償範囲はどうやって決めたらいい?」など、火災保険でお悩みの方はサーラフィナンシャルサービスへお気軽にお問い合わせください。

■監修_サーラフィナンシャルサービス/担当者_資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士

WRITER PROFILE

三浦美優
CFP®認定者。
保険や金融商品を販売しない独立系ファイナンシャルプランナーとして活動中。
ライティング、セミナー、個別相談などお金にまつわる幅広いサービスを提供しています。