スケルトンリフォームって何?メリット、デメリットを紹介します
リフォームについて事例を調べると、「スケルトンリフォーム」という言葉を目にしますよね。
スケルトンリフォームは、現在のライフスタイルに合わせて間取りを変更でき、新築同様の内装に仕上げられるなどの魅力から、近年人気が高まっています。
しかし、具体的にどんなリフォームなのか、把握されている人は少ないのではないでしょうか。
「スケルトンリフォームって何?」という方のために、スケルトンリフォームの定義をはじめ、メリット・デメリット、費用相場などをわかりやすく解説します。
スケルトンリフォームとは
スケルトンリフォームの基礎知識
スケルトンリフォームはリフォームの手法のひとつで、スケルトンが「骨格」「骨組み」を意味するように、床、壁、天井をすべて取り払って躯体のみのまっさらな状態にし、間取りから造り直す大掛かりなリフォーム・改修工事を指します。
新築やフルリフォームよりも価格を抑え、通常のリフォームでは難しい水回りの移動や、排水管などにも手を加えることができ、いま人気のリフォームです。
戸建てでは基礎や梁、柱といった建物の基盤だけを残し、屋根や外壁も含めて全体を解体・撤去します。マンションではコンクリートの地肌が見えるところまでを解体・撤去し、一から間取りを造ります。
スケルトンリフォームとリノベーションとの違い
リフォームは「建物を新築当時と同様の状態に戻す改修工事」を指す場合に用いられるのが一般的で、リノベーションは「大規模な改修工事を行った上で、性能を向上させたり用途を変更したりして建物の価値を高める」際に使用されることが多いです。
スケルトンリフォームは、 施工後に建物全体の価値が上がることも多いため、実質リノベーションの一種と考えられます。
スケルトン状態にはせずに大規模な改修工事を行う場合はリノベーション、一度骨組みの状態にしてから大胆に改装する場合はスケルトンリフォームという言葉で区別されます。
スケルトンリフォームでは、骨組みの状態にするため、見えない劣化した配管も含め、全てを新築同様の状態にすることができます。
リフォーム会社によっては言葉の解釈が微妙に違う場合があるため、工事を依頼する場合は注意しましょう。
ちなみに、フルリノベーションという言葉もありますが、こちらは「建物を一度スケルトン状態にした上で、大規模に全体をリノベーションする」際に使われるため、スケルトンリフォームとほぼ同義語と考えて良いでしょう。
スケルトンリフォームのきっかけとは?
スケルトンリフォームを行うきっかけは、以下のようなタイミングが多いです。
◆家族構成が変化
お子様が生まれたり、親と同居することになったりして家族が増えた場合や、子供が独立して家族が減ったとき、間取りが変更できるスケルトンリフォームで対応できます。
◆建物の老朽化
築年数が経った建物で、骨組みを除いてすべてをリニューアルできるスケルトンリフォームは、「壁や床が老朽化して直したいけど、建て直すほどではない」というときの選択肢のひとつになります。
◆生活に不便を感じる
普段の生活や家事をする上で移動に不便を感じたり、使い勝手が悪いとき、間取りから変更できるスケルトンリフォームであれば家事動線・生活動線を一から見直し、暮らしやすい間取りを実現できます。
また、スケルトンリフォームでは断熱材なども新築同様の仕様に変更できたり、現在の耐震基準に合った丈夫な上物を施工することも可能なため、保湿性や耐震性など、家の機能を刷新したい場合にも最適です。
↓↓詳しくはこちらの記事をご確認ください。
参照:つむぎ(リフォームの動機・きっかけ)
https://tsumugi.sala.jp/home/1026/
スケルトンリフォームのメリット
スケルトンリフォームは大掛かりなリフォームになるため、一度始めたら後戻りできません。メリット、デメリットの両方をよく理解し、納得してから実行を決断しましょう。
間取りを変えられる
一度骨組みの状態に戻すため、既存の形状にとらわれず、全体的に間取りを見直しやすくなります。
子供部屋をつくりたい場合や逆になくしたい場合、台所・リビング・ダイニングが狭いため一続きのLDKにしたい、家全体をバリアフリーにしたいといった要望に適しています。
配管の位置も変更できるため、キッチンやトイレ、浴室といった水まわりの設備も移動できます。
配管・配線を新装できる
普段は目に見えない場所を刷新できるため、建物よりも寿命が短い配管・配線を修繕・新装する作業もできます。
「全室に無線LANを通したい」といった要望も実現します。
耐震・断熱・防音対策ができる
気密性に欠けた寒い住宅なら、壁や床下、天井裏まで断熱材や気密シートを入れ、断熱性・気密性を高められます。
地震対策として、基礎に不意具合があった場合でも補修が出来たり、耐震性の高い金物で柱を補強したりと耐震補強も可能です。間仕切り壁を設置し直したり、床も下地材から交換したりできるため、防音性の高い壁や窓も導入しやすくなります。
新築よりコストを抑えられる
内装・外装ともに新築とほぼ同様の仕上がりになりますが、新築や建て替えに比べればコストを抑えることができます。
ただ、建物の劣化が進んでいたり、機能を追加すればそれなりに費用がかかるので注意しましょう。
劣化・腐食部分が分かる
普段は壁や床で隠れている建物の構造部分を確認できるため、劣化部分や湿気、シロアリによってカビや腐食が発生しやすい箇所を見つけやすくなります。
劣化部分を突き止めて補修を行うことで、お住まいの寿命を伸ばすことができます。
スケルトンリフォームのデメリット
一時的な引っ越しが必要
骨組みだけの状態にするため、暮らしながらの工事は基本的には不可能です。
仮住まいへ引っ越しをする場合、荷物の運搬にかかる費用や、引っ越し日のスケジュール管理も必要になってきます。業者によっては、仮住まいの手配もサポートしてくれる場合もあります。
希望の間取りにできない場合がある
ツーバイフォーやプレハブ工法で建築された住宅は、柱や梁ではなく壁の「面」で家を支えているため、壁を取り払う間取りの変更はできないので注意が必要です。
マンションでは管理規約でリフォーム内容や範囲が限られる場合が多くあり、専有部分(躯体より内側の部分)のみのリフォームとなり、外壁や玄関ドアは手を加えることができません。
騒音が発生しやすい
大掛かりな工事を要するため、騒音トラブルに注意しましょう。
事前に近所のご家庭に挨拶をしておき、工事を行う時間帯にも配慮が必要です。ご近所への挨拶には施工業者が同行してくれることもあります。
部分リフォームより工期が長く、コストが高い傾向に
部分リフォームに比べて工事の範囲が広いため、工期が長くなります。
家の大きさや搬入・搬出口の広さによっても異なるため、安易に他の物件と比較して工期を予想するのは危険です。
また、スケルトン状態にしないと必要な耐震補強が分かりません。地盤や構造がしっかりしていても、柱や梁が湿気やシロアリにより腐朽している場合があり、想定外の補強が必要になることもあります。
できることが多い分、さまざまな要望やアイデアが思い浮かび、予定外のコストが発生しがちです。
リセールバリューが落ちるかも
住まい手のこだわりや趣味が色濃く反映される傾向があり、個性的な間取りにすると、買い手がつきづらくなる恐れがあります。
将来的に物件を手放す予定がある際は、多くの人が受け入れやすい内装・外装にするようにしましょう。
スケルトンリフォームの費用相場
スケルトンリフォームにかかる費用の相場は、戸建てとマンションで大きく異なります。
戸建て
施工面積が大きい戸建てでは、総額450~2500万円となるケースが多いです。
建築面積が30坪の場合、1200〜1400万円が相場の目安です。
特に外壁・屋根など外装を施工する時や、建物の劣化が激しい場合、意匠性などにもこだわる際などはより高額になる可能性があり、3000万円近くになるケースもあります。
坪単価としては30〜50万円程度ですが、施工規模やグレードによっては1坪あたり80万円近くなることもあります。
マンション
戸建てに比べれば工事の規模が小さくなるマンションの場合は、総額300〜1200万円になる例が多いです。
グレードやデザイン性にこだわると1500万円近くになることもあります。
坪単価の目安としては、戸建てと同様に30〜50万円ほどです。
おわりに…
新築や建て替えの次に大規模なリフォームが可能なスケルトンリフォーム。
さまざまな理由で建て替えを検討されている場合、実際にはスケルトンリフォームで十分に要望を満たすことができるかもしれません。建て替えと同様の効果を得ながら、費用が抑えられるのなら、お得ですよね。
住まいの全体的なリフォームをお考えでしたら、ぜひスケルトンリフォームを視野に入れてみてください。
■監修_リビングサーラ/施工管理担当者_資格:1級建築施工管理技士・2級建築士
WRITER PROFILE
由本 裕貴
1983年3月20日、愛知県豊川市生まれ。
御津高校、愛知大学を経て、2005年に日刊スポーツ新聞社入社。プロ野球やサッカー日本代表を担当し、2014年に東愛知新聞社へ転職。2021年からフリーに転向し、翌年から東日新聞ライターとして東三河のニュースや話題を追っている他、スポーツマガジンやオカルト雑誌などでも執筆。豊川商工会議所発行「メセナ」の校正も請け負う。著書に「実は殺ってないんです 豊川市幼児殺害事件」「東三河と戦争 語り継ぐ歴史の痕跡」「訪れたい 東三河の駅」がある。
家族は妻と長男。趣味はスポーツ観戦、都市伝説の探求。