リースバックの押し買いに要注意!安心して利用するためにできること

高齢の親から「訪問営業で、家を売ってもそのまま住めるサービスを紹介された」と、相談されたことはありませんか?それはリースバックの“押し買い”かもしれません。
リースバック自体は資金が必要なときに便利なサービスですが、自宅を訪れた営業マンに促されるまま、不利な内容で契約してしまうという事例が急増しています。
家を売れば資金を得られるはずなのに、なぜトラブルになるのでしょうか?
トラブルへと発展する理由から契約を避けるべき会社を知り、安心してサービスを利用するためのポイントも、頭に入れておきましょう。

リースバックで高齢者を狙った“押し買い”が増えている理由

リースバックは、不動産会社が扱うサービスの1つです。
自宅の売却後に不動産会社と賃貸契約を結ぶことで、そのまま家に住み続けられる仕組みになっています。そのため「お金は必要だけど、家を離れたくない」と考える方にとってはメリットが多いサービスで、決して怪しいものではありません。
サーラグループでも『ほっとリースバック』を扱っており、資金調達、遺産整理、相続対策を目的に多くの方にご利用いただいております。
しかし、内容をよく理解しないままリースバック契約を結んだ結果、その内容が不利なものになっていて、後悔するケースが増えているのです。
高齢者を狙ったリースバックの押し買いトラブルが増加
リースバックで近年とくに増加しているのが、高齢者を狙った“押し買い”です。
自宅を訪れた営業マンに言われるがままリースバック契約をしてしまい、自宅を手放すことになってしまったというものです。国民生活センターの調査によると、60歳以上の自宅売却に関するトラブル件数は2018年から600件以上にのぼり、年々増加傾向にあります。
参考:国民生活センター『高齢者の自宅売却トラブルにご注意!』
高齢者がリースバックで押し買いされやすい理由
高齢者が押し買いされやすい理由には、次のようなものが挙げられます。
- 老後資金の不安を抱えているから
- 自分が亡き後の自宅の扱いに不安があるから
- 判断能力が鈍ってきているから
60歳を超える世帯は持ち家率は高いものの、「家はあるけど老後資金がない」というケースも少なくありません。また核家族化が進んだことで、自分たちが亡き後の家の扱いや相続について不安を抱いている方や、子や孫に負担をかけたくないと考えている方も多くみられます。さらに高齢になると、判断能力や情報収集能力も鈍ってくるものです。
それらの不安につけこみやすいことから、高齢者をターゲットにした自宅の訪問買取が増えているのです。
リースバックの押し買いでよくあるトラブル

リースバックの押し買いが問題視されているのは、そのトラブルの多さが理由です。
よくあるトラブル事例を見てみましょう。
相場よりも大幅に低い金額で買い叩かれた
リースバックの買取相場は市場価格の6〜7割ほどが相場なので、仲介売却で査定額が3,000万円の物件ならば1,800〜2,100万円あたりが目安となります。
ところがリースバックの押し買いでは、相場よりもはるかに低い金額を提示されることも少なくありません。市場価格が1億2,000万円の物件を700万円で買い叩かれてしまったという事例もあるほどです。
自宅の価格を把握していないがゆえに、損をしてしまう。これがリースバックの押し買いで、とくに多いトラブルです。
売却から数年後に退去させられた
リースバックでは売却後に不動産会社と賃貸契約を結び、その後も家に住み続けます。
しかし定期借家契約は契約更新が原則としてできないため、契約期間終了後には退去しなくてはなりません。しかし高齢になると賃貸物件への入居審査が厳しくなるため、「退去後の住まいが見つからない」というケースもよくあります。
ずっと家に住み続けられると思って契約したにもかかわらず、退去を命じられてしまう。これも、リースバックでよくあるトラブルの1つです。
想定より賃料が高く、生活が困窮してしまった
賃貸物件の賃料は周辺ニーズや物件の状態などによって決まりますが、リースバック契約の家賃は“自宅の売却価格と利回り”で決まります。
家賃を決める元となる利回りは6〜8%が相場なので、たとえば売却価格が2,000万円だったのなら、家賃は10〜13.3万円が目安。周辺の家賃相場よりも、高くなる可能性があります。
さらに悪質な不動産会社に当たると、売却価格から算出した家賃相場よりも大幅に高くされる恐れもあります。まとまった資金は手元に入ったものの、家賃負担によって生活が困窮してしまう。これも、リースバックでよくあるトラブルの1つです。
クーリングオフが使えなかった
訪問販売や電話勧誘のように不意打ち的な勧誘で契約してしまった場合、一定期間内であればクーリングオフによって無条件で契約を解除できます。
しかし自らが売主となるリースバックは、クーリングオフの対象外です。契約後に解除を申し出た場合は、手付金の倍返しや違約金として売却価格の20%相当を請求される可能性があります。
リースバックで会社を選ぶときにチェックすべきポイント

トラブル相談件数の多さや事例を見ると、リースバックというサービス自体に不安を抱くかもしれません。しかし仕組みを正しく理解したうえで会社選びさえ慎重に行えば、安心して利用できます。高齢の親が資金調達のためにリースバックの利用を検討しているのなら、次のようなポイントから相談する会社を選びましょう。
訪問業者にはとくに注意する
リースバックのトラブルは、押し買いによるものが大半です。
そのため高齢の親の自宅を突然訪問してくる業者には、とくに警戒しなくてはなりません。どんなにサービスのメリットを語られたとしても、すぐに契約せず、渡された名刺から会社情報をしっかりと調査しましょう。
対策としては、親に「訪問営業では絶対にその場で契約しない」「その場で自分たち(子)に連絡する」といったルールを徹底するのが確実です。
メリットとデメリットのどちらも説明してくれるか
リースバックにはメリットもあれば、もちろんデメリットと言える部分もあります。
サービス内容の説明時にメリットばかりを強調せず、デメリットも包み隠さず説明してくれるのかも、会社選びで重要なポイントです。
たとえばリースバックには、次のようなメリットとデメリットがあります。
- まとまった資金が手元に入るものの、家賃の支払い負担が生じる
- 相続の心配はなくなるが、自分たちがずっと住み続けられるとは限らない
これらの説明だけではなく、デメリットへの対策やリースバック以外の選択肢も伝えてくれるような会社なら、より安心です。正しい情報を伝えてくれているのかを判断するためにも、自分たちでもある程度メリットとデメリットを把握しておきましょう。
契約を急かさないか
優良業者は、顧客に契約を急かすようなことはしません。
「今日なら査定額よりも高く買い取る」「子どもに相談すると話が複雑になる」など、何かしらの理由をつけて当日中に契約させようとする会社は避けるべきです。
考えるための時間をしっかりと与えてくれるのかも、会社を見極めるときの重要なポイントになります。「家族でよく話し合ってください」「お子さんも同席での説明も可能です」など、顧客のことを1番に考えてくれる会社と契約しましょう。
マネープランも含めたアドバイスをしてくれるか
リースバックではまとまった資金が手元にはいるものの、その後は家賃の支払いが発生するため、これまでよりも月の固定費は増えてしまいます。
そのため売却後の資金の活用方法や、賃料を含めたマネープランも重要です。とくにリースバッは何年住み続けられるのかが明確ではないため、長く住み続けるほど家賃負担が大きくなります。
会社選びの際には、親の年齢や資産、リースバックで得られる資金、家賃、生活費などから長期的なマネープランを考えて、的確なアドバイスをしてくれるのかも必ずチェックしてください。
まとめ

仕組みを理解したうえで優良会社と契約するのなら、リースバックはメリットが多くあるサービスです。しかし悪質な押し買いをする業者が増えているのも事実なので、親御さんには「絶対にその場で契約しない」「すぐに自分(子)に相談する」を徹底してもらいましょう。
もし老後資金や医療費などでまとまった資金がいるのなら、まずは不動産会社に相談してみてください。
サーラグループでは『ほっとリースバック』のほか、仲介売却や買取など、幅広いサービスに対応しております。ヒアリングをもとにお客さまにとって最適の方法をアドバイスいたしますので、老後資金や相続対策などでお悩みの方は、まずはご相談ください。

■監修_サーラフィナンシャルサービス/担当者_資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士

WRITER PROFILE

井本 ちひろ
建築科系学科卒の住宅×金融専門ライター。
子供に「おかえり」が言える仕事を探してライターの道へ。
大学で得た経験とFP2級の知識を活かし、家づくり、水回り設備、エクステリア、火災保険、相続など、住宅にまつわる幅広い記事を中心に活動中。